春秋の恥さらしネタ帳   作:春秋

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簡単に等級項目らしきものを作ってみました。
あくまでフレーバーですので、細かい数値は気にしないでください。

姓名 織斑一夏(初伝)
等級 陽の弐・陰の玖
神咒 ■■■・■■■■=■■■■■■
宿星 輪廻曼荼羅・■■

筋力: 2 ■■
体力: 2 ■■
気力: 5 ■■■■■
咒力:10 ■■■■■■■■■■
走力: 2 ■■
歪曲: 7 ■■■■■■■

福音騒動の直後。
活動位階しか使えない頃を想定しています。



夏のひとひら5

 

 

「“どうして我が術理が散布しているのか疑問に思っていたが、そういうことか……”」

 

一夏が、その内に潜む水銀が頷く。

彼が見つめるのは、篠ノ之束という女性の更に内側。

 

呪毒に蝕まれ続けている魂だ。

 

「“この新世界においても偽槍を打ったのだな”」

「あぁ~、やっぱり分かっちゃうんだ。流石は元とは言え神様だねー」

 

常と変わらぬ笑み、変わらぬ口調、変わらぬ態度で話す彼女。

いくら華やかで愛嬌のある格好をしても、その肉体は腐り掛けている。

 

魂の腐食に伴って、肉体も屍兵へ変生しようとしているのだ。

 

「“何とも愚かしい(さが)、難儀な業だよ――櫻井武蔵(トバルカイン)”」

 

水銀が思うのは、神殺しの神槍を模倣した刀鍛冶の姿。

その妄執によって偽りの神槍に呪われ続けた、悲運の一族。

 

「“一夏(われ)は聞いた事がなかったが、母君の旧姓は何というのかな?”」

 

確信に近い物を感じながらも問う一夏に、束はあっさりと答えを返す。

 

櫻井(さくらい)……ドジばっかりする間抜けな一族だよ」

 

言って、面倒だと言わんばかりに嘆息する。

この件については、継承者には完全にとばっちりでしかないため擁護できない。

 

そして一夏は、この会話で重要な情報を見出した。

束が偽槍の現所有者であり、彼女の母が櫻井の血筋という事は……

 

「そーなの、実は箒ちゃんも継承資格があるんだ。っていうか、たぶん私が死んだら次は箒ちゃんの所に行くと思うんだよね~」

 

だから、彼女は天上に至ろうとしているのか。

最愛の妹を破滅の運命から救うべく、偽槍を真に制御するために。

 

篠ノ之束は須らく、篠ノ之箒を至上として行動している。

 

「“すると学園の襲撃も、箒の成長を促すのが目的だったのかな?”」

「……ふぅん」

 

平坦な語調に隠された僅かな怒気を読み取り、束は怪しく眼を細める。

 

「第十三位水銀の王(メルクリウス)とは思えない言葉だね。やっぱりその状態は、ただ意識が表出しているだけって訳じゃなさそうだね」

 

鋭い舌鋒に、一夏――メルクリウスも苦笑を零す。

 

「“これはこれは、随分と強かなことだ”」

「むしろ今のアナタに隙が多すぎるだけだと思うけど?」

「“否定は出来ないな”」

 

静かに、しかし恐ろしく、蛇と兎の睨み合いは続く。

 

 

 

 

 

形成(Yetzirah)――黒円卓の聖槍(ヴェヴェルスブルグ・ロンギヌス)

 

可憐な衣装の隙間から呪詛の毒が滲み出る。

魂を侵す偽りの神槍が、脈動する汚濁が白い肌を覆い隠していく。

 

女性らしい丸みを帯びた指先は、命を毟り取る黒い鉤爪へと変わり。

背に這う毒鉄が厚みを増し、人にはない巨大な黒翼を形作る。

 

「“……なるほど、それを見ればISという物の起源は瞭然だな”」

 

四肢を包みながらも女性的なボディラインを惜しげもなく晒し。

鎧の無駄の無い機能美と、過剰にも思える背後の武装。

 

それは紛れもなく、IS〈インフィニット・ストラトス〉という存在の源流だった。

 

「“才色兼備、文武両道、武芸百般――全てにおいて高水準の才を持ち維持するその姿は、かつてのザミエルを思わせるよ”」

 

故にこそ、偽槍はあのような形を取った。

 

その頭脳を後押しするため、近代的な機能を搭載し。

その身体を援助するため、行動を阻害しない流麗な形状に。

そして人間には不可能な穴を埋めるべく、高火力な武装と空を舞う翼を与えた。

 

「私は天上に至る。この黄昏を塗り潰してでも、私はこの愛を完遂する」

 

凶兎(マガツうさぎ)は愛に狂う。

ひた向きに、しかして盲目に。

 

 

 

 

 

一夏はあの創造を切っ掛けに、魂に潜む意思と混ざり始めていた。

 

彼の魂は仮にも流出位階に属していたもの。

たとえ転生しているにしても、自我の表出と共に秘めたる渇望が浮かび上がり神威を発する。

 

膨れ上がった神威は意思を飲み込み過去へ立ち返る、それが当然の帰結だったはずだ。

 

しかし、そうはなっていない。

彼が発した祈りの形は、前世と明らかに乖離している。

 

形成した渇望は、女神の愛を正銘すること。

弱者を労わり、見届け、守ること。

 

創造した法則は、仲間の祈りを抱きしめること。

その祈りを祝福し、高みへ押し上げ奇跡を起こすこと。

 

これは紛れもなく、織斑一夏という人格が持った願いの形。

 

彼は呑まれず、混ざり合っている。

それは終点と始点が交わった、円環を描く混沌の渦。

 

特異な来歴を持つ魂ゆえの、逸脱した現状なのだろう。

 

 

 

 

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