シェルズタウンのレストラン、food fooを出て、ルフィとゾロは港の方に向かっていた。
絶食していたゾロとただただ大量に食うルフィの食事を店主持ち(涙目だった)で終え、コビーとも別れ、いざ次の島へと港に来たのであるが──
「そういや、エアの奴はどこだ?」
「あの羽生えた女か。小舟用意してくれたのもアイツなんだろ? なら、待ってりゃ来ると思うが」
「いやー、どうだろ。仲間にならないって言ってたしな」
「じゃあなんで一緒に行動してたんだよ……」
食事の前から姿が見えないエアのことをぼやきながら出航の準備をしていたところで、ふとゾロに大きな影が降ってくる。
白い羽が一つ肩に落ちて、その正体が分かった。
「──間に合ったね」
「お、エア! お前も来るのか?」
「いや、行かないよ。言ったでしょ、仲間にはならないって。見送りだよ見送り」
「えー」
ぶーぶーと唇を尖らせるルフィに呆れつつも、緩む口元が抑えきれなかった。仕事上、大量の人とは会ってきたし、その中には人たらしも勿論いた。けれど、その中でも彼は格別だと思う。
「コビーにも言ってたみたいだけど……友達、でいいでしょ」
「しょうがねーなー。おれは、友達と仲間両方が良かったけどな!」
別れが惜しくなる前に、背中をポンと叩いた。やっぱり、自分でも知らないうちに随分と彼のことを気に入ってしまったらしい。
「モーガン大佐の身柄を確保するよう、海軍に連絡してきたから。ずっとここにいると、ついでに捕まえられちゃうよ?」
「そりゃまずい! よしゾロ、船出の準備だ!」
逃げるぞー! と楽しげに叫ぶルフィに堪えきれず、フッと笑みが漏れる。何から何までガープさんにそっくりだけど、自由さだけは確実に彼の方が上だった。
「ルフィさん、ありがとうございました! この御恩は一生忘れません!」
「全員敬礼!」
いつの間にか近くまで来ていたらしい海兵達が、町民達の少し後ろでルフィを見送る。あるものは敬礼をして、あるものは喜びと感謝を表しながら手を振って。
到底海賊とは思えない船出にクスっと笑って──空へと飛び立っていった。
「……いいのか? 仲間にしたかったんだろ」
「にしし、ちょっと残念だけど、いいんだ! 友達にはなったしな!
それに──また、会える気がすっから」
◇
マリンフォードの住宅街、その中でもそれなりに大きな家。いつも通り、最低限の仕事だけをして青雉──クザンは、家に帰ってきた。
海軍本部大将にもなると家一つですらある程度の格が求められるということに辟易していたのが懐かしい。最初は広すぎて不便さすら感じたものだが、同居人が一人増え、それの面倒を見ようとガープ中将、おつるさんといった面々が来るようになってからはそれも感じなくなっていた。
「クザンさん、おかえりなさい」
「──お、エアちゃんか。ただいま」
最近はその同居人──エアも、仕事に夢中のようで、家を空けることが多くなっていた。必然的に訪れる人も(最盛期よりは、だが)減っていた。寂しさが無かったと言えば嘘になる。
「悪いんだけどさ、夕飯用意して貰えたりする?」
「今日は普通に帰ってくるっておつるさんから連絡を貰ってましたから、既に用意できてますよ」
流石はおつるさん、と心の中で呟きながら、キッチンとダイニングを行ったり来たりするエアを見つめる。
「なんだ、随分機嫌が良さそうじゃないの」
「そうですか? 今日の依頼はトラブル続きで、もうすっかり疲れましたよ」
そう言ってエアが口を尖らせるも、すぐに笑みに変わった。
トラブル続きなのは事実だし、疲れたのもそうだ。だが、確かに──
「一つだけ、良い出会いもあったんです」
「──そうか。そりゃあ、良かったな」
<嘘予告>
『我々は多少なり名の通った精鋭部隊…君らが、もし大人しく…』
『チュッ、敵を前にお喋りかい?』
『ーーする気は、無いようだね』
次回、プリンプリン准将率いる海軍vsアーロン一味vs麦わらの一味
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3/2追記 諸事情により1日空きます
3/5追記 嘘予告になりました。