ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー 作:通りすがりのヌ・ナセ草
「ワームホールから飛び出た瞬間、次元断層に突っ込むなんて事にならないように気をつけないとな……」
ケインとの通信の後、数日掛けて準備を終えた俺達はジェニファーさん達が待つディヴィードに向けて出発していた。
ディヴィードには大量の次元断層がある。細心の注意を払って動かないといけない。
「ジェイソン、もうすぐワームホールの出口よ」
「ああ、分かった」
イヴの報告を聞いて、再度気を引き締める。その直後、G-ソフィアがワームホールから飛び出す。
俺は周囲を素早く見回し、近くに次元断層や危険な箇所が無い事を確認してから着地した。
「どうやら近くに次元断層は無いみたいだな」
「マーカーを頼りに来るって事が分かってたから、ママやジョッキさんが場所を選んでくれたんじゃないかな?」
「ありがたい事だ。早速向こうの位置を調べて……」
『おお!2人共来たか!』
イヴと共にレーダーを確認しようとしたところで大きな声が鳴り響く。
声のした方向に視線を向けると見覚えのあるMAがこっちに向かってくるところだった。
俺達がG-ソフィアから降りると、向こうもMAから降りてこっちに歩いて来た。
「2人が来ると聞いてな!まだかまだかと待ちくたびれていたところだ!」
「お、お久しぶりです。ジェイソンさん、イヴさん」
「ああ、久しぶり。ジョッキもティセットも元気そうで何よりだ」
ジョッキとティセット。以前このディヴィードで出会った仲間だ。ジョッキの豪快さとティセットの大人しい性格は変わってないようで安心する。
「こっちに来るのはもう少しかかると思っていたからちょっと驚かされたわ」
そしてジョッキとティセットに続いてジェニファーさんが降りてくる。ケインから聞いていたとはいえ、やはりこの場にいるのは少し驚かされる。
「ママ!」
「もう、イヴったら。でも、またこうして会えて嬉しいわ」
ジェニファーさんの姿を見て、イヴが駆け寄って抱きつく。イヴ自身、以前からジェニファーさんに会いたがっていた所があったからこうして出会えて何よりだ。
「ママが甘えん坊になってるー」
「ほら、ミューもみんなに挨拶を」
「はーい!ミューはミューだよー!」
俺に言われてミューは元気よく挨拶しながらジョッキやティセット、ジェニファーさんの周りを移動する。
「あ、あの、ジェイソンさん。この子が例のミュータントの……?」
「うん!ミューだよ!」
「ひゃうっ!?」
自分の事を話している事に気づいたミューがティセットの元へ近寄ると、それに驚いたティセットがジョッキの後ろに隠れてしまう。
「ハッハッハッ!しかしこの子もお前達も、色々と大変な事になっているみたいだな」
「ん?2人はもう俺達の事について知っているのか?」
「私の方から説明させてもらったわ。まだ話さない方が良かったかしら……?」
「いえ、いずれは話さなければならなかった事です」
隠し通していても意味がない事だ。それならば誰の口から知られても問題ないだろう。
「ところでママ、ここで次元断層について調べてるってパパから聞いたんだけど」
「そうよ。G-ソフィアの中にあったストランガの植物、そのデータを次元断層のデータと組み合わせる為にここまで来たの」
「たしかに次元断層を持ってくるなんて事は出来ないですけど……まさかジェニファーさん自身がここに来るとは思いもしませんでしたよ」
「ジェイソンの言う通りよ!パパから聞いてびっくりしたんだからね!」
かなり心配していたのだろう、イヴが怒った様子でジェニファーさんに詰め寄り、ジェニファーさんがそれを宥め始める。
その様子をミューがジッと見ている事に2人が気づく。
「ミュー、どうしたの?」
「あら、心配させちゃった?大丈夫よ。イヴも本気で怒ってるわけではないから」
「えーと………ママのママ、つまり……!」
「つまり、何かしら?」
「…………ジェニファーさん!」
ケインの時に言われた事を覚えていたのか、それとも本能的に察したのか……そこについては深く知らない方がいいだろう。
「ジェイソン、何か言いたいことがありそうね?」
「あ、いや……そうだ!俺達は結局どうすればいいんですか?チップを受け取ったらすぐにストランガに向かった方がいいんでしょうか?」
「まったく……当初はその予定だったんだけど、あなた達にも手伝ってもらいたい事が出来たの」
「ママの手伝い?」
護衛はジョッキとティセットがいる。つまり研究の手伝いをしてほしいということだろうか。
「それは問題ないですけど、何を手伝うんですか?」
「次元断層を何ヵ所か調べて、場所ごとの反応の違いを見てもらいたいのよ。本当は私が行きたいんだけどここの調査でもう少しの間手が離せないの」
「反応の違い?」
正直、以前この惑星で次元断層を見てた時はどこの場所でも違いがある様には見えなかった。
「見た目に違いは無いわ。探知機で調べた時に多少の違いが出る程度だもの」
「待ってください。探知機が無いG-ソフィアはどうすれば……」
「心配しないで。こういう時のために探知機のチップを用意してあるの」
そう言ってジェニファーさんがマニューバチップを取り出す。イヴがそれを受け取り、早速G-ソフィアに組み込む。
「これでG-ソフィアも探知機を使った作業が出来……」
「あれ……ママ、もしかしたらこのチップ壊れちゃってるかも」
「えっ!?」
俺とジェニファーさんが慌ててG-ソフィアに駆け寄って調べてみると、モニターにはエラーコードが表示されるだけでそれ以外に変化がない。
「もしかしたらこの星の磁気や環境とかの影響を受けてしまったのかもしれないわね……イヴ、一応予備のチップもあるから、こっちも試してみて」
「うん。分かった」
「これもダメだったら別の方法を考えるしかないわね……」
再度イヴがチップを使って作業を始める。モニターに何度か読み込み中の文字が表示された後、読み込み完了の表示がモニターに映る。
「良かった。こっちは大丈夫だったみたいね」
「壊れたチップはママに返しとくね」
「待って!ミュー、欲しい!!」
イヴが壊れたチップをジェニファーさんに返そうとすると、それを遮るかの様にミューが声を上げる。
「えっ?ミューちゃんこれが欲しいの?壊れているのよ?」
「ミュー、食べたら真似出来るかも!」
「そうか。たしかにその可能性はあるのか」
俺はジェニファーさんにミューがモントイで通信の能力を手に入れた事を伝える。
「そういえばミューちゃんの能力についての報告が上がってきてたわね……」
「じゃあ、ミュー、それ食べていい?」
「……そうね。でも何かおかしいと思ったらすぐに言うのよ」
ジェニファーさんの許可が出たのを確認して、イヴは持っていたチップをミューに渡す。
ミューはチップを受け取るとすぐにそれを口に含んだ。
「んー……」
「大丈夫?変な所とかはない?」
「んん〜……」
みんなが見守る中、ミューは神妙な表情でチップを飲み込む。
「どうだ?何か変わったりは……?」
「……分かんない!」
ミューはそれはもう元気よく返事をしてくれた。思い返してみれば通信機の時だって偶然気づくことができたのだ。ミュー自身は気付けない可能性だってある。
「あはは……それじゃあ何か変わったって思ったら私やジェイソンにすぐに教えてね」
「うん!ミュー、分かった!」
「ミューちゃんの事もひと段落ついた所で作業の説明に入るわね。調べる場所は全部で3箇所よ」
ジェニファーさんが小型の端末を持ってきて起動させる。そこにはディヴィードのマップが表示されていた。
「今私達がいるのは砂漠側のここよ。ジェイソン達には砂漠側と寒冷側のそれぞれ1箇所ずつ調べてほしいの」
「残りの1箇所はどうするんですか?」
「そこはすぐそばだから私達が向かうわ。あなた達が調べ終える前にはこっちの作業も終わってるでしょうし」
「分かりました。それじゃあ何かあったらその都度通信で連絡を取り合いましょう」
俺達のやる事も把握し、イヴとミューを連れてG-ソフィアへと戻る。
早速探知機を使い、調査する場所を確認してその場所へと進み始める。
『ジェイソン、聞こえるか?』
「ジョッキか。どうしたんだ?」
出発してすぐにジョッキから連絡が入る。声の様子から緊急事態というわけではなさそうだ。
『さっき伝え忘れた事があってな。その前に嬢ちゃんのお陰でミュータント達が大人しくなっているっていうのは本当か?』
「ああ、本当だ。ただどういうわけかイヴの指示に従わないミュータントもいるみたいなんだ」
『そうか……実は俺達が探索している最中、以前では見かけなかった場所にも次元断層が発生している気がしてな』
「次元断層が増えているっていうのか?」
次元断層を作っていたボスミュータントは俺達が倒した。あいつが復活でもしない限り次元断層は増える事がないはずだ。
『俺達の見間違いや勘違いならいいんだがな……万が一戦いになるというのなら気をつけるんだぞ』
「ああ、そっちも気を付けてくれ」
俺の言葉を聞いた後、ジョッキは通信を終了させた。ボスミュータントの復活……モントイでの出来事を思い出し、俺は嫌な予感を抱えながら調査場所へと向かった。
今回も読んでいただきありがとうございます。
今回でディヴィードへ到着し、次回から探索になります。ゲーム中の次元断層には散々苦しめられた作者です。
実際にディヴィード走り回れって言われたらアンチディメンションバリアくれってなりますね。
今回も感想などありましたらぜひよろしくお願いいたします!