「……にしても、本当に付いてくるの?」
偉大なる航路上空にて。
無事に交渉を纏め、イガラムとビビをゴーイングメリー号に乗せて貰ってきたエアは、本拠地であるマリンフォードへ帰る途中だった。
しかし、その腕の中にはレモン色の髪をした女性──ミス・バレンタイン改めミキータが抱えられている。
「ええ、もちろん。忙しい中マリンフォードに戻らなくちゃいけないくらいには人手不足なんでしょう? なら、私だって何かの役に立つかもしれないわ、キャハハハ!」
にしても空を飛ぶって気持ちいいわね、などと呟くミキータをエアは意外そうな目で見つめていたが、ゆっくりと視線が軟化していく。思っていたよりは信用できる人なのかもしれない。
「……見えてきたよ」
眼下には見慣れた街、眼前には聳え立つ海軍の基地。
海軍の総本山、マリンフォード。
その威容にごくりと唾を飲み込んだミキータは、ウイスキーピークで聞いた話を思い出していた。
◇
『これ、約束のもの。……道中の襲撃に気を付けてね』
『ベリー分の働きはするわ。エア、アンタはこの後どうするの?』
アラバスタ行きについて全員の承諾を得た後のこと。
緊急時のために持ち歩いていた1000万ベリー相当の拳大なルビーをナミに渡した時、何気なくナミが問いかけてきた。
見れば、出航の用意をしていたはずのビビ達まで手を止めてエアに視線を送っている。
『戦える仲間を連れてくる予定だよ』
『仲間? アンタ、一人で活動してるんじゃなかったのね』
『うん。主に偉大なる航路で、護衛代わりに動いてくれている人が居るので』
『護衛代わり、ねぇ。七武海相手でも平気なの?』
『……海軍中将や大将に揉まれてた元海軍だから、ね』
その言葉へ、まず真っ先に反応したのはミキータだった。
『ちょっと待って!? 私は長年エアさんを追いかけてるけど、そんなの聞いたことないわよ!?』
『可能な限り隠してるからだね。荷物目当てに襲われる時、こちらに戦力がいるとバレると適正戦力で襲われる。けど私一人だと思ってくれれば油断するから』
それもそうかと言い分には納得するが、組織の情報網を使っているはずの自分が掴めていないというのは相当な隠蔽度合である。それも、元海軍だというなら尚更だ。強ければ強いほど名が売れているはずなので、おそらくは然程名前が広まっていない、階級が低い時代に引き抜いているのだろう、と予想は付く。
だが、偉大なる航路の中、エアと二人だけで海賊相手に荷物を守れるような強さとなると上の条件に合わなくなってくる。
『それで、エア。そいつの名前はなんて言うんだ?』
考えを巡らすものが何人かいる中で、ルフィが純粋な興味からその人物についての質問を放つ。全員の注目が集まる中、エアが口を開いた。
『彼の名前は────』
◇
運び屋のアジトにて、豪華そうなソファに座る長身の男が一人。
赤みがかった髪へ黒帽子を被っているその男は、入り口から入ってきた二人の女性──エアとミキータを見て、ニヒルに微笑んだ。
「……久々の出番か?」
「うん。アデルちゃんには悪いけど、ちょっと緊急の要件が入っちゃったんだ。
……よろしく、シュライヤ」
男の名はシュライヤ・バスクード。
別の世界線では“海賊処刑人”と呼ばれる賞金稼ぎであった彼の左胸には、白い翼のバッジが輝いていた。
やっと出したかったキャラが出せた!!!
何回も見たのでキャラは掴めてるけど、悲しいことにU -nextでデッドエンドが有料になってたので見返せない。なんか口調とかでミスが生まれたらそっと教えてくださると助かります。
この後いつもの人物紹介と、次回更新について書きます。本編のみ興味があるという方は飛ばしてくださって平気です。
・シュライヤ・バスクード
映画『デッドエンドの冒険』に登場した海賊処刑人の異名を持つ凄腕の賞金稼ぎ。サボとエースを足して2で割ったような見た目をしている。
食い意地が張ってたり家族想いだったりと主人公っぽい属性が盛られているところに闇が覗く、好きな人はとことん好きなタイプのキャラ。私は好きです。ワンピの二次書くならこいつは絶対出す、という人物だった。
史実の彼の話は映画のネタバレにもなるので控えるが、ニュース・クーの彼はかなり違うルートを辿っている。後々本編か外伝で明かしていく予定。
次回はアラバスタの戦いをしっかり練れたらになりますので、少し時間がかかります。