相も変わらず行き当たりばったりの駄文ですが、どうぞ
ここはバトルスタジアム、283プロが契約しているポケモンバトル専用の施設だ。
俺は学校を終えた後、透たちを283プロまで送り、その足でこの施設に来ていた。
「よし!出てきてくれ!」
モンスターボールを空に向かって投げると青い光と雄たけび共にその姿を現す。
「コウガ!」
しのびポケモンのゲッコウガ
「メタ!」
てつあしポケモンのメタグロス
共に俺のポケモンの中でも上位の強さを持っている自慢の仲間たちだ
「さて、始めるぞ」
俺たちの特訓だが、この施設を利用するときには実戦を意識した1対1のバトルをメインに行っている。
分かりやすく言うと、俺が片方のポケモンのトレーナーとして指示を出し、もう片方のポケモンには自分の判断でバトルを行うというものだ。
ポケモンバトルでは、トレーナーの指示がポケモンに届かない状況になることがある。
例えば、フィールドが強い砂嵐や雨の状態になった時、相手が『ハイパーボイス』や『ばくおんぱ』の様な音波系の技を使った場合などが考えられる。
そんな状態になった時に俺の指示なしでポケモンの考えのみで動けるように特訓しておくことは割と重要だと思っている。
「じゃあ、まずはメタグロスとゲッコウガでバトルしてみようか」
「メタ!」
「コウガ!」
お!両方ともやる気満々だな
「まずは、メタグロスに指示を出すからゲッコウガは自分の判断で動いてくれ」
「メタ!」
「………コウガ」
「…そんなに落ち込むなよ。ただの順番なんだから。それにいつもお前ばっかり使ってたら特訓にならないだろう?」
「…コウガ」
渋々ながらも納得する様子を見せる。
(まぁ、どんな理由でも納得してくれたならそれでいいか)
ゲッコウガとメタグロスはそれぞれフィールドに立ち対面する。
「よし!始めるぞ。かかってこい!」
「コウガ!」
ゲッコウガは合図とともに右手に水の手裏剣を出し、投げつけてくる。
(『みずしゅりけん』か…それなら)
「メタグロス『てっぺき』だ」
メタグロスは『てっぺき』で防御力を上げ、『みずしゅりけん』を正面から受け止める。メタグロスは元々防御力の高いポケモンだ。その上、防御の上がっった状態なら簡単には倒されはしない。
「次はこっちから行くぞ!『バレットパンチ』」
「メタ!」
メタグロスは目にも止まらない弾丸のような速く硬いパンチを放つ。それに対し、ゲッコウガは攻撃が来た瞬間に体全体に薄い膜を張り、攻撃を受け止めるとそのまま羽を生やしたかのような軽やかな動きでメタグロスを攻撃し、その反動を利用して距離をとる。
(『まもる』で防御して、『アクロバット』で攻撃をした上で後方に退避したか。メタグロスの技が物理系の物が多い事を知っているからこその対応だな)
「…やってくれるな」
メタグロスから距離を取ったゲッコウガは、そのまま休むことなく攻撃の態勢に出てくる。今度は口から強力な威力の水『ハイドロポンプ』を放出する。
「『いわなだれ』で受け止めろ!」
メタグロスの上空より現れた複数の岩を自身の前方に落とすことで『ハイドロポンプ』を受け止める。
「一気に攻めるぞ『こうそくいどう』からの『かみなりパンチ』だ!」
メタグロスは自身の体重を軽くし、ゲッコウガの真横に高速で移動すると前足に雷を纏わせ殴りつける。
「…こ、コウガ!」
ゲッコウガは何とか攻撃を耐え抜き、よろよろとしながらも立ち上がる。
だが、効果抜群の技を食らったことでかなりのダメージを受けている様子だ。
ゲッコウガは体をふらつかせながらも口から煙を吐き出し、フィールドを煙で覆う。
(これは『えんまく』…視界を塞がれたか)
すると、突如煙の中から、複数の影が上空に飛び出してくる。
『かげぶんしん』したゲッコウガたちは空中に飛び出した瞬間に右手を上げ『みずしゅりけん』の構えを取ろうとする。
(『えんまく』で視界を塞いだのは『かげぶんしん』の発動をばれないようにする為か…だけど甘いぞ!)
「『スピードスター』だ!」
メタグロスから発射された星形の光線がゲッコウガの本体を捉え、他の分身たちは全て消えてしまう。
「止めの『アイアンヘッド」だ!」
上空より落ちてくるゲッコウガに向かい、メタグロスの『アイアンヘッド』が炸裂しゲッコウガはフィールドの外にまで吹き飛ばされ目を回し倒れる。
戦闘不能だ。
「お疲れさん、メタグロス」
俺はメタグロスに労いの言葉をかけた後にゲッコウガに近づきポケットの中から取り出したげんきのかけらを口の中に入れる。
戦闘不能になっていたゲッコウガは元気を取り戻し、立ち上がる。
「ゲッコウガもお疲れ……さてと、さっそくだけど今のバトルは良い点と悪い点がそれぞれあったから、そこから振り返ってみよう」
俺はゲッコウガに今のメタグロスのバトルのいい点と悪い点を説明する。
「まず、良い点からだ。
『まもる』からの『アクロバット』だけど、あれは良かったよ。防御と攻撃をした上に物理技の届かない場所までの移動までこなせていた。メタグロスの特徴をちゃんと理解しての行動ができていたと思う」
「コウガ!」
まぁな!とばかりに胸を張るゲッコウガ
(…ここからは酷評だけど)
「次に悪い点だけど
やっぱり最後の『かげぶんしん』と『みずしゅりけん』の連携技だな。『えんまく』を張った後に『かげぶんしん』する所までは悪くはなかった。
…ただ、『かげぶんしん』をしたことで攻撃が当たらないと思って油断してたろ?」
「………コウガ」
やっぱり図星か
「『みずしゅりけん』を使うなら『かげぶんしん』をして姿を見せる前に準備しておいた方が良かった。こっちを『かげぶんしん』で困惑させるつもりだったんだろうけど、『スピードスター』みたいな必中技を持っていれば簡単に対応されるから注意しろよ」
「コウガ!」
ゲッコウガは了解!とばかり元気よく返事をする。
こいつは昔からそうだ、自分が強くなるための助言はちゃんと聞いてくれる。
(『かげぶんしん』で数を増やして『みずしゅりけん』でとどめを刺す。これは、俺たちの象徴のような技ではあるし、プロの舞台でも通用する。ただ、それは正しいタイミングで使えばこそだ。決して無敵の技じゃない。その事を今のうちに再確認できてよかったかもな)
「さて、少し休憩したら、再開するぞ。今度はメタグロスが自分の判断で動いてみてくれ」
「コウガ!」
「メタ!」
***
『やは~重大発表がありま~す♡』
『丈くんの部屋で皆、待ってるから早く帰ってきてね!』
『はやくこーい』
『待ってるから』
スタジアムでの特訓を終え、帰路についているとチェインに4人からこんなメッセージが届いていた。
「重大発表って、何だろう」
まぁ、文面から見て悪い事ではないはずだ。少なくとも4人にとってはいいニュース何だと思う。
「…なんだか、色々考えてたら本当に気になってきたな」
コンビニにでも寄って飲み物でも買っていこうかと思ったけど、偶にはまっすぐ帰ってみるか。
***
「あ、丈一郎」
「…透?」
家に向かって歩いているとビニール袋を片手に持った透と出会った。
「俺の部屋で待ってるんじゃなかったの?」
「そうなんだけど、おばさんも居なかったし折角だから皆でご飯作ろうってことになったんだ。シェフ樋口とシェフ小糸ちゃんがハンバーグ担当でシェフ浅倉とシェフ雛菜がサラダ担当ね」
「ははは、妥当な人選だ!それ、円香が決めただろう?」
「…そうですよー樋口だけじゃなくて丈一郎まで私と雛菜の事信用しないんだ?」
透は少しむくれた顔で睨んでくる。
信用はしている。ただ、その方が安全だと思ってるだけだ。実際、透や雛菜に料理を任せると3回に1回位の割合でちょっとした失敗することがある。安全策を取るなら円香と小糸になるってだけだ
「そんなことないよ。透たちもサラダ作ってくれたんだろう?感謝してるって」
俺はそう言って、透の頭に手を伸ばして撫でる。
他の3人の頭を撫でるときにも思うけど、本当にみんな髪さらさらだな。
「もっと撫でろー褒めろー」
「よーし!透サイコー!流石、俺のファースト幼馴染み!未来のスーパーアイドル!」
「えへへ……あれ?私がファースト?樋口は?」
「うん?円香はセカンドじゃない?最初に会ったのは透だったってうちの親が言ってたし」
「そっか……私が最初なんだ」
誤差の範囲だけどね。そもそも二人とはどんな出会い方をしたのかすら覚えてない。物心ついたころには透と円香とは一緒だったから、正直どっちが最初でも特に何かが変わるってことはないんだけど…
まぁ、透の機嫌がよくなったからいいか。
「それで、何買ってきたんだ?」
「うん?あれ?何だっけ?」
「…いや、俺に聞かれてもな。袋何が入ってるんだ?」
透は袋の中に入っている物を確認する。
「ああ、思い出した。ドレッシングなかったから買いに行ったんだった」
「あーそりゃ悪かったな。いくら?」
「え、いいよ」
「でも、それうちに置いてくれるんだろう?だったら代金出すけど?」
「いいって、丈一郎にはいつもお菓子や飲み物買ってもらってるから」
「…そうか?じゃあ、遠慮なく」
「うん。遠慮しないでいいよ。私たちも遠慮しないから」
「遠慮?何の?」
「ミックスオレもうなくなってるから、よろしく」
「…はいはい。今度、箱買いしとくよ」
「あざっす」
全く、ミックスオレとか俺はほとんど飲んでないのに何故こうも減りが早いんだ。
偶には、おいしい水にも手を付けろよ。あれ本当にミネラルたっぷりでおいしんだから
「はぁ…早く帰ろう。重大発表の内容気になるし」
「あれ?私たちがCDデビューするってやつ?」
この子、なんて言った?
「え、CDデビューすんの?」
「うん。プロデューサーが言ってた」
「すごいじゃん!おめでとう!」
「えへへ、ありがとう」
283プロに所属して約1か月にてCDデビューか…アイドル業界に疎いからよくわからないけどこれってかなり早い方なんじゃないか。283プロは大手の事務所と比べて所属アイドルの数も少ないみたいだし、これ位が普通なのかな?
って、ちょっと待てよ
「…それって、ここで言っていいやつ?小糸や雛菜が発表したがってたみたいだけど」
「え?…あー…………やっべ」
全くもう、本当に全くもう…なんて言っていいやら
「どうしようっか?」
それ、俺に聞いちゃうのかよ
「はぁ、仕方ない。どうせ家に着いたら雛菜辺りがフライング気味に発表してくるだろうから、それに初めて聞いたふりして反応してみるよ」
「まじで?あざっす」
雛菜相手に俺の演技がどこまで通じるかはちょっと不安だけど、やるだけやってみよう
「…そうか、CDデビューか」
「え?喜んでくれないの?」
「そんな訳ないさ。喜んでるよ…ただ」
「ただ?」
「遂にこの時が来てしまったかって思っただけ」
「?どういうこと?」
「いや、大したことじゃないんだけどさ…CDデビューして人気が出てきたらテレビとかにも出たりしたらさ、ファンが大勢出来て、もう俺だけの幼馴染みじゃなくなっちゃうのかもって思うと少し寂しいなと思っただけだよ」
これが、俺の素直な気持ちだ。
彼女たちがアイドルをやるなら全力で応援する。そこに嘘偽りは一切ない。でも、それとこれは少しだけ違うってだけだ。
「…寂しいの?」
「…まぁ、ちょっとだけ」
「そうなんだー……よっしゃ!」
よっしゃ?
「ちょっと、なに今のよっしゃ!って」
「ふふふ、ごめんごめん。…でも、やっと同じ思いさせてやったから」
「…どういうこと?」
「丈一郎の今の気持ちはね、私たちは何年も前から味わってるんだよ」
「…………え?」
何年も前から?
「丈一郎がポケモンリーグで優勝した時から、あっという間に有名人になっちゃったからさ。近づいてくる女の子も日に日に増えていつも不安だったんだ」
確かに、中学一年生の時に全国大会で優勝してチャンピオンになってからはその手の手合いは増えていた。靴箱にラブレターなんていう漫画みたいな展開が自分に起こるなんて当時は思ってなかった。
「………悪い。全然、気づかなかった」
「あ、やっぱり?丈一郎って意外と鈍感だよね」
鈍感、か。自分では、案外分かんないもんだな。
でも……そうか。彼女たちは何年も前から今の俺と同じ気持ちになってたのか。それなのに、彼女たちは俺みたい弱音を吐くこともなく嫌な顔一つせずに大会に参加する時には弁当を作っったりして、俺のことを応援してくれていた。
「透、やっぱり俺、お前たち4人が大好きだ」
「………え?」
「今、改めてそう思ったよ」
「な、何?本当にどうしたの?」
「前から好きだったけど、今はそれ以上に好きになったってことだよ。さぁ、円香たちが待ってるし、早く帰ろう」
「あ!…ちょっと」
俺はそう言って、透の手を握り歩き出す。
彼女たちは、色々思う所がありながらもずっと俺の事を支えてくれていた。いつも応援してくれていた。それが、俺の力の源になっていたのは間違いない。
そう、彼女たちがいたから、俺はここまで来れたんだ。
…なら、今度は俺の番か。何ができるかは分からないけど、出来ることは全てやって彼女たちの力になる。俺は改めて、心に誓った。
感想お待ちしてます。