問題児たちと胡散臭い化物が異世界から来るそうですよ? 作:焼き魚
「へぇ…ナイルねぇ…」
「はいそうですよ。どうかしましたか十六夜さん?」
「もしかしてナイルって…いや、やっぱいいや」
「はい?」
何かを考えているような逆廻十六夜。
そんな十六夜を見ている久遠飛鳥。
我関せず無関心を装う春日部耀。
ニコニコ微笑んでいるナイル。
この光景を見て誰もが同じようなことを思うだろう
ーー一人を除いて問題児だと。
「で、呼び出されたは良いけど、なんで誰もいねえんだよ。普通、招待状に書かれていた箱庭とかいうモノの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」
苛立たしげにそう言う十六夜。
「そうね、なんの説明もないままでは動きようがないもの」
「…………。この状況に対して落ち着きすぎているのもどうかと思うけど」
「そうですねぇ、耀さん」
(全くです)
黒ウサギは内心でこっそりとツッコミを入れた。
パニックになってくれていれば飛び出しやすいのだが、場が落ち着きすぎているので出るタイミングを計れないのだ。
(まあ、悩んでいても仕方がないデス。これ以上不満が噴出する前にお腹を括りましょう)
「―――仕方がねえ。こうなったら、そこに隠れている奴にでも話しを聞くか?」
ビクンと黒ウサギの心臓が跳ね上がり、冷や汗をダラダラと流す。
四人の視線が黒ウサギに集まる。
「なんだ、貴方も気づいていたの?」
「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ? そっちの二人も気づいていたんだろ?」
「風上に立たれたら嫌でもわかる」
「気配で何となくですがねぇ」
「…へぇ?面白いなお前等」
軽薄そうに笑う十六夜だが、目は笑っていなかった。三人は理不尽な招集を受けた腹いせに殺気の籠った冷やかな視線を黒ウサギに向ける。
ちなみにナイルは面白そうに笑っていたが他の三人に負けず劣らずの殺気を黒ウサギに向けていた。
「や、やだなあ御四人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「さあ、どうしましょうか?」
「あっは、取りつくシマもないですね♪」
黒ウサギがバンザイのポーズを取り、降参の意を示す。
が、その眼は四人を値踏みしているようだった。
(肝っ玉は及第点。この状況でNOと言える勝気は買いです。)
そんなことを考えていると
春日部耀が黒ウサギのとなりに立ち、
不思議そうに黒ウサギのウサ耳を見て…
「えい」
「フギャ!」
力いっぱい引っ張った。
「ちょ、ちょっとお待ちを!
まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳うを引っこ抜きにかかるとは
いったいどういう了見ですか!?」
「好奇心のなせる業」
「自由にも程があります!!」
「へえ?このウサ耳って本物なのか?」
「じゃあ私も」
「いやぁあああああああああ!」
ーーそんな光景をただだだ微笑ましく眺めているナイルであった。
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「あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊はきっとこのような状況を言うに違いないデス」
「いいからさっさと始めろ。」
「こほん。それではいいですか、御四人様。定例文で言いますよ? ようこそ、〝箱庭の世界〟へ! 我々は御四人様にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召喚いたしました!」
「ギフトゲーム?」
「そうです!御四人様は皆、普通の人間ではございません! 皆様が持っていらっしゃるその特異な力は様々な修羅神仏、悪魔、精霊、星から受け賜った恩恵でございます。『ギフトゲーム』はその恩恵を用いて勝負するゲームのことなのです。そしてこの〝箱庭の世界〟はギフト保持者が楽しく生活する為に作られた世界なのですよ!」
黒ウサギはようやく自分のターンが来たとばかりにテンションを上げて話す。飛鳥は質問する為に挙手した。
「質問いいかしら? 貴方の言う〝我々〟とは貴方を含めた誰かなの?」
「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにしたがって、数多の〝コミュニティ〟に必ず所属してもらいます」
「嫌だね」
「所属してもらいます! そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの〝主催者〟から提示した商品をゲットできるというシンプルな構造になっております」
「……〝主催者〟ってだれ?」
「様々ですよ。人から修羅神仏まで、個人から巨大な組織まで、つまりゲームを行う意思を持つ物全てが〝主催者〟になることができます。またギフトゲームも種類がありまして、参加者が〝主催者〟に『挑戦』するものと、『参加』するのがあります。『挑戦』は凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。けれどその見返りも当然大きく、クリアできればそれ相応の商品を得る事ができます。また『参加』は賭ける物が必要となり、参加者が敗退すればそれら全てが〝主催者〟のコミュニティーに寄贈されるシステムとなっております」
「『参加』は結構俗物なのね……賭ける物には何を?」
「それも様々ですね。お金、土地、利権、名誉、人間、そしてもちろんギフトも賭けることが可能です。ただし、ギフトを賭けた戦いに敗北すれば当然、ご自身の才能も失われるのであしからず」
黒ウサギは四人に対して黒い笑みを向けるが、先程まで泣いていた黒ウサギを思い出すと、怖くもなんとも無かった四人であった。そこに飛鳥が再び問う。
「そう。なら最後にもう一つだけ質問させてもらっていいかしら?」
「どうぞどうぞ」
「ゲームはどうやったら始められるの?」
「コミュニティー同士のゲームを除けば、それぞれの期日以内に登録していただければOK!街に行けば小規模のゲームがたくさんやっておりますのでよかったら参加してみてくださいな」
「………つまり『ギフトゲーム』とはこの世界の法そのもの、と考えてもいいかしら?」
飛鳥の問いに「お?」と驚く黒ウサギ。
「ふふん?中々鋭いですね。しかしそれは八割正解の二割間違いです。我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在しています。ギフトを用いた犯罪などもってのほか!そんな不逞な輩は悉く処罰します―――が、しかし!『ギフトゲーム』の本質は全く逆!一方の勝者だけが全てを手にするシステムです。店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればタダで手にすることも可能だということですね」
「そう。中々野蛮ね」
「ごもっとも。しかし“主催者”は全て自己責任でゲームを開催しております。つまり奪われるのが嫌な腰抜けは初めからゲームに参加しなければいいだけの話でございます」
黒ウサギは一通り説明を終えたと考える。
「さて。皆さんの質問に全てを此処で話すとなるとものすごく時間が掛かります。ですからここから先は我がコミュニティーでお話を「待てよ。」はい?」
十六夜から黒ウサギに対して待ったが掛けられる。
「まだ俺が質問してないだろ」
「……どういった質問でしょうか? ルールですか? ゲームそのものですか?」
「そんなことはどうでもいい。心底どうでもいい。俺が聞きたいのは一つ」
黒ウサギは十六夜のただならぬ気迫に思わず唾を飲み込む。
「この世界は、面白いか?」
クスリ、と。
笑みを浮べた黒ウサギの返答は、当たり前のように
「YES。『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より面白いと黒ウサギは保証いたします♪」
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「箱庭ですか…とても面白そうな所ですねぇ」
黒ウサギからの説明を受けたナイルはとても愉快そうに笑っていた。
ナイル君の存在感ェ…