ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー 作:通りすがりのヌ・ナセ草
俺達がイヴとミューの示す場所へと戻って来ると、そこではすでにジョッキとティセットが操縦するMA【アトム】がアルビノディグローラーと戦っているところだった。
『ティセ子!もっと出力を上げるぞ!』
『こ、これ以上はもう無理ですー!!』
アルビノディグローラーに少しでも多くダメージを与えようとしているのか、ジョッキがティセットに無茶な指示を出しているのが聞こえる。
「ジョッキ!ティセット!大丈夫か!」
『おお!来たかジェイソン!』
俺達が呼びかけるとジョッキは俺達のすぐそばへ移動し、アルビノディグローラーへ向き直る。
「ジョッキ、もう一体のディグローラーはどこにいるんだ?」
『ジェイソンさんが言っていたボスミュータントなのですが、こちらでは姿を見ていないんです……』
「なんだって?ミュー、アイツはどこにいるか分かるか?」
先に向かったと思っていたディグローラーがいないと聞いて、俺はすぐにミューに場所を探知してもらう事にした。
「んー…あれ?すぐそばにいるよー?」
ミューがそう言うと同時に空中にワームホールが開き、ディグローラーが顔を出す。
「この子、私を守ろうとする事を優先して出てきてなかっただけなのかも……」
『という事は嬢ちゃんは少なくとも俺達よりは安全って事だな!負けてられんぞティセ子!気を引き締めろ!』
『は、はい!』
こっちに戦力が増えたからだろうか、アルビノディグローラーが先程までとは違い、慎重に様子を伺うような動きを見せ始める。
『気をつけろ、何かしてくるかもしれんぞ』
「次元断層を使ってくる相手だ。十分に警戒するんだ」
ジョッキと俺がアルビノディグローラーの動きに気をつけるが、相手は口を閉じたままゆっくりと動いて様子を見ている。
それを見て先程と同じ様にディグローラーがアルビノディグローラーに体当たりなどを試してみるが全く口を開かなくなってしまった。
「コイツ、さっきので自分の弱点を学んだのか……」
『だがこれなら向こうからも攻撃は……』
ジョッキがそこまで言ったところでアルビノディグローラーが急にこちらに向けて突撃してきた。
咄嗟に反応出来たおかげで避ける事が出来たが、あの巨体での体当たりは危険だ。
「たしかに口を閉じていても出来る攻撃だが、まさか突っ込んでくるなんて……」
「パパ、あれじゃ攻撃通らないよー?」
ミューの言う通り、弱点である口内に攻撃が出来ないのであればダメージを与えるのは難しい。
フルアクセルブラストやディグローラーの光線ならばどうにか出来るかもしれないがそれらを放つ前にきっとワームホールへと潜られてしまうだろう。
「何か方法があればいいんだが……」
『ふむ……ティセ子。ちょっといいか?』
『ジョッキ、どうかしたん……えっ!?えぇ!?!?そんなの無理ですー!!』
通信の向こうでジョッキが何か相談しているのとティセットの驚きの声が聞こえてくる。
「ど、どうかしたのか?」
「何かトラブルでもあったの?」
『なに、そう大きな問題じゃない』
『とんでもない問題ですー!』
ジョッキは大きく笑って答えるが、それを遮る様にティセットが困った様な声を上げる。
『ジェイソン、アイツの動きを俺が止める。その間にアイツに攻撃を撃ち込んで口を開かせるんだ』
「止めるって……いったい何をする気なんだ!?」
『以前戦った時に使ったコイツの突進を覚えているだろう?』
ジョッキに言われて以前ちょっとした勘違いから戦った時のことを思い出す。たしかにあの時は凄い勢いで走り回っていたのを覚えている。
「まさかアイツと正面からぶつかり合う気なのか!?」
『ディグローラー同士をぶつけると図体のデカさが仇となって攻撃がしにくいからな。なに、アトムの頑丈さなら何も心配はいらんさ』
ジョッキはそう言うが通信の向こうで色々慌てているティセットを見るととてもそうとは思えなくなってしまう。
「ほ、本当に大丈夫なのか……?」
『大丈夫だと言っているだろう。ティセ子!行くぞ!』
『ふええーー!!』
通信からティセットの悲鳴を響かせながらジョッキ達はアルビノディグローラーの正面に立ち塞がる。
そしてアトムの中から飛び出してきたジョッキが自身の身体の鉱石をアトムへと突き刺す。
『勝負だ!ボスミュータント!』
ジョッキが叫ぶと同時にアルビノディグローラーが再びこちらへ突っ込んでくる。
それに合わせて走り出したアトムの方は螺旋状のエネルギーを纏って突撃をする。
あまりにもサイズ差がある勝負だがアトムはアルビノディグローラーをしっかりと受け止め、相手の動きを止めていた。
「まさか本当に受け止めるなんて……イヴ!今の内に攻撃をするぞ!」
「うん!だけどフルアクセルブラストだとジョッキさん達を巻き込んでしまうから何か考えないと」
「何かいい方法は……」
「パパー、これ使えないかなー?」
ミューがモニターのサブウェポンを指差す。そこに映っていたものを見て俺とイヴは静かに頷き合った。
●
「ティセ子!アトムはまだまだ行けるな!」
「最初からずっと無茶な状況ですー!!」
ティセ子の悲鳴と車内に響くアラームを聞きながら正面に目を向ければそこには視界を埋め尽くすアルビノディグローラーの表皮が見える。
少しでもこっちの勢いを緩めれば一気に押されて潰されてしまいかねない。
「アトムのエネルギーもどれだけ持つか分からんが……まだまだ負けんぞボスミュータント!!」
「もう限界ですってばーー!!」
再度ティセ子の悲鳴が上がると同時に目の前にいたアルビノディグローラーの姿勢が大きく傾いて地面に突撃する。
均衡がズレたことでこちらの機体も大きく飛び出すが、ティセ子のサポートのおかげで転倒までは至らなかった。
「ジェイソンの攻撃か!!」
「ジョッキ!今の内に立て直しましょう!」
距離を離しながら状況を確認してみるとアルビノディグローラーの上にジェイソン達のMAが乗っているのが見えた。
相変わらずの頼もしさに俺は小さく笑みを浮かべながら、次に来るであろう攻撃チャンスに備えた。
●
「よし!ジョッキ達も離れたな!」
「ミューの提案のスパイラルバニッシュ。思った以上にいい成果を出せたね」
ジョッキ達が動きを止めている間に壁を使って相手の頭上に回り【スパイラルバニッシュ】を決めるというミューが考えた作戦だ。
岩盤すらも貫くサブウェポンでもさすがに貫通する事は出来なかったが、甲殻の一部を破壊してダメージを与える事は出来た。
「俺達も急いで離れるぞ!」
「うん!でっかいの!お願いっ!!」
ミューが手を振り上げ元気よく叫ぶとワームホールの中から顔を出したディグローラーが顔を出す。
ワームホールの中でエネルギーを溜めていたのか開けた口にはすでに光線を放つ準備が出来ており、アルビノディグローラーに向けて狙いを定める。
そして俺達が離れると同時にアルビノディグローラーの側面目掛けて巨大な光線が放たれる。
「これでどうだ……!」
凄まじいエネルギーの光線が直撃したことにより、アルビノディグローラーが悲鳴の様な鳴き声と共に口を開ける。
「今がチャンスだ!」
ジョッキとディグローラーの協力によって掴んだ攻撃のチャンス。この瞬間を活かしたいが【フルアクセルブラスト】分のエネルギーも再チャージする時間も足りない。
『ジェイソン!そこをどくんだ!』
「ジョッキ!?」
何か強力な一撃が無いか考えているとG-ソフィアの目の前にジョッキのMAが飛び出してくる。先程無茶をしたせいなのかアトムの車体には所々にダメージが入っているのが一目で分かるほど激しく損傷していた。
『くらえっ!ボスミュータント!』
車体のダメージを気にする事なく、ジョッキは雄叫びと共にアトムの正面の発射口から、ディグローラーの光線にも負けないほどの巨大なレーザーをアルビノディグローラーの口内目掛けて照射する。
2ヶ所から強力な攻撃を貰ったアルビノディグローラーは断末魔を上げる事も出来ず、そのまま床に崩れ落ちた。
「倒した、のか?」
「……うん。生命反応、無くなったよ」
俺の言葉にイヴが悲しそうに小さく呟く。倒さなければいけない状況だったという事は理解していてもそれで割り切れるはずがない。
「イヴ……」
「心配しなくても大丈夫!それよりジョッキさん達の方が心配よ。MAがあの状態であんな攻撃を撃ったんだもの、損傷がどこまで広がっているか……」
イヴ自身の事も心配だが彼女の言うようにジョッキ達の事も心配だ。
そう思ってアトムへと車体を近づけると上部のハッチからジョッキとティセットが飛び出してきた。
「ハッハッハッ!まさに危機一髪というやつだったな!」
「ふえぇ……これじゃあしばらくここから動けないですよー……」
無事な様子を見せてくれたジョッキとティセットを見て俺達は顔を見合わせて小さく笑ってしまうのだった。
その後、動けないアトムをG-ソフィアで引っ張って俺達はジェニファーさんのいるという休憩所へと帰って来た。
色々と報告する事は合ったがひとまずは休んだ方がいいというお叱りを受け、俺達は一晩休息をとる事にした。
●
皆が寝静まって静寂が訪れた夜。暗闇の中でアルビノディグローラーの身体がゆっくりと動く。
奇跡というべきだろう。あの直後、自身の生命力により蘇生を果たしたのだ。
「………………」
そんなアルビノディグローラーの目の前に1人の人物が現れる。
その人物を見てアルビノディグローラーは弱々しい鳴き声を上げる。自分をここに呼び出した張本人に救いを求める様に。
「………………」
そんな様子をまるで気に留める事もなくその人物は静かにアルビノディグローラーの頭に手を当てる。
次の瞬間、螺旋状のエネルギーが放たれ、アルビノディグローラーの甲殻を突き破り、身体を内部から崩壊させた。
その人物はアルビノディグローラーが完全に息絶えたのを見届けると身体の一部をもぎ取り、自身の口内へと放り込む。
「………………」
そして満足そうに歪んだ笑みを浮かべると静かにその場を立ち去っていったのだった。
後に残ったのは凄惨な亡骸となったアルビノディグローラーと地面に染み込んで消えていくスライム状の液体だけであった……
今回も読んでいただきありがとうございます!
急いで仕上げて週末に上げようと思ったのに結局水曜日に……
2つ目の惑星もお話もひと段落してなんだかんだ話が進んできたなーと思う今日この頃。まだ完結までは結構ありますが引き続き読んでいただけると幸いです。
今回も感想などありましたらよろしくお願いしますー!