ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー 作:通りすがりのヌ・ナセ草
アルビノディグローラーとの戦いから数日。俺達はディヴィードでジェニファーさんと一緒に損傷したG-ソフィアの修理を進めていた。
「あっ、ここもダメみたい。ママ、ここのパーツの替えって無いかな?」
「この部分?……ちょっと今の手持ちでは無理そうね」
G-ソフィアには思った以上に無理をさせていたようで、イヴとジェニファーさんは損傷の具合を調べては相談し、なんとか修理を進めるという工程を何度も繰り返していた。
「うーん、ここまで損傷が酷いと一度地球に帰ってよく修理した方がいいかも」
「すまない。俺がもっと上手く戦えていればこんな事にはならなかったのに……」
「誰もジェイソンを責めてなんていないわ。ジェイソンのお陰で私もミューも無事なのよ?」
「そうだよ!パパは凄いよ!」
自分の不甲斐なさを悔やんでいるとイヴとミューが俺を励ましてくれる。
2人の気遣いに俺は気持ちを切り替えてこれからの動き方を考える為にケインに連絡を取ることにした。
●
『まさかディヴィードでそんな事になっているとは……誰も大きな怪我はないんだな?』
「ああ。G-ソフィアの損傷が激しいが俺達もジェニファーさん達も大丈夫だ」
『それなら一安心だな。G-ソフィアについてだがそういう事なら一度地球に戻った方がいいだろう。ストランガへの調査も早急に行わないといけないというわけでもないしな』
ケインに状況を伝えると特に難航することも無くあっさりと地球への帰還が認められた。
イヴ自身の立場のこともあるのだろうが親心という部分もきっと大きいのだろう。
『ああ、そうだ。地球に帰ったらまた連絡をくれ。お前達に伝えたい事があるんだ』
「伝えたい事?今話すのは駄目なのか?」
『いや、駄目というか。もう少し話をまとめておきたいというか……』
ケインの様子に俺は首を傾げるがあまり詮索しても仕方がない。
他の相談に話題を切り替える前に俺は周囲に人の気配が無いことを確認する。
『ん?……ジェイソン。ちょっと待て……秘匿回線に切り替えたぞ。少しの間ならSFにも聞かれずに話せるぞ』
俺の動きだけで察したのだろう。今から話す事は内容が内容だけにケインの気配りに感謝だ。
「実はミューについてなんだがケインは何か不思議に思うところはあったりしないか?」
『ミューについてだと?俺達からしてみればあんな風に話すミュータントって時点で不思議でしかないがな』
「そうじゃなくて……」
俺はアルビノディグローラーを追いかけていた時、ミューの雰囲気が大きく変わった事についてケインに詳しく話した。
『怒りや苛立ちの様な雰囲気、か……』
「ああ、ただ単にアルビノディグローラー相手に苛立っていたのかと考えたが今までの戦いの中でもそんな事はなかった」
『そうなると別の何かに思う事があった、という事か。ミュー自身がディヴィードと何か繋がりがあったりはしないのか?』
この惑星に来る時や来た後の言動や行動を思い出すが、ミューはこの惑星に何か感じたり思い入れがあるといった様子は見られなかった。
もしかしたらミュー自身が忘れてしまったというやらないといけない事に関係している可能性はあるが、それにしても何も反応が無さすぎる。
「ミューの様子を見てる限りそれも無さそうだ」
『そうか……一応ミューの様子には気を配っておけ。何か気づいた事があればすぐに連絡をするんだぞ』
「ああ、分かった」
通信を終えてイヴ達の元へ戻り、ケインから地球への帰還に問題は無いという事を伝えるとイヴ達は帰還の準備を整え始める。
そんな最中、準備を進めているとミューが何かを抱えて走ってくる。
「パパー!ママー!」
「ミューどうかしたの?」
「何を持っているんだ?」
「貰った!!」
ミューが掲げて俺たちに見せてくれたのは大きな角のような棘の様な物だった。
「これは一体?」
「でっかいヤツの歯!!」
ミューに言われて掲げている物を改めてよく見ると確かにディグローラーの牙だ。どうやって貰ってきたのか尋ねる前にミューは牙を齧ってどんどん口の中に入れていく。
口に入れた直後は頬をパンパンに膨らませていたがあっという間にいつも通りの顔に戻ってドヤ顔を見せてくれる。
「これででっかいのもデータ取れるね!」
「そうね。ありがとうミュー」
イヴに頭を撫でられて喜ぶミューを眺める。今この時の表情はまるで無邪気な子供の様で、あの時の表情はまるで嘘だったんじゃないかと思えてしまうほどだ。
「…?パパどうかしたのー?」
「いや、なんでもない。さ、準備を進めよう」
今ここでミューを問い詰めても何か答えを得られるとは思えない。むしろ混乱させてしまうかもしれない。
無理しておかしな空気を作ってしまうよりも今は様子見をしておいた方がいいだろう。
俺の言葉にミューは大きく頷いて一生懸命に準備を手伝い始める。
(何事もなく杞憂で終わってくれればそれでいいんだが……)
そう考えながらも不安な気持ちを拭いきれないまま俺は作業を進め続けた。
●
「それじゃあ私達は地球に戻るけどママ達は本当に大丈夫なの?」
「ええ。私達はもう少しここで調査を続けていくわ」
準備を終えていつでも出発出来る状態になったところで俺達は最後にジェニファーさんやジョッキ達と挨拶を交わしていた。
「それと、はい」
「これは?」
「最初あなた達に渡す予定だったストランガに行くためのチップよ」
そう言われてここに来た理由を思い出した。これを使えばイヴやミューもストランガの影響を受けない……はずだ。
「ジェイソン。ストランガに行くのならカンナやケンウッドによろしく伝えておいてくれ」
「出来る事なら私達も一緒に行きたかったんですが……」
ジョッキとティセットはまだここで調査を続けるジェニファーさんを守らないといけない。
一緒に来てもらえたら心強かったが仕方がない。
「パパー!ママー!そろそろ行こうよー」
「ああ、分かった!」
「それじゃあママ。また会えるのを楽しみにしてるね」
「ええ。怪我とかには気をつけるのよ」
G-ソフィアの中からミューが呼び掛けるのに答え、最後に改めて挨拶を交わして俺達はG-ソフィアに乗り込む。
そしてそのまま外で手を振ってくれる3人に手を振り返しながら地球に向けて出発した。
●
地球に辿り着くまでにG-ソフィアがダメージの影響で不具合が起きないか心配ではあったがなんとか大きなトラブルもなく帰ってくる事は出来た。
「ふぅ……どうにか保ってくれたか」
「すぐに修理してあげないといけないね」
「なんだよ。こんなにボロボロになってんのにまだ死んでないのかよ」
「なっ!?」
地球にある自分達の家に戻って来ると同時に出迎えてくれたのはまたもやなぜかいるライプニッツだった。
「お前、何でまたここにいるんだ」
「お前さぁ。わざわざボクがこんな所に来たくて来てると思ってるわけ?」
相変わらず俺の言葉に嫌な感じで返して来る。言い返したくなる気持ちをグッと堪えて俺は考える。
コイツがわざわざここまで来るということは……
「またケインから何かあるのか?」
「さぁね。詳しくは本人から聞いてみなよ」
このままでは埒が開かないと感じた俺は通信機を使ってケインに通信を繋ぐ事にした。
『ジェイソン。どうやら無事帰って来れた様だな』
「ケイン。教えてくれ。なんでライプニッツがここにいるんだ」
『まあ落ち着け。ライプニッツもそこにいるのか?』
ケインがそういうとライプニッツが少し離れた所からこっちを見るのが見えた。
『いるのならそれでいい。単刀直入に言おう。ストランガにはライプニッツも一緒に行ってもらう』
「…………」
「…………」
「「はぁっ!?」」
ケインの予想外の一言はそこにいた全員に衝撃を与える事となったのだった。
今回も読んでいただきありがとうございます
ディヴィードでの出来事も終わり、無事帰って来る事ができました。ミューにちょっと気になる所が出来ましたがそれは何に繋がるのか……ちなみにディグローラーは牙を渡した後しれっと帰りました。
今回も感想などあったらよろしくお願いします。