ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー   作:通りすがりのヌ・ナセ草

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捕獲作戦

『ところでさ〜。イヴちゃんは身体の調子は大丈夫なの〜?』

 

 ヌ・ナセ草を探して走り回っている最中、カンナから通信が送られてきた。運転しているのはケンウッドらしいので暇なのかもしれない。

 

「今は大丈夫。カンナやケンウッドさんは私の身体の事については……」

 

『私やカンナはすでにケイン様より伺っております。イヴ様は色々と苦労されていられるかと思いますが、困った事があれば何なりとご相談ください』

 

『困った事があったら私達にどーんと任せんしゃい!!』

 

 自信満々といった様子でカンナが通信の向こうでドヤ顔を決める。いつもと変わらない様子だがその明るさが救いとなる。

 

「うん。その時は頼りにさせてもらうね」

 

『素直な返事にカンナちゃん感激!ところでさ〜、さっき素晴らし〜い挨拶を返してくれたその子』

 

 カンナの言葉にG-ソフィアの隅にいたミューが立ち上がり、首を傾げながら通信画面の前まで寄ってくる。

 

『おぉ〜!本当に子供のイヴちゃんみたい〜!』

 

『ケイン様から聞いておりましたがイヴ様のお子様と言われても納得してしまう雰囲気をお持ちでございますね』

 

 ミューがカンナとケンウッドの言葉に嬉しそうな困った様ななんとも言えない表情を浮かべると同時に何かに気付いたように上を見上げる。

 

「どうかしたのか?」

 

「えっ?あ、うん。その……なんか向こうの方で変な物が動いたような……」

 

「変な物?」

 

 ミューの言葉を聞いてG-ソフィアを停車させてレーダーを確認するが、特に反応は無いようだ。

 いや、そもそもストランガの植物相手にレーダーが効くのかどうかという話になってくる。

 

「ライプニッツ、お前の方は何か見えたりしなかったのか?」

 

『は?なんでボクが見てなきゃなんないのさ』

 

 予想はしていたがライプニッツは基本的に付いてくるだけの存在だと思ったほうがよさそうだ。

 何かあったらケインから言われている分だけ働くと考えた方がいいだろう。

 

『ジェイソン様。ミュー様の言った事も気になりますので進路変えてみようかと思いますがよろしいでしょうか?』

 

「ああ、俺達よりケンウッド達の方がストランガの地形については詳しいだろうし任せるよ」

 

『それじゃ進路を変えて〜ひあうぃご〜!』

 

 カンナの掛け声と共に前方を走っていた『エイル』がミューが気になった方向へと移動を始める。

 木々を潜り、植物の壁を越えると屋外へと辿り着いた。

 

「え!?ジェイソン、なにあれ!?」

 

「な、なんだあれは……」

 

 イヴが大きな声を上げて前方を指差す。そこには目的であるヌ・ナセ草が風を浴びて葉っぱを揺らしていた。以前見かけた時とそこまで見た目が変わっていないから見間違えということはないはずだ。

 唯一違う点は茎の根本から根っこで出来た逞しい足が生えているという事だ。

 

『うわ……なんだあれ。キモッ……』

 

 ライプニッツが搾り出すような声でヌ・ナセ草対しての感想を呟く。俺達もストランガで足の生えた植物を見た事はあるが、ヌ・ナセ草の足は妙な逞しさがあって不気味だ。

 

『珍しいですね。あそこまで成長したヌ・ナセ草はなかなか見る事が出来ません』

 

『希少種ってやつだね〜』

 

 ただでさえ珍しいストランガの植物に希少種なんてものが存在したのか……それはともかく採取をしなければ。

 そう思ってゆっくりとG-ソフィアを近づけると、こっちに気付いたのかヌ・ナセ草は凄まじい勢いで走り出し、あっという間に見えなくなってしまった。

 

「は、速い……」

 

「あんなの、追いつけるの……?」

 

「バ、バーンスパークとかならどうかな?」

 

 たしかにバーンスパークを使えば追いつけるかもしれない。だがその後の採取の事を考えると追いつくだけでは意味がない。

 

『で、どうするんだよ。アレが動かなくなるまで追いかけろなんていうんじゃないよな?』

 

『いえ、恐らくヌ・ナセ草が動けなくなる前に我々の方が疲れ果ててしまう事でしょう』

 

『……マジでどうなってんだよこの星の生態は』

 

『ご安心下さい。ちゃんと策は考えてあります』

 

 訳の分からない生態にライプニッツ始め、俺達3人も一緒に困惑しているとケンウッドは『エイル』を操作して再び屋内へと進んでいく。

 どんな策なのか少し考えた後、俺達も後を追って進んで行く。

 

『あ、きたきた〜。そして見よ!これがカンナちゃんが考えた捕獲トラップってやつなのだー!』

 

「いや、捕獲トラップって……この毒のイバラみたいなやつの事なのか?」

 

 追いかけた先でカンナが通信越しに声高らかに宣言してくる。だが誰がどう見てもイバラに囲われているのは『エイル』だ。

 

『つかまっちった』

 

『………………』

 

 もはやライプニッツは呆れるだけで何も言葉を発さなくなっていた。イヴも後部座席で苦笑いをするしかないようだ。

 

『こちらはつい最近ストランガで見つかったセラニ・トラミ草という新種の植物ですね』

 

「ケンウッドは焦ってないみたいだけど……大丈夫なのか?」

 

『はい。セラニ・トラミ草は獲物を捕獲し、そして特に何もしない植物ですので。それに数日もすれば自然と枯れます』

 

 何の為に獲物を捕獲するのかまるで分からないが、このまま待ち続けるのは時間の無駄だ。よく見るとイバラは奥の方まで伸びており、それを辿れば大元の植物へと辿り着きそうだ。

 

「ケンウッド、大元の植物を刈り取ればこのイバラは枯れたりするのか?」

 

『ええ、刈り取ると同時に繋がっているイバラは全て枯れますね』

 

「それなら俺が大元の植物どうにかしてくるからここで待っていてくれ」

 

 俺は外に出る準備をすぐに始める。すると俺のそばにミューが寄ってきて何か言いたそうな表情でこっちを見始めた。

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「えっと……その、ラ、ライプニッツさんってこっちに来れないかな……?」

 

「え?」

 

 予想外の発言に思わず耳を疑ってしまう。だがミューの抱えている悩みの事を考えるとイヴと2人っきりになるのを不安がるのは納得だ。

 

「そうだな……イヴ、申し訳ないんだがライプニッツに通信をしてもらえるか?多分俺が話しても聞いてくれないだろう」

 

「そうね。私から話してもどうなるか分からないけど、連絡を取ってみるわ」

 

 そう言ってイヴがすぐにライプニッツに通信を始める。少しして『G-ソフィア』の隣に『ライジングガルーダ』が着陸する。

 それを確認した俺はイヴ達に見送られながらG-ソフィアの外へと出た。

 

「よぉヒーロー様。愛想でも尽かされたのか?」

 

 外に出ると同時に先に外で待っていたライプニッツから毒を吐かれる。

 

「そんなわけないだろ。でもこんな素直にお前が来てくれるとは思わなかったな……」

 

「別にイヴに対しては何とも思ってないし、お前の頼みだったら聞く事なんてしなかったけど」

 

 ライプニッツはそう言ってG-ソフィアを見上げる。俺も釣られて見上げると淡い光がG-ソフィアを覆っているのが見える。

 ジェニファーさんが開発してくれたチップによって貼られたバリアがストランガの花粉や成分を完全に遮断している。

 

「これのお陰で中は安全って事か……何してるんだよ。お前はさっさと行ってくたばってこいよ」

 

「……イヴとミューの事を頼む」

 

 それだけ言って俺はセラニ・トラミ草の大元を探しに走り出した。

 

 

 

 

「ふーん。バリアを潜ると体に付いていた花粉やら何やらも除去されるのか」

 

「急にこんなお願いをしてごめんなさい」

 

 ジェイソンが行った後ライプニッツが中に入ってくる。ミューは私の側でライプニッツをジッと見ているが駆け寄ったりはしないようだ。

 

「ボクの事はいいからさ、お前はジェイソンのサポートをしてろよ」

 

「そっちもちゃんとやっているから大丈夫よ」

 

 私の言葉を聞いたライプニッツはジェイソンの席に座って車内を見回し始める。途中ミューと目が合ったりするが特に何かを言う事は無かった。

 

「ライプニッツ、どうして呼んだのかとかは気になったりしないの?」

 

「はあ?通信で護衛をしてほしいって言ったから来たんだけど」

 

「あ、うん。そうなんだけど……」

 

「と言うかさ。お前らとそのガキ、なんかあったの?」

 

 ライプニッツがミューを指差しながら私に聞いてくる。何も話していないのに勘繰られた事にドキッとしてしまう。

 

「……なんでそう思うの?」

 

「お前らとそのガキの間の雰囲気、前会った時と比べて全然違うんだけど」

 

「!?」

 

 指摘されて思わず固まってしまう。そんな私を見てもライプニッツは特に気にする事なく話を続ける。

 

「そのミュータントがどうなろうとボクの知った事じゃないけどさ。本気で守りたいならもう少し気を付けとけば」

 

 それだけ言ってライプニッツは黙ってしまう。そんなライプニッツにミューが恐る恐る近づいていく。

 

「……なんだよ」

 

「ライプニッツさん。ミューの事心配してくれてる?」

 

「あのさぁ……今さっきどうなってもいいって言ったの分からなかった?」

 

 冷たくあしらわれたミューだったがそれでも何処か嬉しそうな表情で私の近くへと戻ってくる。

 

(家族とかミュータントの事で色々思う所あるだろうし……無理させちゃったかしら……)

 

「なんだよ」

 

 そんな事を考えながら作業をしていたらライプニッツから言葉が飛んで来た。表情に出てしまっていたのかもしれない。

 

「別にボクの事なんて気にしないでいいんだけど。お前らの事とかそのミュータントの事なんてどうでもいいし」

 

「でも……」

 

「気になるんだったらさっさとジェイソンの奴に戻って来るように言えよ」

 

 それだけ言ってライプニッツは今度こそそっぽを向いて完全に黙ってしまう。

 そんな以前とは変わったライプニッツの雰囲気を感じながら私はジェイソンへのサポートに集中する事にした。




 今回も読んでいただきありがとうございます!
 先日体調を崩してしまい投稿が遅れてしまいましてしまいました…セラニ・トラミ草も登場させたくて本編に近い内容となってしまいましたが後悔はしていない!
 あとライプニッツの立ち回らせ方がやはりなかなか難しいと感じた今日この頃です。

 今回も感想などありましたらぜひお願いします!
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