ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー 作:通りすがりのヌ・ナセ草
『ライプニッツと会ったか、とりあえず頼んだ物は無事届けられた様で何よりだ』
ライプニッツが帰った後、俺達は少し休憩を挟んでからケインに採取キットの事を聞く為に通信を繋いでいた。
「ケイン。何でライプニッツはアンタの手伝いなんてしているんだ?とてもそういう事をする奴とは思えないんだが……」
『そこは交渉でどうにかしたんだ』
「交渉?」
ライプニッツに交渉が効くとは思えないが、ケインの事だ。何か策があったのだろう。
『お前達と会うまでのアイツの行動は以前から問題になっていてな。まあ、アイツ自身の事を考えると同情する所もあるんだがな……』
ケインはきっとライプニッツの故郷の惑星の事を言っているのだろう。俺だって同じ事になってしまったとしたらどうなってしまうか……そんなの自分でも分からない。
『そういう事もあってアイツはSF内で危険対象になっていた。だが、そんな時に飛び込んできた情報があった』
「情報?」
『お前達がゼオグと戦った時の事だ。お前達から貰った記録にアイツの活躍について記されていてな』
そういえばゼオグと戦った時の事は出来る限り詳細に残しておこうと、細かく記録をつけた覚えがある。
『ゼオグを倒したのはアイツの活躍も必要不可欠だった。そう言い切って間違いないだろう』
「うん。ライプニッツがみんなを呼んで来てくれたからこそ、私はジェイソンを助けることが出来た」
『アイツのやってきた事はたしかに重大な違反行為だ。だがそれと同時にアイツは宇宙を救う働きをしたのも事実だ』
「なるほど。それで丁度いい落とし所として違反行為を免除する代わりにケインの手伝いをしているという事か」
『その通りだ。交渉には苦労させられたが、なんとか手伝わせることができたよ』
ケインから指示をされてものすごく不機嫌になるライプニッツの姿が容易に想像出来る。
ストレスを溜めすぎて変な行動をしなければいいが……まあ、そこはケインがしっかり監視しているだろうから多分大丈夫だろう。
「それで話を戻すけど、この採取キットは何に使うんだ?」
『おっと、そうだった。G-ソフィアのデータから見つけたんだが、お前達の行った惑星の中に【ストランガ】という惑星があっただろ?』
「ああ……ん?まさかストランガの植物を採取してこいって言うのか!?」
『話が早くて助かる。だが、お前達が危惧しての通り、あの惑星にはイヴとミューは降り立つ事が出来ないだろう』
ミュータントにすら寄生する植物が蔓延する惑星。直接植物に触れなくとも空気中に漂う花粉だけで影響があるという事は、以前イヴを救う手立てを求めて訪れた際に確認済みだ。
「それならどうするんだ?まさか俺1人で行ってこいという事なのか?」
『イヴやミューから離れるわけにはいかないだろうが。そうじゃなくともお前1人だけで行かせるのはいくらなんでも危険すぎる』
その言葉を聞いて、隣にいたイヴが安心した表情を見せる。
『お前達はまず【ディヴィード】に向かうんだ』
「ディヴィード?あの惑星に何かあるのか?」
『今回の採取の件は、元を辿ればディヴィードの次元断層をどうにかする為のものでな』
ケインの言葉に俺とイヴは顔を見合わせる。この様子だとイヴも何の事か分からないようだ。一応、ミューの様子も見てみるがミューも首を傾げるだけで何の事かは分かっていない。
『お前達が分からなくても当然だ。つい最近、ストランガの植物はミュータントの行動を抑制する事から、ミュータントによって作られた次元断層にも効果があるんじゃないか、という説が出たんだ』
「たしかにストランガの植物なら可能性はあるか……?」
『俺もそこまでは分からない。後の詳しい事はディヴィードにいるジェニファーに聞いてくれ』
「ママがディヴィードにいるの!?」
ケインの言葉にイヴが驚きの声を上げる。てっきりケインから聞いた話や、もらった発明品の数々を見ていると、開発やサポート専門の人だと思っていた。
『次元断層の件に気づいたのがジェニファーなんだ……それでミュータントの危険が収まった今なら実際の反応を調べたいという事でな……』
「だとしてもそんな無茶な……」
たしかに今はミュータントの脅威は無くなったと言える。だが次元断層や流砂、気候など気をつけなければいけない点はまだまだある。
「ねえ、パパ。もしかしてママは1人で向かったの?」
『さすがに1人で向かわせる事はしないさ。お前達も知っている奴が現地で合流している筈だ』
「俺達も知っている奴……もしかしてジョッキとティセットか?」
『ああ、そうだ。あの2人はディヴィードについても詳しいからな。護衛を頼むのなら最適だと思ったんだ』
ケインの言う通り、あの2人は俺達よりもずっと長くディヴィードにいる。あの惑星の事ならば誰よりもよく知っているだろう。
「ん?待ってくれ。護衛がすでにいるのならば俺達はなんでディヴィードに向かうんだ?」
『ジェニファーの奴、お前達がストランガである程度行動出来るようになるマニューバチップをうっかり持って行ってしまってな』
つまりディヴィードは中継地点であり、最終的な目的地はストランガという事になる。
「うっかりって……もう、ママったら」
「ママのママに会えるのー?」
「そうよ。ママもきっとミューに会いたがってる筈よ」
ジェニファーさんに会えるという事を聞いてミューは目を輝かせる。
以前、イヴの身体の状況について説明を受けた時はミューはいなかった。そうすると出会うのはこれが初めてという事になるが、ミューは新しい出会いに臆する事なく凄く興味を持っているようだ。
「しかし、こう何度も俺達が地球を離れてしまって大丈夫なのか?ケインの方にだって影響があるんじゃないか?」
『ああ、それについてはそこまで心配する必要は無い。SFはお前達の送ってきた情報やお前達の事についてで大忙しでな。お前達の監視については殆ど俺の一任になっているんでな』
どうやら惑星ソフィアでは今でもイヴの事やミューの事で忙しいようだ。それによって俺達が行動しやすいのは助かるが、なんだか申し訳ない。
『素直に喜んでおけ。こういう状況でも無いとお前達が自由に飛び回れないだろ』
「まあ、たしかに……」
『前向きに考えておけ。それよりも言った事はちゃんと覚えているか?』
「ああ、ディヴィードに向かってジェニファーさんに会えばいいんだろう?」
『大丈夫なようだな。それじゃあイヴとミューの事は頼んだぞ』
そう言ってケインは通信を終了する。帰ってきて早々、次に向かう場所が決まってしまった。
またみんなに会えるのは嬉しいが少し忙しい気がする。
「パパー!パパー!早く準備しようよー!」
「ミューは元気だなあ……」
「ふふ。でも、それがミューのいい所じゃない」
イヴの言葉にそれもそうだなと納得して、喜ぶミューに引っ張られながら俺達は準備を始めた。
今回も読んでいただきありがとうございます。
今回はちょっと短めになってしまいました……ですが次に向かう場所も目的も決まり、新たな展開も見えてきました。
今回も感想などありましたらどうかよろしくお願いしますー!