初仕事、宣材写真を撮り終えた俺たちは簡単なお疲れ様会も兼ねて近くのファミレスで食事を取っていた。
「ら、来週から本格的にレッスン開始だね」
「そう言ってたね、プロデューサーが」
「となるとその時は、俺は完全に別行動になるな」
ちょっと寂しいな、俺もアイドルをやればよかったかな?……ないな。想像したけど絶対ない。
「え~丈先輩、雛菜たちの練習見に来てくれないの~?」
「うーん、どうかな?」
みんなは事務所内にあるレッスン室を使用する。一応何時までという決まりはないみたいだし、俺よりも遅くまで練習することもあるのかな?
「あぁ、でも俺のバトルの特訓は公共施設でやるものだから時間限られてるし、終わったら事務所まで様子見に行けると思うよ。」
特訓後にボーマンダですっ飛ばせば、そんなに遅くまではかからないと思うしね。施設を使えない日もあるだろうから、その時は練習見に行ったりできるだろうし
「でも雛菜、あんまり遅いと帰ってるかもよ~」
「自分たちの事を優先していいって。俺の為に遅くまで待たせられないしね」
この辺は、実際に活動し始めてから少しずつ探っていこう。ああ、そうだ活動と言えば
「それで、四人の活動方針とかは決まったの?」
「雛菜、まだ何も聞いてないよ~」
「わ、私も」
「まず、レッスンを通して私たちのレベルを見るつもりなんじゃないの?知らないけど」
「おーなるほど~」
「そっか。でも、まぁ何かやるって決まったら教えてくれ。必ず見に行くから」
「…別に無理してこなくていいけど」
「俺が行きたいんだよ。なんせ俺は君たちのファン第1号なんだから絶対行くぞ!」
ちなみに、ファン2号はプロデューサーだ。1号の座は絶対に譲らないぞ
「えへへ、丈くんがファン1号…」
「ふふ、私らデビュー前からファンができちゃった」
「…こいつが身内だからでしょう?」
「・・・・・・」
「…何?」
「いや…円香が俺の事身内って言ってくれたの初めてかもって思ったから」
円香は透、小糸、雛菜の事はよく身内って呼んでるけど俺の事は今まで呼んでなかったはずだ。少なくとも言われた記憶がない。
「あれ?そうだっけ?私らの前だと結構言ってるような気がするけど」
「ほ、ほら、円香ちゃんって丈くんのいない時にしか、そういうこと言わないから」
「っ!」
「やは~円香先輩、顔赤い~」
「雛菜うるさい!」
…なんだ、俺のいないところではちゃんと身内って扱いしてくれてたんだ。…うん、悪くない。
「…なに?……馬鹿っぽい顔」
おっと、表情に出てたか?
「いーや?何でもないよ」
何だかいつもより切れが悪いな。まぁ、顔を赤くしてる円香を見てるのは楽しいけど、からかいすぎると円香に溜まった怒りとストレスが俺に向かって発散されることになるしこの辺にしとくか
「ははは、まぁ俺だけじゃなくて皆の親たちもライブとか見に行きたがるだろうしね。その辺の連絡はちゃんとしておかないと」
「っ!」
何だろう?可哀そうになるぐらい分かりやすく動揺してる子がいる
「小糸?どうかした?」
「っ!な、何でもないよ!」
これは100%何か隠してるな。そもそも、小糸は本質的に嘘をつくのが向いていないみたいだ。
「「「「………」」」」
うん。こりゃ、俺以外の3人も小糸が何か隠してる事に気づいてるな
「そ、そういう丈くんは、どうなの?」
「………」
何かあからさまに話題を変えようとしてるな……まぁ、小糸が話したくなるまでは待ってあげるか。
「丈くんは次のポケモンリーグに出るんでしょう?」
「…まぁね。来年のポケモンリーグには出るつもりだよ」
「雛菜また応援に行ってあげる~」
「また、日程組まないとね」
「…日程が色々決まったら、まず私に教えて…浅倉に日程決めさせたら行けるものも行けなくなるから」
「…そうするよ」
ポケモンリーグは年に1度春に行われる。
まず、最初に行われるのが県予選だ。
ここでは、それぞれの所属している学校、企業や事務所などの本拠地である県でトーナメント戦を行う。一度でも敗北してしまえば、そこで終わりとなる厳しいルールで行い、上位四名のみが通過し、次のステージへと進める。
次に行われるのが、地方予選だ。
ここでは、各地方で県予選を勝ち残った者たちで、総当たり戦を行い、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州沖縄の8つの地方で、最も戦績のよかった四名の代表を決める。
そして、最後に行われるのが、各地方の代表者たちによって行われるポケモンリーグ全国大会決勝だ。そこで、予選と同じくトーナメント戦を行い最後に優勝したものがポケモンリーグ○○の部チャンピオンの称号を手に入れることができる。
「じゃあ、それまではずっと練習だけやるつもり?」
「いや、実践感覚なくさない為に大会には参加していいって」
今までは移動が面倒とか、お金がかかるとか、日帰りできないと学校休まないと行けないとかの理由で都内の大会しか出なかったけど、大会参加のためなら、事務所が移動費とかを出してくれるらしい。まだ、未定だが都内以外で開かれる地方の面白そうな大会やプロデュサーがお勧めする大会に参加することも検討している。
「ふふ、それ今までとあんま変わんないじゃん」
「いやいや変わるよ。参加する大会の数も増やせるし、活躍したら雑誌の取材とかもあるだろうって話だったから」
正直、取材とかは面倒だが事務所に所属した以上、ある程度は仕方ないかなと思ってる。好きなことでお金を貰えるうえに条件もかなり緩くしてもらえたんだ。少しずつ恩は返していきたい。
「なんか…丈くんやる気だね?」
「やることが増えて嬉しいの?ミスターチャレンジャー?」
チャンピオンからチャレンジャーに降格か…だけど、正直その方が落ち着くかも。だけど、何より嬉しくて楽しみなことがある。
「ああ、嬉しいよ。…それに、これから先は俺がみんなの事を応援できるし」
「「「「!」」」」
「皆は、ポケモンリーグで何度も俺の事応援に来てくれたんだ。だから、今度は俺の番だ。ライブとかには必ず駆けつけて応援しに行く」
「おー流石ファン1号だね、応援に来てくれるの?」
「もちろん、いつだって最前列で応援するよ」
何なら、学校サボってでも応援に行きたい。彼女たちの大事な仕事の時は大会とか取材とか入れないようにプロデューサーと相談しておこう。
「う~ん、丈先輩って~そんなに雛菜たちのこと好きなの?」
「ふふ、どうなの?」
「……」
「ひ、雛菜ちゃん!透ちゃんも何聞いてるの!」
全く今更、何言ってるんだこの子は、俺はずっと昔から
「もちろん、俺は皆が大好きだよ」
「ぴぇ!」
「…ふふ、やばい…それ照れるね」
「やは~♡雛菜も丈先輩大好き~♡」
「…バカ」
そう、この子たちが本当に大好きだ。この先もずっと一緒にいたい。こんな楽しい日々をずっと送りたい。その為にも頑張って結果を残さないとな。
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