俺の名前はピーター・ペティグリュー。   作:八重歯

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05 俺は拳で語り合った。

 

 

1974.6.6

 

 

ジェームズとシリウスと殴り合った。

喧嘩は俺の勝ちだな、まぁ身長差があったとしても、体を鍛えてもいないヤツに俺が負けるわけが無い。

ジェームズとシリウスが、俺の言った事をよく考えて、何かに気づいてくれたらいい。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

アニメーガスになる為の薬を作るためにはマンドレイクの葉が必要不可欠だ。

 

俺らはリーマスが怪我を治しに医務室に行っている間にこっそりと薬草学が行われる温室へ行き、何枚かマンドレイクの葉をちぎった。

 

 

「流石にそろそろ怪しまれるかもね」

「ああ、次からは…買うか」

「マンドレイクの葉って…高いんだろ?俺、手持ちが無いからツケといてくれ、毎月少しずつでも…必ず返すよ」

 

 

簡単に買うとは言うが、あれは一枚でもなかなか高額だ。残念ながら一般的な生徒であるピーターの懐状況は温かく無い。

だがシリウスは少し驚いた顔をして、笑った。

 

 

「良いってそんなの。俺が出すよ」

「駄目だ。友人だからこそ金銭の貸し借りはしたくない」

 

 

きっぱりと言えばシリウスはまだ不服そうだった。ブラック家には潤沢な資金があるのだろう、一般的には高額なマンドレイクの葉も、シリウスにとっては大した事無いのかもしれない。だが、ジュースを奢るわけではない、それを一度してしまえば、俺はシリウスと対等に付き合えない。

 

 

「変なヤツ。…まぁ…ピーターがそう言うなら」

「…僕も自分の分は、自分で買うよ」

 

 

ジェームズもまた、深く頷く。

ポッター家は裕福だ、まぁジェームズは数ヶ月小遣いを前借りすれば購入できてしまうのだろう。…俺は何ヶ月かかるかな…次の一回で終わればいいけど。

 

3枚のマンドレイクの葉をジェームズはローブのポケットの中にこっそりと隠し「じゃあ戻ろうか」と囁く。あまりここで長居しては怪しまれる、俺たちはジェームズが広げた透明マントの中に入り温室から抜け出し、城の中へ戻った。

周りに人が居ないのを確認し、マントを脱ぐ。流石に男3人で初夏にマントを頭まで被るのはきつい、めちゃくちゃ蒸れる。

 

 

 

「この後どーする?」

 

 

額に滲んだ汗を拭きながら聞けば、2人は顔を見合わせた。今日は休日だ、それにジェームズはクィディッチの練習も無い。寮に戻るか悩んでいたジェームズは「医務室にリーマスの様子を見に行こう」と言った。シリウスも同意するように頷く。…こういう優しさはあるんだよなぁ。

 

 

「オッケー、俺本返してから医務室に行くから先に行っててくれ」

「最近、本当に勤勉だよねぇ」

「ん?記憶喪失だからな、色々早く覚えないと…じゃ、また後で」

 

 

手を振りその場から移動する。

満月の夜。人間を噛む事ができないリーマスは自分の身体を強く傷つけてしまう。早く薬が開発されたらいいのに、この年代ではまだそれは叶っていないようだ。いつ頃開発されるんだろう?…ま、かなり高額らしいから、リーマスは苦労するみたいだったが。

 

 

図書館へ向かう廊下を走っていると、見知った後ろ姿を見つけぽんと背中を軽く叩いた。

 

 

「リーマス!…怪我は?」

「ピーター…大丈夫だよ」

 

 

リーマスの顔色は最早土気色だ。だいたい満月の次の日はこんな感じになっていた。今日が休みなのは幸運だろう、何回か授業を受けられず、欠席しているのを知っている。

疲れたように笑うリーマスの儚い笑顔を見ていると、早くアニメーガスになってやりたい、とーー強く思う。

 

 

「あ、ジェームズとシリウスは医務室に行ったんだ…」

「そうなの?…じゃあ迎えに行こうか、もう僕が居ないって気付いてこっちに戻ってきてるかもね」

「そうしよう」

 

 

自分の腕を撫でるリーマス。きっと今回はそこに噛み付いたのだろう…自分で。

医務室へ向かう廊下を歩いていると、生徒達の人集りにかち合った。一体こんな何にも無い場所で何をしているのかとリーマスと顔を見合わせ首を傾げる。

 

 

「ちょっと通してねー」

 

 

医務室にはこの道を通らねば行けず、俺は人混みの中に腕を突っ込みぐいぐいと中心部へ進んだ。ってかこんな廊下で止まるなよ通行の邪魔だな。

集まっていた生徒は俺を見ると何故かぎくりとした顔をして、こそこそと囁き合った。

 

…?…なんだ?

 

 

その答えは人集りが急に終わり、ぽっかりと空いたその場所に答えがあった。

 

俺に背を向けて立っているのはジェームズとシリウス、2人は手に杖を持ち、そしてその前で床に這いつくばり呻いているのはーーセブルスだ。

 

その服は何かの液体がかけられたのか汚れ、おまけにローブが裂けている、間違いない何か攻撃魔法をかけられたんだ。

 

 

 

エクスペリアームス(武器よ去れ)!」

 

 

俺は杖を出し2人に向かって鋭く唱えた。

2人が持っていた杖は弾かれたように飛び、それを素早く空中で掴む。驚いた2人が硬い表情で振り返り、俺を見て安心したようにその顔を緩める。

 

 

「なんだ、ピーターか…マクゴガナルかと思ったぜ」

「先生に見つかったらまずいって自覚はあるのか?」

「んー、まずいってか、こんな奴のせいで罰則食らうのは嫌だからな」

 

 

シリウスは少しも悪いと思っていないのか明るく笑う。今まで人を虐めていたとは思えない人の、無邪気な子どもの笑顔だ。…本当に、悪いと思ってないのか?…少しも?

少しシリウスに失望しながら隣を通り過ぎ動けないセブルスを見下ろした。

その目は屈辱を受けた怒りと強い憎しみが燃えている。麻痺呪文か石化呪文をかけられたのだろう。…酷い怪我はしてないようだな。

 

 

フィニート(呪文よ終われ) スコージファイ(清めよ)ーー立てるか?怪我をしてるなら医務室に行った方がいい」

「っ…触るな!」

 

 

セブルスに手を差し伸べたが、セブルスは俺の手をばしんと叩くと怒りと恥辱で強く俺を睨む。だが魔法は解けたのに直ぐに逃げないところを見ると、足がどこかを痛めているのだろう。

ーーま、俺の助けなんて嫌だろうな。

俺は気にせずジェームズとシリウスを振り向き、そのつまらなそうな顔をする2人を睨んだ。

 

 

「あーあ、呪文解除したのか?そのまま置いといたら生徒達が踏んで行っただろうに…つまんね」

「本当だよ。スニベリーは君に助けられて嫌がってだろう?汚い床と彼はご友人なのさ」

 

 

くつくつとジェームズが笑えば、遠巻きに見ていた生徒も冷ややかに笑った。

ぶちり、と俺の頭の中で堪忍の尾が切れた音がした。子どもに大人げないって?良いんだよ俺の見た目は子どもだ。

 

 

「2対1なんて卑怯だと思わないのか?」

「何が?」

「わかんねーのかよ!馬鹿か!?」

 

 

苛々として思わず手に握った杖を2人に突きつける。2人は息を呑んだが、すぐに挑戦的な目で俺を見て軽く笑う。

 

 

「…ふーん?ピーター、僕らに魔法をかけるのかい?僕らは杖を持ってない、丸腰だ…それこそ卑怯じゃないのかな?」

 

 

見守っていた群衆達もそうだそうだと口々に囁く。わかってるさ、こんなのフェアじゃない。

 

 

「誰が卑怯だって?」

「お前だよピーター。…杖、返せよ。まぁ俺たちが杖を持ってたら、勝ち目は無いだろうけどな」

 

 

シリウスは手を差し出す。大人しく杖を返して黙ってろとでも言いたいのだろう、その顔は余裕が見え隠れしている。

たしかに、俺はピーターよりは魔法を使えるようになったが、元々優秀な2人と比べれば雲泥の差だろう。それは俺が1番よくわかってる。

 

 

「みんな!もう止めよう。騒ぎになって先生がくるよ…」

 

 

険悪なムードが漂う俺とジェームズ達の間にリーマスが立ちはだかり、必死になだめそう懇願した。おお、友達同士の喧嘩は流石に止めに入るのか、まぁ、でも。

 

 

「リーマス、これ持って離れてろ」

「ーーえ?こ、これ()?」

 

 

リーマスに3本の杖を纏めて握らせ、無理矢理くるりと身体を反転させる。そのまま背中を押せばリーマスは困惑し手のひらに収まる3本の杖を見た。

シリウスとジェームズも杖をリーマスに渡してどうするんだと怪訝な目で俺を見る。

 

 

「愛の鉄槌だ!」

 

 

俺は叫び、思い切り踏み込みジェームズとシリウスとの距離を詰めると、大きく腕を振りかぶりシリウスのその綺麗な左頬にストレートで拳を叩き込む。シリウスがぐらりと傾き、隣にいたジェームズは驚愕し顔を引き攣らせた。

周囲にいた生徒達も悲鳴を上げどよめく。少し離れた場所で動けず見ていたセブルスも顔を引き攣らせそのまま少し後ろに下がっていた。

 

 

「なっ!?ピーター!暴力だなんて、野蛮なーー」

「うるせぇ!!」

 

 

何か喚いていたジェームズの身体を思い切り蹴り飛ばす。

2人は喧嘩慣れしてないのだろう、防御する事もなくそのまま床に倒れ込み俺を呆然と見上げた。

 

 

「魔法なら野蛮じゃないのか!?言ってわからねぇようじゃ、拳で語り合うしかねぇ!まぁ、ジェームズとシリウスはおぼっちゃまだから?喧嘩なんてやった事ねーか?ん??」

 

 

わざと笑い煽るように言えば、シリウスは痛む頬を、ジェームズは脇腹を抑えながらゆっくりと立ち上がった。2人の目に宿るのはーー。

 

 

「こいよ!2人まとめて揉んでやるよ!」

 

 

その声に弾かれるようにしてジェームズが向かってくるががむしゃらに腕をぐるぐると回していた、思わず吹き出してすぐにそれを避け、ジェームズの拳を握り止める。両手を握っているせいで、これじゃさながらダンスでも踊っているようじゃないか!

 

 

「猫パンチなんて食らうかよ!!ーーーっと!」

「ーーチッ!」

 

 

ジェームズの影からシリウスが飛び出し俺に向かって殴りかかってきた、へえ、坊ちゃんにしては良いパンチするじゃん?

 

 

「ほらよ!ーー愛しのジェームズを受け取れ!」

「う、うわっ!」

 

ぐるっとジェームズの手を握ったままシリウスの方に押し出せば、ゴンっという音と共にシリウスと頭を激しくぶつけ、2人とも頭を押さえて呻いた。きっと火花が散った事だろう。

 

 

「くっ…やられっぱなしで終われるかよ!」

「シリウス!ーー行くよ!」

「おうおうかかってこい!」

 

 

手の甲を2人に向け「カモン!」とこちらに向ける。2人は直ぐに腕を振りかぶりそのまま俺に突撃した。

 

 

 

 

 

 

その後、俺たちは誰かの通報でやってきたマクゴガナルの登場により割とデカめな雷を落とされ、廊下に立たされていた。

 

 

「あなた達!なんですかこの騒ぎはっ!」

「ちょっと喧嘩してただけです、男子ならよくある事ですよ。なぁ?」

「…そうだね」

「…おう」

 

 

マクゴガナルは俺とジェームズとシリウスを見て、大きなため息を吐く。

シリウスはシャツのボタンが数個無くなり口の端からは血を流し、ジェームズはいつもぐちゃぐちゃな髪の毛をさらにぐちゃぐちゃにさせ、頬に引っ掻き傷があり眼鏡にヒビが入っている。

かくいう俺も流石に無傷ではなく、シリウスからの鼻に食らった一撃により鼻血が出ていた。

 

シャツでぐいと拭けば袖口が赤く染まったのが見える。

 

 

「…医務室に行きなさい。…1週間トイレ掃除の罰則です、いいですね?」

「…はーい。ほら、行くぞ」

 

 

シリウスとジェームズに目配せをすれば、2人はむっつりとしたまま俺の後ろをついてくる。痛むのか身体を抑えよろめいているが、まぁ心配せずともすぐに治るだろう。

 

廊下を無言で歩く。

…なんだ?俺はスッキリしたけど、この2人は何でこんなに居心地悪そうな雰囲気を出してるんだ?そもそもなんで喧嘩したんだっけ。

 

 

「…あ。…そうそう、ジェームズ、シリウス」

 

 

俺はくるりと2人を振り返る。途端2人は肩を振るわせた。

 

 

「いいパンチだったじゃん。俺には負けるけどな」

 

 

にやりと笑って言えば、2人は虚をつかれたように目を見開き、少しだけ笑った。

殴り合いの喧嘩をした後はお互いを讃えあう。これが男と男の仲直りの仕方だ、と俺は思う。

 

 

「ピーター、君いつのまにそんな武術を?」

「武術って!大袈裟だな…ダチが悪い事をしてたら拳で止める、それが男さ」

「…変な奴になったな、お前」

「嫌か?」

 

 

シリウスとジェームズは顔を見合わせ、少しスッキリとした顔で笑った。

 

 

「いや、はっきりしてるやつは好きだ」

「うん、…記憶を失う前の君が嫌だったわけじゃないけどね。前までの君はいつも自信なさそうだったし、僕らの後ろにいて…自分を出さなかったから。…今の方が良いと思うよ」

「俺もジェームズとシリウスが好きさ!だけどこれ以上誰かを虐めるのなら殴って蹴って止めるぜ?…それに心の底から軽蔑する」

 

 

シリウスとジェームズは肩をすくめてそれには返事をしなかった。

まあ、2人が今日あんなにもセブルスを虐げたのは、アニメーガスがうまくいっていない苛立ちのせいもあるだろう、だからと言って人に当たって良いわけじゃない。

 

 

「あれがうまくいかなくてイラつくのはわかるさ。苛々するなら身体を動かせ。セックスでも筋トレでもいい」

「セッ……ねぇ、君ほんと、ピーターだよね?たまに別人じゃないかって思うよ」

 

 

ジェームズは怪我をしていない頬を赤らめ、もごもごと呟く。その考えは見事に当たっているが、流石にそれは言えない。

 

 

「生まれ変わったようなもんさ。…一回死んでるからな」

「…なんで僕がスネイプを嫌うのか、それも忘れたのかい?」

「知らん、俺に言ってねーだろ?」

「…アイツは闇の魔術に傾倒してる。このホグワーツで最も深く!…僕はそんな奴がこのホグワーツに居ることが許せないんだよ!」

 

 

ジェームズは深くため息をつき、吐き捨てるように呟いた。セブルスを思い出しながら吐かれたその言葉は、強い憎しみが篭っている。

ははあ、なるほど、なんかそんな事悪友が言ってた気がする。

確か…「セブルスって1年生の時に既に7年生より闇の魔術を知ってるんだ!なのになんでジェームズとシリウスにあんなにもやられるのか?ーー俺は思うんだ、きっとセブルスは闇に傾倒しているが、気軽に人にその魔法を試すほど堕ちていない…流石僕らのマイスイートプリティセブルス…」…余計な事まで思い出してしまった。

 

 

「ふーん。でもさ、セブルスは確かに闇の魔術に傾倒してるかもしれない。でも学ぶだけならいいんじゃねーの?ダンブルドアだって闇の魔術は使わないけど、知ってるだろ」

「…詭弁だよ、いつか人に向かって使うに決まってる!」

「そうだ!アイツは絶対いつか人を襲う!」

「あのさぁジェームズ、シリウス。セブルスが闇の魔術を沢山知ってるのは事実だと思う。だがそれならなんで、お前らにやられても…闇の魔術でやり返さないんだ?本当に闇に堕ちているのなら、お前らは今なんで…無事なんだ?」

「…それは…、…」

 

 

真面目な顔でジェームズとシリウスに問いかける。ジェームズはハッとした顔をして、黙り込んだ。うん、これで気付けたかな?

 

 

「…俺らの方が強いからじゃねえの?」

「シリウス、君は馬鹿だなぁ」

「なっ!ピーター!お前よりは成績が良い!」

「そういう返ししか出来ないのが、馬鹿だねぇ」

 

ため息混じりに言えば、シリウスはかっと顔を赤くして俺に殴りかかる。すぐにその拳を手で受け止めて笑えばシリウスはむっつりとしたままそっぽを向いた。

 

機嫌を損ねたシリウスはジェームズの腕を掴み大股で医務室に向かう。ジェームズは黙り込んで真顔で何かを考え続けていた。

 

 

「ーー知ってるか?虐める方が病んでるんだぜ?」

 

 

俺が後ろからそう2人に呼び掛ければ、シリウスは何を言ってるんだと怪訝な顔をし、ジェームズは辛そうに目を伏せた。

 

 

ジェームズは馬鹿じゃない。行き過ぎた歪んだ正義感なのだろう。彼を今まで誰も止めなかったのだ、悪を懲らしめるのは正義。たとえそれがどんな方法であろうとも、善である。ーーそれが今の幼いジェームズの人格を形成する、ひとつの確固たる芯だ。その芯が揺らぎ、彼は今悩んでいるのだろう。

 

何かに、少しでも気付ければいい。

まだジェームズは幼く、若い。幾らでも失敗を経験し、挫け、立ち上がらなければいけない。ジェームズなら…俺の知っているジェームズなら、大丈夫だろう。

 

 

ただ、ーーシリウスはちょっと危ういな。

 

 

小説を読んでいても思ったが、彼の中には友達かそれ以外かしか無い。…1番闇が深いのは、実はシリウスなのかも。

まぁ、生まれが特殊で抑制された心と精神が、ホグワーツで自由を手に入れた…その反動かもしれないな。

 

友に…ジェームズに、強く依存しすぎだ。

俺になんとか出来るだろうか。この年代の友はーー世界の全てだからなぁ。

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

1974.6.8

 

初めて今日セブルスとまともに話せた!

今日という日をセブルス記念日と名付けよう。ーー冗談だ。

 

図書室で自習していたセブルスに、怪我は大丈夫かと聞いた。

無視されるかと思ったが「ああ。…お前はどうなんだ」だって!

 

眉間に皺がないセブルスはめちゃくちゃ美少年だった。

 

 

 

 

1974.6.12

 

俺がジェームズに諭した一件から、ジェームズはよく考え込むようになった。

何を考えているのかはわからない。全く別のことかもしれない、大好きなリリーの事かも。

 

とりあえず、いい方向にむかってくれたら、と思う。

 

 

 

1974.6.28

 

 

もうすぐ夏季休暇だ。

ピーターの家に帰るのが…正直気が重い。

俺はあの人達の息子では無い。

 

ダンブルドアにここに残れないかと聞いてみたが、やっぱりダメだった。

 

せめて…せめて、元気な姿を見せて、大人しく過ごそう。

勉強して、あの人達にとって誇れる子どもになれるように振る舞うしか無い。

 

がんばれ、俺。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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