やっほー、ニュース・クー!   作:スイヨウ

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翼付き美少女の翼の付け根を撫でたい。



運び屋の活動記録
海軍第77支部→


「……いつもより少ないですけど、これで全部ですか?」

 

 東の海にある海軍第77支部より少し離れた空き地にて。

 気絶し、縛られた男達がこれでもかと詰め込まれた網を見て首を傾げる少女へ、紫色の奇抜な髪型をした男──プリンプリン准将が口を開く。

 

「そうだ。つい最近ガープ中将がいらっしゃってね。その際に減ったらしい」

「ふぅん……まぁ、金額は変わらないからいいんですけどね。にしても、合計1500万ベリーですか……誰か強い賞金稼ぎでも出たんですか?」

「ああ。ロロノア・ゾロという剣士だ。随分と強い剣士だったよ」

「プリンプリンさんが強いって言うからには相当なんだ……ん、ありがとうございます」

 

 世間話を一つ二つ交わしているうちに準備が整ったらしく、厳重に拘束された網の持ち手が少女に渡される。

 重みを確かめるように引っ張った後、海軍の正装とは少し違うが、白を主体とした装飾の多い軍服の背にある穴からばさりと翼が広がった。その姿は白い服に銀色の髪、その端正な顔立ちとも相まって、御伽噺に出てくる天使のようにすら見える。

 が、プリンプリンに動じる様子はない。この支部ではよくある光景なのだ。

 

「あ、プリンプリンさん。またスイーツのお店行きましょうね。紹介してくれたあそこ、気に入っちゃいました」

「それは良かった。また休日が重なった時にでもご一緒しようか」

「はい。……では、行きますね」

 

 別れの挨拶が終わるなり、体の半分ほどもある白い翼をはためかせ、海賊の入った網を持って飛んでいく少女を見送り──飛んでいった方向へ熱視線を送る部下に溜息を一つ。

 

「……いつまで呆けているんだね」

「……はっ、すみません」

 

 振り向いた彼の顔は見覚えがない。彼女に大きく心を動かされた様子も含め、おそらくは新兵だろうとあたりをつけたプリンプリンは支部へと歩き出す。

 慌てて付いてきた部下から、予想通りの質問が飛び出した。

 

「あの、准将。彼女はいったい……?」

「“運び屋”だよ。船より速くアレらを届けてくれる、ね」

 

 その名を聞いて、部下が納得したように頷いた。

 海軍支部には、それなりの頻度で海賊──もしくは海賊の死体が届けられてくる。いわゆる“賞金稼ぎ”の仕業である。

 懸賞金の掛かっている海賊を無力化し、海軍へ突き出す。生きたままなら懸賞金通り、死んでいても7割は貰えるというこのビジネスは、腕の立つ者からすればかなり手軽な資金源になっているらしかった。

 海賊が減ることは本来の目的である治安の改善に繋がるため、海軍的にも助かっているのだが……問題は、その頻度にあった。

 

 海軍支部の設備が整っていないわけではない。だが、何十人、酷い時は何百人もの海賊を収容しておける施設などあるわけがなかった。

 かといって支部の外に放置していては逃げられかねないし、本部への輸送は時間がかかる。といっても、結局は何度も本部と支部を往復するしか無かったのだが。

 

 そんな面倒くさいがどうしようもなかった状況を改善してくれたのが、あの少女であった。

 ハネハネの実を食べた羽人間──本人はせめて鳥人間にしてくれと文句をよく言うが──であることを活用し、飛ぶことで荷物を素早く届ける彼女の存在は一部の海軍支部にとって救世主にも等しく、噂ではファンクラブもあるとかないとか。

 

「そんなものが……どこで入会できるんですか?」

「私に申請したまえ」

 

 ちなみにこのプリンプリンは会員No.3である。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 海軍第77支部から受け渡し地であるマリンフォードへ気絶した海賊達を運ぶ途中。

 もうすっかり慣れた風圧の中で、羽の少女──エアは、昔を懐かしんでいた。

 

「馴染んだものだよねぇ……最初は、あんなに嫌だったのに」

 

 悪魔の実を食べてしまったせいで5歳の時に海へ捨てられ、死にかけていたところを偶然通りがかった海軍に救われて。

 水を吐き出しながら彷徨った死の淵で覚醒したのは、前世の記憶だった。走馬灯のように流れてきたため、一瞬何が何だか分からなかったが。

 

 そうして初めて分かったのが、ここは漫画の世界だということ。

 せいぜいが主人公と世界観くらいしか知らなかったが、海賊が跋扈する危ない世界であることは知っていたものだから、息を吹き返しても暫くは落ち着かなかった。主に、これからのことが不安すぎて。

 保護された先の海軍だといつ戦いに巻き込まれるか分からないし、かといって治安最悪な中で一般人としても生きたくない。海賊としては論外。そもそも、明日を生きるお金すらない。

 

 そうやって頭を悩ませていた少女に突然答えを出してしまったのがその海軍船のボスであったクザン──現大将、青雉だった。

 

『その羽が上手く使えんなら、荷物運ぶの手伝ってくんない? お駄賃出すからさ』

 

 まだ5歳の少女に投げかけるにはちょっとアホすぎる言葉だったかもしれないが、前世の記憶持ちになってしまった少女には何より助かる言葉だった。

 

『その方向で今後も働かせてください!!』

『えっ? いいけど』

 

 どこかで聞いたような台詞を吐く少女に、あまりにも軽いオッケーが送られる。

 それが“運び屋エア”の始まりであった。

 

「あ、やっほー」

「クー」

 

 こちらに気付き、羽が当たらないくらいの距離まで近寄ってきたニュース・クーに声を掛ける。人の言葉とかがある程度分かるらしい鳥へ、鞄の専用ポケットへ入れていたパンの耳をポイと投げれば、慣れた様子で嘴でキャッチし、そのまま食べ始める。

 

 成長するにつれよく分からないほど上がっていった身体能力と能力制御で、今ではこんなことすらできてしまう。昔は風に吹かれて飛ぶのもままならなかったのに。慣れとは偉大なものである。

 

「さ、目的地まであとちょっとだ」

 

 戦いはしたくないし、襲われるのも嫌。でも、安定して稼ぎたい。

 そんな我儘な自分に応えてくれる環境と能力があって本当に良かったと思う。

 しかも、人の役に立つお仕事! 前世でも経験したことのないくらいのやり甲斐に、夢中になってしまっている。

 記憶が戻った当初は泣くくらい嫌だったけど、今はもう平気。

 

「じゃあね、ニュース・クー!」

 

 私、今日もお仕事頑張ります。

 

 




[普通に原作読んでても覚えてないキャラの紹介コーナー]

・プリンプリン准将
ナミ編、アーロン戦の前にゴザ(金が無くてアーロンに潰された村)を助けに来た海軍第77支部所属の准将。なお、アーロン配下に船を沈められて消息不明になった模様。
支部と本部の差は階級三つ分とのことなので、海軍本部少佐クラスの強さはあるようだ。といっても「多少なり名の通った精鋭部隊」というように、集団戦が本質のようだが…。

登場時点のたしぎ(ローグタウン)が曹長で、フルボディも大尉(ヨサクとジョニーを瞬殺したり、海賊団を一人で殲滅するなどそれなりに強い)であることを考えると、指揮する部隊が陸上だとそれなりに強いor彼本人がそれなり以上に強いと思われるので、今作品では前者と後者のハイブリッドとして上方修正を受けている。多分クリークとはタイマンでも集団戦でも勝てるくらい。懸念はギン程度。当時のギンの強さはいまいち分からない…。
チュウに秒殺されているため強い印象はないが、あの船破壊はヒナとかでもどうしようもない気がする。スモーカーなら謎のバイクでどうにかなるかもしれないけど。

『運び屋の活動記録』(1〜8話)で一番良かったと思う話はどれですか?

  • 海軍第77支部→
  • →マリンフォード
  • アラバスタ→
  • →バラティエ
  • →ドラム王国
  • ウォーターセブン
  • →女ヶ島
  • →スカイピア
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