シャニマス×ノクチル×ポケモン   作:malco

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丈一郎くんの両親は共働きで2人とも育て屋で働いている設定です。透たちが真田家に来て料理などを作ってくれる時には2人とも仕事でいないということにしておいて下さい。

今回は円香メインの話しになっております。


お祝い(後編)

俺は今、幼馴染みたちのCDデビューの為に一人で黙々とカレー作りに勤しんでいた。

一人で自分用のカレーを作るときは基本中辛だけど、今日は彼女たちの好みに合わせて甘口カレーで行く。

 

「よし、そろそろだな」

 

煮詰めたカレーに一口サイズにカットした木の実とボブの缶詰をカレーに投入し、かき混ぜる。

 

「まぜる♪まぜる♪こがさないように こぼれないように~っと」

 

ゆっくり過ぎるとカレーが焦げるし、逆に早く混ぜすぎるとカレーが飛び散る。なので、ちょうどいいスピードで混ぜて白くはっきりした湯気と一緒にキラキラが出現してくる(幻覚)ので、その状態をキープする。

 

これが、カレー作りのコツだ。

 

「そして、最後にとびっきりの真心を注入する」

 

これによってカレーは完成を迎えるのだ!

 

「……我ながらちょっときもいな」

 

うん…真心注入とかないわ。

 

「絶対に人前ではやらないようにしよう」

「その方がいいと思うよ~」

「うわっ!」

 

振り返ると透、円香、小糸、雛菜がいつの間にか台所の外から、こちらを見ていた。

 

「ふふ、丈一郎の真心も美味しく貰うね」

「あ、あはは」

「………………」

 

透と小糸のリアクションは想像通りだから、まだいいけど……あの、円香ちゃん。その「…うわ」みたいな目でこっち見るのやめて!それが一番傷つくから!

 

「…部屋にいたんじゃないの?」

「うん~円香先輩が様子見にいくっていうから、全員でついてきたの~」

「あんたが、カレー以外に何か変な物作ったりしないか不安だったから念の為ね」

 

読まれてたか…確かに、こっそり付け合わせになるものでも作ろうかなとか考えてはいたけどさ……それにしたって

 

「変な物はないでしょうよ」

 

いや、変な物かな?特定の料理以外だと作った本人の俺でさえ、口に入れることも出来ないような料理が出来たりするし

 

「とにかく、カレー以外は作らなくていいから」

「でも、折角だしさ…」

「だめ~丈先輩は今日はカレー以外作るの禁止~」

「えっと、ごめんね…」

「真田家の食卓は私達が守るよ」

 

全員から変な物って認定されてる。事実だけどちょっと複雑!

 

 

 

***

 

 

 

「そんな訳で、台所から追い出されちゃった訳なんだけどひどいと思わない?」

「……コウガ」

 

ドンマイとばかりに俺の肩に手を置いてくれるゲッコウガ……俺はいい相棒を持ったな。しかし、それとは対照的に明らかにほっとした表情を浮かべている4匹

 

「お前たちには明日からポロックもポフィンも作ってやんない」

「ミロ!」、「ドラ!」、「シャワ!」、「ルリ!」

 

驚愕の表情を浮かべると、4匹は俺にすり寄ってくる。

ミロカロスは体に巻き付き、キングドラとシャワーズは足にしがみつき、マリルリは正面から抱き着く。

昔は、それこそこの子たちが進化する前だったら4匹同時でも余裕で受け止めることができた。だが、進化することによりポケモンたちの体は大きくなり、体重もそれに倣って何倍にも増えている。

 

つまり、何が言いたいかと言うと

 

「お…………重い」

「「「「!!!!!!!!」」」」

 

思わず出てしまった本音を聞き、ポケモンたちは離れるどころか先ほどよりもさらに体重をかけてくる。

 

「ごめん!うそ!冗談だから!明日からも皆さんの為に一生懸命ポロックもポフィンも作るから許して!」

「丈くん、ポケモンたちの分のご飯の準備てつだ…ぴぃえっ!!なななななななにやってるの?」

 

数十秒後、小糸の指示でなんとか解放された。いまだにぷりぷり怒っているみたいだが、ゲッコウガが仲介してくれたおかげでカレーの大盛と明日以降のおやつを作ることを条件に許してもらえた。

 

そういやあの子ら、ゲッコウガが頼めば大抵素直になんでも話し聞いてくれるんだよな。ひょっとして、俺が知らないだけでいつの間にかハーレムとか作っちゃってる?

 

「そ、それで、あんな状態になってたんだ」

「…まぁ進化してから体が大きくなったから仕方ないけど」

「でも駄目だよ~丈先輩、みんな女の子なんだから~」

「そうそう体重の話題はNGだよね」

「………………………………はい」

 

女性が体重の事を気にしているのは人間もポケモンも同じという事か。ゲッコウガ以外はみんなメスだもんな。気を付けよう

 

『ご飯が炊けたロト、ご飯が炊けたロト』

「お!ご飯できたみたいだな」

「あんた、炊飯器にまでロトム入れてるの?」

 

だって、色々な電子製品に入れるしバトルから日常生活まで様々な面でサポートしてくれて便利なんだもん。

 

「まぁ、いいじゃないか。お疲れさん、ロトム。外に飯の用意してあるからゲッコウガたちと食べてきてくれ」

「ロト!」

 

炊飯器から出たロトムはそのまま窓から外に出ていく。日頃の感謝を込めて大盛で用意してるから味わって食べて欲しいな。

 

「それじゃあ、ご飯も炊けたしカレー食べようか?」

「食べる~♡」

「じゃあ、準備するから座っててくれ」

 

人数分の皿を取り出し、そこにご飯とカレーを注ぐ。今日はみんなレッスンもしてないし、普通盛りでいいな。

 

「お待たせ、本日のカレーはボブの缶詰と甘めの木の実を大量に使った『あまくちジューシーカレー』だ」

「おー待ってました」

「いい匂い~」

「お、美味しそう……こうやって美味しい物食べる時に良いコメントできた方がいいのかな?」

「何?食レポの練習?」

「私たちの初仕事って食レポなの?」

「初仕事で食レポやるなんてあるのか?」

 

食レポってある程度の知名度ないと回ってこなそうな印象があるし、最初の内はなかなかその手の仕事は回ってこなそうな気がする。

 

「え?やらないの食レポ?」

「雛菜、美味しい物いっぱい食べた~い」

「まぁ、少しくらい売れればその内あるんじゃない?」

「が、頑張ろうね!」

 

まぁ、俺としても折角、アイドルをやる以上は頑張って欲しい所ではあるな。CDが販売すればユニットとしての初仕事もいつかは貰えるだろうし、そうすれば知名度も上がりテレビにも出るかもしれない。

 

「それじゃあ、小糸。このカレーの味をレポートしてくれ」

「ぴぇっ!い、今?」

「そうだよ。ほれほれ感想をどうぞ~」

 

テレビって、こういう無茶ぶりとかよくあるしな。きっといい練習になる。決して、小糸が困ってる反応を楽しみたいなんていう意図はない。

 

そんな意図はないけど、一応、透、円香、雛菜にはアイコンタクトを送っておく。

 

「ふふ、小糸ちゃん頑張れー」

「ファイト」

「楽しみ~」

 

よし!全員に通じたな。俺もそうだけど、みんな小糸をからかう時の連帯感は凄まじいよね。

 

「え、えっと………」

「「「「…………………」」」」

「………か、カレーの辛さと木の実の甘さが一見ミスマッチとも思える組み合わせだけど、コクとキレが両立されてて、すごく美味しい。り、リザードン級の美味しさだね!」

 

…………………おぉ~

 

「…ど、どうかな?」

 

小糸は、不安げな表情で俺たちを見てくる。いやいや、今の食レポのどこに不安要素があるんだ。個人的に100点満点あげたくなるような食レポだったんだけど

 

「いいね、グー」

「いいんじゃない?」

「あは~小糸ちゃん食レポ上手~」

「いや、驚いたな………食レポに失敗して、滑った小糸をみんなでからかうつもりで無茶ぶりしたのに…」

 

まさか、小糸があんなに食レポが上手いとは……いや、俺の作ったものだからこそ、本音で言えたのか?小糸って内弁慶だからな。初めての場所では、ここまでの事は言えないかもしれない。う~ん、その辺は実際にやってみないと分からないか。

 

「えへへ………うん?丈くん今、なんて?」

「何でもないよ」

「そうそう何でもない」

「…何でもないから」

「うん~何でもないよ~」

「??」

 

やっぱり、ちょろいなこの子

 

 

 

***

 

 

 

カレーを食べ終えた後、みんなで自室でゲームをしたりテレビを見ながら過ごした。明日は俺も含めて全員レッスンがあるから、ちょっと早めの解散となった。

 

色々あって疲れたし、本当はのんびりしたいんだけど約束しちゃったしポケモンたちの明日の分のポフィン作っておくか。

 

「帰りに買ってきた木の実がいくつか残ってるから、それを使って何個か作るとして……後はどうしようかな?」

 

何を作るのかを考えていると、チャイムが鳴る音が聞こたので一旦メニュー作りを中止し、玄関に向かう。そこには円香が立っていた。

 

「どうかした?忘れ物?」

「……ちょっと、話がある」

「?ああ、入って」

 

話しって何だろうな?わざわざ、戻ってきて直接してくる所を見るとみんなには聞かれたくない類の話しっぽい。正直、嫌な予感がする。

 

「それで、話って?」

「ねぇ」

「うーん?」

「小糸にアイドルの才能があるって言ったの?」

「ああ、言ったよ。小糸から聞いた?」

「……小糸、あんたにそう言ってもらえたって嬉しそうに話してた」

 

俺の個人的な見解って感じではあるけど、あの時、言った事は本音だ。

 

「素人意見ではあるけどね」

「小糸はあんたの言った言葉を信じてる」

「それは、光栄だな」

「っそんな事言って、本当に大丈夫なの?」

「……何が言いたいんだ」

「だから!小糸に才能あるなんて言って、もし上手くいかなかったら、それであの子が傷ついたらどうするのかって聞いてるの!」

 

あ~~なるほどね。そういう事か。

 

円香は認めないだろうけど、彼女は基本的に誰かの為に行動を起こしている。事務所を訪ねたのは透を芸能界と言ういかがわしい世界から守るためだった。そして、今は少し先の未来で傷を負うかもしれない小糸の為にこうして怒っている。

 

でもな

 

「……それは仕方ないだろう」

「……………………は?」

 

俺の言葉を聞くと円香は睨みつけてくる。これは……防御力が二段階くらい下がりそうだな。でも、言いたいことは言わせてもらう

 

「小糸は……いや、成り行きとはいえノクチルの全員がアイドルっていう、新しい事に挑戦しようとしてるんだ。その結果、失敗や敗北を経験して傷を負うのはある程度は仕方ないだろう」

 

アイドルは勝ち負けだけが全てじゃない。だけど、オーディションでは結果だけを求められるだろうし、この先、受けるオーディションで全て合格するなんてことはまず不可能だ。

 

テレビに出ることになったとしても、ちょっとした発言や失敗から心無い罵声をネット上であげてくる奴は絶対にいる。

 

「じゃあなに?小糸が傷ついてもいいってこと?」

「そうは言ってないよ」

 

小糸が…いや、小糸に限らず透、円香、雛菜の4人が悲しむ姿なんて見たくはない。出来る事なら、この先一生傷を負うことなくいて欲しいとさえ思ってる。

 

「ただ、信じてるんだ」

「小糸を?」

「みんなの事をだよ」

「………………」

「確かに、小糸は傷つきやすいかもしれない。だけど、4人が一緒にいれば小糸は頑張れる。壁だって乗り越えられる。それだけのポテンシャルをみんなは持ってる。そう信じてるんだよ」

「……でも、その先は?……いくら頑張ってもいつかは終わりが来る。その時に知るのは身の程っていう限界でしょう?……それを知った時、小糸は……私は……」

「……円香」

 

……そうか。小糸の事だけじゃないんだな。円香は小糸だけじゃなくこの先の自分自身の未来にも不安を抱いている。期待されるだけされて、それに答える事ができなかったとき、自分の限界を知ってしまった時に感じるであろう絶望感、彼女はそれを恐れている。

 

「多分だけどさ……円香が不安に感じるのは、まだ本気で何かをしたことがないからなのかもな」

 

円香は、どんな事にもある程度努力すれば出来てしまうだけのポテンシャルがある。だから、全力で何かに打ち込み努力をしている姿を俺は見た記憶がない。

 

「でも、失敗しても自分の限界を知るのも悪くないと思う。自分の大きさが分かったら次に何をしたらいいかが分かる。自分の事が分かればやりたいことがぼんやり見えてくる。そうすれば、少なくとも今、感じてる不安からは抜け出せると思うよ」

 

だから、円香には今は細かいことは考えずに、取り合えず全力でアイドルという仕事にぶつかって欲しい。

 

「……………でも」

「怖いか?」

「……傷ついて、傷ついて…それでも何も出来なかったら、どうすればいいの?」

「その時は……そうだな……その時は、取り合えず好きなだけ泣いていい。俺が小糸や円香たちが泣き止むまでずっと傍にいるから」

 

立ち向かうことは大事だ。だけど、全力で挑んでそれでも敵わないなら逃げていいんだ。

 

「……え?」

「それで、円香たちがアイドルを辞める決意ができたなら、アイドルの事もプロデューサーの事も事務所の事も全部忘れて逃げ出したって構わない」

「……辞めてもいいの?」

「辞めちゃいけない理由があるのか?」

 

まだ、所属してからそれ程時間はたっていないけど283プロは嫌がる子に無理やりアイドルをやらせる場所じゃないと思っている。

仮に辞めることに反対の意思を示したとしてもその時は、俺が責任を取ればいいだけだ。俺がノクチルがいなくなっても問題ないくらいに利益を事務所にもたらせば何も問題ないはずだ。

 

「円香たちがアイドルを始めるきっかけを作ったのはプロデューサーかもしれない。だけど、迷っていた円香の背中を押したのは俺だ」

 

あの日、プロデューサーにスカウトされ迷惑がっていた円香を後押しした。円香がアイドルをやらなければ雛菜はともかく小糸はアイドルをやるとは言いださなかったかもしれない。

 

この先アイドルを続けていけば、きっとどこかで失敗や挫折を味わう時が来る。それが、どんな形でかは分からないけど多分それ自体は避けられない。そうなった時、責任が俺にはないなんて口が裂けても言えない。

 

「だから、俺にも責任はある。俺はノクチルのメンバーじゃないけどさ…皆が今後背負う責任の半分くらいは一緒に背負わせくれ」

「……どうして?どうして、そこまで…」

 

どうしてって、今更それ聞いちゃう?もう、何度も言ってるんだけどな

 

「いつも言ってるだろ?お前たちの事が大好きだからだ。他に理由なんかないよ。」

「っ!」

 

困ってるときには頼って欲しいし、どうしようもなく傷ついて逃げ出したくなった時に躊躇わずに逃げ込んでくることのできる、そんな彼女たちにとっての最後の居場所でいたい。俺にとってはそれが一番大事なことだ。

 

「まぁ、そんな訳だ。CDデビューもこれからなんだからし、気楽にやんなよ。駄目だった時の事は考えなくていいからさ」

 

本当に駄目そうなときは俺だけじゃなく、プロデューサーにも多少は責任取らせるから……CD売れなかったら俺がCD買い占めようかな。いや、流石に駄目かな?

 

「……あんたって本当にどうしようもなく馬鹿」

 

おおう、はっきり言ったな……4人に対して馬鹿みたいに惚れていることは否定できないけど

 

「………でも、ありがとう」

「…………………」

「真田?」

「…ああ…えっと…どういたしまして?」

「ふふっ…なにそれ?」

 

…いや、本当に何なんだろうね…円香がお礼を言った時の顔が綺麗すぎて一瞬意識失ってた。くっ!これだから顔面600属はずるい!

 

「それと…何度も言うけど、私を含めて、あんまり皆を甘やかさないで……甘いだけの人は頼れないから」

 

え?そうなの?ただでさえ、最近は別行動が多くなってきてるんだし必要な時に頼りにしてもらえないのは普通に困るんだけど

 

「……その辺は、もうちょっと努力はするよ」

「そうして…じゃあ、私も帰るから」

「送ろうか?」

「今日はいい」

「そっか」

 

まぁ、俺の家と円香の家は徒歩数分の距離だしな。危険があるとも思えないし、偶にはいいだろう。円香も一人になりたいみたいだしな。

 

「今、あんたの顔見たくないし」

「なんで‼」

 

結構いい感じの事言ったつもりだったんだけどな?

ひょっとして、ストレートに伝えすぎて気持ち悪がられてる?だとしたら、すごいショックなんだけど…

 

「……………それじゃあ、気をつけてな」

「ん」

 

円香はそう言うとリビングを出ていく。

最後の最後に一気にテンション落ちたな……もういいや、さっさとやる事やって後はのんびり過ごすとするか。

 

「真田」

 

ポフィンを作るために台所に戻ろうとすると声をかけられる。振り返ると、リビングの外から体の半分と顔だけを出し、こちらを見つめている円香がいた。

 

「うん?どうした?」

「……さっき言った言葉、絶対に忘れないで」

「えっと……どの言葉?」

「っ!だから………好き…とか…責任取る……とか」

 

好き、責任取る、その単語を口にするたびに円香の顔はどんどん赤くなっていく。

……やばい、俺の幼馴染み可愛すぎてやばい……ついでに、俺の語彙力もやばい。物凄い低下してる気がする。

 

「……忘れないで」

「ああ、本心で思ってることしか言ってないからね。忘れないよ」

「っ!……はぁ~もういい……帰る」

 

円香はそう言うと顔を引っ込めてしまう。その後、玄関が開く音が聞こえたから、今度こそ家から出た筈だ。

 

「……なんか、最後諦められたような気がするな」

 

まぁ、いいか。考えても分からなそうだし。疲れたし、早く明日の分のおやつ作ってのんびりしよう。




当初は5人で遊んでる軽い話しを書く予定だったのに、どんどん書いてる内に違う方向に進んでしまいました。

誤字報告ありがとうございました。感想などもお待ちしております。
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