ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー   作:通りすがりのヌ・ナセ草

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強襲

「……どうやら追いかけてきてはいないみたいだな」

 

「とりあえず周辺に反応はないみたい。ミューの方は何か感じたりする?」

 

「んー、ミューもなんにもないー」

 

 アルビノディグローラーから逃げ延びた俺達は砂漠地帯に入り、落ち着いた場所で状況を確認していた。

 

「結局あのディグローラーは一体何だったんだ?おかげで助かったけど……」

 

「私にも何が何だか……急に私を助けるって考えを感じ取れたから咄嗟に頼っちゃったけど……」

 

「ミュー、あの2体はまださっきの場所にいるのか?」

 

 あの場所からは抜け出せたがあの2体の動きは把握しておかないといけない。幸いミューの新たな能力で2体のディグローラーの位置はある程度調べられる筈だ。

 

「うん。どっちもあの場所にまだいる感じー」

 

「一応、念の為もう少し離れておくか……」

 

「あれ?ジェイソン、ちょっと待って……うん、この先に進めばママが言ってた調査ポイントよ」

 

 イヴの言葉を聞いた俺はG-ソフィアに備え付けられた探知機を起動させる。すると彼女の言う通り探知機が反応し、すぐ近くの場所を示した。

 

「まさかこんなすぐ近くにあるなんて……折角だし調べておいた方がいいか」

 

「それじゃあ目標へのルートを計算するね」

 

「じゃあミューはさっきのでっかいヤツの方を見とくー」

 

 ミューがディグローラー達を見てくれている間に俺達は急いで目的の場所へとG-ソフィアを走らせる。

 

 

 

 

「な、なんだこれは……」

 

「これ……次元断層、だよね?」

 

「おっきーい」

 

 探知機が指し示した場所へと辿り着いた俺達を待っていたのは巨大な次元断層の壁だった。

 

「これはさっきのどっちかがこの壁を作ったという事なのか……?」

 

「どうなんだろう?あの子達に直接聞ければ分かるんだけど……」

 

 イヴの言う通りだが今はあの2体のディグローラーにはとても近づける状況ではない。

 とりあえずデータを取る為に次元断層に慎重に近づく。

 

「これだけ近づけば大丈夫か?」

 

「うん。ちょっと待ってて…………これでよし!もう離れても大丈夫」

 

 イヴがデータを取り終えた事を確認して次元断層から離れる。慎重に動いたとしても次元断層に近寄るのはどうしても緊張する。

 

「もう1箇所は行けるか分からないけど、もし近くまで行く事ができたらそっちも調べなきゃね」

 

「ああ、あの2体がどう動くか分からないが、出来る事なら調べにいきたいな」

 

 最優先しなければいけないのは2体のディグローラーだが、出来ればジェニファーさんの頼み事も並行して進めておきたい。

 

「パパ!さっきのでっかいヤツの片方がこっちに来る!」

 

「なんだって!?」

 

 部屋を後にしようとした所でミューがミュータントの存在を察知したのか後ろを指差しながら大きな声を出す。

 さっきの場所より広いこの部屋ならば戦う事が出来ると考え、俺達は迎え撃つ姿勢でディグローラーを待つ。

 

「ジェイソン、もし私達を守ってくれた方の子だったら少し様子を見てもらってもいい?」

 

「ああ、勿論だ。俺達を守ってくれた奴に攻撃する必要は無いしな」

 

「出て来るよ!」

 

 ミューの声と共に目の前にワームホールが開き、その中からディグローラーがゆっくりと姿を現す。

 

「白くない、という事はコイツは俺達を守ってくれたヤツか」

 

「うん。それにやっぱり敵対意思は無いみたい。少し話してみるね」

 

 イヴが目を閉じて黙ってしまう。ディグローラーの方もG-ソフィアを目の前にしていても大人しくしており、なんとも不思議な光景だ。

 

「……この子も呼ばれてここに来たって言ってるわ」

 

「モントイの時のミュータント達も誰かに呼ばれて来たって言っていた……やはり何者かが関わっているのか?」

 

「でもそれならこの子はなんで私を狙わないんだろ……ううん、むしろ守ってくれたわ」

 

 ミュータントが仲間のフリをするなんて事は出来ないだろう。だとしたら……

 

「他のミュータントに命令している存在の指示は途切れてしまう場合がある……そういう事かもしれない」

 

「最初は両方で私を狙っていたけどディヴィードにいる内に片方の子が正気に戻ったという事?」

 

「ハッキリとは分からない。イヴ、ディグローラーから他に何か情報は得られたりはしないか?」

 

 俺がそう質問するとイヴは再び目を閉じてディグローラーと話を始める。

 

「うん……うん…………えっ!?そうなんだ……」

 

「何か分かったのか!?」

 

「えっとね、まずこの子が知ってる事は何も無かったの。それならこの惑星にある次元断層を消せないかお願いしてみたんだけど……」

 

 たしかにイヴの言う通り、ディグローラーならばこの惑星の次元断層を消せるのだろう。

 しかしイヴの表情からそう上手くはいかないという事が分かる。

 

「そしたらこの子自身が出した次元断層は消す事ができるけど、他の子が生み出した次元断層はどうする事も出来ないって……」

 

「そうなのか……出来ないのなら仕方ない。とりあえず今ある次元断層を消してもらってもいいか?」

 

 俺の言葉を聞いてイヴがディグローラーにその事を伝える。指示を聞いたディグローラーが体を震わせると、目の前にあった巨大な次元断層の壁が消えてしまった。

 

「この巨大な次元断層はコイツが作った物だったのか……」

 

「あっ、パパー。あっちに道あるよー?」

 

 ミューが指差す方を見てみると今まで次元断層で見えなかった場所に通路があるのが見えた。

 

「ジェイソン、あの通路を通ったら寒冷側の方に行けるみたい」

 

「あっ、それとね。さっきの白いデッカいの寒い方から動かないよー」

 

「放っておくわけにはいかないな。十分に気をつけてこっちから仕掛けるしかないか」

 

 理由は分からないがアルビノディグローラーは寒冷側から動かないようだ。ミューに頼らなくてもある程度の場所が絞れるのはこちらとしても助かる。

 

「あっちの子も大人しくなって話を聞いてくれればいいんだけど……」

 

 イヴの言う通り、大人しくなって戦闘にならないのならばそれに越した事はない。だがさっきの様子を見てるとその望みは薄いかもしれない。

 

「大人しくなるきっかけを見つけられればいいんだが……とにかく今は気をつけながら捜索しよう」

 

 

 

 

「改めて見ると寒冷側も次元断層の数が大分多いな」

 

「さっきの子は自分が作った次元断層を全部消してくれたはずだから、これは白い子のなのかな?」

 

 寒冷側に入って改めて周囲を見回すと、こちらの次元断層は至る所から突出していたり、道を遮るように作られていたりと置かれ方に悪意のようなものを感じた。

 

「これ以上増やされたらディヴィードがとんでもない事になってしまう!早く見つけて止めよう!」

 

「ミュー、白い子がどこにいるのか分かる?」

 

「んー……もっと奥の方の感じがするー」

 

 ミューが指差した方向は次元断層で入り組んだ通路の向こうだった。所々に突き出た足場のおかげで進めなくはなさそうだが危険なのは間違いない。

 

「ここを進まなきゃいけないのか……」

 

「回り道があればいいんだけど……引き返す?」

 

 イヴの言葉に今までの道のりを思い返す。通って来た道はどこも狭く、戻っている途中で襲われてしまえばひとたまりも無い。

 それならばこの道の先を調べてみた方がいいかもしれない。

 

「いや、進んでみよう。時間を掛けたら相手がジョッキやジェニファーさん達の元へ向かってしまう可能性もある」

 

「それじゃあミューはアイツが来ないかしっかり確認しとくね!」

 

 ミューの言葉に頷いて俺は突き出した足場を慎重に渡り始めた。

 

「イヴ、この先の空間はどんな感じになっているか調べる事は出来るか?」

 

「ちょっと待って……通路の先に大きな空間があるみたい」

 

「大きな空間か……ミュー、そこにさっきのやつはいるのか?」

 

 俺が質問するとミューは目を閉じて頭を左右にゆらゆら動かし始める。不思議な動きだがきっと周囲を探っているのだろう。

 

「……んーん。多分だけどママの言ってる部屋にはいないかなー」

 

「そうなのか……だけど動きに余裕の出来る場所はありがたい。とりあえずそこを目指そう」

 

 今いる狭い空間よりも広い空間にいた方が襲われた時も対処しやすい。相手の能力が能力だけに動き回る余裕がどうしても欲しくなる。

 そんな事を頭の片隅で考えている間に目的の部屋の前に辿り着くことができた。

 

「何事も無く辿り着くことが出来たな。渡っている途中で襲ってくる事も考えていたが杞憂で助かった」

 

「あんな場所で襲われたらひとたまりもないもの。無事に渡れて良かったわ」

 

 渡り切れた事に安堵を感じつつも慎重に部屋の中の様子を確かめる。

 中には敵対するミュータントや次元断層は見当たらず、比較的安全な空間だという事が見て分かる。

 

「よし、危険はなさそうだ。一度ディグローラーの動きもここで確認を……」

 

「パパ!白いの、急に動いた!!」

 

「なっ!?」

 

 部屋に入った瞬間ミューが叫ぶ。それと同時に入ってきた入り口に次元断層の壁が張られ、退路をたたれてしまう。

 そして目の前にワームホールが開き、中からアルビノディグローラーが現れる。

 

「まさか、罠だったというのか!?」

 

「教えて!あなたはいったい誰に指示されてここに来たの!?」

 

 アルビノディグローラーにイヴが呼びかけるが向こうは耳を貸す事もなくこちらに敵意の篭った視線を向けている。

 

「イヴ、やるしかない。戦っている間に何か変化がある事を祈ろう」

 

「……うん、大丈夫。私とミューでサポートするからジェイソンは相手の動きに気をつけて!」

 

 相手の予想外の行動で突如始まった戦闘に俺はいくつかの疑問を感じていた。

 ミュータントにこういった計画性のある行動を取らせられる存在、わざわざ広い所に出てから襲わせる意味、どうやって確認しているのか……いや、色々考える所はあっても戦いの後に考える事にしよう。




 今回も読んでいただきありがとうございます。
 師走も近づいてきて仕事がだいぶ忙しくなってきた作者でございます。

 イヴが3の状態になっているからこそ出来るミュータントとの協力展開が書けて今回は結構満足な部分があります。
 敵だった存在との協力ってなかなか良いものを感じますよね?

 今回も感想などありましたらぜひお願いします。
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