問題児たちと胡散臭い化物が異世界から来るそうですよ? 作:焼き魚
ナイルに出番はほとんどありません
ーーーー箱庭ニ一○五八○外門。ペリベッド通り・噴水広場
飛鳥達一行は"フォレス・ガロ"のコミュニティの居住区へ向かう道中、"六本傷"の旗が掲げられたカフェテラスの前で声をかけられた。
「あー!昨日のお客さん!もしや今から決闘ですか!?」
「ニャ、ニャー!ニャウナオニャー!」
ウエイトレスの猫娘だ。
「ボスからもエールを頼まれました!うちのコミュニティも連中の悪行にはアッタマきてたところです!この二一○五三八○外門の自由区画・居住区画・舞台区画の全てでアイツらやりたい放題でしたもの!二度と不義理な真似が出来ないようにしてやってください!」
両手を盛大に振り回しながら言う猫娘。
「ええ、そのつもりよ」
「おお!心強い御返事だ!」
満面の笑みで返す猫娘。だが急に声を潜めて話しだした。
「実は皆さんにお話があります。"フォレス・ガロ"の連中、領地の舞台区画ではなく、居住区画でゲームを行うらしいんです」
「居住区画で、ですか?」
舞台区画の言葉を初めて聞く飛鳥は首を傾げる。
「黒ウサギ。舞台区画とはなにかしら?」
「ギフトゲームをするための専用区画ですよ」
彼女の簡単な説明曰く、舞台区画とはコミュニティが保有するギフトゲームを行うための土地だ。
白夜叉のように、別次元にゲーム盤を用意することができる者は極めて少なく、下層になると尚更それはレアケースとなる。こういった土地によるゲームが主流なのだそうだ。
他にも商業や娯楽施設を置く自由区画。
寝食や菜園・飼育などをする居住区画など、一つの外門にも莫大な数と種類の区画があるらしい。
「し、か、も!傘下においているコミュニティや同士を全員ほっぽりだしてです!」
「…………それは確かにおかしな話ね」
しかし知れば知るほど、相手側は奇妙なことを仕掛けてきたのがわかる。
ゲーム専用の土地があるというのにわざわざ自分たちの住処を使ってゲームをする必要などない。さっきも言ったようにそこは本来、寝食を行うための場所であって、もしゲームで損壊などが出ればなかなかの痛手となるはずだ。
それに、味方を全員そこから放り出したというのもおかしなものである。
前回の衝突で、こちらがまだ少女ながら相当の実力を持った者達であるということを、相手は理解したはずだ。
質で勝てぬのなら数で、という行動に出るかと思いきや、その味方を全員退去させてしまっては意味がない。
いったい何がしたいのやら。というように飛鳥達は顔を見合わせ首をひねる。
「でしょでしょ!?何のゲームかはわかりませんが、
とにかく気を付けてくださいね!」
猫娘に見送られ、飛鳥達一行はゲームの舞台へ向かっていく。
「……何か嫌な予感がしますね」
ナイルは一人呟いた。
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「あ、皆さん! 見えてきました…………けど、」
黒ウサギは一瞬、目を疑った。それは他のメンバーも同じだったらしい。
それもそうだろう。誰だって、森のように豹変してしまった居住区を見てしまえば驚愕するに決まっている。
辺り一面に鬱葱と生い茂った木々が並び、美しい造形だったであろう門にはツタが絡みついている。
それらを見回して、耀はつぶやく。
「…………ジャングル?」
「虎の住むコミュニティだからな。おかしくはないだろ」
「いや、おかしいです。“フォレス・ガロ”のコミュニティの本拠は普通の居住区だったはず…………それにこの木々はまさか」
ジンはそっと木々に手を伸ばす。
その木々はまるで生き物のように脈を打ち、肌を通して胎動のようなものを感じさせた。
「やっぱり――――“鬼化”してる? いや、まさか」
「ジン君。ここに“契約書類”が張ってあるわよ」
ジンが何かを話しかけたときに、飛鳥が門柱に張られた羊皮紙を発見して声をあげた。
その言葉を聞いて、一同が“契約書類”に注目する。
『ギフトゲーム名
“ハンティング”
プレイヤー名一覧
久遠 飛鳥
春日部 耀
ジン=ラッセル
クリア条件
ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。
クリア方法
ホストが指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は“契約”によってガルド=ガスパーを傷つけることは不可能。
敗北条件
降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
指定武具
ゲームテリトリーにて配置。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ ”はギフトゲームに参加します。
“フォレス・ガロ”印』
「ガルドの身をクリア条件に…………指定武具で打倒!?」
「なるほど、考えてきましたね……」
“契約書類”に書かれた内容を確認すると、ジンは悲鳴のような声をあげ、黒ウサギは感嘆としたように頷く。
飛鳥はそれを見て気にかかったのか、二人に質問を投げかけた。
「このゲームのクリア条件、難しいものがあるのかしら?」
「いえ、ゲームそのものは単純なのですが、飛鳥さんの指摘するようにルールが問題なのです。このルールでは飛鳥さんのギフトで彼を操ることも、耀さんのギフトで傷つけることも出来ないことになります…………!」
ジンの言葉を受けた飛鳥は、険しい顔で黒ウサギに問う。
「…………どういうこと?」
「“恩恵”ではなく、“契約”によってその身を守っているのです。これでは神格でも手が出せません……彼は自分の命をクリア条件に組み込むことで、御二人の力を克服したのです」
「すいません、僕の落ち度でした。初めに“契約書類”を作ったときにルールもその場で決めておけばよかったのに…………!」
ルールを決めるのが主催者である以上、白紙のゲームを承諾するというのは自殺行為に等しい。ギフトゲームに参加したことがないジンは、ルールが白紙のゲームに参加することが如何に愚かなことかわかっていなかったのだ。
これはこちらにとって大きな痛手。クリアするのに大きな障害となることは確実だ。
ジン達が焦っているとき、ナイルは笑いながら呟く。
「………“鬼化”ですか。この箱庭にも、あの
───その笑いはとても純粋に狂っていた。
とても短くなってしまいました…
そしてグダグタ……