進撃の迷宮譚   作:でけぇ害虫

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よう、一年半ぶりだな……(震え声)


3.眷属

 その日のベル・クラネルは上機嫌だった。

 

 冒険者とは不安定な稼業である。収入はその日その日の戦果によって左右され、大漁の時もあればその日の酒代にすら満たないケースも珍しくはない。

 ベルにもそういった経験はある。じゃが丸君を買うのがやっとな戦果しか上げられなかった時など、神様に顔向けできないと酷く落ち込んだものだった。

 

 しかし、今のベルはかつてとは違う。新人冒険者という肩書きこそ変わらないが、ミノタウロスとの激戦を経てレベル2へランクアップを果たした彼の「ステイタス」は、冒険者歴一ヶ月かそこらの新人のものとは思えない程に練り上げられている。

 

 加えて、他派閥の眷属でありながらサポーターとして冒険を共にしてくれているリリルカ・アーデの存在も大きい。

 彼女は小人族(パルゥム)という種族特性として非常に小柄で、冒険者基準としては非力である。しかしリリルカの真価は戦闘力ではなく、サポーターとして身につけた技能にあった。

 荷物持ちとも揶揄される──実際その通りなのだが──サポーターだが、その仕事は回復アイテムや野営用品、モンスターがドロップするアイテムや魔石等の管理運搬である。これがソロで活動していたベルにとってはすこぶるありがたかった。一人では持ち込めるアイテムにも限りがあるし、同じく持ち帰れるアイテムの量にも制限ができてしまう。それを一挙に解決してくれたリリルカの存在はとても大きいと言える。

 

 ベル自身の能力の成長、そしてリリルカというサポーターの存在。この二つの要因が、ヘスティア・ファミリアの収入を非常に安定したものにしていた。

 一ヶ月前とは比べるべくもなく効率的に戦果を上げられるようになったベルだったが、その日は特に輪をかけて大漁だった。ベルとリリルカの二人は魔石やドロップアイテムを換金して得た金額(ヴァリス)が収まった袋のずしりとした重みを手に感じつつ、ほくほく顔で本拠地たる廃教会の門を潜った。

 

「ただいま神様ー!」

「今日は大漁ですよー!」

 

「おっかえりーベル君! リリルカ君もよく来たね!」

 

 おや、とベルとリリルカは顔を見合わせた。

 彼ら二人が所属するファミリアの主神、女神ヘスティアの声がいつになく上機嫌だ。もうウッキウキであることが声色から容易に窺えるレベルである。

 

 何か良いことでもあったのだろうか。ベルは興味津々といった様子で足早に神様の待つ部屋へと向かう。

 

「ふっふーん、聞いて驚け見て笑え! ついに……ついに! ボクの勧誘によって眷属が新たに増えたんだ!」

『またまたぁ』

「本当だよ! 何でそんな懐疑的なのさ! ていうか息ピッタリだね君ら!」

 

 うがーっ! とツインテールを逆立たせて気炎を吐くヘスティア。

 思わず口を揃えて猜疑を口にしてしまったが、(むべ)なるかな。何せ自慢ではないがヘスティア・ファミリアとはオラリオ屈指の零細ファミリアなのだ。

 今でこそリリルカという協力者が一名いるが、それでも団員がベルただ一人であるという事実は変わらない。こんな弱小ファミリアに入りたいなどという奇特な冒険者はこれまでただの一人としていなかったのである。

 

 だがしかし、ヘスティアの背後には確かに誰かがいる。恐らくはその人物こそが新たな眷属なのだろう。

 やや緊張した面持ちで女神の背から顔を覗かせたのは、綺麗な金髪を肩口まで伸ばした人間(ヒューマン)の子供だった。

 

 端正な顔立ちと輝くような金の髪。その特徴にベルは憧れの冒険者の姿を想起してしまいドキリと心臓を跳ねさせるが、よく見れば目の前の人物の方が目つきが鋭いし、何より幼かった。

 歳の頃は10〜12歳程度だろうか。少なくとも15歳であるベルよりも年下なのは確かだろう。若いというよりは幼いといった風貌で、顔立ちにはあどけなさが残る。だがキリリと吊り上がった双眸は強い意思を感じさせ、年齢不相応な貫禄を見る者に与えていた。

 

 リリルカは手で口を覆い、信じられないと言ったようにヘスティアを凝視した。

 

「眷属が増えないからって、ついに子供に手を出したんですか……?」

「え、リリルカ君?」

「言葉巧みにだまくらかして、(いとけな)い子供を無理矢理眷属に……」

「リリルカ君!?」

 

 リリルカの言は多分に想像を含んでいるが、そう思ってしまうのも無理はなかった。

 15歳であるベルでさえ年齢とひ弱そうに見える外見を理由に様々なファミリアで門前払いを食らったのだ。荒事稼業である冒険者において、それだけ年齢というものは重要なファクターなのである。

 

「騙くらかすなんて人聞きの悪い! 路地裏で蹲ってたからじゃが丸君をあげただけで……」

「餌付け……」

「リリルカ君!?」

「ま、まあまあ……」

 

 ベルはヒートアップする女性陣の間に割って入り仲裁する。

 確かに彼(彼女?)は幼いが、ベル自身は年齢を理由に入団を断るつもりはなかった。ベルは所在なさげにオロオロする新たな眷属仲間へと歩み寄り、柔和な笑みを浮かべて話しかけた。

 

「えーっと、初めまして。僕はベル・クラネル。一応立場としてはヘスティア・ファミリアの団長……ってことになるのかな?」

 

 よろしくね、とどこか自信なさげに微笑むベル。一応も何もヘスティア第一の眷属である彼以外に団長がいるわけもないのだが、その威厳のなさがこの場合は良い方に働いた。

 威厳だの威圧だのを一切感じさせないふにゃりとした笑顔に緊張が解れたのか、肩の力を抜いた彼はぺこりと一礼し自らの名前を告げた。

 

「初めまして、ジャックです。こちらこそよろしくお願いします、クラネル団長」

 

 

 

 

 

 

 

 

 思い出した。『やはり俺がダンジョンで出会いを求めるのはまちがっている』……略して『俺ガイル』だ。

 

 ……いや、違ったかもしれん。ともかくそんな感じのタイトルのライトノベルがあって、どうもこの世界はそのラノベの設定に世界観が酷似しているのだ。

 特に目の前の女神様と団長だ。ヘスティア神は確か紐神という渾名(?)で一部界隈で流行っていたような記憶があるし、ベル・クラネルなど如何にも最近の女子にウケそうなカワイイ系の顔立ちをしている癖して、よく見れば意志の強そうな目の色をしている。まさに正統派主人公といった感じの、一本芯が通った雰囲気の少年だ。というか白髪赤目なんて外見でただのモブキャラは無理があり過ぎる。

 

 まあ、見た目に関しては俺も人のことは言えないが。

 自慢ではないが、今世の俺はかなり見れる外見をしている。分かりやすくその特徴を言い表すなら「エレンとヒストリアの間に子供ができたらこんな見た目だろうなぁ」といった感じである。綺麗な金髪と整った顔立ちはヒストリアっぽく、そして一歩間違えたら悪人面待ったなしのキツい目つきはエレンを思わせる。

 

 そんなミカサが見たら一瞬でヘラること間違いなしな外見で生まれた俺だが、その見た目が祟って方々のファミリアで門前払いを食らったと考えると手放しには喜べない。性差を感じにくい若年であることも手伝い、今の俺は顔だけ見れば殆ど女子のそれである。

 もう少し成長すれば男らしさも出てくるのだろうが、如何せんヒストリアの血が強すぎた。ヒストリアの、というより王家の血だろうか。アッカーマンの血と同じく、特典の効果で色々と影響を受けてしまったのだろう。

 

 それはさておき、今は目の前の問題である。

 女神ヘスティアに誘われるまま彼女の眷属となった俺だったが、どうにも雲行きが怪しい。

 

「ボクは反対だ! ジャック君にダンジョンはまだ早い!」

 

 嘘だろゴッデス。俺から戦闘力を除いたら何も残らんぞ。

 

 順を追って説明すると、どうも彼女は俺のことを小人族(パルゥム)だと思って勧誘したらしい。

 その誤解は他ならぬ小人族(パルゥム)のリリルカ・アーデさんの指摘によって解けたわけだが、そうなると次に問題となってくるのは俺の年齢だった。

 

 曰く竈の女神ヘスティアは全ての家庭と孤児の守護神であり、とりわけ身寄りのない孤児は問答無用で庇護対象となるらしい。

 そして俺は親なし家なし金なしの完全無欠な孤児であった。彼女の神性的にそんな子供をダンジョンに放り込み戦わせるなど論外なのだという。

 

 話が違うぜ! と言いたいところだが、ヘスティア神が勘違いしたのは俺の方に原因があった。

 厳密には俺の魂にだ。この世界の神々は死後の魂の管理が本来の役目であるらしく、それ故か地上においても肉の器を透かし、ある程度なら人間の魂の有り様を識別できるのだという。神は人の子の嘘が分かると言われているが、それもこの性質故のものなのだろう。

 そんな神の目から見て俺の魂は年齢不相応に成熟した波形をしているのだという。だからヘスティア神は俺を小人族(パルゥム)だと勘違いしたのだ。

 

 外見と魂の波形がちぐはぐなのは俺が転生者なのが原因だろう。前世分精神的に歳をとっているのだから純粋な子供とは言い難いのは道理である。如何に神とて、そんなイレギュラーは想定外もいいところだろう。

 

 なので別にヘスティア神は悪くない。さりとてただの孤児として庇護されるだけの存在に成り下がるのは真っ平御免なので、俺は説得のためのアピールを開始した。腰に提げていた剣の鍔を叩き、意識して太い笑みを浮かべてみせる。

 

「心配ご無用、こう見えて結構強いんですよ。ここに来るまでにも何度か盗賊や追い剥ぎを撃退してきたので」

『またまたぁ』

 

 知ってた。

 まあ信じられないよねって。恩恵を受けた冒険者でもない子供が戦えるなんて普通に考えてあり得ない。むしろ素直に信じられたらそれはそれで不安になるまである。

 何故かヘスティア神だけは顔を引き攣らせていたが。

 

 とは言え、この場は信じてもらわなければ困るわけで。どうしたものかと無い頭を捻っていると、何故かクラネル団長が助け舟を出してくれた。

 

「神様、僕は賛成です」

「でも……」

「僕もこんな見た目ですから、神様に拾ってもらえるまでは何度も外見や年齢を理由に色んなファミリアで門前払いされました。その悔しさは身に染みて理解できるんです」

 

 なるほどなぁ。確かにクラネル団長も女顔という程ではないにしろ可愛い系の顔立ちだし、線も細いしで外見で侮られることが多かったのだろう。

 

「だからせめてチャンスをあげて欲しいんです。夢を見てオラリオに来たのに、挑戦すらできないなんて悲しいですから」

「ベル君……」

 

 団長……(トゥンク)

 

「それに正直なところ、うちのファミリアは猫の手も借りたいほど人手が足りてないわけですし……」

「うん……貧乏な女神でごめんよ……」

 

 そういえば零細ファミリアなんでしたね……だがそのお陰で俺が入れる余地があったと考えると、何ともコメントしにくい問題だ。

 

 結局ヘスティア神はその後も暫くゴネたものの、現実問題として現ファミリアの懐事情ではお荷物の孤児を養うような金銭的余裕はないという事実を前に折れた。

 だが、そこでヘスティア神は一つの条件を提示する。それはクラネル団長に俺の冒険者適性をテストさせるというものだった。

 

 テスト内容は単純明快。実際にダンジョンでモンスターと戦ってみせ、その成果と中身によって俺が冒険者になれるだけの素質があるかどうかをクラネル団長が判断するというもの。

 ひとまず俺が冒険者になることは認めるが、その後も継続してダンジョン探索に参加できるかどうかは団長の判断次第というわけだ。

 

「神に子供の嘘は通じないからね! ベル君は忖度抜きの採点をするように!」

「は、はい!」

 

 ふっ、ヘスティア神には悪いがこの試験は圧倒的に俺が有利だ。特典の内容的に巨人化能力を使わなければ俺はその真価を発揮できないが、アッカーマンの能力を筆頭に他にもいくつか切り札を用意しているのだ。

 

 勝ったな、風呂入ってくる。

 え? 風呂なんてない? シャワーだけ? ですよねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクはやっぱり反対だよ、ジャック君……」

 

 子供達が寝静まった夜、眠る気になれなかったヘスティアは一人廃教会の長椅子に腰掛けていた。

 崩れた壁の隙間から青白い月の光が差し込み、ヘスティアの手元を照らしている。その手に握られているのは一枚の羊皮紙だった。

 

 それはジャックとの契約の際に発現した彼のステイタスの写しである。しかし彼に渡したものと異なり、今ヘスティアの手にあるそれは神の言語──神聖文字(ヒエログリフ)で綴られていた。

 


 

【ジャック・イェーガー】

 

Lv.1

力 : I0

耐久 : I0

器用 : I0

敏捷 : I0

魔力 : I0

 

《魔法》

 

《スキル》

進撃の巨人(アタック・オン・タイタン)

 その身は進撃の巨人である。

 またこれは外なる神の祝福を受けている証であり、経験値(エクセリア)の獲得量が半減する。

 


 

 ステイタスに変なところはない。魔法の欄が空白なのも、術師の才というものが完全に本人の素質に左右されるものである以上、特段おかしなことではないだろう。エルフのように種族単位で魔法に秀でているでもない限り、人間(ヒューマン)の子供が初めから魔法を習得している方が珍しい。

 問題なのはスキルだった。スキルというものは魔法と同様、恩恵を受けてすぐさま発現するようなものではない。皆無という程ではないが、非常に稀なケースであると言えるだろう。とりわけ固有の名を持つレアスキルともなれば、大抵は冒険の中で数多の修羅場を潜り抜け、その果ての集大成として歴戦の冒険者に現れるのが普通である。

 

 とはいえ、ヘスティアにとってこのようなケースは初めてのものではない。他ならぬヘスティア第一の眷属であるベルもまた、恩恵を受けて僅か数日で全く新しいレアスキルを発現させたのだ。

 しかしながら、今回のこれはベルの時とは事情が異なる。ベルに現れたレアスキル「憧憬一途(リアリス・フレーゼ)」が──発現に至った経緯に目を瞑れば──プラスの恩恵を所持者に齎すのに対し、こちらはその真逆。

 

 経験値(エクセリア)の獲得量が半減する──その文言がヘスティアに与えた衝撃たるや、進撃の巨人だの外なる神だのの謎ワードが目に入らなくなるほどだった。

 

 何せ、経験値(エクセリア)とは恩恵(ファルナ)に並び冒険者を冒険者たらしめる大前提である。強くなるためにはランクアップが必要であり、そしてランクアップのためには経験値が必要不可欠なのだから。

 つまり経験値(エクセリア)獲得量半減とは、その大前提を覆す前代未聞の弱体要素(デバフ)であるということ。ただでさえ迷宮(ダンジョン)探索は死と隣り合わせなのに、ジャックは常人の倍、あるいはそれ以上の艱難辛苦に身を投じなければ並の経験値を得ることすら叶わないのだ。

 

 同じく特異なスキルによって常人に倍する成長曲線を描き飛翔し続けているベルとはあまりにも対照的だ。同じファミリアの眷属として活動し続けていく以上、時を経るほどにその差は顕著なものになっていくだろう。そして、その現実はどちらにとっても不幸な結末しか齎さない。

 

 その確定した未来を予感した時、ヘスティアは遍く孤児の守護女神としてあり得ざる後悔を抱いた。あの時、路地裏で蹲るジャックに声を掛けたのは間違いだったのではないかと。

 そして眷属(こども)主神(おや)として許されざる願いを抱いた。どうか彼に冒険者としての才がありませんように、と。

 苦難の果てに報われることなく屍を晒すぐらいなら。どうか冒険者としてではなく、平凡で幸せな人間として限りある生を全うしてほしいと。永遠に幼き処女神は、自己嫌悪と共にそう願った。

 

 そして翌日。後悔と寝不足で死にそうな顔をしたヘスティアに見送られてホームを後にしたジャックとベルは、冒険者組合での登録手続きもそこそこに──アドバイザーの某ハーフエルフと一悶着ありつつ──リリルカと合流すると早々に地下迷宮(ダンジョン)へと向かった。

 

 見事試験に合格してみせると息巻くジャックと、それを微笑ましげに見守るベルとリリルカ。

 だがその笑みが崩れるのに時間はかからなかった。

 

 最初に接敵したのは三匹のゴブリンの群れだった。片手で数えられる程度の少数といえど群れは群れ。年端もいかぬ少年の初陣としては荷が勝ちすぎていると言えるだろう。

 せめて一対一になるよう数を間引こう。親切心や甘さ云々ではなく、あくまで公平な試験官としての考えからベルは武器(ヘスティア・ナイフ)を抜いた。

 

 だがベルが得物を抜いた時には、ジャックは既に剣を手に敵の眼前へと肉薄していた。

 

 ぎょっと目を剥くのも束の間、その矮躯には不釣合いな刃渡りのロングソードの切っ先がぶれる。そして今や上級冒険者(レベル2)たるベルの目を以てしても視認が困難な速度で白刃が閃き、先頭のゴブリンの胴体が斜めにずり落ちた。

 

 下段からの切り上げ。ゴブリンの胴を逆袈裟に切り割ったジャックは、そのまま流れるように踏み込むと後続のゴブリンの首目掛けて水平に刃を薙ぎ払う。まるで紙を割くかのように呆気なく肉を断たれた首が地面に転げ落ちた。

 

 つい先日恩恵(ファルナ)を授かったばかりの少年のものとは思えぬほど、その一連の動作は速く、極まっていた。まるで達人のような剣捌きと体重移動。一匹目のゴブリンの上半身と、二匹目のゴブリンの首が地に落ちるのはほぼ同時だった。

 目の前の光景が信じられず硬直するベルとリリルカを他所に、ようやく現実に思考が追いついた三匹目のゴブリンが奇声と共に手にした棍棒を振り上げる。

 

 次の瞬間、閃いた白刃の軌道が十文字を描く。頭から股下までを唐竹割りの一太刀が貫いた。

 

 まず棍棒を握る手が落ち、次に左右に分かたれた肉体が血と臓物をぶち撒ける。塵となり消滅していくモンスターの亡骸を見下ろし、ジャックは血振りと共に残心を解いた。

 

「……次!」

 

 あっという間に三匹のゴブリンを平らげたジャック。だがそこに怪物(モンスター)と相対していたという恐怖も興奮もなく、ましてや初陣を制したという達成感もない。あくまで淡々と処理(殺戮)を終えたといった様子の彼は、次の試験(タスク)を片付けるべく新たな獲物に飛びかかっていった。

 

「え、えぇ……?」

「何ですかあれ……昨日恩恵を受けたばかりのレベル1の動きですか、あれが……?」

 

 絶句するベルとリリルカを尻目に、今度はコボルトの群れへと切り込んでいく。

 女神の憂いすら置き去りに、異端の少年は迷宮を駆ける。まるで自らの戦闘力(性能)を確かめ、あるいは見せつけるかのように、その蹂躙はベルが制止の声を上げるまで続いたのだった。

 




アッカーマン鬼つええ! このまま逆らう怪物(奴ら)全員ブッ殺していこうぜ!

なおここまで巨人化要素ゼロ。
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