シシリーの一件から次の日、俺、シン、マリア、シシリーの4人はいつも登校をしていた。
シシリーは目にハイライトが消えており、本当にショックだったんだなーって思う。
そう思っていると隣を歩くマリアが話しかけてきた。
「ねぇ、罪悪感とかないの?」
「罪悪感?だって、必要な事だったんじゃないの?」
「それはそうだけど、流石にやりすぎよ。処理する側にもなってよ。もぉ」
なんか最近マリアは俺に遠慮がなくなってる。
いや、元々遠慮はなかったな。
2回目会った時なんて俺が余計な一言を言ってしまったがために腹パンを食らった仲だった。
これが平常運転か。
「まぁ、俺も悪いとは思ったよ。だから、今日マリアとシンが一緒に出かけたあと、俺も時間合わせてケアに向かうよ」
「……私の親友に余計な事しないでね。ジンが何かやったら悪化しそうだし」
「信用ないなぁ」
「あの状況作った張本人を信用できると思う?」
「………」
やべーなにも言えねー。
この後、俺はなに言えず、マリアは俺を睨み続けた。
その後は何もなく、会話も続かないまま、学院に着いた。
学院が終了したらマークとなんかしようかなーとか思ったけど、オリビアなんかいい感じに教室で話していた。
乱入するのも申し訳ないので、そのまま放っておいて、シンたちに見つからないように少しだけ学院をぶらついていた。
やばい迷った。ここどこ?
何でこんなに広いんだよ学院は?
俺は教室を歩いていると、肌が日焼けで黒く、銀髪の髪の毛をポニーテイルに結んでいる人がいた。
ラッキーと思い、話しかけた。
「すいません。道に迷ってしまって校門までの道を教えていただきたいのですが?」
「ん?君は!」
「あの何か?」
「いえ、なんでもありませんよ。ただ、学院の有名人がいたので驚いただけです」
「有名人?あ、なるほど。すいません名前名乗ってませんでした。ジン=フォルフォードです」
「これはご丁寧に。まさかこんなところで賢者のお孫さんとお会いできるとは。私は中等部の講師をしているオリバー=シュトロームです。よろしくお願いします。ウォルフォード君」
………どーしよ。何で黒幕ここいるんだよ。
しかも話しちゃったよ、何でだよ。
やべーよ。まじやべーよ。
「ん?どうしましたか?」
「いえ、何で中等部の先生が高等部にいるのかなと思いまして」
「は?なに言っているんですか?ここは中等部の部活棟ですよ?」
「え?!」
「………ちなみに聞きますが、迷ったのですか?」
「はい。お恥ずかしながら」
「それはそれは、大変でしたね」
普通に会話しちまってるわ。
てか普通にいい先生やん。
そんなことを思っていると、シュトロームが話を続ける。
「ジンと言うと、弟の方ですか?」
「え?はい」
「なるほど。絶対防御を誇る」
「あの、その噂結構広がってるんですか?」
「王都中に広がっていますね」
「そうですか」
絶対防御ってなんだよ。どんな広がり方してんだよ。
ディスおじさんが余計な事言ったせいで変な広がり方してないよね?
「あ、そういえば君は迷ってしまっていたんでしたね。校門はここの廊下をまっすぐ突き当たりを右、真っ直ぐ行けば着きますよ」
「あ、丁寧にすいません。ありがとうございます」
「いえいえ。次は迷子にならないよう気をつけてくださいね」
「はい!ではこれで」
シュトロームが丁寧に説明してくれた。
俺はすぐさま離れたかったため、お礼を言い、すぐさま行動に移す。
しかし、シュトロームが話しかけてきた。
「ウォルフォード君!これは興味本意なのですが、あなたのお兄さんと君、どちらが強いのですか?」
え?なんで答えたらいいの?
もしかして情報探りにきてる?
俺は少し考え、ちょっとかっこいいなーってセリフを考えついたので、言ってみることにする。
「どちらが強いかはわかりません。しかし、私は生まれてこの方、一度も負けたことがありません。じいちゃんにも、もちろんシンにも」
「ほう」
シュトロームが俺を値踏み始めた。
やべー今の俺超かっこいいかも。
嘘はついてない。勝ったことはない。全て引き分けだ。
これ以上はボロが出そうだからとりあえずシュトロームから離れよう。
「あの、もういいですか?」
「あ、呼び止めてすいませんでした」
「大丈夫です。では失礼します」
そう言ってシュトロームと離れた。
俺は胃に穴が開きそうな気分だった。
シュトロームと交流を持ってしまった。
今後物語に影響出たらどうしよ?
気にしてもしょうがない。とりあえず帰ろう。
俺はそう思い、《ゲート》を開き屋敷の自分の部屋に行った。
あ!初めからこうすればよかった。
ここは中等部部活棟の一室。
シュトロームが考え事をしていた。
その考え事の原因は、今日偶々あった、賢者の孫、ジン=ウォルフォードだ。シュトロームは魔人の実験が終了した為、拠点であるブルースフィア帝国に戻ろうと考えていた。
しかし一月になり英雄の双子が王都にやってきた。
シュトロームはこの話題を聞き、今後何かの障害になる可能性があると判断。
情報収集をしてから帰ろうと思った。しかし、困ったことが起きた。
兄、シンの情報はある程度手に入れた。
しかし、弟のジンにおいては謎に包まれていた。
ジンのことで有名といえば、絶対防御だ。
かの賢者、そして今年首席で合格した兄シンをも凌駕する強度を誇ると言われている。
これだけだったら、別になんの支障もない。
しかし、ジンにはさまざまな噂があった。
世界各国に巡らされた情報網があるとか、百戦錬磨の実力を誇るとか。
しかしそれは一部のみに囁かれているものであり、気にしないと思って仕舞えばそれまでだった。
それでもシュトロームはその考えを捨てきれなかった。
では何故、それほどの実力があるのに入試首席ではなく、Aクラスなのか?それが疑問だった。
しかし今日、たまたまとはいえジンと話す機会があった。
ジンは道に迷ってしまったと言っていたが、それは怪しかった。
普通に考えて高等部から中等部に迷うなんてことは普通はありえないからだ。
そこで、ふとこんな考えが浮かんだ。
シュトロームを探りにきた。そう考えらのが自然であった。
以前、自分の実験体である、カートと揉めたことがあると。
カートは実験の為、わざと帝国の思想に染めた。
そのことはジンにもわかっているのだろう。
だからその元凶であるシュトロームの元へ来たとそう考えた。
考えすぎだと、そう思うかもしれないが、普通はありえない。
偶々高等部から歩いてきたら中等部迷う。偶々歩いていたシュトロームに話しかける。
こんな偶然は普通はありえない。
そして最後に何かの探りになるかもしれないと質問をしてみた。
そしたら、ジンは「どちらが強いかはわかりません。しかし、私は生まれてこの方、一度も負けたことがありません。じいちゃんにも、もちろんシンにも」と言った。
シュトロームはこれを忠告と受け取った。
自分の怪しい行動に気づいており、今日は偶然を装い、会いにきた。
シュトロームはジンと言う人間の警戒度を数段階上げた。
(そろそろ撤退の準備をした方が良さそうですね)
原作がありえない仮想敵のせいで狂い始める。
今後、どんな展開になるのか、それは誰にも分からない。