春秋の恥さらしネタ帳   作:春秋

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久しぶりにレギオスの二次を見て再燃しました。とはいえ、リーリンがグレンダンに戻ったあたりで購読を止めていたので、アイレインやら原作知識は半端なのですが。

そしてアニメの諏訪部リスさんに胸を打たれ、同じく戦闘狂なクララとのカップリングに思い至り……はい、kkkの殺し愛夫婦大好きです。ということで、蜃気楼なサヴァリスさんと剣鬼なクララの殺し愛をどうぞ。

※作中の技のいくつかは自作のオリジナルです、ご留意ください。



What is love?(鋼殻のレギオス)

 

 

猛攻、猛勢、猛襲。天剣授受者トロイアットに師事するクラリーベルも、グレンダン名門ルッケンスを継ぐサヴァリスも、共に卓越した化錬剄の使い手だ。剣撃と拳撃のぶつかり合いは留まるところを知らず、燃え盛る闘志の気炎は実際に爆炎として現れる。

 

「アッ――ハハハハハハハハッハハハハハハハハハッ!!」

 

クラリーベル・ロンスマイアが嬌笑する。

 

やっと、やっとだ。やっと見つけた。己の生涯を捧ぐ至高の敵手。師匠(トロイアット)では足りない、保護者(ティグリス)でも足りない、憧憬(レイフォン)ですら足りなかった。だが遂に見つけたのだ、この男性こそ己の目標(はんりょ)

 

目を爛々と輝かせるクラリーベルは、全力全速全気力でサヴァリスに向かっていく。

 

小柄な少女の胴を打ち抜く拳打の打撲(ねつ)、鍛え上げられた男の筋肉(よろい)に通る鋼の(ねつ)、絶え間なく飛び交い両者を彩る生命の鮮血(ねつ)。それらが互いにぶつけ合った(ねつ)に煽られ、猛々しい笑い声を上げながらも気勢は際限なく高まっていく。

 

外力系衝剄の変化、千人衝。

 

ルッケンスの秘奥と呼ばれる絶技によって像を結ぶのは、四方八方より押し寄せるサヴァリスの軍勢。控え目に言っても恐怖の具現と称すべき光景だが、標的となっている少女は怯まない。これは望むべき光景であり、自身を何より求める彼の求愛(さつい)の証。それを誇り、それに歓喜し、それ故に物ともせず打ち砕く。否、斬り滅ぼす。

 

なぜなら自分は、この程度では終わらない。終わってはいけない。終わりたくない。もっと自分は輝ける。もっともっと輝いて、もっともっともっと彼の素晴らしさを照らし出せるはずだと。少女は極限の中で己を磨き上げ続ける。彼女とて幾度となく見て体験した剄技、その術理は熟知し、及ばないまでも会得していた。サヴァリスと同じく己の分身を展開し――あろう事か次の瞬間には姿を消した。

 

だがそれは、技の失敗でなければサヴァリスの妨害という訳でもない。彼女自身の意思により成された行動の結果。そして分身は消えたのではない、収束したのだ。眼前の軍団を打ち破る撃剣、その一助として。

 

活剄衝剄混合変化、千斬一閃。

 

原型となるのはクラリーベルが憧れる天剣の一人、レイフォン・アルセイフが改良した千人衝の変形――彼が千斬閃と名付けたそれを、更に自分用に改変する。それはこの境地に至り、少女が天剣授受者の領域に足を踏み入れた成果の具現であり、向かい合った男の闘志(あい)に応える想いの形。

 

「サヴァリス……ルッケンスゥウウウウウウウウ――――ッ!!」

 

単身ながら千に及ぶ軍勢を、複数ながら単一の斬閃が斬り穿つ。迫り来る包囲網を余すところなく滅尽し、実体なき牙がサヴァリスの胸に喰い付いた。裂傷は深く臓腑を抉り、鼓動を鳴らす心臓を捌き、拳武の阿修羅に致命の一撃を喰らわせた。

 

 

 

 

 

 

嗚呼、ああ素晴らしい。

 

何たる幸運だろう。戯れに目を掛けてきた少女が、己に届くまでに成長したこと。それどころか、まだ成長を続けまだ進化を追い求めている。己に追い縋ってきた強敵を乗り越え、奮起した相手に乗り越えられ、また己が壁を打ち破る快感。感じた事のない充足。相手を鍛え相手に鍛えられる悦び。あぁそうなのだ、自分はこれをこそ求めていたのだ。

 

「クッ――ハハハハハハハハハハハハハハハハハァッ!!」

 

サヴァリス・クォルラフィン・ルッケンスが哄笑する。

 

やっと、やっとだ。やっと見つけた。己の乾きを癒す至高の敵手。元同僚(レイフォン)では足りない、天剣最強(リンテンス)でも足りない、絶対無敵(アルシェイラ)ですら足りなかった。だが遂に見つけたのだ、この少女こそ己の標的(はんりょ)

 

サヴァリスは清々しく獰猛な、そんな矛盾している印象の笑みで少女を迎える。

 

胸を捌かれた程度で止まれるかと、体内を巡る活剄を治癒に回すことすらせず拳を握る。確かな手応えを感じながらも、それすら乗り越えると事実を確信していたクラリーベルが、(つい)にして(つい)の一撃を見舞うべく差し迫っていた。

 

体勢を崩しながらもその剣に対抗すべく、彼は循環する剄と別に放出するための剄を用意する。それもただの外力系衝剄ではなく、彼の生家たるルッケンスにも根深い化錬剄。しかし、これはルッケンス一門の技に非ず。サヴァリス・ルッケンスが天剣クォルラフィンを手にしてのちに編み出した、彼独自にして彼のみの絶技。レイフォン・ヴォルフシュテイン曰くの天剣技。

 

活剄衝剄混合化錬変化、天剣技――麒麟(きりん)・絶招。

 

戦闘狂と呼んで相違ない彼が選んだのは、回避でも防御でも、相殺ですらない特攻。だがそれは、事実として間違った選択とも言えないだろう。天剣たる彼の誇る奥義と言える剄技。その絶対の一撃でもって相手の攻撃をも打ち砕き……いや、そんなものは余波であり余録。ただ対象を滅殺すべく行動し、その通過点にある剣戟が勝手に破れるだけなのだ。それを成せるからこそ、サヴァリスは天剣授受者なのだから。

 

武芸者として基本たる活剄を突き詰めた超身体能力を駆使し地を翔ける(・・・・・)。たった一足で最高速度に達したサヴァリスは、足を付ける事なく地表と並行して移動する。同時に前身から迸る化錬の衝剄。相手に付けた化錬剄の糸を通して衝撃を送る、蛇流というルッケンスの剄技を応用して、先行した化錬剄の電流がクラリーベルを襲う。

 

電流の威力自体は活剄で上手く殺したようだが、当然の原理として電気が走った筋肉は収縮する。例えどれほど短い刹那の時間だろうと、その一瞬の足止めでサヴァリスは彼女の目前に到達していた。

 

総身から吹き出る雷光の剄は先行したそれとは比べ物にならず、自然界の落雷などより凶悪な破壊性能を宿すそれは、少女の愛剣たる胡蝶炎翅剣という錬金鋼(ダイト)に取り付き瞬時に損壊させる。

 

「クラリーベル……ロンスマイアァアアアアアアア――――ッ!!」

 

接敵した彼が繰り出したのは掌底。体表を取り巻く化錬変化された衝剄が、徹し剄と呼ばれる技法でもって内部破壊を引き起こし、掌打自体の激震も合わさって内外の同時崩壊が達成された。彼の流派において、剛力徹破と呼ばれるそれと同じ原理だ。超速で放たれた一撃が肉を潰し、まとわり付く紫電が五臓六腑を掻き乱し、紅刃の少女に致命の一撃を喰らわせた。

 

 

 

 

 

開戦からどれほど経過しただろう。彼は倒れ彼女も倒れ、並んで空を見上げていた。五体を投げ出す男と少女の、隣りを向けば互いの足元。手を伸ばせば触れそうな、伸ばしても届かないような、何とももどかしい微妙な距離感。それが何とも奇妙な気がして、どちらからともなく笑声を漏らす。

 

共に数刻と持たず生を終えるだろう致命傷。強者と戦えるならば死もまた本望、などと公言していたような両者だが、事ここに至っては死を厭わしく思う。死んでしまえば道は潰え、相手の成長が楽しめなくなってしまうから。

 

そこで自分が死ねば相手が成長を終えてしまう、などと嘆かないだけ互いを理解し合っている。自分たちは修羅だ。相手がいなくなったことを悲しみ、悼み、嘆くだろうが、強さを求める本能は決して変わらない。成長の道は変わるだろう、成長の速度も衰えるかもしれない。だが、成長しないなどありえない。それを求める事を辞めるほど、自分たちは人間が出来ていない。

 

――だが、それでも。

 

何となく右手を伸ばせば、同じく伸ばされた指先に触れた。伝わる熱は死闘の残滓。決して異性を意識しての情欲に因るものではない。けれど、この繋がりを手放したくないと思う。それを絆と呼んではいけないのか? この血塗れた関係に馳せる想いを、愛と呼んではいけないのか?

 

いけないのだろう。間違っているのだろう。でも、それでも既に手放せない。この情熱を捨てたくない。ああ、だからそれを形にしよう。言葉に乗せて、消せないように告げてやろう。

 

「サヴァリス・ルッケンスは君の事を――」

「クラリーベル・ロンスマイアはあなたの事を――」

 

(あなた)を生涯、見つめ続ける。

 

 

 




クララも好きですが、リーリン健気可愛い、メイシェン不憫可愛い。でもやっぱり一番はフェリちゃんなんだよなぁ。

そして今回、地の文の書き方を変えてみました。
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