本格的始動が始まる
「最終コーナーを抜けた誰が先に抜け出すか!?」
栄光への道は険しい
オークスが終わって数日
海外から来た彼女達の滞在できる期間は短くなってきた、
少しでも想い人といたい一緒に連れて行きたい想いが募る。
だが
「いい加減諦めたらどうだ?お前達」
「ぜぇぜぇ」
「嫌だ・・ハァハァ」
「うっぷ・・まだよ」
「ここで諦めたら・・何の為に・・ハァハァ」
練習コースで彼女達を見下ろすカスケード彼に勝とうと必死に何度も何度も走るが、
その様子を見ていた他のウマ娘は、
「レベルが違いすぎる!」
「マークしてもブロックしてもあの走りは!?」
その脚で走る彼を見た者は言う
恐怖という絶望が
何度先に走っていようが何度位置を変えようが、
カスケードの走りは後ろから徐々に迫ってきて一気に抜かれていくという
地獄の底から這い上がって来た亡者の如く
「お前達がどれだけ挑んでこようが今のお前達では俺には勝てん」
「待ってカスケードあと一本」
ルナはもう一度と懇願するが
「そんな状態の脚で挑む愚か者ではないだろ、ルナ!」
「・・・・」
沈黙するムーンライトルナシー
「ダーリン、いくら何でも言いすぎよ」
「ミシェル・・中途半端な気持ちで俺に挑むな!」
「カスケード・・・中途半端なわけで挑むわけないでしょ!!」
ミシェルはムーンを擁護するが一蹴するカスケードにエラズリーが想いをぶつけていることを言う
「コンディションも走りも中途半端で何度も挑まれても勝てるつもりでいるなら・・」
「カスケードそれ以上は言っていけない・・私が言い聞かせておくから」
カスケードの怒りが頂点手前に立つ前にトニビアンカが言う
「・・・ビアンカ後は頼む・・ちゃんとクールダウンはしろよ」
その場を後にするカスケード
残された彼女達は
「お嬢様!」
「セバス・・ごめんなさいちょっと愚かだったわ」
(分かっていたけど・・彼はもっと先を走ってるこんな脚で挑んだ自分が情けない)
「ミシェール!!大丈夫デスカー!?」
「タイキ・・・ウワーン・・・グス」
「ミシェル・・気持ちはワカリマース今は泣いていいですよぉ」
心配して来たベストフレンドのタイキシャトルがミシェルを慰める
「カスケード」
「エラズリーちゃん」
エラズリープライドはカスケードの背中を見て名を言うがその表情は捨てられた動物のような顔をしている
心配そうに見るハルウララ
「君は本当に強い、だから尚更心配なんだカスケード」
「ビアンカさん、カスケードさんはどうして?」
「不甲斐無いのもあるが、彼を怒らせてしまったようなもんだ」
トニビアンカはその場を後にしたカスケードを心配しながら自身の己の実力の未熟さを痛感
スペシャルウィークは皆の心配をしながらもカスケードの怒った理由を
「いつだってそうだ彼は真剣だ、まるでなにかを追い求めて走っている」
「ビアンカさんそれって?」
「スペシャルウィーク・・それは彼にしかわからない、なにを追い掛けているのか、なにを求めているのか彼から聴いた事すらないし話された事もない」
「・・・・」
「すぐそこに世界があると言うのにカスケード!お前は」
「ビッグ教官、確かに国際G1は名誉な事だ」
「尚更カスケードお前は歴史に名を残せるんだぞ!?」
「確かに俺はビッグ教官に勝って知名度実力も得ただがまだ世界には興味がない」
「だがなぜ日本なんだ!?あんな小さな国で何があるっていうんだ!!」
そうだな 前の人生ではあの馬達が走ったあの
この名で産まれた俺は尚更確かめたいことも
「日本には俺のライバルになる奴が出て来るかも知れない」
「なんだと!?私が知らないウマ娘がお前のライバルになるっていうのか!?」
マキバオー アマゴワクチン サトミアマゾン
俺がこの世界で彼らがいるかも知れないと思ったが存在はしていなかった
勿論他の奴等も調べたがな
だが
「皇帝・葦毛の怪物・白い稲妻」
「過去の猛者達を言ってもお前はそいつらとは競えないぞだがなぜ今更その名を」
「ビッグ教官、その名を世界に知らしめた異名のウマ娘が出て来たのはなぜだと思いますか?」
「・・・・」
「伝説と言われたレースも数知れずですが俺はそんなレースがしたい熱いレースがしたい」
「バカだよお前は・・世界を蹴ってまで走るのか日本で」
「確かに世界挑戦は魅力的ですがまだその時期ではないです」
「いずれ世界挑戦をする気か!カスケード」
「ハンガリーの奇跡には届かないかもしれないですがね」
「!?」
ドバイトレセン学園で在籍した時に
ビッグ教官とタイマンマッチレースで勝って去る前に教官との会話を思い出す
「かっこ悪いな俺」
彼女達には悪いことをしたと思う
彼女達が向ける視線は俺に好意を寄せている、だからあえて突き放そうと実力差を分かって貰おうと
「ぐびぐび・・・ぷはぁぁ・・・」
用意したスポーツドリンクを飲んで気持ちを落ち着かせようとするカスケード
「随分と厳しいじゃないか、カスケード」
「シンボリルドルフさん」
「ルドルフで良い・・この場ではな」
皇帝が声を掛ける
「厳しくしないと彼女達が、本国でもこの先たった一つの敗け程度で落ちぶれたりしたらそこまでのウマ娘だったということです」
「確かに・・たった一つの敗けで調子を狂わせて立ち直るのには苦労した物だ」
勝利より、たった三度の敗北を語りたくなる
ジャパンカップで三着だったシンボリルドルフ、その後有馬記念ではミスターシービーやカツラギエースを破って勝利。
翌年の天皇賞春制しジャパンカップではリベンジを果たし有馬記念も勝利してG1七冠という偉業を達成していざ世界へ挑戦と言ったが
アメリカのGⅠサンルイレイステークスで彼女の脚に悲劇が
レース中に故障(左脚繋靭帯炎を発症)して7頭中6着と大敗そして日本へと帰国し引退を発表と同時に電撃婚約を発表
旦那とは昔なじみの付き合いがあってたまに会う友人兼ファンであったが、隠れて恋愛をしてとかジャパンカップで敗けた時に支えられその時に告白したらしいしかも逆告白だそうだ。
「だが君は労いと言う言葉を掛けるべきだったはず?」
「・・・」
「沈黙は受け取るぞ」
ほんと皇帝さんには敵わないな
確かにあの場では声を掛けるべきだったな
「少し頭冷やしてきます」
「それがいいだろう、頭を冷やすことも重要だ」
その場から去るカスケード
「すまないな、ルドルフ会長」
「半蔵殿・・・これでよかったのですか?」
少し離れたとこから様子を見てた半蔵トレーナー
「俺が言うと更に自分を追いつめるようにトレーニングに打ち込みそうになるので」
「困ったウマ娘を助けるのも先輩としてOBとしての役目です」
「彼のストイックな性格が今に始まった事ではないので」
「昔からカスケードはあんな感じですか?」
ルドルフは半蔵に問う
「本多さんが言うには幼少期から既にトレーニングを始めておりそれをこなして自分にあったトレーニングを独学でやっていたそうです」
「幼少期からだと!?」
「俺がスカウトする前からそれが当たり前のようですこちらを?」
半蔵がルドルフの前に出したノートを開く
ぺらぺら
内容を見るルドルフ
「この年齢でこのタイムだと!?」
「正直俺も目を疑ったほどです」
ノートに書かれていたのは
2400㍍ 2分26秒
○×○△年 6歳 カスケード
天候は晴れ 良バ場 相手想定 カブラヤオー ミスターシービー シリウスシンボリ
先頭を走るカブラヤオーを想定
後方から迫って来るミスターシービーとシリウスを想定
その他歴代の日本ダービー制覇したウマ娘をイメージして走る
ノートの続きには
私は夢でも見ているのか!?たった6歳のカスケードが歴代のウマ娘と競い合っている光景が見えたいや確かにあの子はカスケードが走っている光景は本物と違いないほどの走りが見えた、正直これを書いている自分は頭がおかしくなったかともったが確かにみえたんだよ、彼女達がカスケードとレースしている光景が
だがカスケードはゴールして彼女達に勝っても悲しそうな表情をしていた、まるで誰かとの戦いを待ち望んでいるかのように
追記
私はカスケードに聴いてみた
「なぜそんな悲しい表情をしている」とそしたらあの子はこう言った
「小父さん、俺はもう一度あんな熱い戦いの興奮したレースがしたいんだ」とあの子は答えた
私はカスケードが誰かと競い合ったような素振りをしてるがいつどこで?レースをしたんだがわからない、うやむやのままその場の会話は終わった。
だが私は断言できる
カスケードはURAに名を残すウマ娘になる
ノートの一部の内容を見終えたルドルフは
「そうか・・自分に匹敵するウマ娘と熱いレースがしたいと」
「そうらしいです」
(だが妙に違和感がある、まるで誰かと既にレースしたような感じだ)
ルドルフは疑問に思いながらもページをめくる
同期のウマ娘ですら今の彼には勝てる相手がいない
唯一エアグールヴには併走トレーニングレースでは敗けたがそれでも彼は
「強すぎるが故に孤独か」
「えぇ、恐らく現状では上級生及び高学年のウマ娘達ですら太刀打ち出来るかどうかの領域に入ってますカスケードは」
(下手すればシニア級に入ってるウマ娘達ですら相手にならない可能性もあるわけか、もし時代が違っていれば私でも敗けてたかもな)
ノートの続きは後で見ようとルドルフはそっと手元に持ってくる
「半蔵殿、このノート借りても良いでしょうか?」
「いいですよ、関係者にしか閲覧しないようしてください」
含みのある言い方にルドルフは
「なぜです?」
「トレーナーからすれば常軌を逸した内容なので」
後日続きを見たルドルフと関係者は驚愕するのだがそれはまた別の話
三女神象前
「・・・この名を背負う以上敗けるわけにはいかない」
カスケードと言う名はこの世界で知ってもらう為にも俺は勝たなくてはいけない
そして
「マキバオー、ワクチン、サトミアマゾン・・・エルサレム」
違う世界で競い合った馬達の名を言うが彼らの存在はこの世界には存在していなかった
いやそもそもこの記憶と前の人生の記憶が混ざり合ってる
だがなぜ俺がカスケードという名で存在してるのか、
俺を産んだと同時に名前を付けて息を引き取った
「フジ姉、
俺を引き取ってくれて家族として迎えてくれた人達や支えてくれた人達の為にも
俺は絶対に勝ってあいつらが強かったという存在を知らしめる為に!
「・・・・・」
カスケードは女神像の前で独り言を言うが
三女神象はなにも言わない ただそこに存在しているだけの象徴
その渇望に応えられるウマ娘が現れることを望んでいるが、
果たして彼の前に現れるかどうかはわからない
存在意義に飢えたウマ娘ことカスケードは世界にその名を轟かせる事になるがそれは近いようで遠いかもしれない
次回
去る彼女達応えるカスケード
いよいよ海外のウマ娘達が帰国します
「「「「ええぇぇぇぇぇ!?」」」」」
その後からカスケードの本格的始動になります