ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー 作:通りすがりのヌ・ナセ草
「イヴ、周辺にミュータントとかの生命反応は?」
「ううん。そういった反応は特に無いかな。やっぱりさっきジョッキさんの言っていた事が気になるの?」
「ああ、もし本当に次元断層が増えているんだったらそれはかなりマズイ状況のはずだ」
ボスミュータントを倒した事で今まであった次元断層は残っていても、これ以上は増えなくなったはずだ。
それでも増えるとしたら別のミュータントが次元断層を生み出しているか、それとも次元断層自体に拡大する力があるということになってしまう。
「俺達がこの惑星に来るのは久しぶりだからな。ジョッキの言う事は気に留めておいた方がいいと思うんだ」
「うん、私もジェイソンの言う通りだと思う。いつも以上に周辺に気を配っておくね」
「ああ、よろしく頼む」
「ミューも、ミューもよく周りを見ておくー!」
「あぁ、もちろんミューも頼りにしてるぞ」
俺達の様子を見てミューも張り切り始める。ミュータントに関する事となったらイヴとミュー、この2人がいれば頼もしい事この上ない。
そう思った瞬間、ミューが弾かれたようにG-ソフィアの正面に視線を向けた。
「どうしたんだ?何かあるのか?」
「……ママ、何か変!」
「えっ?……気をつけて!何か来る!!」
イヴとミューの様子から只事ではないと感じ、気を引き締めてハンドルを握り直すと同時に目の前の空間が割れ、中から以前このディヴィードで倒した筈のボスミュータント【ディグローラー】が姿を現す。
「こいつ、なんでここにいるんだ!?ギャザヴィーラと同じ様に復活したっていうのか!?」
「ジェイソン!この子も私のいう事を聞いてくれない!!」
「なっ!?だとしたらこいつもイヴの事を狙って……!」
俺達がいるのはディヴィードの中の通路の一つだ。壁の向こうや砂や雪の中、至る所に次元断層が潜んでいるかもしれないこの場所では戦うのには不向き過ぎる。
どうやってこの場を切り抜けるか考えを巡らせ始めるが、ディグローラーはこちらを気にする事もなく周囲を見回している。
「なんだこいつ……まさか俺達の事が見えていないのか?」
「そんなはずないと思うんだけど……」
「なんか変な感じ……」
予想外の行動に俺達全員が困惑しているとディグローラーは再び、ワームホールの中に引っ込んでしまう。
「た、助かったのか……?」
「でも、あの子を放っておくわけにもいかないわ」
「そうだな。その前にジョッキとジェニファーさん達にも伝えないと」
突如現れたボスミュータントを追いかける為にも俺達は一度ジェニファーさん達と連絡を取ることにした。
●
『ボスミュータントがこの星に……そのミュータントはあなた達に気づいてはいたのよね?』
「はい。俺達の正面に出て来ましたので気づいてなかったという事は考えられません」
「うん。G-ソフィアも物陰にいたってわけでもないし」
『だとすると何が目的だったのかしら……ううん、今はそれどころじゃないわね。調査は中断よ。あなた達もすぐに戻って来て』
ジェニファーさんの言う事はもっともだ。イヴの身に何かあってはいけない。それは何よりも優先される事だが、それと同時に新たな問題も発生してしまう。
「ママ、あの子を放っておくわけにはいかないわ。それにミューならあの子のいる場所を調べる事が出来るかもしれないの」
「うん!ミューね、アイツ出てくる時分かったんだよ!」
おそらくミューが探知機のチップを吸収した結果だろう。ミュータントに対しての感知能力が大きく上昇したようだ。
「ミュー、頑張ってアイツ探す!」
「ジェニファーさん。このままでは以前よりももっと次元断層が増えてしまうかもしれない。そうなったら今度こそ手がつけられなくなってしまうかもしれないんです」
『…………分かったわ。だけど本当にあなた達の安全を優先するのよ』
ジェニファーさんはしばらく考え込んだ後、渋々といった様子で俺達の考えを受け入れてくれた。
「勿論です。無理を言ってすみません……」
『そう思うのなら3人とも無事で帰ってきてちょうだい』
その言葉に俺達は小さく頷いて返事をして通信を切った。
「それじゃあミュー、頼んだぞ。お前の探知能力が頼りなんだ」
「うん!頑張る!まずはあっち!」
俺はミューの指差す方向に進路を決めてG-ソフィアを走らせ始める。
●
「ここの道もダメなのか……また回り道をしないといけないな」
「ジョッキさんの言っていた事ってこの事だったのね」
ミューの指差す方向へ進み始めて数分。俺達は何度目かの回り道のルート探索を始めていた。
ジョッキが次元断層の数が増えていると言っていたが、まさにその通りで俺達は新たに増えた次元断層に行手を遮られていた。
「これだけ変わっているんだ。きっとジョッキが気づいた時よりも変化が大きくなっているのかもしれない」
「さっき出てきたあの子が次元断層を増やしているのかな……?」
「そうかもしれないな。ミューは何か気づいた事とかは?」
「ううん。あ、でもあっちで止まってるっていうのは分かるよー」
そう言ってミューが指差すのは目の前に立ち塞がる次元断層だ。恐らくこの向こう側にディグローラーがいるのだろう。
「ジェイソン、回り道のルートを見つけたわ!」
「よし!案内を頼む!」
あちこちに道があるお陰で回り道には困らないが、真っ直ぐ向かえない事がもどかしい。
そう考えながら進んでいくと以前破壊した次元断層の穴を超えて寒冷地帯へと突入する。こちら側から回り込み、何処かから再び砂漠側へ戻るのだろう。
「パパ、止まって!」
突然のミューの静止に驚きながらもG-ソフィアを急停止させる。
「ミュー、どうしたんだ?何かいたのか?」
「……また、何か来る」
その言葉を聞いた俺とイヴが気を引き締めると瓦礫の隙間からワームホールが開くのが見えた。
「これはディグローラーか!?こっち側に移動してきたのか!」
「ううん。さっきと違う」
「え?」
そう言われて慎重に瓦礫の隙間から覗き込むと、そこには真っ白な姿をしたディグローラーが顔を出して周囲の様子を伺っていた。
そのミュータントを解析したG-ソフィアのモニターには【アルビノディグローラー】というエネミーコードが表示されていた。
「コイツはさっきの奴とは別種なのか?」
「そうみたいなんだけど……なんか様子がおかしいわ」
イヴの言う通り、アルビノディグローラーの雰囲気はあからさまに敵意を発しており、こっちも自然と息を潜める動きになってしまうほどだ。
しばらく様子を見ているとアルビノディグローラーはゆっくりとワームホールの中に戻って行き、周辺には静寂が戻って来る。
「ふぅ……なんだったんだアイツは」
「以前、私達を襲って来ていた子達と同じ気配を感じたわ」
「うん。きっと見つかったら襲って来るよ!」
「幸いこっちにはミューがいるから不意に出会すということは無いだろうけど注意して動かないといけないな」
次元断層操るミュータントの脅威は通常のミュータントの比ではない。見つかる事は避けなければ。
「よし、アイツが再び顔を出す前に急いで進もう」
俺は急いでG-ソフィアを走らせて、イヴの案内と共に砂漠側へ戻る道へと向かった。
●
「もうすぐ砂漠側に戻れるから、そこからまたミューの指示を聞いて進んで行きましょう」
「そうだな。ミュー、ディグローラーの居場所は……」
「パパッ!!急いで前に向かって!!後ろ、来るっ!!」
回り道を進んで最後の直線に差し掛かったところで再度ミューが大きな声を出す。
急いで背後を確認するとワームホールがゆっくり開き、アルビノディグローラーが顔を覗かせ始めていた。
「イヴ!ミュー!しっかり掴まっているんだ!」
この場所ではとても戦う事なんて出来ない。今は逃げるしかない。そう考えると同時に俺はG-ソフィアを走らせる。
背後から凄まじい雄叫びと迫り来る音が聞こえる。
「パパ!正面気を付けて!」
「次元断層かっ!」
俺達の逃げ道を塞ぐかの様に次元断層が現れ始める。道を塞がれる前に飛び越したり、潜ったりギリギリの場所をなんとか通り抜けてG-ソフィアを走らせて行く。
砂漠側のエリアは目前だがこのままどこまで逃げればアイツは諦めてくれるのだろうか。
「あっ!正面からさっきのでっかいの来る!」
「なんだって!?」
ミューの声に反応して正面に目を向けるとワームホールが開き、その中からディグローラーが顔を覗かせる。
「くっ!挟み撃ちか……!」
「ジェイソン!そのまま真っ直ぐ進んで!」
「なんだって!?」
「大丈夫!私を信じて!」
一瞬躊躇ったがイヴの言葉を信じて俺は一気に加速する。目の前にいたディグローラーは俺達の上を通り過ぎ、そのまま後ろにいたアルビノディグローラーに突撃をした。
「いったいどうなっているんだ……?」
「なんでか分からないけど今度はあの子と意思疎通が出来たの。それで私達を守ってくれるって……」
「そうなのか……何はともあれ助かった。足止めをしてくれている間に先を急ごう」
突然現れた2体のボスミュータント。それぞれ何の目的でこの惑星に現れたのかは分からないが、今はとにかくこの場を離れる事に全力を尽くさないと……
今回も読んでいただきありがとうございます。
ゲームであるとしたらアルビノディグローラーから隠れながら進んでいく展開になりそうな感じの今回のお話です。
同じくらいのサイズみたいに書いてしまいましたが、やっぱりアルビノディグローラーと普通のディグローラーはサイズに結構差があるのでしょうか…?
今回も感想などいただけるとありがたいです!