問題児たちと胡散臭い化物が異世界から来るそうですよ? 作:焼き魚
そろそろ白夜叉を出したい
「そんな……ありえません。デタラメです」
黒ウサギは驚きを隠せなかった。神格を持った存在が武器を使っていたにしろ人間に倒されてしまったのだから。そんなの黒ウサギは聞いたことがなかった。
「信じられません……ですが本当に最高クラスのギフトを所持しているなら……」
黒ウサギは思わず笑みを浮かべた。蛇神を素手で殴り飛ばした十六夜、蛇神の全霊の一撃をかき消したナイル。二人の力があれば……悲願を達成することも夢ではないと希望を見出した。
「………」
ナイルはそんな黒ウサギの様子を微笑みながらじっと見つめていた。
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「ところでナイルさん。その蛇神様はどうされます?というか生きてます?」
「命までは取ってません。第一私は神父ですよ?無駄な殺生をするわけないでしょう」
まるで何事もなかったかのように返事をするナイル。
「ならギフトだけでも戴いておきましょう。ゲームの内容がどうであれ、ナイルさんと十六夜さんは勝者です。蛇神様も文句はないでしょうから」
「あん?」
「……?」
十六夜は怪訝な顔で、ナイルは困惑したような笑みで黒ウサギを見つめ返す。黒ウサギは思い出したように補足した。
「神仏とギフトゲームを競い合う時は基本的に三つの中から選ぶんですよ。もっともポピュラーなのが“力”と“知恵”と“勇気”ですね。力比べのゲームをする際は相応の相手が用意されるものですが………十六夜さんとナイルさんはご本人を倒されましたから、きっと凄いものを戴けますよー。これで黒ウサギ達のコミュニティも今より力を付ける事ができます♪」
黒ウサギは今にも小躍りでもしそうな足取りで大蛇に近寄って会話をする。
「見てくださいお二人さん!こんなに大きな水樹の苗が貰えましたよ!」
蛇神から貰った苗を持って満面の笑みを浮かべながらピュンピョンと跳ねていた。
(まるでウサギですねぇ…って、まるでじゃなくて正真正銘のウサギでしたね。それにしても……)
「随分と嬉しそうですね黒ウサギ」
「そりゃあもう!これがあれば他所のコミュニティから水を買う必要がなくなって皆大助かりです!これで黒ウサギたちのコミュニティも…」
「少しは楽になる…‥そうですね?」
「‥…え?」
ナイルは今までとは一変して鋭い目つきを黒ウサギに向け言った。あまりにも真剣なその眼光を受けた黒ウサギは一瞬怯んでしまう。
「へえ、やっぱりナイルも気づいてたんだな」
「ええ。十六夜さんもでしょう?」
「当然」
「え?あの…‥どうしたんですか、お二人とも?」
「単刀直入に聞くぜ、黒ウサギ。……お前俺たちに隠してることがあるよな?例えば……コミュニティのことで」
「ッ!?」
十六夜の問いかけに黒ウサギは体を硬直させた。そして顔には冷や汗が流れ落ちる。
「その反応…図星か。おおかたお前のいるコミュニティは弱小チームか訳あって衰退しているチームか何かじゃないのか?」
「……」
黒ウサギは俯いて黙り込んだ…‥十六夜の言っていることを否定できなかったから。
「沈黙は是也、だぜ。黒ウサギ」
「どうして…‥わかったんですか?」
「俺がコミュニティに入るの拒否ったとき怒っただろ?それでわかったんだよ。」
「その時の黒ウサギは本気でしたからねぇ」
「……お二人とも鋭いのですね。その通りでございます」
黒ウサギは観念したように白状した。
「ではどうしてその事実を隠していたんです?」
「それは……」
ナイルの問いかけに黒ウサギは口篭った。今のコミュニティの状態を話すのはリスクが大きい……本当なら加入承諾を取ってから話すつもりだったのだ。
「別には話したくないなら話さなくてもいい。その場合……俺はさっさと他のコミュニティに行かせてもらうぜ?」
「や、だ、駄目です!いえ、待ってください!」
「だから待ってるだろ。ホラ、いいから包み隠さず話せ」
十六夜とナイルは川辺にあった手頃な岩に腰をおろして聞く姿勢をとる。
「……話せば協力していただけますか?」
「ああ、面白ければな」
「…場合によりますが」
「……わかりました、お話しましょう」
黒ウサギは自分たちのコミュニティの置かれている状況を説明した。
以前黒ウサギのの所属するコミュニティは東区画で最大手の一大コミュニティだったが、3年前に箱庭最大の災厄『魔王』に敗北したことで、コミュニティは名乗るべき“名"とテリトリーを示す“旗印"を失いその他大勢を意味する蔑称………“ノーネーム"と称されるようになってしまった。
さらにコミュニティの中核を担う主力メンバーは誰一人としてコミュニティに残っておらず、今のコミュニティの構成メンバーは黒ウサギとコミュニティのリーダーであるジン=ラッセル、それ以外は10歳以下の子供ばかりだという。
極めつけに強い力を持っている黒ウサギも“審判権限
"という権限を持つが故にゲームに参加する機会が少なくなってしまっていた。
このようにかつての地位も名誉も仲間も魔王によって奪われてしまったコミュニティは衰退の一途をたどっているのだという。
「………コミュニティを新しく作ったりしたらダメなのですか?少なくとも今よりは状況は良くなるでしょう?」
黒ウサギの説明を聞き終えたナイルが尋ねた。
「それではダメなのです!改名はコミュニティの完全解散を意味します!私達は……仲間が帰ってくる場所を守りたいんです!」
「そうですか………」
「魔王に奪われた誇りと仲間を取り戻し、コミュニティを再建したい!その為に異世界からの召喚に黒ウサギたちは望みを掛けたのです!どうか……どうかお二人の力を我々に貸してください!お願いします!」
黒ウサギは目に涙を浮かべながら二人に懇願した。黒ウサギにとってナイルと十六夜は…‥現状を打破するための最後の希望なのだ。
「魔王か…‥ハッ!面白ぇじゃねえか!」
「え?」
「俺がどうして“世界の果て"を見てみたいと思う?面白いものが好きな快楽主義者だからだと言われればもちろんそれは正解だ。だが……俺が面白いと感じるのはそこに“ロマン"があるからだ」
「ロマン……ですか?」
「ああ。俺は快楽主義者ゆえにロマンがあるものを見て感動したいんだ。魔王から誇りと仲間を取り戻す………最高にロマンがあるじゃねえか」
十六夜は年相応の少年の笑顔を浮かべる。
「……は?」
「HA?じゃねえよ黒ウサギ。協力するって言ったんだからもっと喜べ」
「え?……あれ?今ってそういう流れでございました?」
「そんな流れだったぜ。というわけで俺はお前たちのコミュニティに入ってやる!せいぜい感謝しろよ?」
「…はい!」
こうして、十六夜は黒ウサギのコミュニティに所属することを決めた。そして……
「あ、あのナイルさん……あなたは……」
黒ウサギは恐る恐るナイルに聞いた。十六夜が入ってくれる事になったからといってナイルもそうだとは限らないから。
しかしナイルは微笑みを浮かべて
「いいでしょう黒ウサギ。私も貴女方のコミュニティに入らせてもらいます」
「……よろしいんですか?」
「ええ、勿論。私はもとから貴女方のコミュニティに入るつもりだったのですから」
「ありがとうございます!」
黒ウサギは余程嬉しかったのだろう。うっすらと涙を浮かべて微笑んだ。
「おい、二人共。せっかくここまで来たんだから滝と“世界の果て"見に行こうぜ」
「ええ、そうしましょう」
ナイルは十六夜の呼びかけに満面の笑みでそう答えた。
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「ほう。コイツは中々の絶景だな。これほどのもんは元の世界じゃお目にかかれないぜ」
十六夜は目の前に広がる光景に感嘆の声を上げた。
「ええ。この景色……耀さんと飛鳥さんにも見せてあげたいですよ」
「だったら今度二人も連れて来るか」
「へえ、十六夜さんって意外と親切なんですね」
「意外とは心外だな。俺は常に優しいぜ」
「言いますねぇ」
3人は微笑みを浮かべながら楽しそうに会話を弾ませる。
「と、そうだ。黒ウサギ。言っておくがあの二人の説得には協力しないからな。騙すも誑かすも構わないが後腐れないように頼むぜ」
「うっ……はい」
そういえばそうだったと黒ウサギは思い出して少しシュンとする。
「そう落ち込まないで下さい黒ウサギ。多分大丈夫ですから」
そんな黒ウサギをナイルは励ました。
「どうしてそう思うんですか?」
「あの二人も……私と十六夜さんに負けず劣らずの問題児だからですよ」
ナイルは苦笑いを浮かべて言った。………これは果たして励ましていると言えるのだろうか?
「………ハッ!違いねえな!」
「………私からしたら笑えないのですが」
「大丈夫ですよ。いざとなったら私は協力しますから」
「うぅ……ありがとうございます!ナイルさん」
黒ウサギは仏を見るようにナイルを見ていた。
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ちなみに
「やっぱり大丈夫じゃないじゃないですかぁー!!」
東区画の都市に戻って来て飛鳥の口からギフトゲームをすることになったと聞いた黒ウサギは頭を抱えてそんなことを叫んだのであった。
ちなみにナイル君の外見は
白髪に褐色肌の青年です
Fate/stay nightのアーチャーを柔らかくしたような感じです