ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー   作:通りすがりのヌ・ナセ草

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急変と遭遇

「イヴ、ミュータント達に変化は?」

 

「今のところは無いんだけど……なんだろう。ほとんどその場所から動いてないみたい」

 

 レーダーに映るミュータントの反応を目標に、俺達は島の中心に向けてゆっくりMAを進めていた。

 

「動いていない?権兵衛達も似た様なことを言っていたな……」

 

「ここから私の方で帰ってくれるかお願いしてみる?」

 

「いや、もう少し近づいて様子を見てみよう。何をしているのかを確認しておきたい」

 

 近づいた結果、ミュータント達がどう動くのか予想はつかないが、何も分からないままにしておくのは怖い。少しでも情報を得ておいた方がいいだろう。

 

『なぁ、ジェイソン。俺達が先に行って様子を見てきてやんよ』

 

「なっ!?ダメだ!危険すぎる!」

 

『心配はいらないだよ。何も突撃するっちゅうわけじゃないだ』

 

『それによぉ。もしアイツらがイヴを狙ってるっつーんならお前ぇ達が前に出る方が危ねえんじゃねぇのか?』

 

 たしかに権兵衛の言う通り、ミュータントの目的がイヴだというのならば、俺達が前に出る方が危険だ。

 だが、それはあくまでも可能性の話であり、ミュータントが権兵衛達を狙わないという可能性が無いわけではない。

 

『なーに、例え襲われても俺達だけで蹴散らしてやっからよ!』

 

『権べさはそうやってすーぐ調子に乗るだ。そんでまたクエビコさ壊さないでほしいだよ……』

 

『心配すんなって!自分では壊しちまったけどミュータント相手にゃそうそうやられはしねぇからよ』

 

 意気揚々といった様子で権兵衛はクエビコを進めていく。俺達もいつでも飛び出せるように気をつけながら、後をついていくようにG-ソフィアを進めていく。

 

『おっと、向こうもこっちに気付いたみてぇだ……んん?』

 

「権兵衛、どうしたんだ?」

 

『いや、なんだかよ、攻撃する気配も敵対心も感じねぇんだけどよ……こっちに来てるな』

 

 権兵衛の言葉を聞いてレーダーを見てみれば、たしかに先程まで動く気配を見せていなかったミュータント達がこっちに向けて移動しているのが分かる。

 

「イヴ、ミュー。ミュータント達は何するつもりなのか分かるか?」

 

「うーん……特に何かしようとは思ってないみたい」

 

「ミューもそう感じるよー」

 

 2人がそう言うのであれば間違い無いだろう。ただ、そうするとなぜ寄ってきているのだろうか?

 そう考えているとミュータント達はクエビコを避けたり乗り越えたりしてG-ソフィア周囲に集まってくる。

 

「たしかに、攻撃はしてこないが……」

 

 今まで様々な場所で襲われてきた事を思い出す。それを考えると、こうやって囲まれるというのはあまりいい気分ではない。

 

「イヴ、このミュータント達は何が目的で集まっているんだ?」

 

「この子達、ミューの言ってた通りやっぱり困ってるみたい。呼ばれたのに何をするか分からないって……」

 

「呼ばれた?イヴが呼んだわけがないし、いったい……」

 

「この子達も分からないって言ってる……でも、このままここにいられるのもダメだし、帰ってもらわなきゃ」

 

 イヴはそう言うと目を閉じて、しばらく黙ったまま動かなくなった。

 きっと俺には分からない何かでミュータント達に指示を出しているのだろう。

 

「……うん、これで大丈夫。この子達はすぐにでも帰ってくれるって」

 

 沈黙を終え、目を開けたイヴがそう言っている間にミュータント達はワームホールを開いて次々と超次元空間へと帰っていく。

 とりあえず惑星モントイでの騒ぎはこれでひと段落でいいだろう。

 

『ん?ジェイソン、ちと待つだ。何体か帰る様子のねえミュータントがおるだよ』

 

「えっ?本当だ……イヴ、何かあったのか?」

 

「ううん、みんな一緒に帰る様にお願いしたんだけど……」

 

 イヴが不思議そうに首を傾げる。ミュータント達が女王であるイヴの指示に従わない。

 現れるミュータント達からその予感はしていたが、実際に目の当たりにすると驚きを隠せない。

 

『っ!ジェイソン!気ぃつけろ!』

 

 何かに気づいた権兵衛の声が通信から響く。それと同時に残っていたミュータント達が突然G-ソフィアに向けて飛びかかってくる。

 その姿からは先程までの雰囲気とは一転して、地球の地下で出会ったミュータント達と同じ様に明らかな敵意を纏っている。

 

「イヴ!ミュー!しっかり掴まっていてくれ!」

 

「う、うん!」

 

 俺はG-ソフィアを急発進させ、ミュータント達から距離を取る。

 その直後、G-ソフィアを追い詰めるかの様に別のミュータントが茂みの奥から何体も現れる。

 

「狙いはG-ソフィアか……!」

 

『ジェイソン!囲まれちまってるぞ!俺らで援護すっから抜け出せっ!』

 

「分かった!イヴ、行くぞっ!」

 

「ええ!」

 

 囲まれたと言ってもこちらにはMAが2機、火力としては不足はない。俺達は権兵衛と協力して包囲を抜け、ミュータント達から離れた場所までMAを走らせた。

 

「ミュータント達はまだ追ってくるのか?」

 

「追ってはきてるけど、速度はこっちの方が上だからそこまでは心配ないかな」

 

「そうか、それならしばらくは大丈夫か」

 

 一度何が起きたのかを整理する時間が欲しい。ミュータント達は以前の様に出会い頭で襲ってきたのではない、明らかに途中から行動を変えて襲って来ていた。

 それはまるで誰かに操られている、もしくは命令されているかの様だった。

 

「もしかしてイヴ以外にもミュータントに命令出来る存在がいるというのか……?」

 

『そんならまたミュータント達が攻め始めるっちゅう事になるだか!?』

 

「いや、そのつもりなら俺達を見つけたと同時にミュータント達が攻めて来ていた筈だ」

 

 あの時、あの場所にいたミュータント達の多くはイヴの指示で超次元空間に帰っていた。敵の狙いが俺達を倒す事ならば戦力を減らされる前に攻撃を仕掛けて来ていたはずだ。

 

「おそらくミュータントの全てを操れるわけじゃないんだろう。それに操れるのならば俺達のそばにいるミューを操る筈だ」

 

『たしかにな……どういう条件で操ってんのかっつーのは分かんねぇけど、攻めてくるっつーんなら迎え撃つまでだ!』

 

『オラ達の畑を荒らさせるわけにはいかねぇだよ!』

 

 力強く声を上げる2人を頼もしく思いながら俺はイヴの方を見る。イヴは画面の方を向いているがその表情は暗く、いつも通りとは言えない。

 

「やっぱり、気になるよな……」

 

「えっ、あ……うん。ミュータントに指示を出来るのは王の資格を持つ存在だけだと思ってたから……私がしっかりしていれば人類もミュータントも傷付かなくて済むって思ってたのに……」

 

 イヴにとってミュータントはもう仲間の様な存在であり、先程の戦いでも本当はミュータントが傷つく事に心を痛めていた筈だ。

 

「そうだな……このままだと再びミュータントとの戦いが始まってしまうかもしれない。それを止める為にも早く敵を突き止めないといけないな」

 

「うん……そうだね。みんなを守る為にも私達が頑張らなきゃ!」

 

 自分を奮い立たせる為に声を張り上げてイヴが立ち上がる。少し権兵衛やタエに感化されている気もするが、元気になってくれた様で何よりだ。

 

「だけどこれでミュータント達がG-ソフィアを狙っていた事、イヴを狙っていた事に納得がいく」

 

「何か気付いたの?」

 

「あぁ、おそらく敵はイヴを倒して王の資格を自分の物にしたいんだろう。どんな方法でミュータントを操っているのかは知らないが、別の方法を使うより王の資格を持つ方が確実な筈だ」

 

 何かの能力なのか、はたまた何かの装置なのか分からないが、ミュータントを操るというのならば王の資格が一番確実だ。

 ただ、敵が人間だとしたら王の資格は得られない。王の資格はミュータント、もしくはミュータントに近しい存在に移ってしまうからだ。

 そう考えると敵はミュータントになってしまう……考えたくはないがイヴの、女王からの指示すらも聞き入れない、そんな存在がいるということだ。

 

「そしたら今も私の事をどこかで狙っているかもしれないの……?」

 

「それは分からない。だが、近くにいるというのなら昨日イヴが1人になった時や夜の間に何かを仕掛けてきていると思うんだ」

 

 今のところ何か怪しい動きをする存在は見かけていない。だからといって気を緩めるというわけにはいかない。

 とりあえず今俺達を追って来ているミュータントを対処してから一度権兵衛達の家に戻るとしよう。

 

「……………」

 

「ミュー?どうかしたの?さっきからずっと黙っているけど?」

 

「ううん。大丈夫……パパ、ママ。あのでっかい岩、なんか……変な感じー?」

 

 今まで外をジッと見ていたミューが外を指差しながらそう呟く。

 俺とイヴも釣られて見てみると俺達から少し離れた所に巨大な岩の塊が埋まっている。

 

「たしかに大きいが、あれがどこが変な感じなんだ?」

 

『んー?タエ、俺らが来てた時にあんな岩あったか?』

 

『無かった気がするだよ。こんな大きな岩見たらそうそう忘れるとは思えねえだ』

 

「パパ、多分……あの岩、ミューと一緒!」

 

 通信から権兵衛タエも不思議そうにしている

声が聞こえてくる。2人が来てから現れた巨大な岩、そして今のミューの言葉で俺はモントイで戦った巨大なミュータントの存在を思い出した。

 

「まさか……!権兵衛!タエ!急いで離れるんだ!」

 

 俺がそう叫ぶと同時、地面が揺れ、目の前の岩がゆっくりと動き出す。岩の塊のそばの地面から腕が生え、そしてゆっくりと起き上がったその顔には大きな一つ目の瞳がついている。

 

「なんでこいつが……『ギャザヴィーラ』がいるんだ!」

 

「でも待って!何か様子がおかしいわ!」

 

 イヴの言葉を聞いてギャザヴィーラを見てみると、以前とは違ってその巨体は上半身しか現れておらず、その場から巨体を動かせてはいない。

 

「上半身しか、無いのか?」

 

『ジェイソン!気をつけろ!あいつそれでも襲って来やがる!』

 

『もっと距離を取るだよ!』

 

 2人がそう言うと同時に、ギャザヴィーラは腕を振り上げ、そのまま叩きつけてくる。狙いはもちろんG-ソフィアだ。

 俺はG-ソフィアを動かしてそれを回避し、主砲を撃ち込んでいくが、表面の硬さは相変わらずでダメージが通っている気配はない。

 

「やはり狙うのは額の弱点か……」

 

「ジェイソン!追いかけて来ているミュータント達も少しずつ距離を詰めて来ているわ!」

 

 このままギャザヴィーラを放置しするわけにもいかない、どうにかして両方を相手しなければ。

 

『ジェイソン!イヴ!後ろの奴らは俺らに任せろ!』

 

『申し訳ねぇけんどもギャザヴィーラの方は頼むだよ!』

 

「分かった!こっちは俺達に任せてくれ!」

 

 兵装の量、火力から考えて俺達がギャザヴィーラに当たるのは当然だ。問題はギャザヴィーラの身体に以前の様に内部に入れそうなところが見当たらない事だ。

 

「イヴ、以前のやつと弱点が変わっている可能性がある!解析の方を頼む!」

 

「任せて!ミューも気づいた事があったらどんどん教えて!」

 

「うん!ミューも頑張る!」

 

 2人の意気込む声と同時に俺はG-ソフィアを走らせ、予想もしていなかった相手との戦いに身を投じた。




 今回も読んでいただきありがとうございます。

 今回も遅くなってしまい申し訳ありません……
 今回はミュータントの動きとその背後に潜んでいるかもしれない敵の存在、そして復活のギャザヴィーラ(上半身)を登場させました。
 この復活が何かの兆しなのか、それは今後のお話で判明させていくのでどうかお付き合いください。
 
 最近暑い日が続くので熱中症などにお気をつけください。
 今回も感想などあったらお願いいたします。感想をもらって暑さにめげずに頑張ります!
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