ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー 作:通りすがりのヌ・ナセ草
G-ソフィア目掛けて振り下ろされる腕を回避し、回避行動後の隙を狙って飛んでくる光線を『バーンスパーク』を使って切り抜ける。
反撃の機会を伺ってはいるがなかなかその機会を見つけられない。
「くっ!一旦距離を取った方が良さそうか……!」
「ジェイソン!下にも気をつけて!」
イヴの声に反応して、咄嗟に機体を急加速させる。直後、先程までいた場所に竹槍が飛び出してくる。
「すまない!助かった!」
「ううん、気にしないで。でも気をつけて、以前戦った時よりもずっと強くなってる……」
イヴの言う通りギャザヴィーラは以前戦った時よりもずっと激しい攻撃でG-ソフィアを狙ってきている。
攻撃の激しさはこちらに対する敵意の現れか、それとも別の何かによる指示によるものなのか……
「どちらにしろやられてたまるか!」
俺はギャザヴィーラに向けて素早く照準を合わせると、弱点に向けて主砲を放つ。
だがその瞬間、額に付いていた弱点がギャザヴィーラの体内に埋まってしまう。硬い外殻が主砲を弾き、弱点の部分にはダメージが与えられていない。
「防御!?そんな所までパワーアップしているのか!?」
「見て!弱点が右手に移動してるわ!」
右手に視線を向けると、額にあった弱点はいつの間にか右手の平に移動していた。
「弱点が色んな場所に移動するというのか……」
「隠し続けることは出来ないみたいだけど、移動速度が早くて出現場所の解析が追いつかない……」
イヴの解析が追いつくのならば次に出てくる場所を予測して攻撃を加えることができるが、それすらも出来ないとなると手当たり次第に攻撃するしかない。
だがそれで勝てる可能性は極端に低くなってしまうだろう。
「パパ!ミューに任せて!」
どうしたものか考えているとミューが俺の横にやって来て、手を前に突き出す。
その瞬間、ギャザヴィーラの右手周辺を覆うようにアンチェインD.D.Fが発動し、右手の動きが遅くなる。
「もしかして今なら…!」
ミューの援護によって、動きの遅くなった右手に再び主砲を放つ。先程と同じ様に右手に現れていた弱点が隠れようとするが、動きを阻害されている所為で隠れ切る事が出来ず、主砲が着弾する。
ダメージが入ったのか、右手の一部が崩れているのが見える。
「あっ!以前と違って弱点からのダメージがそのまま本体に通っているみたい!」
「前の時みたく降りて内部に入る必要はないという事か」
「パパ!弱点、今度は左肩!」
次の箇所に移った弱点を追いかけてG-ソフィアを走らせる。弱点を追われているのが分かっているのだろう、ギャザヴィーラも弱点を守る為に腕を振り回す。
「イヴ!ミュー!しっかり掴まっているんだ!」
横なぎに振り回して来た腕を『リパルジョンアッパー』を使って飛び上がって回避すると同時にミューが再び左肩周辺にアンチェインD.D.Fを展開してくれる。
「パパ!」
「ああ!くらえっ!」
空中で狙いがつけにくい為『ヘキサミサイル』を使って弱点に一気に攻撃を加える。
先程の主砲以上の衝撃を受けた影響なのか、ギャザヴィーラの左腕が肩の部分から大きな音を立てて崩れていく。
「身体の維持が出来ていないのか?それならこのまま同じ様に攻撃を続ければ倒せるはず!」
だが、腕を崩されて焦りが生まれたのか、それとも怒りなのかは分からないが、ギャザヴィーラは残っている右腕で崩れた左腕の瓦礫をがむしゃらに飛ばして来たり、地面からの竹槍をそこら中に生やし始めて来た。
あまりに激しい攻撃に俺は一度ギャザヴィーラから距離を離す。
「くっ、攻撃が今まで以上に激しくなってきたか!」
「距離を取ったらミュー、遅く出来ないよー」
「どうにかしてミューの援護ができる距離に近づかないと……」
距離を離したお陰なのかギャザヴィーラからの攻撃も一旦止まり、考える時間が出来た。
だが相手の腕が復活する可能性も、別の所からミュータントがやってくる可能性もある。あまり長時間留まってはいられない。
「イヴ、ここから『フルアクセルブラスト』であいつを攻撃出来ないか?」
G-ソフィアに搭載されている最強の兵装『フルアクセルブラスト』ならば今のギャザヴィーラの外殻ごと弱点を貫けないかと考え、データ解析を続けているイヴに聞いてみる。
「弱点に当たれば良いんだけれど、外殻は貫通出来ないみたい……」
「駄目か……何か気づかれずに接近できればいいんだが……」
「んー……あっ!ミュー、いい事思いついた!」
何か方法が無いか考えていると隣にいたミューが不意にそう呟いた。
「何か方法があるの?」
「うん、えっとね……」
●
「出来る事ならこんな方法取りたくはないんだけどな……」
「うん……でも、ミューの絶対にやるってあの気持ち。一体どうしちゃったのかな……」
ミューの考えた作戦とは、ミュー自身がG-ソフィアを降りてギャザヴィーラにこっそりと近づき、通信による俺達の合図と同時に弱点にアンチェインD.D.Fを仕掛け、俺達がそれと同時に『フルアクセルブラスト』を放つという方法だ。
俺達が囮となり、ギャザヴィーラの注意を引く為、ミューは邪魔される事なくアンチェインD.D.Fの射程内まで近付ける筈だ。
(だがこれは何事もなく進んだ場合の話だ。もしミューが途中で気づかれたら……)
俺は嫌な想像を振り払う為に、イヴが抱えている疑問へと話を切り替えた。
「たしかにこの作戦を提案してきた時のミューはどこか変な感じだったな……」
この作戦を聞いた時、俺達は勿論反対した。MAで相手をしなければいけない敵にミュー1人で向かわせるなんて出来はしない。
【行くもん!絶対ミュー大丈夫だもん!早くあのでっかいの倒さなきゃ!】
そう言って、今にも飛び出していきそうなミューをなんとか宥める事は出来たが、俺達はミューの作戦を受け入れる事になってしまった。
「とりあえず今はミューを守る為にも全力を尽くすしかない!」
「うん!フルアクセルブラストチャージ開始!」
イヴの掛け声と同時にG-ソフィアの上に小さな光の球体が現れる。それは少しずつ大きくなると同時に強大なエネルギーを蓄積していく。
さすがにこれはマズイのだとギャザヴィーラも気づいたのだろう。チャージが完了する前にG-ソフィアを止めるか、チャージを止めさせる為に再び無数の岩を飛ばして来た。
「チャージにエネルギーを回している分サブウェポンでの防御は出来ないか」
G-ソフィアを上下左右に動かしながら回避し、時には岩を足場に『ガイアシステム』でのチャージの補助を使ったおかげで俺達は思った以上に早く準備が完了した。
「チャージ完了!あとはミューがサポートしてくれたタイミングで撃てばいけるはず!」
「ミュー!聞こえるか!こっちの準備は出来た!そっちの援護と同時に撃つ!」
こちらから聞こえているかは確認が出来ないが、俺は通信機を使ってミューに言葉を送る。はたしてミューの方は上手くいっているのだろうか……?
●
(ミュー!聞こえるか!こっちの準備は出来た!そっちの援護と同時に撃つ!)
茂みの中を抜けてでっかい岩の近くまで進んでいると、パパの声が頭の中に響く。通信機を食べてしまった時はどうしようと思ったが、こうやっていい方向に行ってるから大丈夫。
でもあの時はどうしてあんな事をしてしまったのか、ミューにも分からない。
(なんだか凄く気になって気になって……気づいた時には食べちゃってた……)
今やってる作戦だってそうだ。なんでミューはあんな我儘を言ってしまったのだろう。
(……とにかく今は急がないと)
そんな事を考えている内にミューは岩の同族のすぐそばまで辿り着いていた。
こっちが小さすぎる上に茂みの中にいるお陰で向こうからは気づかれていない様だ。
(パパ達はもう大丈夫って言ってたから、あとはミューが頑張らなきゃ!)
そう意気込んだ瞬間、背中に何かがぶつかって前に飛び出してしまう。背後に見えたのはミューの事など気にかけもしないでパパのMAに向かっていく同族の姿だった。
パパのMAなら1体くらい向かってもなんともないだろう。だけどミューは飛び出した所為で、茂みから、身体が……
「あ……」
岩の同族はその大きな瞳でこちらの事をジッと見ていた。そしてその巨大な腕を振り上げるのが見えてしまった。
●
「ミュー!?」
「どうして!?いったい何が!?」
茂みの中から急にミューが飛び出して来るのが見える。
だがそれは作戦ではなく、何かに押し出されてしまったかのようだ。その所為でギャザヴィーラの狙いがミューに移ってしまったかの様に見える。
「ミュー!聞こえるか!作戦はいい!自分の身を守る為にD.D.Fを使うんだ!」
ギャザヴィーラがミューを狙うかは分からない。だが、腕が振り下ろされても動きを遅くすればまだ助かる可能性はある。
チャンスは今しかないわけではない。一度下がって立て直してからでも問題はない。
「ミュー!?何をしているんだ!?」
通信が聞こえなかったのか、それともそこまで貫きたい何かがあるのか。ミューはD.D.Fを躊躇う事なく、ギャザヴィーラの額への弱点へと使っていた。
「ジェイソン!ギャザヴィーラの様子が変よ!」
ギャザヴィーラの方を見てみると振り上げた腕を下ろす事なく戸惑っているかの様に見える。
「もしかしてこっちにいるイヴを狙うのか、障害を排除するのかで迷っているのか?」
「それより早くフルアクセルブラストを!」
イヴに言われて俺は急いでトリガーを引く。その瞬間G-ソフィアの上空にあった巨大なエネルギーの球体がギャザヴィーラ目掛けて飛んでいく。
弱点を隠し切る事も出来ず、ギャザヴィーラはフルアクセルブラストを食らい、その姿を大きく崩していく。
「ミューを助けに行かないと!」
崩れる岩に潰されてしまうかもしれない。そう思ってG-ソフィアを走らせ始めると同時に、向こうからミューが滑る様に移動して来るのが見えた。
急いでそばに寄ってG-ソフィアに乗せ、俺達はその場を離れる。
「まったく……どうしてあんな無茶をしたんだ!ギャザヴィーラの動きが止まったから良かったものを……」
「ご、ごめんなさい。慌てちゃって何が何だか分からなくて……」
「でも、無事で良かった……本当に心配したのよ」
そう言ってイヴはミューを優しく抱きしめて撫でる。危険な事をしてはいたが、ミューのお陰で勝つことが出来た。
「あっ!そういえばこれ!よいしょ……」
思い出したかの様にミューが取り出したのはギャザヴィーラの一部分であろう石の塊だった。
「それを食べれば解析が出来るの?」
「うん!待っててね!」
ミューは意気揚々と石を口の中に入れ、しばらく無言で口の中で転がしていたが、徐々にその顔がしかめっ面に変わっていく。
「んー?これはー……ほとんど……石!」
元々そこら辺にあった岩をくっつけたのだろうか。だが幸いな事に持ってきた石からギャザヴィーラのデータはなんとか拾い出す事が出来、俺達の目的も達成出来た。
帰り道、ミュータント達を撃退した権兵衛達とも合流して、俺達は権兵衛達の家へ戻った。
そして島にいたミュータントの情報も得ることが出来たので、ケインとも相談して俺達は何日か休んだ後地球に帰ることにした。
●
ギャザヴィーラを倒した2日後の深夜、ギャザヴィーラの瓦礫の上に誰かが立っている。しかし月も隠れる曇り空の所為でその姿を見ることは叶わない。
「………………………」
その人物がゆっくりと瓦礫に手をかざしたその瞬間、凄まじい衝撃波によって瓦礫の大半が吹き飛ぶ。
瓦礫の下から現れたギャザヴィーラの核の残骸を見つけると、その人物は口角を上げてそれを拾い上げる。
そして核を口に放り込んで飲み込むと、謎の人物は嬉しそうに笑って、その場を離れていった。
後に残ったのは、荒らされた瓦礫と静かな空間だけだった。
今回も読んでいただきありがとうございます。
今回はギャザヴィーラとの戦闘回ですが、やっぱり戦闘回って書くの難しいですね。最初色々考えながら書いたのですが……
(この展開だったら最初っからフルアクセルブラスト撃った方が良くね?)
となったので書き直しに!(遅くなって申し訳ない)
ミューの能力も活かせた戦闘に出来たので書き直してよかったなと個人的には思っております。
あ、ちなみにミューを押したミュータント君はフルアクセルブラストに巻き込まれました。
今回も感想などありましたらよろしくお願いしますー!