ギャルゲーマーとギャルゲの主人公 作:神のみはいいゾォ
あー今日は笑った笑った。
そんなことを思いながら放課後の廊下を歩いていた。
あのエルシィがケーの妹としてこの学校に来たというのは腹抱えものだった。苦々しい顔をしていたケーの様子を見ながら食べる昼飯は美味かった。
そんなことよりだ。この前の高原歩美の取り憑いたお化け…駆け魂だっけかを駆除したということで俺はもうお役御免かと思ってたけど、あのエルシィが学校に来たということは……そういうことなのか?
それだったらそれでまたケーに押し付けられそうな気がするから面倒だな。
高原歩美の件を手伝ったのだって俺の知りたいことを知れるかもって思ってやっただけだし、結局よく分からんかったけど。
「さて今日は帰ったら何するか…」
今はケーやエルシィとは一緒じゃない。
そんな四六時中一緒にいるわけないでしょ。
そんなこんなでこの後の予定を頭の中で組みたてながら校舎の外へと出る。
そのまま校門へ向かいながら歩いている時、
「ん?」
目の前に見えた2人の人物。
「帰るわよ、森田」
「はい、お嬢様」
1人の男と制服に身を包んだ金髪のツインテールの女子生徒。
その2人が高級車に乗り込んでいる光景。
「あれは……」
その女子生徒の方。なぜかは分からないが見ていると懐かしさが蘇ってきた。
初めまして……のはずなんだけどな。
「……ふむ」
ま、今はいいか。
その車が走り去るその光景を見送りながら俺も家へと歩を進めた。
▼
「改めて見ると大きな学校ですねー」
隣を歩くエルシィがそう言いながら学校を見ていた。
エルシィが転校してきた翌日の昼休み、俺はケーとエルシィと3人で外を歩いていた。
「ここが体育館ですか」
「田舎だし土地も余ってるし、中等部も一緒だからな。隣には大学まであるぞ」
ケーの言葉に俺も驚いた。学校のこととか興味なかったから知らなかったわ。
そりゃでかいわけだ。
「それにしても…」
そう言いながらエルシィは当たりをキョロキョロ見回していた。
「女の人が多いんですね」
「もともと女学院だからな。中、高合わせても男は200人くらいしかいないんじゃないか?」
そんな少ないのか。よく知ってるな。
「対して女子は1000人近くいるぞ」
「1000人!?」
多すぎぃ!なんやその比率。5:1とか頭おかしいな。
「若い女性が集まる場所。駆け魂の絶好の逃げ場です……」
「女が多いと好都合なのか?男の中には逃げないのかよ」
「駆け魂は女の中にしかいません」
「なんで?」
「隠れた女の子供として転生するからです」
……えぐくね?怖すぎ。
駆け魂さんよ、もっとこう手心というか…。
てか、
「お前らはいつまで俺に着いてくんの?」
「え?」
「いいだろ別に」
ゲーム画面から目を離すことなくぶっきらぼうに言うケー。
目を見て物を言え。
「駆け魂は1匹だけじゃなかった。だったらまたお前に手伝ってもらうことになる。なら一緒に動いてた方がいいだろ」
「いや、もう俺はやらんよ?」
「お前に拒否権はない」
「……ここでお前死ぬか?」
「わ、わわわ!喧嘩はダメですよ!おふたりとも!」
ケーのゲームを叩きわろうとしたけどエルシィに止められて握ってた拳を渋々とおろした。
全く、エルシィに感謝しなさいよ、ケーくん。
そんなことをしてると、
「待ちねぇ!待ちねぇ!パンはいっぱいあるよハングリー児童たち!」
そんな大声が横から聞こえてきた。
そっちに視線を移すとそこには売店があった。
【外パン】と言うやつか。
「今日は火曜日!お待ちかねの【具ッドチューズデイ】さ!全てのパンの具材が10%増量だよ!」
くだらんダジャレ。だが嫌いじゃないぜ、ばっちゃん。
「あれは…」
「外パン」
「外パン?」
エルシィの声に反射的に返してしまった。くそ、会話に混ざらないようにしてたのにアホの子成分が俺の口を滑らせる。こいつ!デキル!
「まあ、うちの学食たけぇからな。ああやって売店のパン買ってんだ。ちなみに1番人気はオムそばパン」
「なんですか?オムそばパン…」
「焼きそばパンを卵で包んだやつだ。ソースがオリジナルでうめーらしい。俺は食ったことない」
「おいしそう…」
俺も今度買うか。ちょっと言ってて気になった。
そうして他愛ない話をしていた時、
━━ドロドロドロドロドロドロドロドロ……
「っ!」
「ん?」
「あ?」
エルシィの頭に着けてるドクロのアクセサリーからそんな音が鳴り響き光出した。
「き、来ましたよ!駆け魂サイン!」
あ、それセンサーなんだ。ケーはもう見たのか気にも止めてない。
……ああいう子供向けのおもちゃあったよなー。
「こ、これはいきなり近いですよ」
「なんで俺たち隠れてんの?」
「一応だ。一応」
即座に近くの木陰に移動する俺たちは、気の影からこっそりのぞきこんだ。
「なに?人混みん中にでもいんの?」
「いや、あそこじゃない気もするが…」
そうしてると目の前にひとつの影が映り込んできた。
腕を組み、仁王立ちするその姿。
「静かに!そこの庶民たち!」
「あ」
それは昨日の放課後、見かけたあの女子生徒だった。
「森田、前から気になってた、あの人だかりはなんだ?」
「外パンでございます。金に不自由な民のために設けられた慈善の施設ですな」
「ふぅん……変なものが売ってる。オムそばパンだと」
そこまで言ったその女子生徒はひとつもらおうなんてこと言いながら売店へと向かっていった。
あ、1万円札出してる。
あ、お釣りないのか。
あ、1万で買えるだけ買ってる。
あ、オムそばパン無くなった。
……わぁお、豪快な金の使い方。もったいね。てかあんな華奢なからだでそんなにパン食えんのか?
そんな光景に他の生徒たちもパンが無くなったことに苦言を呈していたが、
「喚くな庶民、私のように金持ちになれ」
その言葉を残しその場を去っていった。
……お前が金持ちなんじゃない。お前の親が金持ってんだろばーか。
おっと貧乏人の嫉妬が…。
「で?駆け魂の持ち主は?」
「あの娘です…」
「はああああああ……」
ケーとエルシィの会話に俺はクソデカため息をついた。
神のみをまた1から見直しながら書いてるけどやっぱおもろいね。
どこかしらでオリジナル要素入れたいけどどうするか…。
感想、評価待ってます。