春秋の恥さらしネタ帳 作:春秋
音楽を聞きながら寝ようとしていたら、ふとネタが思い浮かんだので、思い立ったが吉日とキーボードを叩いてみました……が、書けたのはこれだけ。
少ない(つд⊂)
15/6/15
Diesアニメ化という事でテンション上がったので、加筆修正しました。
そして再び、銀色の翼が開かれる。
計、三十六門の砲台。
そこから連射される数え切れない程の弾丸を前に、一夏は自分の危機を無感情に受け止めた。
目の前には光球の弾幕。
纏う鎧は機能停止状態。
この場は実戦、剣を握った戦場。
敗北を、ともすれば死を、あっさりと悟った。
「Laaaaaaaa――――♪」
歌声を思わせる甲高いマシンボイスが、死の宣告にすら思えてくる。
死の宣告。死の予告。死の告知。
――殺害の告白。
殺害……?
「俺を殺す? 俺が殺される? 俺が、死ぬ?」
思考が停止する。
視界が暗転する。
死生の堺が揺らいでいく。
死。
死。
死。
死とは何だったか。
頭痛にも似た衝撃が頭に響く。
浮かんだのは、怪しく
此処ではないどこかで、逆光を浴びた影が囁く。
――溢れ出る愛の行き着く果て。
断崖の果てに待つ始まりであり、巡る円環の終点にして始点。
否、その世界には懐古に似た思いを抱くが己の死に非ず。
次いで脳裏に浮かび上がるのは鉄塊。
重農な死臭を色濃く放つ、黒く堅く荘厳な巨体。
此処ではないどこかで、暗闇に浮かぶ影が囁く。
――穢される事なき絶対の終わり。
生涯を疾走して最後に得るべき安息。
近くはあるが、己のそれとは些かズレる。
そう、己にとっての死とは――
『あ■■に■をした。■なた■跪か■ていただ■■い、花よ』
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「否――“このような終わりはいらない、そんな結末など認めない”」
――己にとっての死とは、那由多の果てに得た唯一無二の至福。
幾星霜と追い求めた、至上至高の未知なのだ。
「“我は女神の抱擁にて幕を閉じるのだ。貴様の如き
碌に意思もない鉄の塊などに殺されては、かつての
それは駄目だ。それは余りに許し難い。
我はそんな死に方などしたくない――
「い、一夏?」
ああ、なんだろう。
俺なんだから俺のはずなのに、
「“しかし、只人に過ぎぬこの身では些か力不足と言える”」
何処からともなく聞こえて来るんだ。
不気味な声が。
ただ、壊せと。
目の前のアレを壊せと、己の死因を排除しろと。
「“であるなら、この鎧に手を加えるのが得策か”」
不気味なまでに静かな声が、何度も何度も頭に響く。
その声はまるで、俺の中から響いてるようで……
「“
いや、そうなのだ。これは俺の声。
音は違う、韻律も違う、だがしかし、これは紛れもなく自分の声なのだ。
「“
かつてオリムライチカが、
シロガネユキヒラ――
そう命名された銀白の太刀は、彼の持つ機構剣が変化したモノだった。
いつか何処かで稀代の刀匠が打った秘伝金属製の神槍。
その型落ちとして雪片・弐型を打ち直した模造品、それが今の白刀の正体である。
偽槍と呼ばれていたそれもまた何某かの贋作だったため、本来目指していたモノとは比べることすら度し難い出来ではあるが。
「“かつてのそれとは比べるべくもないが、現状ではこの程度が適しているとも言える”」
話している少年は、既に純白の装甲を纏ってはいなかった。
それらをも不要と断じ、太刀の素材へ費やしてしまったためだ。
「一夏、なのか……?」
「“ああ、無論だとも。君が篠ノ之箒であるように、我もまた織斑一夏である事に変わりはない”」
たとえ名が変わろうと生まれ変わろうと、自分は
そう断ずる彼に違和感と困惑を覚えながらも、箒はどこか納得するものを感じる。
口調も態度も全くの別物だが、一夏と同じ空気を感じ取ったのだ。
社交性が高く気さくな普段の一夏と、横柄で掴みどころのない今の一夏。
異なって見える両者だが、心の奥底では自分たちと一線引いている。
一見すれば並んでいるが、触れようとすれば透明な壁に遮られる。
そんな不可思議な感覚を。
「“本来
認識を思考に割きながら福音へと近づいていく。
ISという鎧なくして宙を闊歩するその姿は、豪胆さとは違った支配者のそれを思わせる。
それが当然だとでも言うように、自然なままで総てを見下し俯瞰している。
人を下に置き、己が上だという事実を理解しているのだ。
しかし、本来なら些末な物だと
彼はいま、草も木も土も水も天も地も等しく全てに――より正確に言うならば、それを内包する世界という概念そのものへと頭を垂れているのだ。
いたって自然に、自分はそう在るべきなのだと感じ取っている故に。包まれている故に。
そんな彼に対する『
即ち、
微弱な意思こそあれ、魂なき鋼鉄に存在の格差を理解する事は出来なかったのだ。
或いは、そのまま暴走を続けて
「Laaaaaaaa――――♪」
銀翼の歌姫は
全ての射線は交わる事なく、彼の全身に向けられていた。
タメの動作もなく、即座に射出。
一夏と箒も瞠目した高速射撃だ、常人どころか才人でも対応は難しい。
だが、彼は回避どころか防御もせずに悠然と歩み寄る。
当然の如く、数瞬の後に幾連ものエネルギー弾が直撃。
あまりの光量と爆風に見えなくなってしまう。
「いっ、一夏ぁっ!」
離れて惚けていた箒も、流石に慌てて安否を確かめようとする。
しかし――
「“何の魂も得ていない素の装甲とは言え、まさか着弾の衝撃を受けるとは……はてさて、これは『
やはり聖遺物などとはとても呼べない鉄屑を素体としているせいか。
暴走状態とはいえ人間が搭乗していることで、何らかの霊的干渉があったと見るべきか。
ブツブツと独り言を呟き没頭する姿を見とめ、箒は呆れて肩を落とす。
(心配するだけ損だったか……)
何が起こっているのか、どういう原理なのかは欠片も理解できない。
しかし、人知を越えた存在を気に掛けるのは無駄なことだったらしい。
遠い目をしてそう悟った篠ノ之箒だった。