俺は屋敷に着いてから急いで向かうも、迷ってしまったせいで遅くなってしまい、着いた時には全てが終わっていた。
マリアに「なんでこなかったのよ?」と言われてしまい、「ごめん迷ってた」と答えたら「ゲート使いなさいよ!」と言われ「忘れてた」と答えたら「馬鹿なの?」と返してきた。
なんか最近マリア、ばあちゃんに似てきた?
そんな疑問を思いつつも今回は俺が悪いので反省した。
次の日、シシリーにあったら「ありがとうござました」と、この前の一件のお礼を言われたので、とりあえず「どういたしまして」とだけ言っておいた。
シシリーごめん、100%の善意じゃないんだ。だからそんなに純粋な瞳で見るのはやめてほしい。心が痛む。
この一通りの流れでシシリーの一件は無事終わり、シシリー自身、シンへの好意を自覚した。これについてはめでたしめでたしである。
ただ最近悩んでいることがある。
それはカートの件だ。
助けるか見捨てるか。
本当にどうすればいいんだろう?
カートが魔人化しなければ物語が進まない。魔人の存在も認知されるか分からない。重要なイベントのため、誰にも相談することができず、ただただ悩み続けた。
そして、今日は、学院の集会で研究会の発表会がある。
ついに来たか。
俺はそう思い、まだ決断を下せてなかった。
どうすれば良いのだろうか。俺は一人悩みつづけた。
授業が進み、午後となった。
今頃シンは究極魔法研究会の設立云々の話をしている頃だろう。
俺はもう悩みの決断をしており、事件が起こるのを待っていた。
「どうしたんすか?ジン君?」
「なんかありましたか?」
「いや別に。何の研究会入ろうかなって思って」
俺が緊張している時、バカップルのオリビア、マークと話かけてきた。俺はなんとなく、誤魔化し話を進める。
「ジン君はもう決めたっすか?」
「うん。俺はシンの作る研究会に入ろうと思ってるよ」
「え!!しn「デカい声出すな!目立つだろ?」……すいませんっす」
俺は条件反射でマークの口を押さえた。危ねぇ、原作では設立した後、すごい騒ぎになった。ここでシンの研究会の存在がバレたらやばい。
「いや、こっちこそごめん、あまりこれ言うと騒ぎになるし、あまり大きな声出さないでね」
「わかったっす」
「わかりました」
マーク、オリビアが返事をする。一応原作では設立後に二人の入会が決まった。話を出したわけだし、もう誘っても問題ないだろう。
「二人も入りたい?」
「まー入れるんでしたら入りたいっす」
「私もです。やっぱり興味がありますし」
やはり、二人も興味あり、即答した。それもそうだ。英雄の孫の作る研究会、興味を持たない方がおかしい。
確か、研究会の入会条件異空間収納だったな。二人とも出来るけど、形だけでも確認しておかないと怪しまれる。
「あ、ちなみに異空間収納って使える?」
「はい。使えるっす」
「私もできます」
「よし、今度一緒に行こうか!」
「「はい(っす)」」
俺は原作とは少し違う形ではあるけど、二人を勧誘した。
そして時が流れ、事件は起きた。
Aクラスの面々はレオン先生の意向により早めに体育館にいた。
何の研究会にしよう、その説明会を楽しみに会場の生徒はソワソワしていた。そんな時、突然外から爆発音が聞こえ、会場がざわついた。
「何すか今の音は?」
「外からだ」
マークが反応して声を上げる。俺はすぐさま魔力感知を発動し周囲を探る。
本当に起こってしまった。俺は起こらないことを少し期待していたのかもしれない。
一昨日、シュトロームと会ったため、多少は流れが変わるのでは?と。物語の強制力かは不明だが、やっぱり物事うまくいかない。
俺はすぐさま現場に向かうため行動に移す。
行かないとおかしいと思われるからだ。
「ジン君、どこ行くんですか?」
俺の行動に気づいたオリビアが声をかけてきた。
「外に行く、やばい!!」
「危ないですよ!!」
「そうっすよ!!」
俺の行こうとするのを二人が止める。
しかし、俺は二人の制止を無視し、現場へ向かう。
「だめだ。シン一人で対処できるか分からない。申し訳ないけど、行くから。二人はここを出ない方がいい!!」
俺は身体強化を発動し、出入り口に向かった。
「「ジン君!!」
俺は現場へ歩いて向かった。もちろんわざとだ。
現場に近づいたら走って向かう。
しかし、現場に着いたときにはすでに終わっていた。
そう、俺はカートを必要な犠牲として処理することにした。
物語のため、何よりシンの成長のため、切り捨てた。
俺が着くとSクラスの面々と話しており、兵士も複数人いて、その中で一番状況を確認しやすいオーグに話しかけた。
「何があった!!」
「……ジンか、魔人が現れたのだ」
「魔人って、それでその魔人は?」
「そこに死体がある」
あぁ、わざとらしい。
知っていることをなんで確認しなきゃいけないんだ。
俺はオーグが指を刺した場所を確認、そこには布を被せられている死体を見る
俺はあえて演技のため、兵士さんの許可を取り、布を捲る。
「カート?」
「リッツバーグが魔人化したのだ」
「……怪我人は?」
「すぐにシンが対処してくれてな。お陰で建物の破損はあるが、死傷者はいない」
「そうか、よかった」
俺は周りの光景をみる。
新たな英雄シン=ウォルフォードが誕生した。周りがざわついており、お祭りムード。しかし、俺は全然そのムードに参加することができなかった。
助けられたかもしれないが人を見殺しにしたんだ。
その決断は間違ってなかったはず。
はずなのに、何故か納得ができず、ただ、呆然としていたのだった。