戦姫絶唱シンフォギア〜錬金術師と新たなるコアメダル〜   作:ゆきリア

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1話 未知の脅威

 

 東京上空に謎の大穴が空いて数日。S.O.N.G.の面々は、穴の真下周辺に点在して連日現れるアルカ・ノイズ――錬金術師が創り出したすべてを無に帰す怪物――の対処に追われていた。

 一般的な銃火器でも倒せないことはないが、アルカ・ノイズに対して有効打となる『シンフォギア』を纏えるのは6人。今は「風鳴翼」と「雪音クリス」の2人が脅威を迎え撃っていた。

 

「だぁぁぁ――っ! 倒しても倒してもキリがないぞ!? こいつら、どっから出てきやがるんだ!」

「耐えろ雪音! そろそろ民間人の避難誘導も終わるはずだ。終わり次第反撃に出るぞ!」

「っても流石に限界だぞこの量! どこ撃っても当たりやがる!」

 

 交通量が多いことを伺わせる大きな交差点。今は車両ではなく多数のカラフルなアルカ・ノイズで密集している。

 突如として現れたことが災いし、車両が道を塞いだことで避難がより困難となってしまった。

 避難の邪魔になるノイズを露払いしつつ数を減らすのは手が足りなく、防戦一方となっていたところへ風鳴弦十郎司令から連絡が入る。

 

『翼っ、民間人の避難が完了した! 思う存分闘ってくれ!』

「了解しました――司令から許可が出た、殲滅するぞ!」

「待ってたぜこの時をよぉ! いい加減ストレス溜まってんだ、多少雑でも許せよな!」

 

 クリスのギア・イチイバル。銃火器のイメージが強く反映されているため、対多数戦では非常に効果的に力を振るうことができる。使用者の意を汲んで、ギアの形状がより殲滅に特化した形へと変形する。

 

「うぉぉぉらぁぁぁ! 吹き飛びやがれっ!!!」

【BILLION MAIDEN】

 

 ガトリング砲を模したものへと変化した武器からの一斉掃射。射線の敵、車、瓦礫などを一気に薙ぎ払っていく。

 撃ち漏らしも順次狙撃で片付けていき、彼女の向いている道路は綺麗に殲滅させられた。

 

「ふっ、流石雪音だ。私も負けてられない、なっ!」

 

 そう言うと翼は、近くの瓦礫を踏み台にして大空へ跳躍した。

 翼のギア・天羽々斬。名称の通り刀型ではあるが、彼女の使える技の数々が戦いに幅をもたせてくれる。

 

「推して参る!」

【千ノ落涙】

 

 空間に投影した数多の剣を雨のように、涙のように降らせることで一気に敵を殲滅させる。

 着地後も素早い剣戟によって敵を斬り裂いていく。

 敵側に強敵や、倒すのに苦労する敵がいなかったこともあり、攻めに転じてからはあっさりと終わらせることが出来た。

 

「これで最後になるか。やはり敵勢力は今回もノイズだけか……」

「で、まぁたこのよく分からねぇメダルか。ノイズはいつからこんなもん落とすようになったんだ? ゲームのドロップアイテムじゃあるまいし」

「まあ、あの穴が関係してるのは間違いないだろう。その解析のためにも、拾えるだけ拾うように指示が出ている。私はこっちの方を、雪音はその奥の方を頼む」

「人待ったほうがいいと思うけどな――危ねぇ上だ!!!」

「――?!」

 

 上空から何かしらが落ちてくる音を聞き取ったクリスの怒号が飛ぶ。

 後ろへ大きく跳躍することで間一髪で回避した二人は、即座に距離を取って落ちてきた物に対して警戒態勢に入った。

 

「油断するな、新手の敵かもしれない」

「へっ、言われなくても」

 

 武器を構えて約一分。特に何も起きなかったので二人は気を緩めた。

 落ちてきた衝撃で舞い上がっていた砂煙も収まっており、降ってきたものの全貌も分かるようになった。

 

「何だこりゃ。箱か? どっこいしょっと――っておいおい、これ自販機なんじゃねぇの」

 

 怪しげな物体をひっくり返したクリスは、見慣れた形のディスプレイに見慣れない缶が並んでいることに気づいた。

 

「仮に自販機だとしても、空から降ってきた怪しげなもの。あまり無造作に触るものじゃないぞ」

「へいへい。……とりあえずこれも持って帰るか」

「もう少しすれば後方支援が来るだろう、そちらに任せよう。私達は周辺の警戒と、メダルの回収を進めねばな」

 

 武装を解除してそれぞれ戦闘していた方へ向かい、散らばったメダルを集め始めた。

 あらかた集め終わり、一息ついたところで連絡が入った。

 

『もしもし。聞こえますか。こちらエルフナインです』

「ああ、問題ないぜ。担当はおっさんじゃないのか?」

『あのあと、そちらとは別のエリアで問題が発生したんです。響さんが確認に出る関係で、司令もそちらのサポートについています』

 

 二人は別の問題が起きていることに眉をひそめる。

 が、ニュアンスからして敵の襲撃ではなさそうという空気を感じ取った。

 

「詳しい話は戻ってから、というわけか。立花のことだ。そう大事にもなるまい」

「で、集めたコレはどうすりゃいいんだ? 流石にあたしたちだけじゃ持って帰れないぞ」

『すみません、ゴタゴタしてしまって……。もうすぐ回収班が到着するはずです。そちらと共に撤収をお願いします』

 

 通話越しでも凹んでいるのが伝わるエルフナインの声色を聞いて慌てるクリス。

 それを横目に見て苦笑いする翼は、遠くから回収用の車両と思われる影が近づいているのを見つけたのだった。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「戻りました」

「戻ったぜおっさん」

「待ってたデース!」

「ナイスタイミング」

 

 戻ってきた二人を暁切歌・月読調の両名が出迎える。

 手には報告書のような紙を持っているが、あまり読み進められてなさそうだった。

 その声を聞いて、弦十郎は顔を上げてみんなのいる方へ振り返った。

 

「戻ったか。もう少しで響くんたちも戻ってくるはずだ。それまでに今回のことを簡単に説明してほしい」

「立花たち……? はい。今回も敵の首謀者や関係の有りそうな人物は現れませんでした。また、アルカ・ノイズを倒すとやはり例のメダルが散らばるようで、こちらも回収して調査に回しています。」

「あと、なんか空から箱? 自販機? みたいなのが降ってきたぞ」

 

 翼とクリスはざっくりと今回の話を語る。

 箱のくだりで切歌たちは頭に疑問符を浮かべた。

 

「箱、デスか?」

「そうとしか言いようがねぇんだから仕方ねぇだろ」

「そちらは先んじて報告が入っている。ひとまずはエルフナインくんの調査待ちだ。あるいは……」

 

 弦十郎のセリフでみんなの注目が集まる。

 

「あるいは、響くんが戻ってきたら分かるかもしれないな」

「先程司令は、『たち』という言い回しでしたが、ここにいない小日向が共についているのですか?」

「いや、今回の件は緊急度が低いと判断した。小日向くんは招集していない。」

「では――」

 

 というところで、部屋のドアが開いた。

 勢いよく入ってきた少女の名前は立花響。現在話題に上っていた人物そのものである。

 

「遅くなりました――っ!」

「うむ。ちょうど今、翼とクリスくんから話を聞いていたところだ」

 

 勢いに押されて気づかなかったが、もう一名一緒に入室していた。

 そのことに、ドアが近かった調が気づいた。

 

「……誰?」

「あっそうだった! この人は……」

「どうも、はじめまして。俺、火野映司って言います」

 

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