春秋の恥さらしネタ帳   作:春秋

10 / 37
もう私の頭はDiesに乗っ取られてしまいました。
お陰でこんなネタばっかり浮かんできて、嫁アテナが進まない進まない。




この刹那に勝利を超えて(カンピオーネ×Dies Irae)

 

 

 

 

かつて何処かであった一幕。

 

「いつか必ず」

 

   ――私が必ず

 

「あなたを解き放ってみせると誓おう」

 

   ――その空虚なる白無垢(はくち)から

 

「その時まで眠っていておくれ」

 

   ――その時が来れば、君には恨まれるかもしれんがね

 

云わば歌劇のタイトルコール。

 

神の台本による舞台演劇。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     俺がフランスの地で出会ったのは、一台(ひとり)血塗られた(うつくしい)ギロチン(しょうじょ)だった

 

 

 

その日、藤井蓮の人生は一変した。

否、彼の人生はその日に終わったのだ。

 

そして生まれ変わった。

人類から畏怖と忌避を向けられる、神殺しの魔王へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

もはや姿が見えない美しい少女は言う。

 

――一緒にいきましょう

 

行きましょうなのか、生きましょうなのか、どちらにせよ同じ事だ。

俺にはもう、これしか選択肢がないのだから。

 

この選択肢しか、俺には選べないのだから。

 

さぁ詠おう、頭に鳴り響く血のリフレインを。

さぁ叫ぼう、魂にまで根付いたこの祈りを。

 

Verweile doch, du bist so schon!(時よ止まれ――お前は美しい)

 

その祈りは響き渡り、そして聞き届けられた。

色は黒、装飾は赤。型は処刑刃、力は断頭。名を正義の柱(ギロチン)

 

生き物の命を奪い、輪廻の果てに巡らせる。

これこそが少女の在り方、その具現。

 

Je veux le sang, sang, sang, et sang(血 血 血 血が欲しい)

 

――Donnons le sang de guillotine(ギロチンに注ごう飲み物を)

 

Pour guerir la secheresse de la guillotine(ギロチンの渇きを癒す為)

 

――Je veux le sang, sang, sang, et sang(欲しいのは血 血 血)

 

断頭のリフレインが交差する。

これより先は、新たな神殺しの英雄譚。

 

かくして、喜劇の幕が上がる。

 

 

 

 

 

 

「卿が、新たな王か?」

 

瓦礫と火災を背景に、一人の男が語りかけて来た。

 

棚引く長髪は獅子の鬣が如き黄金。此方を睥睨する瞳もまた、黄金。

圧倒的な存在感で以てそこに在るのは、墓の王と呼ばれる男であった。

 

「ああ、藤井蓮だ。アンタも魔王(そう)なのか」

「然り。ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ、卿の先達だ」

 

ラインハルト・ハイドリヒ。

そう詳しい訳ではないが、蓮もその名を聞いた事くらいはある。

 

黄金の獣と呼ばれた、戦時中のドイツにおける秘密警察の長官。

才気溢れる彼の経歴は、見るも見事と言わざるを得ない輝かしさ。

 

そんな男が、神殺しの魔王だと? ならば、暗殺されたという情報は――

湧き上がる困惑と懐疑を視線から汲み取ったのか、男は穏やかに、されども凄みを感じさせる笑みを浮かべた。

 

「私は私以外にこの名を名乗った者を知らん。あの日、暗殺に遭った私はいい機会と表舞台から身を引いたのだ。更なる闘争を、更なる充足を、私の渇きを癒すに足る強敵を求めて――」

 

ああ。

 

だから。

 

だからこの男は此処に来たのだ。

 

俺に会いにやって来たのだ。

 

藤井蓮(おれ)がラインハルト・ハイドリヒの敵と成れるか(・ ・ ・ ・ ・ ・)を見極める為に。

 

「ふっ、ざけんなぁ!」

 

その為に、それだけの為にこの地獄を生み出したのか。

俺を試す為に、俺を怒らせる為だけに、彼らの日常は壊されたのか。

 

「――っらぁ!」

 

思考が進むと同時、俺は既に刃を振り抜いていた。

 

 

 

 

 

 

そこに、誰とも知れぬ影がいた。

 

     神とは人を塵芥としか感じぬ存在だが、これほど人に縛られ屈服している存在もない

 

影は人知れず語りかける。

 

     神とは出来る事しかやれず、出来ぬ事は出来ぬ存在だ

 

影は神と呼ばれる存在。

 

     故に、君が必要だったのだよツァラトゥストラ

 

古の世に神と呼ばれていた存在。

 

     さぁ、見事彼を降し私を降し、新たな神話を築き上げておくれ

 

黄金を築き、刹那を生み、一人の女を愛した男。

 

     我が親愛なる代行者(むすこ)

 

影は、水銀と呼ばれていた。

 

 

 

 

 

 

      では、今宵の英雄譚(グランギニョル)を始めよう

 

 

 

 

 

 

 

この刹那に、愛を超越()えて――

 

 

 

 

 

 

 

      彼が演じたその神話の先に――

 

 

 

「ああ、我が女神を害そうなどという愚挙は許さぬ。疾く消し飛ぶが良い」

 

名も亡き水銀の王が、

 

「然り、これほどの難敵に私が駆けつけぬ訳が無い。さぁ、砕け散る程に愛させてくれ」

 

黄金冠す墓の王が、

 

「背中を預ける気はない、お前らはお前らで勝手にやってろ」

 

永久無間の凍土の王が、

 

「此処にある命の輝きを、あなたのような(ひと)に壊させたりしない」

 

慈愛の権化たる黄昏の女神がそこにいた。

 

来るならば来い三眼の邪神。

水銀黄金刹那黄昏(われら)の愛を見せてやろう。

 

 

 

      至高の未知があると願って――

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。