人間に戻る手がかりを掴むまでの話   作:佐川野

71 / 116
71 雪玉ちゃんとの念願達成!

 となりの浮島までの橋は、いつも浮いてる雪玉ちゃんにお願いした。大人2人が余裕で横並びになれる広さで、落ちないように壁まで設置してくれてる。助かるわ~。センバさんも「ホンマ雪玉ちゃんって便利な子達やな」って褒めてくれたし。

 自分たちで作業台まで出しちゃって、ここの石をレンガに加工して階段ブロックとか塀とかにして、綺麗に整えてくれちゃった。褒めて伸びる君ら、大好き! おかげで落ちずにとなりの浮島に渡れたよ~!

 

「よいしょっと……。うわぁ、近くで見ると威圧感すごいな!」

「なー!」

 

 高さに差があるせいで出来たそこそこの距離の階段を登りきると、目の前に巨大な建造物が現れた。下から天に向かって末広がるように建つタワーに、浮かぶ紫色の船。グネグネとした生え方をする濃い紫色の植物が辺りにいるエンダーマンと相まって禍々しさを演出していた。エンダードラゴンが居た島より何か無秩序な感じすんな。

 

「な、何から手ェ出す?」

「んー、とりあえず手前にあるこのコーラスの木を回収しよ」

「そうだね」

 

 コーラスの木って言ってたから、適したツールは斧かな。天高く聳えるコーラスの木を見上げながら雪玉ちゃんにダイヤの斧を出してもらってたら、横のセンバさんがコーラスの木の1番根元を斧で叩き切った。するとコーラスの木はポコポコ言ってパラパラとバラバラになって、丸い実を落としていった。

 

「サトウキビみたいに、切ったところから上は纏めて壊れるんだな」

「せやな。アレとちゃうんは、そのものが落ちるんやなくって、ほら、コーラスフルーツがドロップするところやな!」

 

 「ほらっ!」と言ってセンバさんが投げ渡してきたのは、例の紫色の丸い果物。鈍い照りとしっかりとしたハリがちゃんと果物してた。おっと? 薄いけど、甘めの香りがする。花っぽいかも。

 

「これが、コーラスフルーツ」

「食べてみ! テレポートもそんな距離出ぇへんし!」

 

 俺にオススメするや否や、センバさんはフルーツをむしゃむしゃ食べだした。そんでゴックン飲み込んだと同時に、彼は俺の視界の端に移動した。

 

「うわっ、ホントに大した距離じゃねーじゃん!?」

「やろ? やから、気軽に食べてみてや! 味も悪くないで!」

「……あぁ、これがあれば、この世界でも餓死は免れるってワケか」

「上手く出来とるよな」

 

 食べる度に歩く場所がズレるのは面倒だし、万が一島から落ちる位置にテレポートしたら大変だから、センバさんには持ち込んだ食料で凌いでもらおう。俺が食わなくていい体で良かった。

 有用なのかどうか怪しいこの作物は、この実を植えても育たないらしい。育てるのに必要なのはこの世界の地面のエンドストーンと、コーラスの木の先端に咲くコーラスフラワーだって。フラワーは繋がってる木を根元から切ったらそのまま砕けるから、わざわざ直接行って回収しないとだって。ポーションにするにしたって沢山要らなさそうだから、5つくらい回収したらもういいかな。エンドストーンも植える場所だけでいいらしいし。あーでも、この色のレンガちょっと好きだから、エンドストーンは沢山持って帰ろうかな。雪玉ちゃん、おねがーい!

 

 雪玉ちゃんに石の回収をお願いしたから、次の場所に移ろうか。

 

「いよいよ、乗り込みますか」

「エンドシティのお宝、強奪しに行こか!」

「強奪って。あとシティって何。村のこと言ってる? 立ってる建物1つじゃん」

「名付けた親に言ってや」

 

 しっかり建物を見るようになってから、気付いた。あのエンドシティとかいうタワー、入口になんか居るわ。気配する。あの、出っ張った、他のブロックより色の濃いブロックから。

 

「あれが、シュルカー」

「えっ、まだ動いてへんのに、よぉ分かったな? せやで、あの殻に閉じこもっとるんがシュルカーや。奴の出す追尾する玉に被弾するとフワフワ~って飛んでしまうんやで」

「足が付かないのは面倒だな~。泳ぐ感じで移動できたりしません?」

「歩く感じでいけるんちゃうん? まー、ずっと上に浮かぶから、あんま意味は無いんやろうけどな」

「え?」

 

 気になる説明を終えると、センバさんはわざと音を鳴らすように歩いた。ザクッザクッという音に混ざって、カコンッと、何かが開いた音がした。

 

「ホントに開いた……! 中身ちっさ!」

 

 あら、意外と本体は可愛らしいな? くるっと開いた殻の中からこっちを覗いて、なんか吐いた!? 問答無用かよ!?

 少しエンドストーンの色に似た石みたいな玉は白い尾を引いて、ゆっくりと、だけど確実にセンバさんに向かってった。玉はセンバさんが下がって左右に逃げても、確実に彼の後を追う。……俺のことをまるっきり無視して。

 

「壊さん限りこうやってずっと追ってくるし、グエッ、こ、こんなふうに、当たると、自分の意志とは関係なく、ふわ~っと……」

「お~、ホントに浮かぶ……えっちょっ待って?! どこまで浮くの!?」

「効果が切れるまでずっと上に行くで~」

「嘘じゃん!?」

 

 あ、甘く見てた! ふわ~っていくって、自分の体の重さもあるからさほど高く飛ばないだろうとか、雪玉ちゃんみたいで楽しそうだとしか思ってなかったけど、そうじゃなかった! 思ってたよりずっとずっと強力で、しかも『効果が切れるまでずっと上に行く』って! そう言ってよセンバさん!

 しかも見た感じ、想定よりずっとずっと早く浮かんでいくし、効果がいつまでなのか、どこまで高さ行くのかも分かんないし、これ、無防備だ! てか、これそもそもモンスターの攻撃じゃん! だったら、効果切れたら落下死する可能性がメチャクチャあんな!

 

「つまりこれをポーションに出来ればモンスター共を無防備に矢ダルマにして落下死させられるって事か!」

「こっわ」

 

 あっ、思わず血の気の多い思考しちゃった。失敬失敬。

 追い打ちを掛けるようにシュルカーが放った石の玉は、センバさんがダイヤ剣を奮って破壊した。やがて効果は切れて、センバさんは落ちるように降りてきた。落下耐性のエンチャント付きブーツのおかげか、あまりダメージはなさそうだった。結構な高さだったけど。

 

「っとと。効果時間は大体10秒くらいやな。ルゥパの兄貴、これが、シュルカーの攻撃やで。中身を叩かんと倒せんから、殻が開くタイミング見て倒そうな」

「了解」

 

 手を出すなら俺も攻撃対象になるに決まってっからな。目当ては殻なわけだし、あんまり傷つけないように倒さないと。弱化のポーション多めに作ってきといて良かった。

 

 入口で門番よろしく待機してる2体をぶっ倒したら、チンタラしてたけど、やっとエンドシティの内部を探索だ。

 薄紫色のブロック(プルプァブロックって言うらしい。俺の名前くらい言いにくいなオイ)で構築されたエンドシティは、どうやら上に行くに従って広くなっていってるっぽい。何階建てだろ。ご丁寧にプルプァのハーフブロックで階段まで設えられてる。人が歩く為に作られてるって感じ……。果たして、これを作ったのはどんな人間なのか。

 

 エンドシティの内部は明るい。発光してる雪玉ちゃんの他にも光源があるからだとは思い至ったけれど、まさか棒そのものが光ってるって思わずに、反応が遅れた。センバさんによると、エンドロッドって代物らしい。焼いたコーラスフルーツとブレイズロッドで出来るらしいよ。雰囲気いいじゃん、欲しい。コーラスフルーツの使い道が増えて良かった~。

 ハーフブロックで作られた傾斜の緩い階段を登って、階を上がっていく。階段は建物の壁4辺に沿って設けられているから、急いで登ってると目が回りそうだな。って思ってたら、シュルカーがセンバさんに向かって尖りまくった石の玉を飛ばしてきた。あ、そうじゃん!

 

「えっ?! る、ルゥパの兄貴?!」

「グエッ、思ったより痛い!」

「いや、何しとんの!?」

「何って、一回くらいは食らっとかないと。どんなポーションが作れるか、予想もできないじゃん?」

「そ、そうならそうと事前に一言言うてや! 兄貴の背中切るところやったやん!」

「ごめん」

 

 思い立ったら即行動なところ、ちょっと考えもんだな。にしても、ふわふわっていうかスーッって浮かぶんだなー。意外と怖いぞ?

 テレポートしたら効果中断されるのかな。元の位置に待機してくれてる雪玉ちゃんにテレポートしたら、効果は継続されてちょっと浮かんだ。なんかセンバさんのツボに入ったみたいで、メチャクチャ笑われた。「上から下に戻ってきたんに、またフワッて! 真顔でフワッて! 表示バグみたいやった!」ってさ。最後が何言ってんのか分かんなかった。

 

「あ、せや! ルゥパの兄貴は狙われんし、ワイが囮になるからシュルカー狙撃してや!」

「あぁ、いいっすねソレ。じゃあ先回りすんな~」

「いってら~」

 

 よく見りゃ、階段も途中で無くなってるし。雪玉ちゃんに階段作ってもらって、センバさんが下から剣で、俺が上から弓矢で挟み撃ちしよう。狙いはシュルカーの殻と、シュルカーの放つ玉。煙にならないなら本体も刻んでポーションにしたいけど、果たして。

 

 

 結論から言えば、シュルカーから採取できたのは硬い殻のみ。玉は捕まえたと思ったら直ぐに爆発して粉々になるし、倒した中身は煙となって跡形もなくなっちゃった。結構残念。ポーションの素材はこの世界にはあんまりなさそうだ。

 2階、3階と足りない足場を追加で作りながら登って、結構な数いたシュルカーも狩り尽くした。強い無限のエンチャントの付いた弓、やっぱり最高だな!

 

「ルゥパの兄貴、エイム良すぎちゃう? 1発も外さんかったやん!」

「えい……? まぁ、得意な方だからな~!」

「勝てる気せぇへんわ。お、3階は宝部屋みたいやで!」

 

 おだてられていい気になってたら、俺の背の奥をセンバさんが指さした。振り向いてみた先には、チェストが2つ。柱の奥の壁際にちょこんと置かれてあった。久々に見慣れた物質でちょっと安心した。

 たった今倒したシュルカーの殻を雪玉ちゃんが回収してくれてるのを横目に、「中身なんやろな~!」ってワクワクしてるセンバさんの後を付いていく。せっかくの宝箱だし、ゆっくり見よっかな! まずは左側のチェストを開けて~!

 

「っ、おおっ!? 装備が入ってる!? しかもエンチャント付いてる!」

「ダイヤのレギンス、爆発耐性Ⅳにダメージ軽減Ⅳ、耐久力Ⅱかぁ。ネザー向きやな。兄貴貰う?」

「や、持ってるからセンバさんどうぞ」

「お、どうも~!」

 

 他に入ってたのは、エンチャントされた鉄のツルハシに、金インゴットが7つ、ビートルートの種が6つに、エメラルドが6つ。そして鞍とダイヤモンドの馬鎧。結構豪華じゃん!

 右の宝箱には鉄のチェストプレートとかブーツとか、ダイヤモンドのシャベルとか、エンチャントされてるとは言えちょっと微妙な代物だった。金・鉄インゴットとかダイヤモンド、エメラルドはありがたくもらってったけど、装備に関しては置いていく事にした。これから他のエンドシティを探しにまだまだ探索するから、選り好みしていいっしょ!

 辺りを見回しても、これ以外の宝箱は見つからなかった。「2階はなんもなかったし、しけた建物やな」って吐き捨てたセンバさんも切り替えて、宝箱のあった部屋から外へと伸びる通路に目を向けた。プルプァのブロックでアーチを描いている門の奥にある、浮かんでいる構造物。あれが、次の目標。

 

「あの門構えっぽいやつの奥にあるのが、エンドシップ?」

「せやな」

 

 ってことは、この通路は桟橋かな? もう出航してるみたいに離れた位置にあるけれど、そこまでの足場を雪玉ちゃんがササーっと作ってくれたから、何の問題も無かった。

 構成ブロックは薄紫色のプルプァブロックとエンドストーンレンガ。あと窓に紫色に染色されたガラスが嵌め込まれてるね。所々にエンドロッドがあるから、見やすく探索できるな。

 そんで見渡して思ったけど、大きそうに見えたけど、案外小さいよな?

 

「なんか、俺の知ってるこの形の船って、大体海底に沈んでるから、縁起悪い感じする」

「ブホォッ! た、たしかに、そうかもなぁ! 現にこの船も、誰も乗ってへんから実質沈没船かもしれん!」

「わー、モラル的に避けてきた遺跡荒らし、やっちゃってんのか俺ー」

「冒険者ってこんなもんやろ! トレジャーハンターは略奪者やって、誰かが言うてたし」

「じゃあ、誰も手を出しちゃダメじゃん」

「道具は使わな道具やないやろ。シンボルならいざ知らず、な」

 

 そういう考えもあんのね。……村が近くにあるなら遠慮するべきだろうけど、そうでないなら、壊して探索すんのも、まぁいいよな。うん。

 

 甲板に乗り込むと、船首の方が結構尖ってんのが見えた。まるでエンドラが大きく口を開けたのを横から見た、みたいな角度で。

 

「あれ? 下の先端になんか黒いのない?」

「お!? おー! アレ、エンドラの頭や! よっしゃ~!」

「……あんなに小さかったっけ?」

「本物の生首ではないやろ」

「それもそっか」

 

 俺に冷静に言い返しつつも楽しげなセンバさんは、軽やかな足取りで船首の先に足を進めると、エンドラの頭のレプリカ? を先から引っペがして自身の頭に被った。わぁお。被れんの? 身体との大きさアンバランスだけど。センバさんも大きい方なのにねぇ。視界は確保されているらしくて、センバさんはそのままの格好で探索するらしい。邪魔だから止めて。あと嘘だろ、それで視界遮られてないって。

 

 結構な高さのある見張り台の横を抜けて、船内に入る。するとすぐ正面に醸造台が見えて、それに2つ、ポーションが放置されてる。グロウストーンダストの輝きが眩しくて見づらいけど、赤いから治癒のポーションか。醸造台ごと貰っとこ。

 

 センバさんに呼ばれて、また反対側の空間に入った。入ってすぐ目に付くのは小さい神殿みたいに祀られた額縁と、その下に2つ並ぶチェスト。そして、俺たちみたいな不届き者を撃退するかのようにチェストの中央を陣取るシュルカー。ま、一体だけなら俺たちの敵じゃないんだけどさ。殻を開けたが最後、ものの5秒でシュルカーの中身は煙と消えた。俺たちの興味はすぐさま、逝ったシュルカーの真上に移る。額縁に収まっているのは、灰色の、二股に分かれたマントみたいな何かだった。割れてるけど、これで風を受け止めきれんの?

 

「この額縁に飾られてるのが、例の“エリトラ”?」

「せやで、やっぱゴキブリの羽みたいやな~」

「ゴキ……?」

 

 センバさんが前生きていた世界の鳥かなんかかな。それともこの広い世界にもいるんだろうか。探しはしないけど見つかると良いな。そいつの羽を使えばエリトラが量産できるかもだろ? いや、ファントムの皮膜でまず試すのが先かもだけど。

 

「よく分かんねぇけど、これを使えば滑空で移動できるんだよな!」

「ん! ルゥパの兄貴、飛んでみいや!」

「え!」

 

 た、たしかにすっごく興味あるけど、これは、これを取りに行こうって言い出したセンバさんが先に試すべきじゃ……。

 口に出さない俺の気持ちなんて知らんわな。センバさんは額縁からパッとお宝の“エリトラ”を取ると、エンドラマスクの口をパクパクさせながら俺に渡してきた。口の部分、動くんだ……。あ、額縁から出すともっとマントっぽくなってんな。

 

「いや、センバさんからどうぞ?」

「遠慮せんでや!」

「でも、俺飛び方分からねぇし、センバさんのお手本見てから飛びたいかな~って」

「そんなん、1回ジャンプして前傾姿勢になれば飛べるから!」

「うわスッゲェ具体的で断りにくいじゃん」

「新品は一回しか味わえないんやから! さぁ!」

「メッチャ推してくるじゃん……」

 

 エンドラの頭のマスクのせいで圧が凄まじい。しかしなんで、こんなにオススメしてくるんだろう。自分が欲しいって言ったんじゃん。

 やっとエンドラマスクを外したセンバさんは深呼吸すると、フッと、力強く微笑んだ。

 

「やって、ルゥパの兄貴、雪玉ちゃんと空を飛ぶんが夢なんやろ?」

 

 センバさんが差し出してくるエリトラを、雪玉ちゃんたちが受け取って、俺の手に託してきた。

 ああ、そう言われたら。行動されたら。キラキラと期待できらめく目で見つめられたら。

 

「やるしか、ないじゃんか」

 

 肩を竦めて呆れてみせたら、雪玉ちゃんたちとセンバさんが顔を見合わせて笑ってた。気が合うねぇ君ら。

 

 

 

「せーのっ!」

「うひゃあぁあああっ!」

 

 エンドシティの屋根の上に立って、センバさんにレクチャーされた通りにジャンプして前傾姿勢を取った。あまりに不安だったから右手に低速落下のポーションを持ってたけど、いらなかったわ!

 落ちてない! 前に進んでる! 風を受けてる! 景色がどんどん新しくなっていく! 向こうのものが近くなる! ゆ、雪玉ちゃんと、一緒に並んでる!

 

「お、俺、飛んでる~!」

「おおー! 上手いや~ん!」

 

 後ろからセンバさんの歓声が聴こえてくるが、俺がグングン前へ飛ぶせいで彼の声は遠くになってった。

 エリトラは体重移動で方向転換出来るらしい。試しに左に傾いたら、グイーンって旋回しだした。おお! 簡単に方向転換出来んじゃーん!

 

「たのしいねー、雪玉ちゃーん!」

 

 俺の感想に同調してくれてるかのように、雪玉ちゃん皆がクルクル回りながら一緒に並んで飛んでくれた。

 くるっくる、くるっくると。左に回り、右に回り。そばで一緒に飛んでくれている雪玉ちゃんたちと笑顔で飛び回る。あー! 憧れだった、叶わないと思ってた俺の夢が! 今! 叶ってる! たーのしー!!

 

「兄貴! 前っ!!」

「ダァアッ!!?」

 

 あぶねぇっ!! なんか急にコーラスの木が! センバさんの呼びかけが無かったら今死んでた!? 反射で右に転がるように体重移動したからなんとか逃れたけど、今の衝突しかかってたのメッチャ危なかった!

 うわここ、コーラスの木がメッチャ生えてるー! うねうね硬いのが密集してやがる! なんでっ、あっ、そっか、上昇することなく滑空するから、いつの間にかこの高さにまで来てたのか! ってことは、これを避けなきゃいけないの?! この狭い間をぬって!? い、いざとなったら雪玉ちゃんにテレポート……でも、いつまでも避け続けられっか!?

 

「ルゥパの兄貴! さっき渡した花火で上昇するんや! 上向いて!」

「わ、分かった!」

 

 そうだ、エリトラ単品じゃそこまで上に飛べないけど、この赤白の火薬が詰まった筒、ロケット花火を使えば追加の推進力に! これで着陸しやすい開けた場所を見つけて向かおう!

 右手の低速落下のポーションを花火に持ち替えて、左手に松明を持つ。松明の火でロケット花火の導火線に火を点けて、煙を噴いて飛び立つ花火に必死でしがみつく。いや、肩が外れそうだったんですけど!? 勢い強すぎ!! 暴風と煙で目と口の中が乾くぅ!

 

「ングォオオッ!!!」

「おおおっ! 上手く上昇できとる!」

 

 センバさんの興奮した声がなんか聞こえるけど、花火の轟音と風切り音で詳しい内容は聞こえなかった。って、センバさんのことより、俺のこと! ギュイーーンって空に打ち上がって、コーラスの木が遥か下に見えるようになった。こんだけ上がれりゃ、落ち着いて着陸地点を探せるはずだ。助かった!

 

 目論見通り、俺たちが最初にコーラスの木を伐採した場所がいい感じに開けてたからそこに降りた。着陸は減速した後、体を起こしてふわっと足を下ろしたらダメージも受けずに楽にできた。さーて、案外耐久値の減りが早いと噂のエリトラ。金床で新品同様に修繕してから、センバさんに渡そーかなー。

 

「次に向かう場所、もう決まってるしな」

 

 両目を閉じて、ある雪玉ちゃんと視覚共有する。この子の見る世界には、まだ探索されてない別のエンドシティがあった。時間は有効的に使わないとな!

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。