継続は力なり!!   作:花河相

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それぞれのいろいろです。

 俺がSクラスの教室近くに着くと、顔を赤くして立ち去るカートとすれ違った。

 その時一瞬睨まれたが何をするでもなく、素通りした。無事にイベント消化したか。

 俺は安心しつつ、Sクラス教室入り口で固まっているシン、オーグ、シシリー、マリアの四人の様子を見る。

 様子を遠目で伺うとシシリーが顔を赤くして、オーグが笑っていた。

 うん、ちゃんとやることやったんだな!

 これで心置きなくシンに文句を言える。

 今のシンはどうせ「あーくそ、ちょーかわいいなー!」的なことを思ってるに違いない。

 俺はそんな鼻を伸ばして青春しているであろうシンにむかって飛び蹴りをかますことにする。

 恋愛脳のあいつは完全に俺のことを忘れていることだろう。狙うは頭。

 シンの制服には国宝級の付与がしてある。

 布のないところを蹴らないと、シンを蹴飛ばせない。

 俺は助走をつけシン以外に被害が出ないことを考慮して蹴りをする……が、俺の蹴りはシンの頭に当たることなく、右腕一本だかわされた。

 ちくしょー厄介すぎる魔道具だな!

 俺は着地をするとすぐにシンの胸ぐらを掴み、入学式の時の文句を言う。

 

「お前のせいでクラスで恥かいたじゃないか!!どうしてくれるんだ!」

「元々はお前が原因だろ!オーグから全て聞いたぞ!こっちこそお前のせいで恥かいたじゃないか」

「あれはお前の確認不足だろ。オーグのこと信用しすぎたお前が悪い。せっかく今後の教訓になるようなことをしてやったのに、そのお返しがあれか?あん?」

「知らねーよそんなん、それより人が話しているときに飛び蹴り喰らわすとか非常識にも程があるだろ!脳筋かよ」

「話をすり替えてんじゃねーよこの恋愛脳、頭お花畑でさっきの内容忘れたか?」

 

 俺とシンは喧嘩、ではなく口論を続けた。

 

ーーーー

 

 

 

 シンとジンがまたくだらない内容で口論をしている時、先程いたシン以外の3人はと言うと、心配になったマリアが腹を抱えて笑っているオーグに話しかけた。

 

「あの、殿下止めなくていいんですか?」

「も、問題ない。最悪私が声をかければ止まるからな、安心して見ているといい」

「止められるなら止めてくださいよ。さっきジン、シンに飛び蹴りしたんですよ。もし怪我とかしたらどうするんですか?」

「あいつらは今口論をしているだけだ。怪我に発展することはない」

「これのどこが口論ですか?喧嘩じゃないですか?」

「あいつら曰く口論だそうだ。それにこういったやりとりは初めてじゃない。私は何回も見ている。しかも毎回違う内容でやりとりするから楽しみにしているのだ。もう一度いうが、安心していい」

「はー、殿下がそうおっしゃるのでしたら」

 

 マリアとオーグがそう会話している中、約一名何も喋らず、シンとジン口論見ている人がいた。

 いや、見惚れている人がいた。シシリーである。

 シンはジンと絡むことがなければ基本温厚だ。

 人には限りなく善意に接する。しかし、嫌いな奴にはキツく当たるし、怒りもする。

 それはカートのような人間がいい例だろう。

 シンにとってジンは嫌いな存在ではない、むしろ好きだ。

 そして本音を曝け出せる唯一の存在でもある。

 本音を曝け出しすぎてすぐに喧嘩、口論に発展してしまうのはやりすぎだと思うが……。

 そういった常識が二人には欠けているのだ。

 シシリーがさっきからその光景に見惚れていた理由は自分が全く知らないシンを見れた為である。

 しかも無意識に。

 そんな光景を彼女の親友であるマリアは見逃さなかった。

 

「なーに見惚れてるのよ?」

「え?……ち、違うよ。そんなことはないよ。ただ、いつもと違うシン君を見れたから嬉しくて見てたとかじゃないからね」

「あ……そうなんだ」

 

 マリアは自分の好意を隠すことなく、全てを白状した親友に呆れた。

 しかも今、親友は自分の心の中にある感情を理解していないことにも困っていた。

 

「はー」

 

 マリアは一人ため息をついた。

 マリアはシシリー感情についてアドバイスはできても心からの共感はできない。

 

 メッシーナ伯爵家の者は結婚相手は自分で探すことになっている。

 自分の親もそういったルールの中で最良の相手を見つけ結婚した。

 マリアはまだ一度も恋を経験したことがない。

 家のルール、マリア自身の理想が高すぎること。色々理由はあるが1番の理由はシシリーが近くにいることだ。

 

 シシリーはモテる。とてつもなくモテる。

多い時では週に一回ペースで告白されることがあり、マリアはいつもシシリーの男よけをしていた。

 そのせいで、周囲のマリアへの印象は最悪である。

 

 気の強い女。魅力がない。女子力が低い。

 

 シシリーに告白して振られた男たちが腹いせにマリアに当たり陰で噂を流し最終的に、そんな評価をもらってしまった。

 マリアの容姿は美しく、整っている。

 シシリーの並んでも見劣りしないくらい綺麗だ。

 それでもこれまでの行動のせいで全くモテないでいる。

 マリア本人もある程度理解している。

 それでも親友から離れることはない。

 

 むしろ生まれてからずっと一緒にいる大切な親友を守るために出来るだけ一緒にいようとする。

 

(いつか私もシシリーみたいな恋がしたいなー)

 

 顔を赤くして今でもなおシンの姿を見ている親友を見て、そう願うのだった。

 

ーーーーー

 

 

 俺とシンはずっと口論することなく、切り上げた。

 今回は「喧嘩両成敗だ」ってことで終わった。

 今回は特別だ。

 俺はこの後、シシリーを守るため、一度うちの屋敷に来て対策をすることを知っている。

 シンも俺と同じ内容を考えているのだろう。

 

 それにばあちゃんを待たせるとまた何を言われるかわからない。

 そういった理由で今回は運良く誰にも止められることなく終わりにした。

 

「驚いたな。まさか自分たちで喧嘩を切り上げるとは、成長したんだな」

 

 オーグは何を言っているんだろう?全くわからん。

 俺はオーグを放っておいて確認のため、カートと何があったのかを聞いた。

 

「大体予想つくけど、何あったの?」

「実はーーー」

 

内容を要約するとカートがシシリーに付き纏っているため、シンがシシリーを守るため付与をするとのこと。そして、屋敷に向かう流れだったらしい。

 

「つまり、ラブコメしてたってことね」

「「ちがうわ(います)!」」

 

 顔を赤くして否定する、シンとシシリー。

 ほんと青春してるわ。

 

「だったら早く行こうよ。ばあちゃんたち待ってるよ」

「誰のせいで時間がかかったと思ってるんだ?」

 

 オーグが何かつぶやいているが、どうせぼっちの独り言か。

 放っておくか。

 その後、シシリーとマリアは親に許可をもらってくると言って走っていった。

 そしてオーグの護衛であるトールとユリウスが一緒に行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 俺は今。シシリーとマリアが戻ってくるまでシンからSクラスでの出来事を聞いた。

 特に面白かったのが、ユリウスが俺とシンを間違えてしまったことだ。

 ユリウスがシンを見つけるなり、「貴殿はあの時の。どうでござるか?サプリメントを使ってトレーニングすることへの考えは改めたでござるか?」とユリウスが勘違いしてシンに話しかけた。 

 シンは状況判断が出来ず、「へ?誰?」とシンが素で返した。

 

その結果「拙者を忘れたでござるか!筋トレについてあんなにも語り合ったではござらんか!それにあの時より筋力が落ちてるように見える。貴殿は筋トレへの情熱を忘れたでござるか!」と大声で言われた。

 

 シンは意味がわからず呆然とし、ユリウスは悲しそうに言葉を続ける。

 

「考えが違えど、せっかく同じ志を持つ同志に会えたと思ったのに。残念で御座る」

 

 ユリウスの言葉にシンは理解できない。その時、ユリウスにオーグが言葉をかけた。

 

「リッテンハイム。一つ聞くが、お前の言ってる同士というのはここにいる者と髪型が違うんじゃないか?」

「む……そういえばそうで御座る」

 

 とここでシンも理解した。

 

「多分俺じゃなくて弟の方だよ。弟毎日筋トレしてるし、王都で買った薬飲んでたし。それがサプリメントなのかな?」

 

 こうして誤解が解けた。

 

「本当に最高だったなあれは。まさかリッテンハイムとジンが交流があったとは思わなかったが、お互い名前を名乗らずに話し続けるとは」

「……面目ないで御座る」

 

オーグが笑いながら言い、そうユリウスが謝る。

 

「夢中になったものは仕方がない。な、ユリウス!!

「む、そうで御座るな」

 

 そうお互いに納得した。

 そしてマリアとシシリーが走って息を切らしながら許可をもらえたと報告を受けた。

 そのあと、マリアから何かを思い出したかのように、「なんであの時騙したのよ?」って聞かれたから「場所が場所だったし、あそこで賢者の孫ってバレるわけにはいかなかったんだよ。ごめんごめん」って俺が答えた後「なるほどねぇ」と、納得した。

 

 しかし最後に俺が「それにしてもあんな嘘に騙されるなんてねぇ。もしかしてマリアってチョロい人?」と質問したらマリアに腹パンされた。

 

 腹を抱えながら「なんでぇ」と質問したら、「自分で考えたら?」とマリア言われ、みんなからは「「「「「今のはジン(君)(殿)が悪い(と思います)(でござる)(です)」」」」」と声を揃えて言われた。

 

 俺も流石に最後の一言はいらねーなと思う。

 

 ただ、制服に魔力を流したはずなのになんで反応しなかったんだろう?と思ったら、シンが「ごめん付与するの忘れた」と笑いながら言われた。この会場にはばあちゃんがいるし、この場には裏切り者のオーグがいる。だから何もしないで黙って受け流したら、オーグが「面白いものが見れそうだったのに残念だな。人は成長するのだな」とかほざきやがった

 

 こいつらいつかぶん殴る。

 

 そしてばあちゃん達との待ち合わせの為、俺、シン、オーグ、マリア、シシリー、トール、ユリウスの7人はばあちゃんとじいちゃんの元へ向かった

 




何かのフラグかな?
  
ヒロインはマリアです。

ちなみにユーリと悩んでしました。

やっと物語が進み始めます。ここまで長かったですね。

今まで1日1話投稿していましたが、この後数日ちょっと連勤が続きますので遅くなります。
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