ガイア連合武器密輸課職員の日常   作:プルータス

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いつも感想、評価、ここ好きをありがとうございます。
今回でようやく半終末前の話は終わりです。


本土防衛作戦鑑賞会

 正体隠しの霊装を起動する。今回は一応ガイア連合山梨支部から直々に降りてきた依頼である。時間を確認し、『トラポート』によって転移する。

「お迎えにあがりました」

 相手はガイア連合の幹部の霊視ニキである。筋肉隆々の大男であり、その隣には特製シキガミたるモーさんが鎧姿で待機している。

「ほう、イナバニキか」

 正体隠しの霊装ごしにこちらの正体を暴くとは。さすがは霊視ニキ。やりおるのう。

「重心の移動、発声の癖、周囲を観察する視線の動き。その全てがイナバニキだと語っているとも」

「いや、そんな枝葉末節よりもまわりにデカい証拠が2つも並んでんだろ!」

 まわり? 見渡してみても何の変哲もないサメ男型シキガミのジョーズマンとごく普通の人間大ウサギ型ペルソナのイナバシロウサギしか居ないが。

「ジョーズマンは特殊とはいえシキガミだから偽物を作ることも不可能じゃない。判断基準にするには危険だぜ相棒」

 この世には同じ顔が3人はいるって言うし、同じシキガミも何体かいてもおかしくないでしょ。同じように似た精神(ペルソナ)の持ち主も3人くらいはいるんじゃないかな?

「ウサギ野郎と同じメンタルが3人もいたら世界が滅びるわ」

 そんな。ボクが世界破滅なんて楽しそうなことに手を出すって思ってるんですかモーさん!

「そうだぞ相棒。イナバニキが面白全部以外の動機で世界を滅ぼそうとするわけ無いだろ」

「言葉の端々に本音が出てんだよなぁ」

 この世界だと本当に世界が滅びる瀬戸際なんだけどね。

 それはそれとしてお仕事の時間じゃい。『トラポート』するから準備ができたら声をかけてくれ。

 

 

 アメリカのメシア教から穏健派と言われる一派が日本(というかガイア連合)に亡命してきた。

 メシア教関係者のロックによれば

『派閥争いに疲れて左遷先で地元組織とスローライフしてたら派閥上の上司が転がり込んできた。居座られても迷惑だからとっとと帰したい。

 過激派と対消滅とまでは言わないまでも向こう何十年かくらいこっちに干渉できないくらい勝手に殴り合っていてほしい』というのがメシア教日本支部の見解とのことだ。

 メシア教穏健派が日本へ来たということはつまりメシア教過激派の抑えがいなくなった事を意味する。

 具体的に言えば情報のリークと占術によってメシア教過激派が天使召喚プログラム付きのICBMを世界中に打ち込むつもりだということが判明した。

 発射を未然に防ぐ事はできる。だがガイア連合はミサイル発射自体は打たせる事にした。原因は天使召喚プログラムの存在である。

 天使召喚プログラムとは悪魔召喚プログラムを一部制限した物である。穏健派の手によってガイア連合に悪魔召喚プログラムが渡ってから技術部が研究した結果、悪魔召喚プログラムには対終末用の性質がありそうだという事がわかってきた。要はだいたいの機械はこの悪魔召喚プログラムを仕込めば終末後も動きそうだということだ。

 これまで終末対策に研究を重ねていた技術部はこの性質を知った時にブチ切れ、癇癪(かんしゃく)を起こした姿を動画に撮られてクソMADの素材となっている。

 つまり発射を未然に防いだ場合、終末後も使えるICBMがメシア教の手の内に大量に残るということだ。さすがにそれは困るということで『打たせて取る作戦』が今回採用された。

 

 霊視ニキを防衛作戦本部へと届けたあと、ついでなので防衛作戦鑑賞ルームへと足を運ぶ。今回はこれまでコツコツ準備してきた外様の神々や多神連合を傭兵として盾にする作戦の実現ということで記録も兼ねて観戦できるように部屋を確保してある。

 わざわざ霊視ニキを呼んだのも万が一の時のレーダー役と今回の作戦実行後の問題点の洗い出しのためだ。

「15年ぶりだな」

「ああ」「間違いない」「使徒だ」

 冬月役1人にゲンドウ役3人はバランス悪くない?

「冬月役できる奴がいないからしゃーない」

「よく見ろ。テレビ版、シン版、シェーバーのCM版とちゃんと違ってるぞ」

 全部同じじゃないですか。

「全然違う!」「よく見ろ!」「ちくわ大明神」

 誰だ今の。

 

 ICBMを迎撃する自衛隊の姿に興奮するミリオタニキや箱推しニキに挨拶しながら自作のうちわを振る不死鳥推しネキと合流する。やあやあ久しぶり。

「あ、イナバニキ。お久しぶりです」

 ずいぶんと気合入ってるね。ハチマキにハッピとは。

「フェニックス様の晴れ姿ですからね。たまたま出会った推し活師匠の教えを活かす時です!」

 誰だよ推し活師匠。

 ふむふむ。聞く限りだとそれは金メッキネキたちの友だちっぽい。交友関係が増えるのは良いことだ。

「今フェニックス様と天使が戦ってるところですね」

 『燃やして❤』『復活して❤』と書かれたうちわで画面に映ったフェニックスを応援する不死鳥推しネキ。

 正確に言えば戦場の一部で天使とフェニックスが戦っているだけで、多種多様な戦神が天使とバトってる状況なんだけど、不死鳥推しネキにはフェニックスしか興味がないらしい。阿修羅が腕を振って『竜巻』を放ったりオーディンが『斬鉄剣』で接近戦を挑んだりと濃い戦場なんだがね。

 ちなみに流石に本体が戦っているわけではなく、高レベル対応の式神を媒体に分身を憑依させて戦わせている。一種のVRゲーム感覚で式神を動かしてるイメージだ。落とされても式神蘇生班が蘇生、修復する事で再出撃できるようになるわけだ。

 

 今回の防衛作戦においてフェニックス、というかエジプト神話陣営からひとつの提案があった。今回の作戦における最悪の事態についての話だ。

 最悪の事態というのは防衛失敗のことではない。海外の神々がどれだけ失敗したとしても日本の神々でリカバリーできるし、なんならショタオジ1人でお釣りが出る。高レベルの黒札が頑張ればショタオジを温存してもなんとかなる。

 本当の最悪の事態は傭兵として雇った神々の中にこれが『交渉の一種』だと勘違いする神が出てくることだ。人間との取引に慣れていない神が瀬戸際外交を始めてガイア連合からの信用を無くしてしまうことこそが最悪である。

 ガイア連合としてはせっかく準備してきた傭兵が安心して使えないとなると防衛戦力として使いにくく、海外の神々はガイア連合からの支援が打ち切られる危険性が出てくる。

 ガイア連合に全賭けしているエジプト神話としてはこれだけは絶対に避けたい。よって働きを渋る者が出たならその出撃ローテをフェニックスに振ってほしいと持ちかけたのだ。

 ガイア連合の方針はどこぞの採集決戦のごとく報酬をガンガン積むことでやる気を出させる方向性だ。良い作戦ではあるが、実際に美味しい思いをしたりその体験談を聞いたりしなければその報酬の美味しさを実感できない欠点もある。採集決戦と呼ばれたFGOの終局特異点のレイドも、実際に始まるまでは誰も報酬の奪い合いになるとは思っていなかったのである。始まったら人類悪と化したが。

 他の神話からヘイトを受けているエジプト神話。そいつら報酬を荒稼ぎしている姿を見れば、もし勘違いした神が出ても他の神話が同調する余地がないわけだ。単独犯ならキツめのお仕置きで済む。

 この提案を実行できるだけの神格にフェニックスを押し上げるために少々無茶もしたが、必要経費というやつだろう。合法的に有名神を同意を持って(いじ)くり回せる機会はそうそう無いから技術部がはりきった結果だ。妻子を人質に取られてショッカーの改造手術に怯えながら志願するサラリーマンみたいな表情をしていたけど、上手く行ったからヨシッ! 一応不死鳥推しネキにはナイショの話である。

 

「フェニックス様がんばれ〜!」

 画面ではボロボロになった不死鳥が最期にひときわ大きな炎を纏って突撃する場面である。おお、あの技は!

「化学忍法 火の鳥」「カイザーフェニックス」「鳳凰天駆」「ファントムフェニックス」「ゴッドバードアタック」「ストラヴィンスキー作曲『火の鳥』」「ゴッド・フェニックス」「マグナブレイズ」「絢爛魔界日輪城」

 いや多い多い。燃える鳥が突撃する技ってアニメマンガゲームで使いやすいんだなぁ。

「実際のところは?」

 たぶん『バイナルストライク』か『自爆』の亜種かな?




不死鳥強化プラン∶アモンとフェネクスが同格なのを利用してアメン・ラーとフェニックスを同一化させたり、ラーとフェニックスの両方のルーツであるベンヌから「ラーはフェニックスが神々を統治するために創ったアバター」と言い出したり、現在のエジプト神話を魔界に逃げた神々の出番をバッサリカットした『(チェンジ)!エジプト神話』として再編。わかりやすく言えば確率の高いダイジョーブ博士に成功した。
推し活師匠∶黒札の友達におんぶにだっこではいかんとガイア連合内での知り合いを増やすために「推し活とは……サイリウムとは……」と宇宙猫顔で難航してる人に声をかけた。不死鳥推しネキが黒札だとは知らない。
強欲で貪欲なフェニックスガイ∶フェニックス名義以外にしれっと火の鳥名義でも出撃ローテに加わっている。
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