問題児たちと胡散臭い化物が異世界から来るそうですよ?   作:焼き魚

12 / 13
グロ注意?

後、色々可笑しな表現などがありますが仕様です。




神父、死す

ナイルside

 

(そういえば何故私は吸血鬼を敵視している?)

(……孤児院の神父が言っていたからか?)

 

かつて自分は教会の孤児院に居た。

そこには“吸血鬼に両親を殺された”とされる子供達が集められた。

そこで子供達は神父から仇を討つために色々な事を教わった。

 

しかし自分には子供の頃の記憶がない。親が居たのかも分からなかった。

神父からは、恐怖のせいで記憶が喪われたと言われ、自分はそれに納得した。

 

だから仇を討つために技を覚えた。

 

化物と呼ばれるようになったが、否定はしない。

寧ろ言わせて貰おう。

 

 

───元から“化物”だと

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ナイルが昔を思い出している内に、十六夜とレティシアの決闘が始まった。

 

片方は空を飛び、もう片方は陸にいる。

 

端から見れば不公平に写るだろう。

しかし、この箱庭では“飛べる方が悪いのではなく、飛べない方が悪い”のだ。

 

レティシアは、自身のギフトカードから投擲用のランスを取り出し十六夜に投げ付ける。

 

「ハァア!!」

 

怒号と共に放たれた槍は瞬く間に熱を帯び、流星の如く大気を揺らして十六夜に飛んでいく。

 

それに相対する十六夜は牙を剥いて笑い、

 

「しゃらくせえ!」

 

 

()()()()()

 

 

「「────は………?」」

 

素っ頓狂な声を上げるレティシアと黒ウサギ。

しかしこれは比喩ではない。他に表現の仕様がないのだ。

鋭利に研ぎ澄まされ、大気の壁すら容易く突破する速度で投げ付けられた槍は、鋭い尖端も巧緻に細工された柄も、たった一撃で拉げて只の鉄塊と化し、さながら散弾銃のように無数の凶器となって飛んでいく。

 

 

馬鹿馬鹿しい速度で鉄塊は飛んで来る。

その速さは第3宇宙速度に匹敵するほどだった。

 

(ま、まずい………!)

 

なんと馬鹿馬鹿しい破壊力か。これでは受けられない。ならば避けなければ。

レティシアはギリギリの所で避けることが出来たが、鉄塊はお構いなしに飛んでいった。

 

レティシア達は安堵した。

……その先に誰かいるのかを知らずに

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ナイルside

 

 

 

(懐かしいなぁ、良くアホ神父に悪戯して怒られてたなぁ………ん?)

 

風を切るような音がして、気になり顔を上げる。

そこには、此方に向かって飛んでくる鉄塊の姿があった。

 

(!?)

 

何故こんな目にあったのか理解出来ない。

今から避けることは不可能。撃ち落とそうにも取り出している時間は無い。

それに第3宇宙速度で飛んでくるものを打ち落とす自信など自分にはない。

 

(……一体何処からこんなものが!?)

 

“断罪者の衣”でも防げないであろう威力で鉄塊は飛んでくる。

 

 

(……あ、死んだな)

 

死ぬ事に恐怖を感じない。

普通の死に方は出来ないことも理解していた。

しかしこれは酷すぎる。

 

(oh…)

 

次の瞬間、視界が無くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ナイルの頭が鉄塊によって熟した柘榴のように吹き飛ぶ。

それを見て唖然とする黒ウサギ。

信じられない。いや、信じたくない。

付き合いが短かく、何を考えているのか全く分からなくて怖かったが、彼は仲間だった。

 

そんな彼は今、無惨な姿で倒れている。

 

撒き散らされた脳漿。ズタズタの断面から止めどなく溢れ出る鮮血。鮮血は地面を濡らし、赤い水溜まりを拡げていく。

 

子供が見たら完璧にトラウマになるであろうそんな風景のなかに彼の死体が落ちている。

 

黒ウサギは彼の存在を忘れていた。

いつもは忘れるなんて有り得ないことだが、彼女はレティシアが訪ねて来たことに舞い上がっていた。

だが、その場にいた誰も彼女を責めることは出来ない。

 

十六夜はナイルなら避けるか無効化するだろうと考えていたし、レティシアはレティシアで十六夜との決闘に集中していたからだ。

 

 

 

 

黒ウサギは未だ我が目を疑い否定していた。

しかしいくら否定しようとも、喪われた命が戻ることはない。

 

 

──ずちゃ…ずる…ずる……

 

黒ウサギは死体からおかしな音が聴こえてくるのに気が付いた。

 

───ごり……ぐちゃ…

 

おかしな音が鳴り響く。

死体を見ると、先程まで血が溢れ出ていた断面から、名状しがたき黒い触手のようなモノが生え蠢いていた。

 

「ひぃ!」

 

黒ウサギは腰を抜かしてしまう。

 

触手は蠢いて人間の頭のような形をとっていく。

 

────ずる…ずる…ずちゃ…

 

次の瞬間、触手は黒い霧になって霧散し、そこからナイルの顔が現れる。

 

 

 

黒ウサギ達は何が起こったのか、理解出来ていないように呆けた顔をする。

 

───死者が蘇る。

 

そんなあり得ないことが目の前で起きれば、誰だってこのような顔をするだろう。

 

黒ウサギ達には理解出来なかった。

そして、血だまりの中に倒れているナイルを起こそうと声をかけようとした。

 

 

その瞬間ナイルは眼を開く。

そこには様々な色を混ぜたような混沌があった。

 

その眼を見て黒ウサギ達は息を飲む。

 

ナイル(?)はニタリと笑うと口を開き、言葉を喋る。

 

「あ…ありのままに今起こったことを話しますよ!

『私は体の底で寝ていたと思ったらいつの間にか外に出ていた』

な…何を言ってるのかわからねーと思いますが、私も何が起こったのかわかりませんでした……

催眠術や魔術なんてそんなチャチなもんじゃあ断じてありません…もっと恐ろしいもんの片鱗を味わいました… (棒読み)」

 

……黒ウサギ達には、目の前にいるモノが何を言ってるのか理解できなかった。

ナイル(?)は精神を汚染するように冒涜的な言葉を続ける。

 

「あるぇー?渾身のネタだったのに、もしかして無視ですかぁー?初対面の人に無視されるとか……ゾクゾクしちゃうじゃないですかーやだー(棒読み)」

 

黒ウサギ達が何も反応しないのに対してナイル(?)はくねくねと身悶えしながら声をかける。

 

「「「はっ!」」」

 

声をかけられて現実に戻ったのか、揃ってナイル(?)を見る三人。

そんな三人を見てニヤニヤと笑いながらナイル(?)はまた言葉を続ける。

 

「どーもどーも、はじめまして。私、ニャルラトホテプと申します。お気軽にニャルとお呼びください(棒読み)」

 




やり過ぎた

反省はしているが、後悔はしていない!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。