ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー   作:通りすがりのヌ・ナセ草

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変化

 イヴとミューの事もあって、俺は普段よりも急足でセラニ・トラミ草の大元を探していた。ライプニッツ自身の強さとゼオグとの戦いで俺達に手を貸してくれた事から心配はいらないとは思っているが、ミューが抱えている事を知られてしまうかもしれないという不安はある。

 

「イヴ、セラニ・トラミ草の反応らしきものは見当たらないか?」

 

『そのまままっすぐ進んだ所に反応があるわ。ミュータントの反応は無いけどストランガの植物が生い茂っていると思うから十分注意を……』

 

『ふーん。こういう風に映ってるんだ』

 

 イヴと通信をしていると突然声が割り込んでくる。声の主が誰かなんて確かめる必要もない。

 

「おい、ライプニッツ。勝手にG-ソフィアの通信を使うなよ」

 

『別にいいじゃん。減るものじゃないしさ』

 

『駄目に決まってるでしょ!』

 

 イヴにも注意されてライプニッツはつまらなさそうに舌打ちをして、通信を切る。

 

「油断も隙もあったもんじゃないな……」

 

『私も操作してる事に気づいてなかったわ……』

 

 2人してため息をついているとその間に大きな花びらをつけた草に遭遇した。

 イバラが繋がっているところを見るとおそらくこれがセラニ・トラミ草の大元で間違い無さそうだ。

 

「思った以上にすんなりと見つかったな。悪いが刈り取らせてもらう!」

 

 

 

 

 それから数分後、植物による抵抗はあったもののそれ単体では大した脅威にも妨げにもならず、あっさりとセラニ・トラミ草の刈り取りは終わった。

 

「ここまでスムーズに行くとは思わなかったな……イヴ、セラニ・トラミ草の様子はどうだ?」

 

『うん。イバラが枯れてカンナ達が自由に動けるようになってる』

 

 イヴの報告を聞き、俺は来た道を引き返してG-ソフィアの元へ走り出す。

 

「ん……?なっ!?なんだあれは……!?」

 

 引き返している途中、ふと植物の間に目を向けるとツタの壁の隙間から何か巨大な爪跡の様なものが目に入った。

 

「イヴ!周囲にミュータントの反応は!?」

 

『え?さっき言った通り反応は無いけど……どうかしたの?』

 

「これを見てほしいんだ」

 

 俺が見ている映像をイヴが見ているG-ソフィアの画面へと共有する。その画面を見てイヴも小さく驚きの声を上げるのが聞こえる。

 

『なんだろう、これ?ストランガにこんな大きな生物がいるのかな……』

 

「カンナやケンウッドに聞けば何か分かるかもしれない」

 

『……あのさぁ、何か忘れてない?』

 

 イヴと話していると再びライプニッツが会話に割り込んでくる。またかと思いつつも話には耳を傾ける。

 

「忘れてるって……何を?」

 

『お前さ、ここに来た時にボスミュータントと戦ったんだろ?』

 

 ライプニッツに言われてストランガ周辺の小惑星で戦った『スケルベロス』の事を思い出す。

 

『お前らの行動記録覗いたけどさ、ここ最近の事を思い出してみろよ。ギャザウィーラにディグローラー……ここまで来て関係ない奴が来るなんて思ってんの?』

 

 ライプニッツの言う通り今まで出てきたボスミュータントはその惑星で戦った事がある相手、もしくはそれと同じ様な相手だった。

 そう考えるのなら、たしかにスケルベロスが出てきてもおかしくないが、アイツはミュータントだ。このストランガの環境で生きていけるわけがないはず。

 

「……イヴ、念の為にも今の話をカンナやケンウッドにも伝えておいてくれ」

 

『分かったわ。あと私の方でも他に何か情報がないか調べてみるね』

 

 イヴとの通信を終え、俺は嫌な予感を感じながらも来た時以上の早足でG-ソフィアへと向かった。

 

 

 

 

「遅くなってすまない」

 

「パパ、おかえりー」

 

「お疲れ様。こっちは何もなかったから大丈夫よ」

 

 G-ソフィアに戻った俺をイヴとミューが迎えてくれる。ライプニッツは俺が戻って来たのを確認すると何も言わずにさっさと俺の脇を抜けて出て行こうとする。

 

「ライプニッツ、イヴとミューを守……」

 

「おい。お前から礼なんて止めろよ」

 

「それでも守ってくれていたのは事実だ。助かった」

 

 俺がそう言うとライプニッツは面倒くさそうにため息吐いてG-ソフィアを出て行ってしまった。

 

「そうだ。イヴ、ライプニッツに何か言われたりはしなかったか?」

 

「何かって……例えば?」

 

「ミューの事やミュータントについてとか……」

 

 ライプニッツは自分の故郷をミュータントによって滅ぼされている。以前会っていた時よりはいくらか当たりは丸くなってはいるが色々と思うことはあるはずだ。

 

「そういう事なら大丈夫。むしろミューと何かあったのかって聞かれたわ」

 

「もしかしてミューの隠してる事に気付かれてたのか!?」

 

「ううん、ハッキリと気付いてるわけじゃないみたい。ただ、私達との間に何か溝があるって感じてるみたい」

 

 俺達としてはいつも通りに過ごしていたつもりだったが、他から見たら違和感を感じていたのか……ケインに気付かれる前に気付けたのは幸いだ。

 

「次にケインに会うまでに何か考えておかないといけないかもしれないな……」

 

『ジェイソン様、ありがとうございます』

 

 イヴと話しているとケンウッドからの通信が入ってくる。セラニ・トラミ草から解放されて自由になった様で何よりだ。

 

『それとボスミュータントについてなのですが、私もカンナもそのような大型のミュータントをストランガで見た記憶はございません』

 

「だがあの爪跡は遠目からでも比較的新しい様に見えた……」

 

『そうなるとつい最近、私達も知らない間にボスミュータントがストランガに現れたということになります』

 

 今までいなかったボスミュータントが現れたのはおそらく俺達がストランガへ訪れた事と繋がりがあるのだろう。

 ディヴィードでのディグローラーの様に協力的であればいいんだが……

 

「ところで……カンナがぐったりしている様けど何かあったのか?」

 

『カンナちゃんは〜、しょんぼりしているので〜す』

 

『植物仲間であるセラニ・トラミ草が枯れた事で落ち込んでいるようですね』

 

 通信の向こうのカンナは普段のハキハキとした姿とは違い、本人も頭の植物も元気が無くしょんぼりしている。

 

「だ、大丈夫なのか……?」

 

『数分もしたらいつもの様に戻りますので心配はございません』

 

『おい、進める様になったんだったらさっさと動けよ』

 

 ケンウッド達と話しているとライプニッツが通信で割り込んでくる。たしかにケンウッド達が動ける様になった今、ヌ・ナセ草探しを再開しなければ。

 そう思ってふと視線を横に動かすと植物の影からヌ・ナセ草がこっちを覗いていた。

 

「いたぞ!……いや、何か様子がおかしくないか?」

 

「うん。なんだか……あっ!こっちに走ってきた!」

 

 こちらの様子を伺っていたヌ・ナセ草が凄い勢いでこちらに向かって走ってくる。

 これは好機だと思い、MAで道を塞ごうとするがヌ・ナセ草の華麗な足捌きで間をすり抜けられてしまう。

 

「くっ!素早い!」

 

「みんな待って!ヌ・ナセ草が走ってきた方から高エネルギー反応!」

 

「なにっ!?」

 

 イヴの報告を受けて急いで車体を旋回させる。それと同時に正面にワームホールが開き、その中から植物を薙ぎ倒しながら巨大なミュータントが姿を現す。

 

「スケルベロス!?……いや、違う!なんだコイツは!?」

 

 スケルベロスとは違いその体の大半は機械と化しており、エネミーコードは『メタルべロス』と表示されている。

 

『まさか自らを機械化させてストランガの環境に適応させるとは……ミュータントの進化には驚かされるものです』

 

『いいじゃん。ボクは好きだけどなぁ……その必死な足掻きっぷりとかさぁ!』

 

 そう言ってライプニッツは俺たちが止める間もなくボスミュータントに向かって突っ込んでいく。

 

「ライプニッツ!くっ!カンナとケンウッドはヌ・ナセ草を追いかけてくれ!俺達が追い掛けるよりも追いつけるはずだ!」

 

『分かりました。ヌ・ナセ草についてはこちらにお任せください』

 

『カンナちゃんふっかーーーつ!!大船に乗ったつもりで私達に任せなさーい!』

 

 ボスミュータントを見てさすがに気合を入れ直したのか、萎れた様子から一転、元気いっぱいのカンナがケンウッドに指示を出して『エイル』を走らせる。

 カンナ達を見送った後、俺はすぐにメタルべロスの正面へ移動する。

 

「イヴ!奴の弱点を探ってくれ!」

 

「パパ!私は!?」

 

「ミューは今回は大人しくしているんだ!」

 

 ミューは不服そうだがストランガの環境で外に出るわけにはいかない。

 ライプニッツとの共闘……その事に少し不安を覚えながらも俺はボスミュータントへと攻撃を始めた。




 今回も読んでいただきありがとうございます!
 メタルベロスの登場になりましたが当初コイツを普通に歩かせてしまう内容を書いてしまい、足が無いやんと後々気付いて慌てた作者です。
 ストランガだとミューの扱いがなかなか難しいなぁ……

 今回も感想などがありましたらよろしくお願いします!
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