キャプテンアメリカ~オラリオ・ミィス《神話》~ 作:Rogers
1
真夜中の王都ラクリオス、王座
【メイド】「では、失礼いたします。」扉が閉まる。
【王】 「あの愚か者を、仕留めたか。」
【騎士長】「いえ、ですがすぐ対処します。そして、逆賊の親類を捕らえたとの知らせが届きました。何れにしても時間の問題でしょう。」
【王】「逃げ場などないが、オルナを取り戻し、どんな手を使っても始末せい!あのミノス将軍には、もうしばらく働いてもらうとしよう。アリアドネには、苦しまず、逝ってもらう。エルミナよ、他の英雄候補らの行動を見張っておれ、万が一は殺して構わん、我々の強大な力の前では無力であると奴らにも分からせてやれ。」王は意地の悪い乾いた声で笑う。
影の女暗殺者は扉の前にいる気配に気がつき素早く捕え地面に叩き付けた。
先ほどのメイドである。王都の栄華の裏の顔を知り、今にも泣き出しそうだった。
「この者、いかがなされます?」エルミナは無感情で呟く。
「始末だ。後処理も任せる、ここではなく、地下牢でな」
「い゛や、やめて下さい、陛下!まだ幼き妹が腹をすかせて待っているのです。お願い致します。どうかお慈悲をっ!お慈悲をっ‼ 」
「知りすぎたの。 ミノタウロスの餌行きだ。」
「あ"ーーー」虚しく女性の声が響き渡り、性根が腐りきったこの王国に明けぬ夜がまだ続くと予感させるものだった…
2
アルゴノゥト
「だって…笑顔にしないといけない人が目の前にいる。オルナ…僕は君も助けたい、君の笑顔が見たい。」
彼は私にそう告げた。
でも、この時間がそう長く続くわけなく、町にて、捜索している騎士に見つかってしまった。「追い詰めたぞ、アルゴノゥト!卑しい鼠め、ここで処罰してくれる 」
「オルナ様、なぜここに?お下がりください!この逆賊めを討つのは我らの仕事
既に王の許しは得ております!城に持ち帰るのは、しゃべれなくなった『死体』で構わないと!」
私は近衛兵を退けようとも止まらず、事情を知っているはずの騎士長も知らぬ存ぜぬだったので、とっさに殴ってしまった。逃げる以外の選択肢がない。あのバカな男と共に逃げても四面楚歌。でも、状況は一変する。
そこに、1人は爆ぜる炎で敵を薙ぎ払い、もう1人は甲冑の胸辺りで鈍く響く金属音と衝撃、反射する円盤状の物体で3人の兵士を倒して、スピードとパワーある格闘 によって瞬く間に兵士たちは倒れた。
「町の噂でここに、王女を誘拐した男がいると聞いたが、どうやら事情があるようだ」
「まったくだ、こんな様子じゃ、どっちが悪人かわからなくなるってやつだぜ」
「君達は…」アルゴノゥトは思わず聞いた。
「俺か?俺はクロッゾ。しがない鍛冶師さ、こっちは、スティーブ俺たちは…」
アルゴノゥトは度重なる負傷で意識が朦朧とし、彼の視界が暗転した。
3
「…うっ。…空?月?ここは…」
「動かない方がいいぞ。重症だったんだ、おまけに下水道の中を進んできたとなっちゃあ…まぁ破傷風の方は俺の力で防いでやったが、大人しく休んどけ」
「君は確か、クロッゾ…」
「ああ、鍛冶師のクロッゾでお前たちの命の恩人ってやつさ。」
「僕たち…っ、オルナはどこにっ」
「あら、自分のことよりも他人の心配してる場合?呆れた偽善者ね。」
彼女は無事だったことを安堵しつつ、言葉をかわし、この場所がどこか聞くと王都から離れた荒野だった。そういえば、もう一人はどこか訊ねると、辺りを見まわりに行っているそうだ。
突然の魔物の襲撃もあったが、クロッゾの放つ炎や助けてくれた盾で戦う人と共に撃退することができた。
「…あなたは?」少年は問いかける。
「僕は、スティーブ・ロジャース」
オルナはハトが豆鉄砲を食らったような表情を浮かべ
「あなたがあの『キャプテン・ロジャース』⁉数々の村や町を魔物の脅威から守ったっていう、」
「別に僕一人の力で退けたわけじゃないさ、みんなで守り抜いただけだ。」
噂に聞く、フィアナ騎士団や各地で一度は耳にする名だった。
「あなたがどうしてここに?」王の褒賞を求めて…といった雰囲気ではない。もしそうだったら、私達を王のところへ突き出しているはずだから。
「あぁ、近辺で王都が
「まぁ、俺はそんな大層な理由じゃないがな、旅は道連れ世はなんとやらって感じだな!」クロッゾは気さくにいった。僕たちはクロッゾが見せた魔法とも、力とも呼ぶべきものについて尋ねると、精霊の力だと打ち明けてくれた。そして、
「なぜ、国から追われていたんだ?君たちの様子を見る限り姫を誘拐したとは思えない、事情を教えてほしい。」
私達は今一度、向き合わなければならない。
国が犯してきた罪と嘘を、人類に対する裏切りを、
見て見ぬふりをし続けてきた日和見主義者の愚行を…
『今こそ試練に耐える時である。 夏の兵士と日和見愛国者は、任務にひるむ。
しかし、試練に耐える冬の兵士達こそ人の愛と感謝に値する 』
[winter soldier ベトナム帰還兵の告白]より抜粋