問題児たちと胡散臭い化物が異世界から来るそうですよ? 作:焼き魚
………まぁ何時もが短いだけですけど
「私は白夜叉。この箱庭東外門に存在する四桁の門、三三四五外門に本拠を構えるコミュニティ"サウザンドアイズ"の幹部だ。
黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きい美少女と認識しておいてくれ」
「はいはいお世話になっております本当に」
投げやりに言葉を流す黒ウサギ。その隣で耀が小首をかしげる。
「その外門ってなに?」
「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者が住んでいるのです」
ここ、箱庭の都市は上層から下層まで七つに振り分けられており、それに伴ってそれを区切る門には数字が与えられている。
黒ウサギが箱庭の上からの見取り図を書く。それは外門によって幾つもの層に分かれていた。
「……超巨大タマネギ?」
「いえ、どちらかといえばバームクーヘンね」
「ああ、どちらかといえばバームクーヘンだ」
「ええ、どちらかといえばバームクーヘンですね」
四人がそれを見て好き勝手言い出す。
「ククク、確かにどちらかと言えばバームクーヘンだな。」
「ふふ、うまいこと例える。その例えなら、今ここはそのバームクーヘンの一番外、皮のところじゃな。
更に言うなら、東西南北の四区切りの東側に辺り、外門のすぐ外は世界の果て。
あそこはコミュニティこそ入っていないものの、強力なギフトの持ち主が多く住んでおる。
例えば、その水樹の持ち主などな」
白夜叉は黒ウサギの持っている木の苗のようなものを指す。恐らく、名前からして水に関係しているギフトなのだろう。
「して、一体誰が、どのようなゲームであの蛇神に勝ったのだ?
知恵比べか、或いは勇気か?」
「いえ、この水樹はナイルさんがここに来るまえに蛇神様を武器を使ったといえ倒したのですよ」
「なんと!?クリアではなく、直接倒したと!
ではその童も神格持ちか!?」
「いえ、そうは思えません。神格は普通、一目でわかるものですし」
神格とは、生来の神そのものではなく、種の最高ランクに身体を変幻させるものである。
蛇は蛇神に。
人は現人神や神童に。
鬼は天地を揺るがす鬼神に。
神格は自身のみならず、ギフトも強化するので、多くの者はこれを目指している。
「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったので?」
「知り合いもなにも、あれに神格を与えたのは私だ。もう何百年も前だがの」
白夜叉は小さな胸を張り、堂々とする。
しかし、そんなの気にしてられないのが問題児三人様である。
「へえ?じゃあお前はあの蛇より強いのか?」
「ふふん、当然だ。私は東側の“階層支配者"だぞ。この東側の四桁以下のコミュニティでは並ぶものなしじゃ。」
「そう……ふふ。ではつまり、貴女のギフトゲームをクリアできれば、私達のコミュニティは東側で最強、ということかしら?」
「無論、そうなるのう」
「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」
ナイルを除く問題児三人は闘争心剥き出しで白夜叉を見る。
「抜け目ない童達じゃ。依頼しておきながら、私にギフトゲームに挑戦とはな。
して、そこの童は?」
白夜叉がナイルに向き直る。
「どうしましょうね…?」
ナイルは本気で悩む。白夜叉が自分が敵わない程には強いことは分かる。だが……いや、だからこそ戦ってみたいと思った。
「え、ちょ、皆様?」
「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には常に飢えておる」
「ノリがいいわね。そういうの好きよ」
「ふふ。そうか。───しかし、そこの童は気づいたようだが、お主らに確認じゃ」
「なんだ?」
白夜叉は着物の裾からサウザンドアイズの刻印が入ったギフトカードを取り出し、壮絶な笑みで一言。
「おんしらが望むのは"挑戦"か───もしくは、"決闘"か?」
刹那、四人の視界に爆発的な変化が起こった。
視覚はその意味を無くし、様々な情景が脳裏を掠める。
それは、黄金の穂波、白い地平線、森林の湖畔。
そして、雪原と凍る湖畔、水平に巡る太陽がはっきりと見えた。
「「「「なっ……!?」」」」
あまりの異常さだった。
「今一度名乗り直し、問おうかの。
私は“白き夜の魔王"。太陽と白夜の星霊。白夜叉。
おんしらが望むのは、試練への挑戦か、それとも対等な決闘か?」
「水平に巡る太陽と……白夜と夜叉。
あの水平に巡る太陽やあの土地はおまえの表現ってことか」
「如何にも」
暫くの静寂の末、十六夜が切り出す。
「……参った。今回は黙って試されてやるよ」
「ふむ?それは試練を受けるということか?」
「ああ、そうだ」
「ええ。私も、試されてあげていいわ」
「右に同じ」
三人が一通りの答えを出した後、ナイルは答えを出す。
「………では私は決闘を望みます」
「ほう……よいのか?死んでしまうかもしれんぞ?」
「…その時はその時です」
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十六夜達のギフトゲームの結果は勝利によって終わった。
試練の内容としてはグリフォンの背に跨り湖畔を舞う事だった。最初に名乗りをあげたのは耀で、彼女はギフトを使ってグリフォンと話し、グリフォンの誇りと自身の命を賭ける事によって背に跨ることに成功。その後、見事に湖畔を舞い勝利するが、転落。けれども耀は空中に立ち、落下を回避した。
耀のギフトは異種族との会話、友になった種からギフトを貰えること、他にもまだあるようだったが、それは白夜叉とて分らなかったようだ。
「さて、次はおんしのギフトゲームの番じゃ」
『ギフトゲーム名
“沈まぬ太陽への挑戦”
・プレイヤー一覧
ナイル
・クリア条件
白夜叉を決闘により打倒
白夜叉に認められること
・クリア方法
“力”により白夜叉を打倒する
白夜叉に“力”を認めさせる
・敗北条件
降参もしくはプレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合
宣誓
上記を尊重し、誇りと旗印とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します
“サウザンドアイズ”印 』
「ふむ……こんなところかの」
「“力”を認めさせる?殴り合いをしろということですか?」
「いんや、どんな方法でもよいから私を満足させればいい」
「本当に“どんな方法でもいい”のですね?」
「う、うむ」
確認してきたナイルは色々な者を見慣れている白夜叉でも引いてしまうほどにニコニコしていた。それはまるでコレから始まる決闘を楽しみにしているかのようだった。
「では始めましょうか」
「おんしからで良いぞ」
「いいのですか?……では、お言葉に甘えて」
ナイルは何処からか二挺拳銃を取りだし、何の躊躇もなく白夜叉を撃ち抜いた────はずだった。
「甘いわ!」
扇子から打ち出される衝撃波で銃弾は軌道を狂わされ白夜叉を掠りともしない。
「おやおや、この程度では駄目ですか」
「ふふふ、まだまだ甘いぞ。殺す気で掛かってこなければ、かすり傷すら出来んぞ?」
「では………殺す気で行かせてもらおうか」
(…口調が変わった?成る程本気になったということか)
「こい!童!!」
「………死ぬなよ白夜叉───AMEN」
そう呟きナイルは両手の銃を撃ち放つ。
「また同じ攻撃か!芸がない……な……童………」
───驚く白夜叉に迫るのは、百万発をこえる銃弾。流石の白夜叉でもコレを避けるのは至難の技だろう。
「ぬおっ!?」
さっきまで白夜叉が立っていた場所は土煙で見えなくなっている。土煙が晴れると、そこにはクレーターが出来ており、埃まみれのボロボロの着物を着た白夜叉が立っていた。
「……おんしは化物か!?」
「よく言われていた。………で、どうする?まだ戦うか?」
「………いや、もうよい。私の負けじゃ」
「そうか……なら私の勝ちか」
「うむ、見事じゃおんし」
褒めながらも白夜叉はナイルの予想外の強さに内心舌を巻いていた。
力を抑えたとはいえ、星霊である自分を圧倒した力。
そんな異常さに首をかしげながらもナイルの勝利をたたえる白夜叉であった。
そんなナイル達のやり取りを見て開いた口が塞がらない黒ウサギ達だった。
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「それで白夜叉様。今日はギフト鑑定をお願いしたいのですが」
黒ウサギの頼みに白夜叉がゲッと気まずそうな顔になる。
「よ、よりにもよってギフト鑑定か。本来なら専門外どころか無関係もいいとこなんじゃがの。」
そういって腕を組む白夜叉
「ふむふむ 四人ともに素養が高いのは分かる しかしこれでは何とも言えんな おんしらは自分のギフトの力をどの程度に把握している?」
「企業秘密」十六夜
「右に同じ」飛鳥
「以下同文」耀
「さぁどうでしょうねぇ?分かるかも知れないし、分からないかもしれません」ナイル
白夜叉が見事にずっこけた。
「うぉぉぉぉい?いやまあ仮にも対戦相手だったものにギフトを教えるのが怖いのは分かるがそれじゃ話が進まんだろうに」
「別に鑑定なんていらねえよ。人に名札張られるのは趣味じゃない」
十六夜が言い切る。みんな同じようでうんうんと頷いている
「ふむ。なんにせよグリフォンの試練と私の試練を受けて見事クリアしたおんし達に“恩恵”を与えねばなるまい。
ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度好かろう。」
そう言って手をたたくと十六夜たちの前に四枚のカードが現れた。
コバルトブルーのカードに 逆廻 十六夜 ・ギフトネーム “
ワインレッドのカードに 久遠 飛鳥 ・ギフトネーム “威光”
パールエメラルドのカードに 春日部 耀 ・ギフトネーム “
濡羽色のカードに ナイル ・ギフトネーム “
それぞれの名前とギフトが記されたカードを受けとる。
四人が首をかしげてカードを見ていると、黒ウサギが声を上げて驚く。
「ギフトカード!」
「お中元?」
「お歳暮?」
「お年玉?」
「旅行券?」
「ち、違います!
というかなんで皆さんそんなに息が合っているのです!?
このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!
耀さんの“生命の目録”だって収納できて、しかも好きな時に顕現できるのですよ!」
「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」
「だからなんで適当に聞き流すんですか!あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」
「我らの双女神の紋のように、本来はコミュニティの名と旗印も記されるのだが、おんしらは“ノーネーム”だからの。少々味気ない絵になっているが、文句は黒ウサギに言ってくれ」
「ふぅん………もしかして水樹って奴も収納できるのか?」
十六夜は黒ウサギの持つ水樹にカードを向ける。
すると水樹は光の粒子となってカードの中に呑み込まれた。
見ると十六夜のカードは溢れるほどの水を生み出す樹の絵が差し込まれ、
ギフト欄の“正体不明”の下に“水樹”の名前が並んでいる。
「おお?これ面白いな。もしかしてこのまま水を出せるのか?」
「出せるとも。試すか?」
「だ、駄目です!水の無駄遣い反対!その水はコミュニティのために使ってください!」
チッ、とつまらなそうに舌打ちする十六夜。
黒ウサギはまだ安心できないような顔でハラハラと十六夜を監視している。
「そのギフトカードは、正式名称を“ラプラスの紙片”、即ち全知の一端だ。
そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった“恩恵”の名称。
鑑定はできずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」
「へえ?じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」
十六夜のカードには“正体不明”の文字。
白夜叉は驚き十六夜のギフトカードを取り上げる。
「もしかしてバグか?」
「いいやありえん、全知である“ラプラスの紙片”がエラーを起こすはずなど。」
「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはこの方がありがたいさ」
十六夜がカードを取り上げる。
だが、白夜叉は納得できないように怪訝な瞳で十六夜を睨んでいた。
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「今更だが、1つだけ聞かせてくれ。
おんしらは自分たちのコミュニティの状況を分かっておるのか?」
「あぁ、名前とか旗とかの話か?それなら聞いたぜ」
「ならばそれを取り戻すために“魔王”と戦わなければならんこともか?」
「えぇ、聞いたわ。打倒魔王なんてカッコいいじゃない」
「カッコいいで済む話ではないのだがのう………全く、若さゆえのものなのか。勇敢というか、無謀というか……まぁ、魔王がどういうものか、コミュニティに戻れば分かるだろう………それでも魔王と戦うことを望むならば止めんが……そこの娘二人────おんしら間違いなく死ぬぞ……」
「「………」」
黙りこむ二人。
「“魔王”の前に様々なギフトゲームに挑んで力をつけろ。未知数な十六夜やナイルならともかく、おんしら二人の力では魔王のゲームに生き残れん。嵐に巻き込まれた虫が無様に弄ばれて死ぬ様は、いつ見ても悲しいものだ……」
今まで何度も見てきたのであろう。
白夜叉の顔はとても悲しそうだった。
「……ご忠告ありがとう。肝に命じておくわ。次は貴女の本気のゲームに挑みに行くから覚悟しておきなさい」
「……ふふ、望むところだ。」
「……私は三三四五外門に本拠を構えておる。いつでも遊びに来るがよい。ただし、黒ウサギをチップに掛けてもらうがの」
「絶対に嫌です!」
本気で拒否する黒ウサギ。
「つれない事言うなよぅ。私のコミュニティに所属すれば生涯を遊んで暮らせると保証するぞ?三食首輪付きの個室も用意するし」
「三食首輪付きってソレもう明らかにペット扱いですから!」
怒る黒ウサギ。笑う白夜叉。店を出た五人と一匹は無愛想な女性店員に見送られて“サウザンドアイズ”二一〇五三八〇外門支店を後にした。
戦闘シーンが書けない……orz
ギフト説明は設定の方に記載します
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チート上等!厨二病上等!!