継続は力なり!!   作:花河相

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やらかしました

 マリアと正式に交際が許されてから数日が経過し、ついにこの日が来てしまった。

 

 そう……叙勲式である。

 

「「はぁ」」

 

 俺とシンはお互い同じタイミングでため息をした。

 なんで……なんで俺まで。

 

「なんで俺まで叙勲受けなきゃ行けないんだよ。魔人倒したのお前じゃん。巻き添いじゃん」

「そういうなよ。実際あの時ジンがいなかったらどうなっていたか」

「実際俺何もやってないじゃん」

「そうはいうけど、王族であるオーグのだけでなく、その場にいた兵士、近隣の建物、住民を守り抜いた。何より俺がシュトロームに攻撃するまでの補助。充分貢献したと思うけど?」

「……あげればキリなさそうだな。叙勲されるのお前だけでいい気がする」

「もう諦めろよ」

「はぁ」

 

 だめだ。ため息が止まらない。

 思っていた以上に俺のやった功績は大きかったようだ。

 一度ディスおじさんに俺の叙勲の取り下げお願いしたけど、さっきシンが言ったような内容をつらつらと並べられた。

 ……もう俺の叙勲を辞退することはできないらしい。

 

「シン=ウォルフォード様、ジン=ウォルフォード様。ご準備をお願いします」

 

 ついに来たか。

 もう覚悟を決めよう。

 俺とシンはそのまま叙勲式会場に案内をされた。

 

「救国の勇者! 新たなる英雄! シン=ウォルフォード様、ジン=ウォルフォード様御到着!」

 

 ああ、帰りてぇ。

 シンを置き去りにすれば逃げ切れるか?

 いや、だめだな。この会場にはばあちゃんがいるわけだし。後で何やられるのやら。

 

 そして、騎士さんが重々しく扉を開けると歓声、拍手が鳴り響く。

 俺は一瞬固まってしまうも、歩み出した。

 

 そして、事前に教えられていた位置で跪く。

 

「アールスハイド王国国王! ディセウム=フォン=アールスハイド陛下、御入場!」

 

 ディスおじさんが登場後、周りの人も跪いた。

 

「皆の者、楽にせよ」

 

 その言葉に周りの人たちは立ち上がるも俺とシンはそのまま。

 事前にそう教えられていたためだ。

 

 「シン=ウォルフォード、ジン=ウォルフォード。此度の働き、誠に見事であった」「ありがたきしあわせ」

「あ…ありがたきしあわせ」

 

 本当にやりずれぇ。

 今、目の前にいる威厳のある国王は普段うちの屋敷で自堕落な生活をしている人物。

 ギャップがやばい。

 でも、それに突っ込むことはできない。そのまま叙勲式は進む。

 

 

「此度の働きに敬意を表し勲一等に叙する」

「謹んでお受け致します」

「謹んでお受け致します」

 

 俺とシンは立ち上がり、交互にディスおじさんから勲章を授与されるのを待ち、勲章を授与される。

 

「見事であった」

「「あ、ありがたきしあわせ」」

 

 とりあえず、これで流れは終わりだなと思ったのだが、ディスおじさんが話し始めた。

 

「皆の者よく聞け。このシン=ウォルフォード、ジン=ウォルフォードは我が友、賢者マーリン=ウォルフォードの孫であり、幼少の頃より我も世話を焼いてきた、言わば甥のような者だ。彼らがこの国に居るのは世間知らずであった彼の教育の為であり、決して我が国に利をもたらす為では無い! 彼を我が国の高等魔法学院に招く際、賢者殿と約束した事がある。彼らを政治利用も軍事利用もしない事だ! その約束が破られた際、英雄の一族はこの地を去る。その事努々ゆめゆめ忘れるな!」

 

 俺もシンも素直にディスおじさんかっこいいと思った。

 本当に宣言してくれたんだなぁ。

 

 周囲はざわめくも反対するものはいなかった。

 

「すごいねディスおじさん」

「確かにな。初めてカッコいいって思ったわ」

 

 隣にいるシンも同じことを考えてたらしく初めて意見が合った気がした。

 

「それでは、これにて勲章授与式を終了致します」

 

 これで終わり……と思ったが、俺は知っている。

 シンはため息をしていたが、一応教えておいてやるか。

 

「シン……言っておくけど、まだ終わってないよ」

「え?」

 

「この後当王城大ホールにてパーティが催されます。皆様ご参加下さい」

 

 そう、まだまだパーティはこれからなのだから。

 

「「はあ」」

 

 進行役の人の宣言を聞き、俺とシンは再度ため息をついたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パーティはつつがなくすすんだ。

 

 ただ、面倒くさいと思うのが俺たちに対して挨拶をしに来たお偉いさんの相手が面倒臭かった。

 

 何より大変なのが。

 

「ジン様はかの魔人の脅威から国を救われたのですよね!」

「絶対防御。かの賢者様を超えているというのは本当なのですか?」

「お兄様とは普段何をされているのですか?」

 

 貴族の令嬢に囲まれ、困惑していた。

 

 婚約を迫るとかはないものの、何か言うたびにキャッキャと盛り上がり、試しに軽いジョークを混ぜるだげでウフフと笑ってくれる。

 正直言っているネタもたいして面白い内容ではないものの、それは吊り橋効果的なもので面白く感じたのだろう。

 俺は言葉を選びつつも、対応を続けた。

 

 そういえば以前、オーグの見知らぬ女に囲まれるのは疲れると言っていたが、その気持ちは今ならわかる。

 

 ふと、俺は隣の集団に囲まれているであろう、シンをみたのだが、同じような感じで戸惑っていた。

 

 ただ、残念ながら余裕はないらしい。

 ……ふ、勝ったな。

 俺は今20人近くに囲まれているのに対してシンは10人と少し。

 それに質問を捌ききれてない。

 それで張り合っても仕方ないのだが、なんか少し勝った気がした。

 

 続いて周囲に視線を巡らせると……。

 

 腹を抱えて笑いを堪えているオーグと呆れ顔をしているユリウス、トールの三人がいた。

 

 なるほどな。オーグは囲まれているシンを見て笑ってんだな

 

 あれ?今オーグと目があった?

 気のせいか?

 

 いや、気のせいじゃないな。

 オーグは俺と視線があったのに気がつくと、右手の人差し指ある方向へと示していた。

 あっちを見ろと言うことだろうか?

 

「………あ」

 

 やらかした。

 オーグが指差していた方向には両腕を組んで俺をすごい睨んでいる不機嫌なマリアにそれを落ち着かせるようとしているシシリー、そしてため息をしながら俺を見ているばあちゃん。

 

 ……俺は何をしていたのだろう?

 

 俺は一度冷静になったあと、周りの女性たちを適当に話してひと段落済んだら、会話を切り上げマリアの元へ向かった。

 

 ……なんといえばいいかな。

 とりあえず、褒めてみよう。

 

「マリア、そのドレス似合ってるよ」

「……あっそ」

「今日は一段と美しいね」

「……あっそ」

「いやぁ、俺やっぱりこう言う雰囲気苦手だなぁ……あははは」

「……あっそ」

 

 ……マリアめっちゃ怒ってるわ。

 シシリーは何か言ってくれ……なさそうだ。

 

 苦笑いするだけで何もしてくれそうにないわ。

 

 その後もマリアの機嫌を取ろうと必死に試行錯誤を続けるも、改善されることはなかった。

 

 

 まぁ、数日が経てば機嫌治るかな。

 

 その時はそう思ったものの残念ながら数日どころか全く治ることなく一週間以上が経過してしまうのだった。




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