放課後、俺は都内にあるいくつかあるポケモンバトル専用の施設でポケモンバトルを行い帰宅していた。
時間つぶしがてらスマホに手を伸ばすとチェインにメッセージが届く。
「ん?雛菜か?」
『やは~♡おいしいパフェのあるカフェ見つけた~♡』
そんなメッセージと一緒にパフェと雛菜、それと小糸も映った写真が添付されている。あの子は本当にいつでも楽しそうだな。
「今度は俺も一緒に連れて行ってっくれ、と」
メッセージを送り返し、スマホをしまう。
Prrrr....
電話だ、また雛菜かな?…お、透か。
「はい、もしもし?」
『あ、丈一郎?今、なにしてる?』
「今、家に向かってるとこだけど?」
『そっか、じゃあ話したいことあるから部屋で待ってる』
「ああ、もうすぐ着くから透の部屋に行くよ」
『え?丈一郎の部屋だけど?』
…まぁ、いいか。俺の部屋は皆の溜まり場だ。見られても困るものは置いていない。
『そういえば、さっきから変な音聞こえるけど何処にいるの?』
「え、空だけど?」
『…え?』
今、俺は手持ちメンバーの一匹、ボーマンダの背にまたがり空を飛んでいる。
『何で飛んでるの?電車使えばいいのに』
「いやー今日のバトルでボーマンダ使ってあげられなかったからさ。軽く運動してもらおうと思って」
ごめんな、ボーマンダ明日は使ってあげるから
『…丈一郎って常識がないよね?』
…まさか、こいつに言われる日がくるとは
「…とにかく、もう少しで着くから待っててくれ」
『りょーかい』ピッ
透がチェインではなくわざわざ電話してくる辺り割と重要な案件かもしれない。少し急ぐか
「ボーマンダ、少し飛ばしてくれ」
「ギャアオ」
***
その後、10分程で自宅に到着し部屋まで行くとベッドに腰かけ雑誌を読んでいる透がいた。
「あ、おかえりー」
「ただいま、待たせたかな?」
「ううん、ちょっとここ読み終わるまで待ってて」
「おーう」
しかし、透もそうだが、他の幼馴染たちも平気で俺の部屋に入るよな。あの子たちは皆、俺の部屋か透の部屋をたまり場にしてる傾向がある。逆に彼女たちの部屋に行くこともたまにあるが、数は少ないな。
まぁ、俺の部屋に勝手に入るのはもう慣れたからいいけど…
しかし、俺一人では幼馴染たちの部屋には行かない、というか行けない。透や雛菜は部屋に入っても気にしないようだが円香と小糸は少し気にしてるみたいだし、何よりおじさん達が入れてくれないのだ。高校生リーグのハグ事件以降、警戒が強くなってる。昔は、もっとフレンドリーだったのになぁ。
全くそんなに心配しなくてもいいのに。あの子たちに手を出す時が来るとしたらそれは、しっかりと責任を取る準備ができた時だ。それまでは絶対に手を出さないと決めている。…ハグくらいは許してくれないかな?
ちなみに、おばさんたちとは昔と変わらず良好な関係だ。たまに「またお母さんって呼んでもいいのよ?」とか言ってくる。俺も何度か悪ノリで「お母さん」と呼んだら幼馴染達が顔を赤くしていたな。特に真っ赤になりながら円香はすごい目で睨んできてたっけ。…円香の特性は威嚇、誰か図鑑にそう登録しておいて
ぎゅっ
「おぉ!」
考え事をしていると後ろから抱きしめられ、思わず変な声を出してしまう。ハグ事件以降、透と雛菜は不意打ちでハグしてくることが多い…背中の感触がやばい、いつの間にこんなに成長したんだ…
「…丈一郎?」
「ああ?ごめん、考え事してた、読み終わった?飲み物出すよ」
そう言って、俺は透から離れる。ふー、落ち着けよ俺…
「うん。ああ、そうだ、冷蔵庫にあるミックスオレとサイコソーダもうなくなるよ」
「あれ、まだ結構あったのになぁ」
「一昨日、皆で集まって、お菓子食べてたからその時飲んじゃった」
「…まぁ、この部屋の冷蔵庫は透たちが好きに使っていいけど」
そう、俺の部屋にある小さめの冷蔵庫はポケモンの大会の優勝賞金で買った物で、この部屋をたまり場にしている彼女たちの為に飲み物やお菓子などを入れている。だから構わないが
「俺のいない時にそんな楽しそうなことしてたのか?」
「フフ、ガールズトークの内容気になる?」
「…別に」
めっちゃ気になる!中学生辺りになってからたまに俺だけ団体行動から外されることがあるのだ。昔は何でも一緒に行動してたのに、ここ数年疎外感を感じることが多い。いっそ、皆男だったらよかったのに…
…やっぱ嫌だな。あの子たちは女の子の方がいい。毎日、顔を合わせるだけで幸せな気分になるのはあの子たちが可愛い女の子であることも重要な要素になっている。
「これ言うの何度目か忘れたけど、仲間はずれにされるのが多くないか?」
「そうだっけ?」
「そうだ、そうだ」
「じゃあさ、下着買うときとか、いやらしい目で見ない?」
「…ミナイヨ」
「ダメじゃん」
…うん。仲間外れにされても仕方ないね。でも俺は悪くない。思春期なのが悪い。
「…まぁ、そこは男女の違いってことで、どうかよろしく。…ところで話って何?大事なこと?」
「うん。あのさ、アイドルやることにした」
この子なんて言った?
「…アイドル?あのステージで歌って踊るアイドル?」
「そう、そのアイドル?」
「…何でまた急に?」
「今日さ、あのお兄さんにあったの」
お兄さん?俺の記憶の中で透と関わりのあるお兄さんというとあの人しか思い当たらないけど
「それって、ジャングルジムのお兄さん?」
「ああ、やっぱり覚えてたんだ。丈一郎の数少ない…唯一男友達みたいなやつだもんね」
「やかましい!」
昔から、透たちといたせいかどうも小学生の同級生の男子から目の敵にされていた。中学以降はチャンピオンになって、近づいてくる奴もいたが、友達というより取り巻きになろうって感じで好きになれなかったっけ。
それはそうと、どうやら、当たっていたようだ。そうか、俺と透が昔、一緒に出会ったあの時のお兄さんと再会したんだ。
「へーあの人か?懐かしいな。お兄さん、芸能プロダクションで働いてんの?」
「プロデューサーだって」
「プロデューサーね。どういう仕事?」
「…分からん」
だと思った。はい予想通りの回答です。
「まぁ、それはいいか。それでアイドル目指すの?」
「うん、スカウトされたし」
スカウトか、この子は顔もスタイルもいい、今まで何度かそういうことがあったけど大抵は断ってきた。まぁ、隣に威嚇の特性を持ったあの子がいたからっていうのもあるんだろうけど
「…それに」
「?」
「ううん、何でもない。」
何だろう?俺の事見つめてたような気がしたけど、まぁ、いいや。それにしても
「そっかー、俺も会いたかったなぁ」
俺がそう言うと、透がクスリと笑う
「言うと思った。じゃあ、はい」
透はポケットから一枚の紙きれを出す。
「…名刺?」
名刺には283プロダクションとプロデューサーの名前が書いてある。
「そう、プロデューサーの」
「え、貰っていいやつ?」
「いいんじゃない?それにプロデューサー言ってたよ。アイドルだけじゃなくて公式戦に出れる強いポケモントレーナーも探してるって」
「そっかー。じゃあ貰っとくわ」
あのお兄さんがいるなら話だけでも聞いてみたいな。でも、透はもうアイドルやる気みたいだし、そうなると厄介な問題が浮上してくる。
「このことって、もう皆に話した?」
「ううん。でも今日、樋口がうちに来るから、その時話そうかなって」
「…そうですか」
これはめんどくさい事になりそうだ。あの身内を何よりも大事にするあの子がこれを無視するは筈がない。
「うん、取り合えず名刺ありがとう。どうするか考えとくよ」
「りょーかい。じゃあ、今日は帰るね」
そう言い、透は部屋から出ていく。俺も玄関まで見送った後、部屋に戻りスマホで283プロの事を調べる。…一応ね、変な事務所じゃないか念のために調べよう。
ふーん、イルミネーションスターズ、アンティーカ、放課後クライマックスガールズ、アルストロメリア、ストレイライトね、アイドルに詳しくない俺でも知ってる名前がある。でも、バトル関連のは検索しても出てこないなぁ
ピコーン
チェインに通知が来る。
『明日の夜、時間作って』
あぁ、やっぱりか。透がアイドルになると知ってあの子が何もしないわけがない。…まぁ、俺も気になってたし一人で調べに行かれるよりはいいか。
ごめん、ボーマンダ。明日もバトルはお休みみたいだ。
小説書くのって難しい、文字数少ないですがよろしくお願いします