進撃の迷宮譚   作:でけぇ害虫

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4.条件

 

 アッカーマンって凄い。試験を終え地下迷宮(ダンジョン)を後にした俺は、つい先刻までの戦闘を思い出してそう思った。

 

 アッカーマンとは生身のまま巨人の力の片鱗を振るう特殊能力を与えられた一族だ。

 巨人の力といっても黄金の鎧を纏ったり蒸気爆発を引き起こしたりといったものではない。異常なまでに発達した筋骨もそうだが、何より特筆すべきは「道」を通じて歴代アッカーマンの戦闘技能・経験を継承できることにある。

 その特性上、アッカーマンは代を重ねるごとに性能が向上していく。その一つの到達点(ハイエンド)こそが原作において人類最強を号されたリヴァイ兵長に他ならないわけだが……

 

 まだ確証を得たわけではないが、理論上俺の肉体的な素質(スペック)はそのリヴァイを上回っている。

 

 何故なら、再三言うように俺は「進撃の巨人」である。あの物語における全てがこの身には詰まっている。

 つまり何が言いたいかというと、俺の中に流れるアッカーマンの血には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 まさしくアッカーマンのハイブリッド、いやサラブレッドだ。これはもうリヴァイとミカサの子供と言っても過言では……いや、よそう。何か俺の中のエレンの部分が拒否反応を起こしている気がする。

 それによく考えたらケニー・アッカーマン成分も入ってるわけだし、サラブレッドと言うよりはごった煮、あるいは煮凝りと言った方が正しい。

 

 話を戻そう。要は先程の試験においてはこのアッカーマンの特質が遺憾なく発揮されたということを言いたかったのだ。

 アッカーマンはおろか、俺自身の経験としても怪物(モンスター)との戦闘経験など皆無である。オラリオに来るまでの道中でも相手となったのは野盗などの人間ばかりであり、生まれて初めての対モンスター戦闘にはこれでもかなり緊張していたのだ。

 

 だがいざ敵を前にした途端、俺の精神は一瞬で平静になった。いや、むしろ冷え切ったと言ってもいい程に冷静になった。

 刹那、もはや条件反射とも言える速度で身体が動いた。()()()()()()()()()()()()()。敵との戦い方を。どう動けば目の前の生物を殺せるのかを。

 

 何故なら、彼ら(アッカーマン)はずっと戦ってきたのだ。人間より大きくて、素早く、力の強い巨人(モンスター)と。人外との戦い方はどこの誰よりも知悉していると言っていい。

 最初の相手が人型(ゴブリン)だったのも良かった。如何にモンスターといえど、四肢を持つ二足歩行の脊椎動物である以上主要な身体構造は人間と共通するし、そうであるならば急所を狙うのは容易い。

 そして巨人と違い、モンスターは急所の破壊がそのまま死に繋がる。(うなじ)を落とすまで五体を砕こうが頭蓋を割ろうが動き続ける巨人と比べ、何と脆く繊細なことだろうか。

 

 だから、決着するのはまさに一瞬だった。苦戦する要素など皆無に等しい。

 しかし誤算はあった。俺は二匹目を屠ったところで三匹目に反応されたわけだが──反応されたところで対処する算段は幾らでもあったが──実のところ俺の予想では、敵に反応される前に倒せるのは最初の一匹が限度だと思っていたのだ。

 その展開予想はそう的外れでもなかったはずだ。俺の中の内なるアッカーマンたちもそうだそうだと言っていたし*1

 

 では何が誤算となったかといえば、それは昨日までの俺になく今日の俺にはあるもの──神の恩恵(ファルナ)の存在に他ならない。

 いやー、神様の力って凄いね。Lv.1という字面に内心軽んじている部分もあったのだが、やはり0と1では違うということだろう。明らかに恩恵を受ける前と後では身体のキレが雲泥の差だ。

 

 とはいえ良いことばかりでもない。俺の場合なまじアッカーマンの血の影響で素の身体能力が化け物じみてるせいか、恩恵(ファルナ)による能力値の上昇幅が思ったより大きいのだ。正直、発揮される性能に感覚が追いついていない部分がある。

 恩恵による強化の仕組みが加法か乗法かは知らないが、慣れるまでには今暫くの習熟が必要だろう。アッカーマン由来の戦闘センスを以てすれば慣れるのにそう時間はかからないと思うが、レベルが低い内は成長するのも早いというのは古今東西のレベル制RPGゲームのお約束だ。慣れたそばからすぐに再修正を要するのではまさにイタチごっこである。

 

 まあ、転生特典(チート)の代償と考えれば可愛いものだろう。どうあれ強くなるのに違いはないわけだし、ならばこれは贅沢な悩み、嬉しい悲鳴というやつだろう。世の大半の冒険者がLv.1から抜け出せないという事実を鑑みるに、そのLv.1の時点で初期能力に大幅な下駄を履いているという事実は非常に大きい。

 

 長々と語ったが、要するにアッカーマンが強すぎるということに尽きるわけだ。こと戦うという一点に関して、彼らの血はまさに “ずる(チート)”と言っても過言ではない。

 というか迷宮(ダンジョン)上層ですれ違った他の下級冒険者を観察する限りでは、下手をすれば彼らの身体能力は恩恵(ファルナ)を受ける前の俺と同等かそれ以下に見えた。つまり俺は神の眷属になる前からLv.1相当の力があったということになり……ならば恩恵を得た今の俺は、ともすればLv.2に匹敵する可能性すらある。

 加えて俺は現在──捨て子だったから正確な年齢は分からないが──十代前半。まさに成長期真っ盛りの年頃だ。レベルと併せて伸び代はまだまだあると言っていいだろう。

 

 今の時点でこれなら、果たしてLv.2になったらどうなってしまうのか。というかアッカーマンが強すぎて下手すりゃ巨人化能力要らないまであるぞこれ──

 

 

 などと。そう思っていた時期が、俺にもありました。

 

 

 本拠地(ホーム)たる廃教会に戻った俺たちは、早速試験の顛末をヘスティア神に伝えに行った。

 迷宮(ダンジョン)内での俺の動きが如何に素晴らしかったかを興奮気味に語り、まるで我が事のように俺が上げた戦果を喜んでくれるクラネル団長。嬉しいやら照れくさいやらで何とも言えぬ表情でいると、何故か神様も似たような複雑な表情で俺を見ていた。嬉しいけれど悲しい。喜びと罪悪感が渾然一体となったかのような、痛ましいものを見るような形容し難い表情だ。

 

 例えるならそれは、周りを心配させまいと表面上は明るく振る舞っているが実は重病で既に余命幾ばくもない我が子に対し、その気遣いを無下にはするまいと今にも泣きそうな顔を押し込め無理矢理笑顔を浮かべている親のような表情である。

 

 そして別室で『ステイタス』を更新し、その内容を写し取った羊皮紙を受け取ったことで、俺は神様の表情のわけを理解した。

 

 


 

【ジャック・イェーガー】

 

 Lv.1

 

 力 : I0

 耐久 : I0

 器用 : I0 → I1

 敏捷 : I0 → I1

 魔力 : I0

 

《魔法》

 

 

《スキル》

進撃の巨人(アタック・オン・タイタン)

 その身は進撃の巨人である。

 またこれは外なる神の祝福を受けている証であり、経験値(エクセリア)の獲得量が半減する。

 


 

 

 しょっっっぱ。

 いやステイタスの上昇量がしょっぱ過ぎる。誰だよレベルが低い内は成長も早いとかホラ吹いたやつ。俺だよ。

 

 いやおかしくねぇ? 浅層の雑魚とはいえ合計二十体近くモンスターを狩ってこれっぽっちしか伸びないとかクソゲーが過ぎる……と思って読み進めていけば、何やら最初の契約時にはなかった一文がスキル欄に追加されていた。

 【進撃の巨人(アタック・オン・タイタン)】……身に覚えがあり過ぎるスキル名だ。というかどう見ても転生特典である。お前それスキル扱いで良いのか。

 

 というか何だよ「経験値(エクセリア)の獲得量が半減する」って! そんなデメリットがあるんなら最初から言っといてや! 「果たしてLv.2になったらどうなってしまうのか(キリッ)」じゃねンだわ。むしろLv.2が遠過ぎて「どうしたらレベルアップできますか」状態なンだわ!

 

「うぅ、ごめんよジャック君……きっとボクみたいなポンコツ女神が恩恵を与えたからこんな変なスキルが発現しちゃったんだ……ベル君に味を占めて『困ってる(可愛い)男の子に救いの手を差し伸べるカッコイイ女神様』を演じようとしたせいでバチが当たったんだ……」

 

 さめざめと涙を流し後悔を口にする神様。どうやら俺にショックを与えないために一旦スキルに関しては隠しておき、様子を見てから改めて教えるつもりだったらしい。

 

 とりあえず今サラッと明かされた下心満載の経緯は聞かなかったことにしときますね。

 俺は主神の性癖(ヘキ)が年下美少年とのボーイ・ミーツ・ガールだったとしても軽蔑しないので。

 

 それはそれとして、誤解は解いておかなければ。

 

「あの、ヘスティア様。別に経験値(エクセリア)獲得量半減のデバフは神様のせいじゃないと思いますよ」

「……え?」

「ほら、よく見て下さいよ。『外なる神の祝福を受けている証であり』って前書きがあるじゃないですか。多分これが原因ですよ」

 

 多分も何もこれが十割原因なわけだが。

 クソがよ。

 

「え、え……? うわ、ほんとだ! 何これ!? 外なる神? 進撃の巨人って何!?」

 

 マジで気付いてなかったのか。

 いや、それだけ経験値(エクセリア)獲得量半減は衝撃的なマイナス要素だったということだろう。他の文言が目に入らないぐらいには。

 確かに普通の冒険者にとっては絶望だろう。しかし幸いと言うべきか俺には「進撃の巨人」の力がある。尋常なレベルアップが望めないと分かった今でも、他に力の宛があるという事実は俺を冷静にさせていた。……いや、縋っている、が正確だろうか。

 

 数時間前の俺をぶん殴りたい気分だ。

 何が「巨人化能力要らないまである」だ。むしろ巨人化前提でパワーバランス組まれてるまであるぞこれ。

 

 おそらくアッカーマンの能力があったとしても、下駄を履けるのは1レベル分がせいぜい。レベルに依らない素の肉体的な成長を加味したとしても、現状のままではLv.3相当が限度だろう。

 そして忘れてはならないのが、これはあくまで白兵戦能力に限定した場合の評価に過ぎないということだ。新しいスキルや魔法の習得がレベルアップ時にしか望めない以上、切れる手札の数で同格の冒険者に劣るということになる。実質的にはLv.2以上Lv.3未満といったところだろう。

 

 そこそこのランクで、生活のために無難に稼業を続けるというのならそれでも十分だろう。

 しかし俺の最終的な目標……【猛者(おうじゃ)】や【勇者(ブレイバー)】に伍する最上級冒険者になるという夢のためには巨人の力が不可欠なのはもはや明らかだ。実際に巨人の姿で戦ったことがあるわけではないので予想にはなるが、俺が生み出した巨人のスペックは、例えリヴァイとミカサを両方同時に相手取ったとしても……何なら、原作で登場した知性巨人*2を同時に相手にしてさえ勝てるだけの力を具えている……筈なのだから*3

 

 全く、アッカーマンの継承の力さえあれば前世一般人だった俺でも冒険者として大成できると楽観していたのに、経験値(エクセリア)獲得量半減とかいう特大デバフのせいでとんだケチがついた。

 こうなれば本腰を入れて考えていかなければならないだろう。巨人の力の使用と、そのリスクについて。

 

 まず考慮しなければならないのは、迷宮(ダンジョン)内における巨人化のリスク──即ち天井問題である。

 当たり前といえば当たり前なのだが、地下迷宮(ダンジョン)はその名の通り地下に広がる限られた空間である。開けた屋外と異なり、通路は狭いし天井は高くとも10M(メドル)程度と、とてもではないが巨人が活動できるような場所ではない。したところで死にはしないが碌に身動きが取れないだろう。原作でも言及されていたが、巨人化能力者に最も有効な拘束手段は手枷でも鉄格子でもなく、身動(みじろ)ぎすら許さぬ閉鎖空間なのだ。

 

 しかしながら、実のところこれは時間が解決してくれる問題ではある。バベルまでの道すがらざっとアーデさんから教えて貰ったところ、ダンジョンは大まかに四つの構造に分けられるそうだ。即ち上層、中層、下層、そして深層である。

 ダンジョンはピラミッド構造になっており、下に行くに従って空間が広がっていくことが既に判明している。そして下層より下は「新世界」と呼ばれるほどがらりと環境が変わり、本当に地下空間なのか疑問に思えるほど広大な空間が広がっているらしい。

 無論、広いというのは面積だけに留まらない。飛行能力を持ったモンスターの増加と巨大化などに伴い、天井までの高さもかなりのものになっているのだとか。

 

 つまり、下層まで到達できれば俺の巨人化は解禁されるということだ。なので天井問題は俺及びパーティの戦力がLv.3相当の水準に達すれば一応の解決を見る。よってこの問題は後回しにしても構わないだろう。

 

 なので天井問題以外に現時点で考えられる懸念点は、巨人という存在そのものが周囲の人間にどう思われるか、ということだ。

 

 これはジャックとして十年近く生きてきた人間として肌で感じていることなのだが、この世界の人類の怪物(モンスター)に対する恐怖というか、敵愾心というものはかなり根深いものがある。それは恐らくこの世界の人々が辿った歴史が関係しているのだろうが、モンスターに変身できる特殊能力を見て「凄いね」「珍しいね」といった呑気な感想では済まなさそうな空気を感じるのだ。

 

 そしてそれは俺の目の前で羊皮紙と睨めっこしている女神にも言えることだ。

 この世界ではどうかは知らないが、竈の女神ヘスティアが属するギリシャ神話の世界観では、巨人とは天空神ウラノスと地母神ガイアの間に生まれた*4種族であり、彼ら巨神族(ティターン)は主神ゼウス率いるオリュンポス十二神の勢力とは敵対関係にあったという。

 

 巨人を神と同列に扱い、敵対しつつも時には交流もあった北欧神話とは異なり、ギリシャ神話において巨人は明確に神々の敵対者として描かれている。そしてよりにもよって今や俺の主神となったヘスティア神はギリシャ神群の一柱である。

 ぶっちゃけ神話の巨人と有機生物の起源(笑)に由来する進撃世界の巨人は全くの別物なのだが、問題はそこではない。大切なのは神々がどう思うかだ。要は印象問題である。

 この世界において絶対的な権威を有する神々の不興を買うようでは、神の加護の下に力を振るう冒険者などやってはいけないだろう。故にこの問題だけは絶対に先送りにすることはできない。たとえこのファミリアを放逐されることになろうとも、今ここでヘスティア神から巨人に対する見解を聞いておかなければならなかった。

 

「え、巨人について? 特にこれといって思うところはないかなぁ」

 

 で、勇気を出して聞いてみたところ返ってきた答えがこれである。肩透かしもいいところだ。

 

「まあボクは天界でも(オリュンポス)から殆ど動かなかったし、巨神族(ティターン)と直接関わったことはなかったからね。でも神の血族には違いないし、ゼウスたちだってそこまで嫌ってはなかったはずだよ……折り合いは良くなかったみたいだけど」

 

 ろくすっぽ魂の管理もしないきかん坊だったしね! と笑うヘスティア様。何だよこの世界の神話ゆるふわか?

 

「勿論、天界にいる“巨神(きょじん)”と怪物(モンスター)の“巨人(きょじん)”は別物だよ。でもこうしてスキルとして発現した以上、これが神々(ボクら)の力に由来するものであることは確かさ。だからこのスキルによってボクらが君をモンスターと間違えるなんてことは()()()()()

 

 でも、と神様は眉を下げる。

 

「神と違って、人間(子供たち)は相手を魂ではなく外見で見分ける。もし不意にダンジョンで巨人となった君と出会した場合、モンスターと間違えられてしまう可能性は十二分に考えられるだろう」

「まあ、そうでしょうね」

 

 不意に出会すってレベルのサイズ感じゃないがね。

 そういや巨人に変身できるってことは伝えたが、具体的に何 M(メドル)級の巨人かってことまでは伝えてなかったな。もしや三、四M(メドル)程度の、オークと同レベルの巨人だと思ってる?

 ……まあ、いいか。迷宮(ダンジョン)に入れない神様に巨人化を見せる機会なんてないだろうし。

 

「それより、ボクはこの『外なる神』ってのが気になるんだけど……」

 

 そら来た。

 困るんだよなぁこういうの。神が支配する世界で、既存の世界観から逸脱した別の神の存在など完全に厄ネタだ。絶対に多神教と単一神教レベルで噛み合いが悪いに違いない。こんな情報は隠すに限る。

 

「うーん、巨人化能力については物心ついた時には既にあったので説明できるのですが……外なる神とやらについては何とも……」

「そうだよねぇ。地上の子供に神のことなんて分かるわけないよね……」

 

 となるとジャック君の生まれに何か秘密が……でも知りようがないしなぁ……と再び思考の海に埋没する神様。

 

 神に嘘は通用しない。さりとて(だんま)りを決め込もうにも、口を噤んでいる時点で何かを隠していることは明白となってしまう。

 故に明言を避ける。俺は「何とも……」と口を濁しただけで「知らない」とは言っていないのだ。明確にNOと言えば嘘となってしまうが、YESともNOとも言わなければそれは嘘をついたことにはならない。

 

 とはいえ、こんな子供騙しみたいな口遊びで騙せるのは純朴で人の好いこの神様ぐらいのものだろう。もっと謀略に長けた、それこそ神話で「狡知の神」とまで謳われるロキ神のような神には通用しない可能性の方が高い。

 そして件のロキ神はオラリオ最大派閥の主神としてこの地に降臨している。要注意だろう。

 

「まあそういうわけなので、レベルが上がりにくくとも戦う術はあります。どうか冒険者として迷宮(ダンジョン)に潜る許可を頂けませんか?」

「うーーーん…………」

 

 凄まじく悩ましげに唸る神様。孤児と家庭の守護を司るヘスティアの神格として首を縦に振りにくいのは分かるが、ここは何とか頷いて貰わなければ困る。

 夢のためにというか、喫緊の問題としては俺の生活のために。マジでアッカーマンの肉体の燃費半端ねぇから。勿論悪い意味で。

 

「…………わかった。試験に合格したら良いと言ったのはボクだ。約束は守る」

「では……!」

「た・だ・し!」

 

 ビシッと神様の細い指が突き付けられる。有無を言わせぬ迫力で、彼女は俺にとある条件を告げた。

 

「冒険者ギルドにはベル君も世話になっているアドバイザーの子がいてね。彼女の深い知識は迷宮攻略の大きな助けになっているとベル君からも聞いている。

 アドバイザー君──エイナ君の授業を受けて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それが君をダンジョンに送り出す上での絶対条件だ!」

 

 いいね? と念を押す神様に、俺は一も二もなく頷いた。

 迷宮(ダンジョン)の深い知識を得る機会など、むしろ金を払ってでも欲しいぐらいだ。それをアドバイスの名の下にタダで受けられるなど、それこそ僥倖以外の何物でもない。

 

 

 

 

 俺は知らなかった。クラネル団長の担当アドバイザー……エイナ・チュール氏の授業は、彼以外に耐えられる者がいなかった程のスパルタであると。

 そして神様の「彼女(エイナ・チュール)の知る迷宮(ダンジョン)の知識を全て身につける」という発言を真に受けた生真面目なチュール氏による、文字通り()()を教え切るまで終わらない超スパルタ教育が待っていることを。

 

 神ならぬこの時の俺には、知る由もなかったのである。

 

*1
イメージです

*2
終尾の巨人と能力不明の始祖ユミルは除く

*3
多分。きっと。恐らく。メイビー

*4
厳密には農耕神クロノスによってウラノスのウラノス(隠喩)が切り落とされた際に滴り落ちた血液によってガイアが身篭り生まれたとされている




 ステイタスの上昇量が滅茶苦茶しょっぱいのは、苦戦らしい苦戦をしなかったというのも大きいです。いくら初陣とはいえ、あまりに楽勝すぎるようでは多くの経験値は貰えないということで一つ。

 あとダンジョン内の天井問題ですが、下層以降なら大丈夫というのは半分独自設定です。半分というのは、原作小説内でそこまで明確に天井までの高さに対する言及がなかったためですね。アニメを見てる限りではかなり高そうだったのですが……
 実はちゃんと設定があった場合は素直に申し訳ありません。当小説の独自設定ということでお願いします。

 ついでに言うと、ダンまち世界の巨神族云々の下りは言うまでもなく妄想です。ご了承下さい。
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