ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー   作:通りすがりのヌ・ナセ草

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違和感

 俺達の目の前に突然現れたボスミュータントにライプニッツは凄まじい勢いで攻撃を仕掛けていた。

 

『なんだ。そんな姿になってもそんなものかよ』

 

 ライプニッツがメタルベロスを煽る様に周囲を飛び回っている。その動きは『ガルーダ』の時とは比べ物にならない程の速度となっていた。

 

「凄い……こんなに強くなっているなんて……」

 

「ああ、だが今は頼もしい!」

 

 俺もライプニッツに負けじとメタルベロスへと攻撃を続けるが、メタルベロスの左右の頭から吐き出されるMAを弾き飛ばすレーザーに翻弄され、思った様に攻撃を当てる事ができない。

 

「ジェイソン!真ん中の頭から高エネルギー反応!」

 

「チャージ攻撃か……!」

 

 強力な攻撃を予感し、中央の頭へと照準向けた瞬間『ライジングガルーダ』が機体前方に装着されている大型のブレードでメタルベロスの頭部を深く切り裂きながら通り過ぎていく。

 大きなダメージを受けたメタルベロスはチャージを中断して頭を大きく振る。

 

『お前らさぁ、ボクみたいにもっと速く動けないの?』

 

「G-ソフィアでお前みたいに動けるわけないだろ……」

 

 新たなMAの性能を楽しんでいるのかライプニッツはこちらも煽りながら木々の間をすり抜けていく。

 

「あ、パパ!でっかい首長逃げちゃうよ!」

 

「なんだって!?」

 

 ミューに言われて意識をライプニッツからメタルベロスに戻すと、その巨体をワームホールへと沈めている所だった。

 

『そう簡単に逃すわけないじゃん』

 

 逃げるメタルベロスへとライプニッツがすぐに追撃を放つが左右の首が盾となり本体への攻撃は阻まれてしまう。

 その隙にメタルベロスはワームホールへ完全に逃げ込んでしまった。

 

「逃げられたか……」

 

「……ううん。もしかしたら逃げたわけじゃないのかも」

 

 イヴの言葉に周囲への警戒を強める。だがメタルベロスが再び現れる雰囲気は感じられない。

 

「ジェイソン、戦いが始まる前のことを思い出して」

 

「戦いが始まる前……?たしかヌ・ナセ草を探して……まさか!!」

 

 メタルベロスに出会う直前、ヌ・ナセ草がこっちに逃げて来たのを思い出した。メタルベロスの目的は俺達ではなくヌ・ナセ草なのかもしれない。

 

「カンナ達が危ない!イヴ、すぐにカンナとケンウッドに連絡をしてくれ!」

 

「うん!それとカンナ達の場所はマップに記してあるわ!」

 

 メタルベロスの予想外の行動に俺とイヴは慌てながらもカンナ達の元へ向けてG-ソフィアを走らせた。

 

 

 

 

「ミュータントが目の前の獲物を無視してでも別の物を狙う、か」

 

 眼下で走るG-ソフィアを眺めながらライプニッツが呟く。

 

「それが普通じゃないってアイツ気づいてないんじゃないか?」

 

 こっちがヌ・ナセ草を探す事を目的としたのはこの惑星に到着してからの事だ……それがどういう事かは口にするまでもない。

 

「ま、精々頑張って守ってみなよ」

 

 最後にそう呟いてライプニッツは『ライジングガルーダ』を加速させメタルベロスの反応がある方へと向かった。

 

 

 

 

「カンナ!ケンウッドさん!そっちは大丈夫!?」

 

『イヴ様、こちらは平気でございます』

 

『こんなボスミュータント如きに負けるカンナちゃんではないのだ〜!』

 

 通信の向こうではすでに戦闘が始まっている様だがそこまで緊迫した様子は伝わってこない。それを不思議に思いながらカンナ達と合流するとそこには不思議な光景が広がっていた。

 

「ヌ・ナセ草が戦っている……?」

 

 先程まで逃げ回っていたヌ・ナセ草が今はメタルベロスの攻撃を華麗に避け続けているのが見える。

 そんなヌ・ナセ草が囮の役割になっているお陰なのか『エイル』の方は安定した間隔で攻撃を続けている。

 

『ボスミュータントも楽に倒せて、ヌ・ナセ草も疲れた所を捕まえられる!まさに一石二鳥!』

 

 俺に気付いたのかカンナが通信で報告してくる。色々と疑問は残るが今はカンナ達に加勢する事に集中する。

 とりあえず牽制として『ヘキサミサイル』で3つの頭を同時に攻撃するがメタルベロスはそんな事を気にする事もなくヌ・ナセ草を狙い続ける。

 

(なぜあそこまでヌ・ナセ草に拘っているんだ……?)

 

 その姿にイヴも疑問を持っているのか困惑した表情を浮かべている。ミューに関しては車体の窓から黙ったままメタルベロスを見つめるだけだ。

 

「イヴ、メタルベロスは何を考えているんだ?」

 

「分からない……呼びかけても何も返ってこないの」

 

『だったらさあ、今の内にさっさと潰しちゃえばいいじゃん』

 

 通信から声が聞こえると同時に頭上から『ホーミングレーザー』がメタルベロスへと降り注ぐ。ヌ・ナセ草しか見ていなかったメタルベロスは全弾直撃し、大きく怯む。

 

『その草を手に入れるんだろ?さっさと始末して終わらせろよ』

 

 そう言ってライプニッツはさらに攻撃を続けていく。だがそれだけの猛攻を浴びせられてもメタルベロスはヌ・ナセ草への攻撃を止めようとしない。

 

「お、おい。いくらなんでもこれはおかしすぎる……」

 

『ですが今がチャンスというのは間違いありません』

 

『考えるのは後にしよ〜!カンナちゃんは考えても分かんないけどっ!』

 

 『エイル』も攻撃に加わった事により、メタルベロスは目に見える勢いでその身を弱らせていき、ついにはその身を地に伏せた。

 だがそうなってもメタルベロスは腕を振り上げてヌ・ナセ草を狙い続けている。

 

『これは……なんて異様な……』

 

『さすがにこれは草生やせんわ』

 

 あまりに執拗に狙い続けるその姿にカンナもケンウッドも気圧されている。そんな中ライプニッツだけは何も言わずにメタルベロスを上空から見下ろし続けていた。

 

「パパ、あの首長は倒さないの?」

 

「え?あ、いや……」

 

 この光景に気圧されて俺も攻撃を止めてしまっていた。慌てて攻撃に戻ろうとした瞬間、轟音が鳴り響き、メタルベロスがその身を地に伏せた状態で動きを完全に止めていた。

 

『そのガキの言う通りじゃん。いつまでもダラダラやってないでさぁ』

 

「ライプニッツさん凄い……」

 

 動かなくなったメタルベロスのすぐ側から『ライジングガルーダ』が飛び出してくる。どうやら先端のブレードを叩きつけてトドメをさしたようだ。

 

『……色々と不可思議な事がありましたが、ボスミュータントを倒せた事ですしヌ・ナセ草を回収致しましょう』

 

「あ、ああ。ところでヌ・ナセ草は今どこに……?」

 

 ケンウッドに言われ、周囲を見回すがヌ・ナセ草の姿はどこにも見えない。もしかして最後の一撃の時に逃げてしまったのだろうか?

 

『ま〜ま〜、ここはカンナちゃんに任せなさいっ!』

 

 カンナが意気揚々と車外に飛び出し、ノリノリで踊り出す。何をしているんだと困惑していると、近くの茂みの中からヌ・ナセ草が飛び出してきてカンナの頭の上に飛び乗る。

 

「え?いや……どういう状況なんだ?」

 

『カンナの踊りにヌ・ナセ草が引き寄せられた様ですね。ご覧ください、ヌ・ナセ草もカンナの頭の上で踊っております』

 

『……おい、こんな事が出来るんだったら今までの追跡も意味が無かったって事じゃないのか?』

 

 微塵も予想していなかった捕まえ方にライプニッツが苛立ちを隠さずに呟く。

 

「言われてみればそだね〜。カンナちゃんってばウッカリ!」

 

『……………………』

 

 あっけらかんと言い放つカンナにライプニッツも何も言わなくなってしまった。かくいう俺もこの展開に苦笑いするしかない。

 

「あ、そうだ。忘れない内に……」

 

 俺はG-ソフィアを降りてメタルベロスの死骸の側へと近づき、何ヶ所かその身を削り取ってから再びG-ソフィアへと戻る。

 ミューが分析をするのに必要な分を確保するのを忘れてはいけない。

 

「ミュー、これだけあれば分析にも問題ないだろう」

 

「……うーん、もうちょっと欲しいかも」

 

「え?以前はもっと少なくても良かったような……?」

 

 イヴの言う通り、以前分析に使っていた量を考えると、今回取ってきた量はむしろ多いくらいの筈だ。

 

「えっ?あ、ほ、本当だ!ミュー、少ない様に見えちゃった!」

 

「ミュー……」

 

『ジェイソン様、カンナも無事ヌ・ナセ草を持ってきましたので一度我々の住居へと戻りましょう』

 

 ミューの反応に違和感を感じ、少しだけでも詳しく聞こうとしたタイミングでケンウッドから通信が入ってきてしまう。

 どうしたものか少し考えたが一度戻ってからにした方がいいと考え、俺は話を切り上げてG-ソフィア操縦を開始した。

 ミューが浮かべている満面の笑みの意味を知らないまま……




 今回も読んでいただきありがとうございます!
 バトルシーンをあっさり目で終わらせてしまったメタルベロス君……その異様さと怪しさで存在感を残せればセーフ……

 今回も感想などありましたらよろしくお願いします!
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