継続は力なり!!   作:花河相

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誤字報告ありがとうございます。


弟は兄に苦労します。

 

 

 金髪爽やかイケメンが登場により、ざわつきが収まり静まる。

 俺とシンはお互い掴んでいた胸ぐらをはなし、様子を伺うことにした。

 

「高等魔法学院において権力を振りかざし、他の魔法使いを害する事は、優秀な魔法使いの芽を刈り取る行為であり、これを破った者は厳罰に処する。高等魔法学院の校則では無く、王家の定めた法であったはずだ」

「う、そ……それは」

 

 金髪爽やかイケメンことオーグがそう言うと、さっきまで強気でいたカートが急に弱腰に。

 さすが王族である。

 あれ?オーグのフルネームなんだっけ?

 

「誰?」

 

 シンが俺に小声でオーグのことを聞いてくるが、答えられない。

 俺とオーグは一度も会ったことがないし、ディスおじさんも息子のことは一切語っていない。

 知っていると思われると違和感を持たれてしまうからだ。

 

「俺が知るわけないじゃん」

 

 そう返すのが妥当だろう。

 俺はシンの質問を受け流した。

 俺とシンがこんな会話をしている中でもオーグとカートの会話は続く。

 

「それとも、先程の発言は王家に対する叛意なのか?」

「ま! まさかそんな事は!」

「ならばこれ以上騒ぐな。ここは入学試験会場だ。皆の心を乱す様な事をするな」

「は……はっ、かしこまりました」

 

 オーグが言葉でカートを追い出した。権力持ちはこれだから違う。

 俺はオーグの言葉を聞き、最初から見ていたと言うことを理解した。そしてばあちゃんが言っていた言葉を思い出す。

 「分からないことがあったら人に聞くんだよ」と言われたことを。

 

「大変だったな。大丈夫か?」

 

 カートの去ったことを確認後、オーグが俺たちのところに来て、話しかけてきた。

 

「最初から見てたんなら止めてくれてもいいじゃん」

 

 俺の言葉に「そうだそうだ」という意味を込めて、シンが首を縦に振る。そういうと、オーグは手で口を押さえて、肩をピクピクと振るわせた。こいつ……笑ってやがるな。

 

「すまない。お前たちの喧嘩のやりとりが面白すぎてな。ついつい見ていてしまった」

 

 なんか今わからないことを言いやがる。

 俺とシンのあれは「喧嘩」ではない。

 

「何言ってんだよ。お前に付いてる目はなんだ?飾りか?」

「もしかして視力が悪いのか?ならメガネつけた方がいいよ。それかシンに頼んで、視力直して貰えば?」

 

 シン、俺と言葉を続けた。

 俺たちの正論を聞いてさらにオーグは肩を揺らした。どこが面白いんだか。オーグは声を上げて笑い出した。

 

「あははははは。い、いやすまない。父上に聞いていた以上に面白いと思ってな。逆に聞くがあれが喧嘩じゃないならなんなのだ?」

 

 決まってるじゃないか。

 俺はシンと目を合わせる、「ふ」と鼻で笑った。

 

「「口論」」

「ふはははははは!!」

 

 あれ?なんかオーグ笑いやがったよ。

 シンがついに我慢が限界に達したのか、オーグに質問をした。

 

「笑いすぎだよさっきから!てか誰?」

 

 シンがオーグに文句を言い、もっとも、気になっていた質問をした。

 

「ああ、すまない、自己紹介が遅れたな。私の名はアウグスト。アウグスト=フォン=アールスハイドだ。近しい者はオーグと呼ぶ。シン、ジンお前たちの事は父上から色々と聞いてるよ」

「アールスハイドって、……ディスおじさんの息子!」

 

 オーグが自己紹介にシンが驚きの声を上げた。俺はシンの声を聞いた瞬間、鼻だら膝をついて、頭を下げる。

 

「アウグスト殿下。失礼な言動、度重なる非礼申し訳ございません。わたくし、ジンと申します。訳あってこの場で家名を名乗ることができません。誠に申し訳ありません」

 

 俺の急な謝罪を聞き、オーグは一瞬面食らった顔をした。

 

「………ああ、謝罪を受け入れよう。態度もさっきと変える必要ない。気軽に接してくれると助かる」

「それは殿下がお望みで?」

「そうだ。私が望んでいる」

 

オーグが俺の謝罪を受け入れ、そしてさっきと同じように接するようににそう言った。よし、これで準備が整った。シンに常識を教えてやるよ。

 

「OKオーグ、よろしくー」

 

 俺はにやけそうになるのを我慢し、握手を求めた。

 そしてオーグはすぐに俺の握手に応じてくれる。

 

「……よ…よろしく頼む」

 

 オーグは何かを察したのか?

 俺の握手の求めに応じ、オーグはニヤけながら挨拶交わした。

 

「おい、急にどうしたんだよジン?」

 

 俺の行動に理解ができていないシン。

 これだから非常識のやつは。

 

「はぁー。これだから常識のないやつは困る。王族に対する最低限の礼儀もできないなんて。自重のできない、非常識人の兄がここまでとは。弟ながら恥ずかしいよ」

「おまえ!」

 

 シン……やっと理解できたか。まぁ、これが常識だというやつだよ。いい勉強になったかな?と俺がシンに追撃しようとしたら……ふと、チラリとオーグと視線が合う。何故か一番肩が揺れていて、声を上げて笑い出した。

 

「あははははは!」

 

 それに釣られてか、周囲の殆どのひとがクスクスと笑い、はずなしかなったのか。シンは怒って一人で試験会場に行ってしまった。

 そんなやりとりを終了させ、俺はオーグの肩に腕を回して、先程気になった質問をした。

 

「そういえばオーグ、一つ聞きたいことあんだけど」

「なんだ?」

「カートとのやり取りで俺とシンのやった行動どっちが非常識人の行動だった?」

「どっちもどっちじゃないか?」

 

 

 やっぱりオーグの目は節穴だ。

 そういえば最後立ち去る時にシンが「後で覚えておけよ」つぶやいていた。

 ま、非常識人のやつはほっといて試験会場行こーっと。

 試験会場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジン、シン、カート、オーグのやりとりを見ていた野次馬のなかにマリアとシシリーも混ざっていた。

 

 「もう、せっかく2人を見つけたのに、なんでカートに絡まれてんのよ

 

「大丈夫かな?」

「アイツは選民意識の塊みたいな馬鹿野郎だからね……面倒な事にならなきゃいいけど」

 

 そんな心配とは裏腹に何故かシンとジンは胸ぐらを掴み、喧嘩……もとい口論を始めた。

 

「なんであの2人が喧嘩してんだろ?」

「しらない?でも、見てカートの奴、いい気味ね!」

 

 マリアとシシリーがそれぞれ言葉を続ける。本人たちは気づいていないが、始めは心配していたが、途中からはシンとジンのやりとりを楽しみ始めていた。

 そのままシンとジンは周りを気にせずに喧嘩を始め、カートが怒り二人に何かを言い始めた。ただ、雰囲気が悪くなったのを察し、ただの見物者だったオーグがすぐに乱入した。

 カートがオーグに注意を促された瞬間、シンとジンは喧嘩をやめてそんな二人のやりとりを不思議そうに見る。その後、カートは顔を真っ赤にしてその場を去り、……何故かオーグが笑い始めた。

 

「本当に何が起きてんだろ?」

「知らない。てか、シンもジンも何者?アウグスト殿下と知り合いだなんて」

「ほんとだね」

「それに、アウグスト殿下があんなに声あげて笑うのはじめて見た」

 

 

 マリアとシシリーが話すもシンとジンの醜い争いは続き、何故かジンが急に膝をつき、オーグに対して頭を下げた。

 一連の流れが終わり、ジンとオーグは握手、ジンが何かをシンに言った後、シンはジンの胸ぐらを掴み、文句を言い、体をピクピクしながら、試験会場に入っていった。

 残されたジンとオーグはそんなシンの様子を見ながらさらに爆笑し、最後にジンがオーグと肩を組んで少し会話をして解散した。

 

 

「え?どういう状況?」

 

 ほんとそれである。

 マリアの疑問はごもっともで、謎が多すぎる。マリアとシシリーは近くにいた訳じゃないから何を喋っていたのかもわからない。

 

「まーでも、詳しい内容は後で聞けば良いよ。それにしてもカートがこの学院にいたことに驚いたけど、あの2人に相談すれば解決しそうね」

 

 ふと、マリアがシシリーにそのように提案した。だが、シシリーは理解が出来ず、質問を返す。

「大丈夫って何が?」

「分からない?カートから守ってもらうの」

「え、でも悪いよ。シンくんたちに迷惑かけちゃうし」

 

 だが、心優しいシシリーはジンとジンに迷惑をかけたくないと思い、否定をしてしまう。そんなシシリーに対してマリアはため息をしながら言葉を続けた。

 

「迷惑はかからないと思うよ。だってカートがいる前で堂々と喧嘩してたくらいの胆力あるし。それにアウグスト殿下とも仲良さそうだし」

「で、でも!」

「大丈夫だって。多分シンは困ってる女の子を見捨てる様な奴じゃない。この前の一件でそういう奴だって確信した。寧ろ進んで守ってくれるんじゃない。ジンの方は……まー私から説得してあげるから!!」

「でも何か……シン君の優しさに突け込んでるみたい……」

「そうね、突け込むのよ。いいシシリー、確かにシンは良い奴だと思う。でも私はアンタの事の方が大事なの」

「マリア……」

「それに一緒に居れば仲が進展するかもしれないじゃーん」

「え、あ! もう!!」

 

 このやりとりをしたマリアは思った。

 自分の親友は途中から完全にジンのことを忘れていることに。

 ちょっと可哀想かもと思いつつ、親友の安全を第一に思うのであった。

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