アグネスタキオンとおかしくなったトレーナー【完結】 作:砂糖ノ塊
「繧ソ繧ュ繧ェ繝ウ縺悟哨繧偵″繧、縺ヲ縺上l縺ェ縺上↑縺」繧ソ」
「それを……私に言われても…………」
コーヒーを飲んでリラックスしていた私に、突如部屋にやってきたタキオンさんのトレーナーさんは開口一番、少し寂しそうに(?)そう言った。
何を言っているのかはわからないのに、なぜか意味は理解できてしまうから恐ろしい。
「タキオンが口をきイてくれなくなっタ」
「二回言わなくてもわかってますから……」
私は折角の至福の時を邪魔された腹いせに、そっけなく返してみる。
別に私は彼の担当ウマ娘でも何でもないのだから、丁寧に返答する義務はないけれど。
「ナンデかはわかんないケド、こコ三日くらイ完全に無視されてるンダ」
タキオンさんと彼の仲は比較的良好……もっとも、二人の関係は特殊すぎるが、決して仲が悪いという訳でははないと思う。
日頃からよく二人で出かけているみたいだし……初詣に行ったり、温泉旅行に行ったなんて話も……
「私だって……まだ行ったことないのに…………」
「ドこにダイ?」
「あなたには関係ありません……!」
「あ、ゴめン」
「……それで、タキオンさんと喧嘩したんですか……?」
「心当タリはまっタくナイんだケドネ」
「…………え?」
タキオンさんが自分のトレーナーさんと口を利かない理由……
それは間違いなく"怒っているから"。
そしてタキオンさんが怒っている理由も……明白だ。
明白なはずなのに……
「心当たりが……ない……?」
「うン」
いや……"アレ"しかないでしょう…………
「君ナらナンでタキオンが怒ってイルのカわかるカイ?」
「逆に何であなたにはわからないんですか……」
「エ?」
「タキオンさんは……あなたが無理やり、あの青汁を飲ませたことに怒っているんだと思います……」
というよりそれしかない。
「…………?」
「え、嘘ですよね……?」
「……ァ、アぁ!あれネ!!」
「…………」
多分、私は今これ以上ない軽蔑の目で彼を見ていることだろう。
いくら少し前まで彼と同じような手段で同じようなものを飲ませ続けていたタキオンさんだからといって、今回は流石に可愛そう…………
「……別にそうでもないですね、因果応報にもまだ全然足りていないです……」
「ゑ?」
「これで少しは懲りてくれれば良いんですが…………あぁすみません、こちらの話です……」
「そ、ソう?」
「それで……あなたはタキオンさんと仲直りがしたいんですか……?」
「そうだネ。何カいい方ホウはあル?」
「そのくらい自分で何とかしてください……何年タキオンさんの担当やっているんですか……」
「だヨネ…………」
「はぁ……」
ため息をつきながら、私はすっかりぬるくなってしまったコーヒーに口をつける。
どうしてこの人たちは何か困ったことがあると、揃って私に相談してくるのか……しかも大抵互いのことについての相談ばかり。
そろそろ私も面倒くさくなってくる。けれど……
「……仕方ないですね…………私が協力して差し上げます……」
「……!ほントかイ!?」
今回ばかりは彼を見放すわけにはいかない。
ここで彼を見放して……
もちろんそうならないことも十分にあるけれど、万が一にもトレーナーさんに接触する可能性があるのなら、それだけは絶対に阻止しなければ。
彼は危険すぎる。
普段はそこら中にいる『彼ら』も、この人が近づくと途端にいなくなってしまう。
私の『お友だち』も、この人の存在をひどく恐れている。自ら干渉することもなく、ただただ恐れているだけ……
こんなことは今までに一度たりとして無かった。
彼に何が起こっているのかはわからない。だからこそ、トレーナーさんに危害が及ぶことだけは避けなくては。
「それで……タキオンさんはどれくらい怒っているんですか……?」
彼に私の警戒心を気取られないよう、できる限り落ち着いた口調で話しかける。
「ンー……あレは激オこダネ。ほんトニ何をしてモ反応しテクれないヨ」
「そうなんですか……」
私は今日一日だけで既に六回はダル絡みされたことは伏せておいた。
「ちャンと謝っタんダケどなァ……」
「……タキオンさんのことですから、日常生活でトレーナーさんに頼らざるを得ない時が来ると思います……そこでもう一度謝ってみては……?」
「ソうだネェ……でも最近のタキオンさんは、ワタシニ頼ラナイヨウニシテルミタイデスシ……」
「そうですか……」
……?今口調が……
「……デモ、ヤッパリチョクセツアヤマルシカナイデスヨネ……」
「…………一筋縄ではいかないとは思いますが、それしかないかと……」
なに……この感じ……
「ホカニ……タキオンサンガドウヤッタラユルシテクレルカ……ナニカイイアンハアリマスカ……?」
「…………」
「ドウカ……サレマシタカ……?」
この短い間で、彼は確かに得体のしれない
「なんでも……ないです……」
私は、恐怖していた。
目の前にいるヒト……確かに目の前にいる、そのナニカに。
一体、彼に何が起きているのか?
やっぱり彼自身が"よくないもの"になりつつあるのか?
……うぅん、そんなことはどうだっていい。
一刻も早く、ここから逃げ出したい。
私はそれで頭がいっぱいだった。
「そんなこと……担当のあなたの方がよくわかっているのでは……?」
「フフッ……ソレモソウデスネ……」
頭の中に直接響くような……無理やり意味を理解させられているような気持ち悪さが、この人から溢れ出している。
覚えた強烈な吐き気を悟られないよう、必死で冷静を取り繕った。
「デモコウイウノハ……タキオンサンノトモダチノ…………」
もう……やめて…………
その話し方も……笑い方も……雰囲気も……
それは……私の…………!
ナニカの手が、私に向かって伸びてくる。
私は逃げることも、言葉をつなげることも、呼吸をすることさえ、きっとできていなかった。
「デショウ……?」
ナニカの手が私の頬に触れた。
「ッ!?」
それと同時にナニカははるか後方、部屋の壁まで吹き飛んでいった。
「──ッはぁ!はぁーっ……はぁーっ……」
私の肺は思い出したかのように呼吸を始め、恐怖で支配されていた脳に酸素を送り始める。
きっと今のは『お友だち』だ。
私を助けてくれたのだ。
そう気づくまでにさほど時間はかからなかった。
「あの人は……」
頭を強く打ったのか、壁にもたれかかってピクリとも動かない。
「──ん」
「…………!」
「あレ……ここハ……?」
「気が付きましたか……?」
「君ハ……マンハッタンカフェ……?」
「はい、そうです……」
さっきのナニカの気配は消え、タキオンさんのトレーナーさんへと戻った……?
「俺ハ……ここで何ヲ……」
「タキオンさんに……謝りに行くんじゃなかったんですか……?」
「そう……だっタっけ?」
「はい……そう言っていました……」
ここ数分の記憶が混濁している。誰の目にも明らかだった。
「君が言うなラ、多分そうなんだネ」
それだけじゃない。
少しだけど……戻っている。
以前の、おかしくなる前の彼に。
「早く行ってあげてください……タキオンさんが拗ねると、私にまで被害が及びますから……」
「はハっ!それならなおさら急がなきゃネ」
扉へと歩を進めた彼はおもむろに扉の前で立ち止まり、こちらを振り返った。
「……タキオンのこと、いつもありがとう」
「これからもタキオンのことをよろしくね」
それは紛れもなく
「…………はい」
「じゃあ、まタ」
「……………………ふぅ」
部屋の扉が閉じたと同時に緊張の糸がぷつりと切れて、私の体に疲労が押し寄せてきた。
なんだかここ数年で一番怖い思いをした気がする……
「はぁ…………」
「大丈夫?」
「……うん、助けてくれてありがとう……」
コーヒーでも飲んで気持ちを落ち着かせようと飲みかけのカップを手に取る。
「…………空っぽ」
仕方ない……新しいのを──
「カフェぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「…………」
「こんなのってないだろう!?なぜトレーナーくんはいつまで経っても私の世話をしに来ないんだあああッ!!私が死んでも何も思わないかあの男はあああ!!!???」
私は、これで
「本当……帰ってください…………」
「ここは私の部屋でもあるんだが!?」
誰か……私に安息と救いを……
ガチャ
「ん?」
「トレーナーさん……」
「…………カフェ?」
「タキオンさんが鬱陶しいです……」
「それを俺に言われても……」
新しいイベントが来ましたが作者は無課金なので新衣装カフェが来るまでガチャを引く気はありません(鋼の意思)
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