ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー   作:通りすがりのヌ・ナセ草

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届け物

 ギャザヴィーラとの戦いから数日後、俺とイヴは権兵衛の家で世話になりながらG-ソフィアのメンテナンスを進め、何事もなく出発の日を迎えていた。

 

「もう行っちまうのか……もうちょいゆっくりしてっても構わねぇんだぞ?」

 

「そうだべさ。そこまで急がなきゃなんねえ用事も無いんだべ?」

 

 ランディングポイントまで俺達を見送りに来てくれた権兵衛とタエが名残惜しそうに呟く。

 

「気持ちはありがたいけど、SFの事を考えるとこれ以上長居は難しいんだ」

 

「今はお父さんが間に入って上手くやってくれてるけど、それだっていつまでも続くわけじゃないだろうし……」

 

「あー、SFの事もあんのか……そんじゃあ仕方ねぇかぁ……」

 

 今こうしてモントイにいる事自体、SFにとっても面白くないだろう。

 俺達が超惑星間万能マーカーを持っていなければモントイに来る事も決して許しはしなかったはずだ。

 

「パパー、次はどこに行くのー?」

 

「いや、次はどこかに行くんじゃなくて俺達の家に帰るんだ」

 

「えー、もう帰るのー?ミュー、もっと色んな所行きたーい」

 

 ギャザヴィーラとの戦いで怖い目にあったというのにミューは気にする事もなく次の冒険を望んでいた。

 しかしミューの要望には応えたくても、ミュー自身もSFからしてみれば要注意の対象だ。俺達の気まぐれであっちこっちに飛び回るわけにはいかない。

 

「ミューがいい子にしていればきっとまたどこか別に惑星に行く機会だってあるはずよ」

 

「…………じゃあ、ミュー我慢する」

 

 イヴに諭されて、ミューはしょんぼりしながらも大人しくなる。

 

「それじゃあそろそろ出発しよう。イヴ、超惑星間万能マーカーの反応は大丈夫か?」

 

「うん。メタルアタッカーのマーカーの反応はしっかり拾えているよ」

 

 以前、ケインから貰ったメタルアタッカーの超惑星間万能マーカー。それは今、俺達の整備室に置いてあり、それに向けてワームホールを繋ぐ事で俺達はどこからでもすぐに地球に戻ることが出来る。

 

「ジェイソン、イヴ!今回は本当に助かっただよ!改めて礼を言うだよ!」

 

「今回はあんまり大した礼も出来なくて悪かったな!今度来た時はもっと盛大に迎えっからよ、楽しみにしててくれよ!」

 

 G-ソフィアに乗り込んだ俺達に大きく手を振りながら権兵衛とタエがそう言ってくれる。

 その様子を見て俺達も手を振って返事をし、G-ソフィアを発進させる。

 今度来る時はこういう緊急事態や仕事ではなく、仲間として、友人として遊びに来たいものだ。

 

 

 

 

「2人共、元気そうで何よりだったね」

 

「ああ、最初救助要請が来た時は気が気じゃなかったけれど、何事も無くて本当に良かったよ」

 

 地球へ向かうワームホールの中、モントイへ来た経緯と向こうでの様子をイヴと共に振り返る。

 

「でも、モントイの様子を見てると他の惑星にもミュータント達って現れているのかな……暴れてたりしたらどうしよう……」

 

「大丈夫さ。もし他の惑星でも何かが起きていたのならすぐにSFが連絡を入れてくるはずだ」

 

 落ち着いているはずのミュータントが暴れ始めれば真っ先に俺達が疑われるだろう。その連絡が無いという事はとりあえずは何事も無いと考えられる。

 勿論、SFの知らないところで事件が起きているというのは否定できないが、今それを言う必要はないだろう。

 

「うん……そうだよね」

 

「ミューはそういうのは何か感じ取れたりはしないのか?」

 

「んー、さすがにわかんないー」

 

 いくらなんでも惑星間程の距離が離れていたらさすがに無理か。元々、ミュー自身もそういう特別な能力を持っているわけではないというのもあるしな。

 

「とりあえず、あと俺達が知っている惑星はディヴィードとストランガか」

 

「ストランガは多分心配はいらないと思うの。あの惑星はちょっと特別だし」

 

「そうなると気になるのはディヴィードか……とはいえ俺達が勝手に向かうわけにも行かないな。それに何か起きていると決まったわけでもない」

 

 ストランガにミュータントが発生してもあの惑星の植物にやられてしまうだろう。

 ディヴィードはミュータントよりもあの惑星を縦断している次元断層の方が厄介だ。どうにかアレを消す事はできないものか……

 

「ジェイソン、そろそろ地球に着くよ」

 

「あ、ああ。それじゃあ2人共、しっかり掴まっていてくれ」

 

 イヴの声を聞いて急いでモニターに目を通す。次元断層の事も気になるが今は無事帰る事に集中しなければ。

 

「ワームホール、抜けるぞ!」

 

 ワームホールを抜けると同時に見慣れた景色が俺達の目に飛び込んでくる。

 出発する前と何も変わらないG-ソフィアを整備している地下施設。だがその中で一点だけ出発前と変わっていた部分があった。

 備品などを仕舞っておくコンテナ、その上に誰かが座っている。

 

「へぇ、随分と遅いお帰りだな。てっきりもう帰ってこないものだと思ってたよ」

 

 それは俺達の知る、そしてここにいるのがあまりにも予想外の人物だった。

 

『ライプニッツ……!?お前、なんでここに!?』

 

 

 

 

「それで、いったい何でここにいるんだ?」

 

 G-ソフィアから降り、ライプニッツの元へ俺達が向かう。その間もあいつは動こうともせずに俺達の方を見ているだけだ。

 

「チッ……本当ならお前の質問なんかに答える気なんて無いんだけどさぁ……ほら、こいつを届けに来てやったんだよ」

 

 そう言ってライプニッツが投げ渡してきたのは小さな採取キットだった。

 

「これは?」

 

「そんなのそれを渡す様に頼んできたケイン・ガードナーにでも聞けよ」

 

「お父さんが?ううん、それよりもライプニッツ、どうしてあなたがお父さんのお手伝いをしているの?」

 

「別にそんなのどうでもいいだろ。それよりもそこのソイツ……」

 

 そう言ってライプニッツが指を指したのはイヴの後ろからライプニッツを珍しそうに見ているミューだ。

 

「話には聞いてたけどさ……マジでミュータントと暮らしてんの?正気?」

 

「……たしかにミューはミュータントだ。だけど、それでも俺達の大事な家族だ」

 

「ふぅん……さすがヒーロー様は違うねぇ。どんな相手にでも優しく手を差し伸べるって?」

 

 ライプニッツが相変わらず嫌な雰囲気で話しかけて来る。仮面で表情は確認出来ないがきっと面白くない表情をしているのだろう。

 ライプニッツの故郷はミュータントにより滅ぼされている。そしてその時サポートロイドも一緒に……

 

「ママー、この人誰ー?」

 

「あの人はライプニッツよ。怖い雰囲気だけど少し前の戦いで私達を助けてくれたの」

 

「おい、止めろよ。ボクは……って、ママ?おい、ジェイソン。イヴが有機生命体になったっていうのは聞いたけど、お前まさか……」

 

「勘違いしないでくれ、イヴが今どういった状況なのかも知ってるんだろ?」

 

 どうやらこの勘違いは誰かに会うたびに起きそうだ。今後も覚悟しておいた方が良さそうだ。

 

「ああ……そういう事か」

 

「プニ!」

 

「「は?」」

 

 ミューが突然ライプニッツを指差しながら叫ぶ。突然の事に俺もライプニッツも呆気に取られてしまう。

 

「おい、ちょっと待て。なんだよ、そのプニってのは」

 

「ライプニッツ!だからプニ!」

 

「こら!ミュー!名前はちゃんと呼ばなきゃ駄目でしょ!!」

 

 ミューはイヴに怒られて縮こまってしまう。まさか突然こんな呼び方をするとは思っていなかった。

 

「……おい。ミュータント云々以前の問題にさ、躾ぐらいはちゃんとやれよ」

 

「……すまない」

 

 さすがにこれは何も言い返せない。今度からはミューの躾もしっかりと考えた方がいいかもしれない。

 

「まあいいや。渡すものも渡したからボクはさっさと帰るからな」

 

「え?あ、おい!?」

 

 俺の呼び掛けに応える事も無く、ライプニッツはそのままさっさと外へ向けて歩いていってしまう。

 

「これは結局なんなんだ……」

 

「あとでお父さんに連絡して聞いてみるしかないかな……」

 

 俺とイヴはライプニッツから渡された採取キットを見つめて困ってしまう。

 いったい何を取りに行くのか、それについてはライプニッツの言う通りケインに確認するしかないだろう。

 

「また何かミュータントの被害がどこかで出ているのかもしれないな……」

 

「ねえねえパパー、あの人どうやってお家に入って来てたのー?」

 

「え……あ、たしかに……」

 

 モントイからの期間早々、俺達は色々と新たな心配の種を抱える事になったのだった。




 今回も読んでいただきありがとうございます!
 活動報告に書いた様に書き直しに走り、大幅に遅れてしまい申し訳ありません。
 モントイでの話も終わり、次の話へ進む為の準備ターンに入りました。
 ここからどう話が進んでいくのか待っていただけたら幸いです。
 
 感想などありましたらぜひお願いします!
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