プロデューサーに会いスカウトを受けた次の日の放課後、俺の部屋で幼馴染み会議が行われていた。
「透ちゃんと円香ちゃんがアイドルやるの?」
「え~いいな~雛菜もやってみたい!」
「うん、ガチのアイドル。イェーイ」
「まぁ、成り行きでね」
確かに成り行きでだけど、プロデューサーさんは本気みたいだったし。この子らキャラが立っていて面白いと思う。
「真田も専属のバトルのトレーナーやるんでしょ?」
「え、丈くんもなの?」
「ああ、まだ返事してないけど引き受けようと思う」
あの後、資料を読んだが、283プロは近くにある施設と契約していて、そこでポケモンたちの特訓することができる上にポケモンの食事代の負担、大会参加のための移動費などの特典も多かった。
「透先輩と丈先輩もいるなら雛菜もやる~」
「…わ、わたしは」
「?小糸ちゃんはやらないの?」
「…い、いいのかな?」
「小糸が決めることでしょう?」
「ああ。でも、いてくれたらうれしいよ」
無意識に皆を引っ張ってる透、それに乗っかる雛菜、皆のサポートをする円香、必死に追いかける小糸、それぞれが役割があるから、このグループは纏まってるんだと思う。
…え?俺の役割?ボディガード兼稼ぎ頭かな?こうして俺の部屋で集まるときの飲み物とかって、俺が買っておいた奴だし
あれ?ひょっとして俺って皆にとってただの金づる?
「!も、もう、本当に私がいないとダメなんだから!」
「おー、来ちゃう?」
「じゃあ、プロデューサーに相談してみるか?俺、専属の件の返事するし、二人の事も聞いてみるよ」
「お願いしま~す」
「あ、ありがとう!丈くん」
「…結局、いつもの流れ」
そのいつもの流れが好きなくせに円香ってば本当にツンデレなんだから
ギロ!
ひぃ、心読まれた?
「丈一郎って、バトルの時以外は結構顔に出るよね」
「…どうせ馬鹿な事考えてたんだでしょう?」
「あは~丈先輩の顔面白ーい」
「あ、あはは」
散々な言われようだ。顔面白いは余計だっつーの、えーっと、プロデュサーの番号はと…
「というわけで、俺たち全員の面倒見てくださいな」
『…分かった。でも、その子たちとも直接会って判断したいんだ。』
まぁ、そりゃそうだな。
その後、プロデューサーさんと話し、次の休みの日に二人は面接を受けに行くことが決定する。透、円香、俺も契約書のことなどで話があるらしいのでついでだから同じ日取りにさせてもらった。
***
そうして数日後、面接の日がやってきた。
「い、いよいよだね」
「あは~そうだね~」
「小糸緊張しすぎだから、…雛菜は気を抜きすぎ」
「ご、ごめんね円香ちゃん」
「え~雛菜はいつも通りでいいでしょ~ねぇ、透せんぱ~い、丈せんぱ~い♡」
「ふふ、いけるっしょ」
「ああ、いざとなったら、俺が泣きわめいてごねまくって合格にしてもらうきっと大丈夫だ!」
「…その年で泣きわめかないで」
半分は冗談だけど、半分は本気です!
でも、そんなに心配はしていない。面接が決まってから、面接練習とかもやったしね。雛菜はいらなそうだが、小糸はきっちり予習しておいた方がちゃんと力を発揮できるタイプの子だ。
そんな訳で、283プロに到着したわけだが、前に見た時も思ったが、結構普通の建物だよな。建物は3階建てで1階にペットショップ・クリーニング店・靴屋・書店なんかがある。283プロの入り口はペットショップの横の階段から行くみたいだけど、あれ、ペットショップにめり込んでない?
「うーん、約束の5分前についたな」
「5分前行動は社会人の基本だよ!」
「別に社会人になったわけじゃないでしょう」
「あ、そ、そっか。で、でもアイドルになれたら一応働く訳だし」
「学生アイドルってその辺どうなんだろうな?バイトの延長感覚?」
「うーん。分からん」
「言うと思ったよ」
俺たちは階段を上り、扉を何度かノックするとプロデューサーさんが出てきた。
「お、時間通りだな。283プロにようこそ!」
この人、明るいよなぁ。円香風に言うならミスター好青年かな。
「それで、そっちの2人がアイドルの志望者かな?」
「…よ、よろしくお願いします!」
「お願いしま~す♡」
2人の姿は良くも悪くも、いつも通りと言えるか
「取り合えず、中にどうぞ」
事務所の中は、何というかアットホームな感じでフローリングにカーペット、座卓にソファの近くにはテレビもある。事務所っていうから、もっと仕事場みたいな感じだと思ってたけど居間みたいだな。
「さて、まずは面接から始めさせてもらっていいかな?」
「ひゃ、ひゃい」
「は~い」
「じゃあ、こっちのテーブルでやろうか。三人はソファで待っていてくれ」
そう言って、プロデューサーさんは自分のデスクに座り、二人もデスクの前にある椅子に座る。
「「「・・・・・・・・」」」
俺たち?ソファに座って聞き耳立ててるよ
「それじゃあ、福丸小糸さん、市川雛菜さん。まず、アイドルの志望理由から聞いていいかな?」
「は~い。透先輩がアイドルやるって聞いて、すっごくいいな~、雛菜もやりたいな~って思ってきました♡」
「…あ、あの私も…その皆と一緒にアイドルやりたいなって」
この辺、小糸は練習の時、色々考えてたけど面接で嘘はよくないから本当の事を言った方がいいと言っておいた。
「事前に聞いてはいたけど、皆本当に仲いいんだな」
「…!そ、そうなんですよ!私たち本当に凄い仲良しなんです!」
「…はは、そうみたいだな。丈一郎と円香には話したけどみんな一緒のユニットで活動出来たらいいなって考えてるよ」
「やは~♡それ楽しそう~」
「…わぁ」
よし、雛菜はいつも通り。小糸も幼馴染関連の話から少し、肩の力が抜けてきてる。
「うん。それで次の質問だけど二人はどんなアイドルになりたい?何かやりたいこととかはある?」
あ、やっぱりこの質問来たか。
「う~ん?雛菜はどんな時でも笑顔で楽し~く、しあわせ〜でいたいだけだし、それ以外は特に考えてないかな〜」
「…はは、そっか。確かにファンはアイドルに笑顔を見せてもらいたいからね」
「でしょ~雛菜そういうの得意なんだ~」
うん。雛菜らしいね、雛菜の笑顔は本当に力になる。10年以上力を貰ってる俺が言うんだから間違いない!さて、小糸は
「…わ、私は、皆と一緒にいたくてここに来ました。…だから、なりたいアイドルとかはまだ…ないです」
そう、小糸にはというかここにいる全員だが具体的に目指すアイドルの姿はない。小糸がここに来たのも皆に置いて行かれたくないからというのが一番の理由だ。
…まぁ、置いて行かれたくないっていう理由でここに来たのは多分、小糸だけじゃないと思うけど
「…だ、だけど、その、私には皆がいないと駄目だし、皆にも私がいないと駄目なんだって思うんです。だ、だからお願いします」
そうだ、誰か一人でも欠けちゃだめだ。俺たちには小糸は絶対に必要だ。
「…そうか」
プロデューサーさんは少し、ソファから聞き耳を立てている俺たちを見る。俺と透はプロデューサーさんに頷き、円香は無視しているがどこか嬉しそうな顔をしている。
それを確認すると、プロデューサーさんはゆっくり息を吐く。
「繰り返し言うけど、君たちは本当に仲がいいんだな。その仲の良さはきっと強い武器になると思う。…でもアイドルをやる以上、目標は必要だと思う」
「「・・・・・・・」」
「だから、アイドル活動をやっていく中でどんなアイドルになりたいか考えてくれるかな?」
「…え?」
「それが、最初の課題だ
これから、よろしくな小糸、雛菜」
「!…はい!」
「やは~♡、よろしくお願いしま~す」
福丸小糸と市川雛菜がアイドルになりました!
その後、俺たちは契約書を貰ったのだが、契約書は俺たちだけでなく、小糸と雛菜の分も用意されてた。
まぁ、俺たちと同じ日に面接をセッティングしてくれた辺り、よっぽどのことがない限り合格にするつもりだったのかも。何はともあれこれで皆で同じ事務所に所属できた。これから、色々大変なこともあるだろうけど、皆一緒なら乗り越えられる筈だ。
ポケモン出そうと思ってるのになかなか出せない