やっほー、ニュース・クー!   作:スイヨウ

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まさかの投稿。リハビリは済ませたので、文章は大丈夫なはず……。
もう書けないと思ってたけど、ワンピss見てたら書けそうな気がしてきてしまいました。素晴らしき作者の皆様、ありがとう………。

文章の感じも少し変わりましたが、ストックしてたプロットに従って書き直しました。


マリンフォード→アラバスタ

 

 マリンフォードからアラバスタまで戻る三つの人影は、同じ空を飛んでいるニュース・クーが目を丸くするほどのスピードを出していた。

 

「キャハハハ! これ、さいっこうね!」

 

 そのうちの影の一つは、元バロックワークスのオフィサーエージェントであり、運び屋の過激なファン。ミス・バレンタイン改めミキータ。

 はしゃぐ彼女の背中にはエアによく似た一対の白翼が生えていた。

 

「いやー……浮くのには慣れてるんだろうけど、ここまで羽を使い熟すのが早いとはね。割とセンスいいシュライヤだって一ヶ月はかかったのに」

「キャハ、風の流れを意識するのは一緒だもの!」

 

 キロキロの実で重心を操作し、外付けのハネハネで速度を増す。

 ハネハネを他人に付与してきたことはよくあるが、ここまで噛み合いの良い悪魔の実があるのかと瞠目するほどにミキータの扱いは達者だった。

 

「ま、僥倖だろ。元々運び屋業務が増えすぎてたんだ。やる気があって即戦力な人材なら迎え入れていいと思うぜ?」

「良いこと言うじゃない、えっと……シュライヤだったかしら。これからは同僚として……」

「いや気が早すぎるって。ミキータさんがウチに入りたいってのは助かるけど、とりあえず今はアラバスタが先ね」

 

 エターナルポースを見せるように振るエアが、気の抜けた苦笑を止め、真剣な表情へと変わる。

 

「基本方針はビビと現王……コブラさんを守ること。この二人が居なくなるとその後がどう頑張っても上手くいかないから、最優先ね」

「ハッ、つくづく運び屋の仕事とは思えねえな。ま、了解」

「しょうがないでしょ。……敵はクロコダイルさんは多分確定、でも基本戦闘は避けてね。()()使()()()()()()()()()()()()だと、タイマンなんて自殺行為だから」

 

 かつて見た戦闘能力を思い出したのか、憂鬱そうに溜息を吐き出すエア。

 白ひげに負けて腐っていた時からどんな心境の変化があったのか、ここ数年でクロコダイルは新世界に居た時の覇気を一部ではあるが取り戻していた。

 

「ま、それはいいけどよ。計画を止めつつ、戦闘は避けるなんて上手くいくものかね?」

「たぶん。クロコダイルさんが時間を掛けてるのは、民の信頼を得たいから。だとすると、極力武力行使は控えたいはず」

「キャハ、なるほどね。素早く計画をミンチにして、出てきたクロコダイルを囲んで叩くってわけ」

「そう。シュライヤとルフィくん、アラバスタに仕えてるペルさん……あと、なぜかアラバスタまで来てるらしいスモーカーさんで」

 

 戦力を指折り数えるエアが出した最後の名前、スモーカーに真っ先に反応したのはシュライヤだった。

 

「スモーカー? あいつは確かローグタウンで……いや、命令違反はいつものことか。にしても、海軍連れて来れるならもうちょい強い奴でも良かったんじゃないか。アイツじゃクロコダイルの相手は荷が重いだろ。お前が誘惑すれば青キジくらい連れて来れないか?」

「スモーカーさんにもクザンさんにも私にも失礼。……私だって連れて行けるならガープさんとかブン投げたいけどさ。そうするとクロコダイルさんって計画を延期すると思うんだよね」

 

 エアの懸念はそこが大きかった。

 アラバスタという大きな街で凶悪な海賊が英雄呼ばわりされていることを10数年の間、一度も海軍が怪しまなかったとは思えない。

 おそらくは何度か調査を重ね──その全てを隠し通された。

 

「クロコダイルさんって、勝てない相手に正面から立ち向かう人じゃないから。ガープさんとかクザンさんが来たら、英雄のフリして反乱を鎮めると思うんだよね。それでまた元の睨み合いに戻して、海軍の目が外れたら不穏分子を動かす。一度反乱が起きたなら、二度目を起こすのは簡単だろうから……」

「つまり、相手がこっちをナメてる間に叩く必要があると」

「大体そういうこと。ヒナさんにお願いして後詰の人員くらいは用意しておいたけど、計画の破綻まではクロコダイルさんの盤面にいる人間でどうにかしたいんだよね」

「バロックワークスにいた頃から用心深さは分かっていたつもりだけど……こうして敵に回してみると最悪ね」

 

 そう。準備できる場があった謀略家などというあまりにも面倒すぎる相手だからこそ、ここまで迂遠な手段を取るしかないのだ。既にこちらはチェックメイト寸前なのだから。

 

「──と。話しているうちに見えてきたな、アラバスタ」

 

 そうこうしていると、遠目でもすぐに分かる砂の国が見えてくる。

 高度を落とし、着陸のために減速しながら向かう先は王都アルバーナ……ではなく、レインベース。

 

 ウイスキーピークからマリンフォードに向かい、根回しをして今度はアラバスタへ。

 往復含め、3人がアラバスタに着くのはちょうど14日目になるところだった。故に、仕込みをする時間はない。

 

「ルフィくんがエターナルポースを割ったりとか、ドラム王国に寄ったりだとか色々トラブルはあったみたいだけど。確か昨日の電々虫ではナノハナに入ってたはずだから……」

「本拠地であるレインベースに行くと。だが、クロコダイルと鉢合わせてその後は?」

「それなんだけど、私だけ鉢合わせたい。クロコダイルさんの想定は、たぶんビビに私が協力することだと思うから。今は予想外のルフィくん達を相手にする準備をして、居ない私を警戒してる。でもわざわざ私をこの件に関わらせてるから、場所が知れたら多分アクションが来るんじゃないかな……だから、シュライヤは麦わらの一味と合流、ミキータはこの私書を持ってアルバーナへ」

「了解」

「キャハハ、ある意味“運び屋”加入後の初仕事よね! 任せてちょうだい!」

「じゃあ、そういうことで……」

 

 散開、と言おうとしたエアの喉から漏れたのは、声ではなく苦しげな息漏れ。

 ──金のフックが、腹部を絡めとるようにしてエアを地上に引きずり下ろそうとしていた。

 

「作戦、どおりに……」

 

 思わず動きを止めようとした二人にそう伝えた直後、恐ろしい力で砂漠に背中から叩き落とされる。衝撃にげほげほと咳き込みながら見上げた先……砂埃の奥には、見覚えのある長身。

 

「クハハ……まさか見知らぬ木端海賊に大切な王女サマを任せるとは思わなかったが。やはり自らも来たな、“運び屋”。上のはツレか?」

「ぐ……クロコダイル、さん…………っ」

 

 全身からパラパラと砂を散らすクロコダイルが、悠然とこちらを見下ろしていた。

 




話も進んだけどほぼ説明回。
話を広げすぎたようにも見えますが、多分あと3話くらいでアラバスタ終わらせてホールケーキアイランドとかワノ国とかの配達記録書きたいな。あとプリンプリン准将の華麗なる戦闘録。
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