ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー   作:通りすがりのヌ・ナセ草

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寄生体

 ケンウッドの提案でカンナの住居に戻ってきた俺達は早速さっき戦ったメタルベロスについて話し始めた。

 

「さっきのボスミュータント……明らかに過去に出会って来たミュータント達とは違う動きをしていたな」

 

『はい。ヌ・ナセ草を狙うあの姿は鬼気迫る何かを感じました』

 

『あの姿にはさすがのカンナちゃんもドン引きでしたわー』

 

 ヌ・ナセ草を狙っていた時の姿を思い出しているのか、カンナは通信の向こうでぐったりとした姿を見せている。

 

『あ、そうだジェイソン。そっちに送っといたから忘れる前によろしく〜』

 

「送った?いったい何を……」

 

 カンナがなんの事を言っているのか聞き出そうとする前にG-ソフィアのフロントガラスにヌ・ナセ草が勢いよく貼り付く。

 突然の光景に驚かされたがなんの事かはすぐに理解出来た。たしかにカンナの言う通り、忘れる前に採取をしておかなければいけない。

 

「開けたら入ってくるのか……?」

 

 なんとも言えない不気味さを感じながらもG-ソフィアのドアを開放すると、勢いよくヌ・ナセ草が入ってくる。

 

『採取キットだけじゃなくて葉っぱも何枚か取って良いって言ってるから遠慮しなくていいからね〜』

 

「そ、そうなのか?それなら遠慮なく……」

 

 ヌ・ナセ草に採取キットの注射針を刺して採取を終えた後、そのまま2枚ほど葉っぱも切り取らせてもらう。

 切り取ったのを確認するとヌ・ナセ草は入ってきた時と同じ勢いで車外に飛び出し、そのまま植物の茂みの中へと走り去っていった。

 

「……と、とりあえず目的の物は入手出来たしこれはケインに届けないとな」

 

「そ、そうだね。ライプニッツに預ければいいのかな?」

 

 俺達が惑星ソフィアに行くのは問題があるだろうし自然とそういう事になる筈だ。

 

『別に元々そこまで込みでの手伝いだから文句は無いけどさぁ』

 

「そう言いながらもの凄い不満げな声だな……」

 

『そりゃ好き好んでお前の手伝いなんてするわけないじゃん』

 

 そう言いながらG-ソフィアの隣にライジングガルーダが着陸する。俺は採取したサンプルを保管用の容器に入れ、それを持って外に出る。

 

「じゃあ頼んだぞ」

 

「面倒だなぁ。なんでボクが……」

 

 同じ様に外へ出てきたライプニッツが容器を受け取る。受け取った後も文句を呟いていたが不意にその口が止まる。

 

「……どうかしたのか?」

 

「お前さ、いつまであのガキのミュータントと暮らすつもりだよ」

 

「いつまでって……ミューは家族だ。ずっとに決まっているだろ」

 

 俺がそう答えるとライプニッツは小さく笑ってG-ソフィアを見上げる。その態度にカチンと来たがコイツと言い争う必要も無い。

 

「あー、やだやだ。ヒーロー様の頭の中は幸せだねぇ……イヴの命令を聞かない要注意ミュータントはあのガキも同じだって分かってる?」

 

「それは……だけどミューは!」

 

「他のミュータントとは違うって?ミュータントの事を全部知っているわけでもないのによく言い切れるじゃん」

 

 ライプニッツの言葉に俺は一瞬言葉に詰まってしまう。その瞬間ライプニッツが俺のスーツを掴んで顔を近づけてくる。

 

(お前らがこの草を狙い始めたのはこの惑星に来てから……その後にこの草の入手を邪魔する様に仕向けられる可能性がある存在。少しは考えてみろよ)

 

(……!?)

 

 小声でそれだけ言うとライプニッツは俺を思いっきり突き飛ばして背を向けてしまう。

 

「ま、しておいた方がいいんじゃない?【覚悟】ってヤツをさ」

 

「お前……」

 

「あ、でもお前が苦しむ姿は見ててたまんないよなぁ。ま、精々色々と楽しませてくれよ」

 

 ライプニッツはそれだけ言うとライジングガルーダに乗り、俺達が止める前にすぐに飛び立ってしまった。

 それを見送った後ライプニッツの言葉を頭の中で繰り返しながら俺はG-ソフィアへと戻る。

 

「行っちゃった……ジェイソン大丈夫?さっきライプニッツに掴まれたけど……」

 

「あ、ああ。メタルベロス戦での戦い方に文句を言われただけだ」

 

 ミューがいる前で先程の話をするわけにもいかず、俺はイヴにも適当な話で誤魔化しておく事にした。

 

「それよりもカンナ。ここでやる事は終わったし、俺達も地球に帰ろうと思うんだ」

 

『えー。来たばっかりなんだからゆっくりして行きなよー』

 

『カンナ、無理を言ってはいけません。イヴ様とミュー様にとってこの惑星は危険な場所なのです』

 

『ぶーぶー。でもカンナちゃんはいい子だから言う通りにしましょう!』

 

 文句を言うカンナをケンウッドが嗜める。ケンウッドに言われたからなのかカンナは面白くなさそうな顔をしながらも大人しく引き下がってくれた。

 

「また次の機会があったら遊びに来させてもらうさ」

 

「その時は色々対策をして私達がこの惑星でも降りられる様にしておくね!」

 

 イヴはこの惑星をカンナ達と歩く姿を想像しているのか少し嬉しそうな表情を浮かべている。ミューも少し離れた場所でさっきと同じ様に満面の笑みを浮かべ続けている。

 

「ミューはこの惑星で何かまだ気になる事とかは無いのか?」

 

「え?……ううん。ミューは大丈夫」

 

 以前は行った事がない惑星に行く事を凄く楽しみにしていたが、今はずいぶんとあっさりとした反応だ。その事に少し違和感を覚えた。

 

「ミュー……その、どこか調子が悪いのか?」

 

 ライプニッツに言われた事を思い出し、言葉に詰まりながらもミューに声をかける。

 

「ううん。ミュー、なんと、も……なんっ……」

 

 ミューが首を横に振って返事をした途端、突然胸を押さえながらうずくまる。

 何事かと思い急いで駆け寄って抱き抱えるとミューは小さく震えながらぐったりとしていた。

 

「どうしたんだ!?ミュー!」

 

「まさかストランガの植物の影響が!?」

 

「分からない……カンナ、ケンウッド!」

 

『ジェイソン様、我々の事はお気になさらず急いで地球へ!』

 

『そうだよ!ここじゃミューちゃんの事を治療してあげられないでしょ』

 

 俺が言う前にカンナとケンウッドは察してくれる。

 

「すまない!イヴ!急いで地球に帰るぞ!」

 

「ええ!ジェイソン!ミューは私が預かっておくわ!」

 

「……いや、ミューは俺の方に置いておこう」

 

「えっ?でも運転は……」

 

「大丈夫だ。事情はあとで説明するから俺に任せてほしい」

 

 ライプニッツの言葉を鵜呑みにするわけではないがそれでもイヴとミューを接触させるのは良くない気がしたのだ。

 俺はミューを抱えたまま慎重にG-ソフィアを走らせてストランガから地球へ向けてのワームホールに飛び込んだ。

 

 

 

 

「ミュー、しばらくここで待っていてくれ。すぐに戻ってくるからな」

 

 家に戻ってきた俺達は今も苦しんでいるミューをベッドに寝かせた。

 そのままイヴと共に研究室へと移動し、ケインへと通信を繋いだ。

 ストランガでの出来事、ライプニッツの言葉、ミューの体調の急変。そして関係ないとは思えないミューが抱えている悩みについても報告をした。

 それらの報告を聞いたケインは何かを考え込む様な表情を浮かべる。

 

「……ジェイソンはミューがメタルベロスを操っていたって思っているの?」

 

「そんな事はない!だけど、ライプニッツの言う事をそのまま切り捨てる事が出来ないのも事実なんだ……」

 

『……2人共、これを見ろ』

 

 ケインが画面に何かの研究結果の様なものを表示させる。そこにはミューの事と謎のミュータントについて記載されている資料だった。

 

「これは?」

 

『少し前にジェニファーから貰った資料だ。どうやらミューの中には別のミュータントが寄生しているらしくてな』

 

「寄生だって!?」

 

 ケインに言われ今までのミューの行動や言動を思い返す。

 

(モントイでの強情な姿勢、ディウィードでのあの怒りの籠った瞳、ストランガでの様子……)

 

 たしかに時折りミューらしくない行動や言動を見せる事はあった。それらが寄生の影響だったというのならば納得出来てしまうところがある。

 

『それにさっきお前が言っていたミューの悩みについても寄生が影響しているのかもしれないな』

 

「ミューは……いったいどうなっちゃうの?」

 

『それは俺にも分からない。今ジェニファーが寄生しているミュータントについて大急ぎで調べてはいるが……』

 

 ケインがそう言った瞬間、ミューがいた部屋の方から凄まじい音が響く。何事かと思い、急いでミューを寝かせていた部屋を覗きに行くとそこはまるで爆発があったかの様な惨状になっており、壁には大きな穴も空いていた。

 

「な、なにがあったんだ……!?」

 

「ミューは無事なの!?」

 

 埃が舞い上がる中、ミューは壁の穴の前に立ってこちらをジッと見ていた。その表情はいつも俺達に駆け寄ってくる無邪気なものではなく、冷たく鋭いものだった。

 

「……お前がミューに寄生しているミュータントなのか!」

 

 俺の言葉に反応したのかミューの身体でそいつは強く睨みつけてきた。それはミュー自身に睨まれている様で俺の心をグッと締め付けてくる。

 

「一体何が目的だ!ミューはどうなっているんだ!」

 

 問いに答えるかの様にそいつは片腕をこちらに向けてくる。その仕草に何か嫌な予感を感じた俺はイヴを押し倒す様な形でその場から飛び退く。

 その直後、俺達の背後から凄まじい衝撃と爆音が響き、通路の壁には大きな穴が空いていた。

 

「今のは衝撃波か……いや、それよりミューは!」

 

 急いで起き上がって再び部屋を覗くがすでにミューの姿は無く、吹き込んでくる風が埃を舞い上げるだけだった……

 

 

 

 

『ミューの姿は見当たらない、か……』

 

 戻ってきた俺達の話を聞いてケインは難しい顔を浮かべている。こんな被害が出てしまえばケインもSFとして動かざるを得なくなってしまうからだろう。

 

『ジェイソン、こうなってしまってはSFも見逃す事は出来ないぞ』

 

「待ってくれ!寄生の影響ならばそれをどうにか取り除く事で……」

 

『それが出来るのなら俺だってそうしたい。だがミューはイヴに対して危害を加えた。それどころか他のミュータントを操る可能性だってあるんだぞ』

 

 もしミューが他のミュータントを本当に操れるというのならそれは再び人類に対して大きな被害をもたらす存在になりかねないという事だ。

 ケインだからこそこうやって思案してくれるが他の者ならば話を聞く事もなくSFを出動させていただろう。

 

『とにかくお前達は俺の指示を待って……』

 

『ケイン!!ジェイソン達は今もそこにいるの!?』

 

 俺達が話している中、通信でジェニファーさんが割り込んでくる。

 

「ママ、どうしたの……?今こっちは大変な事に……」

 

『イヴ……無事で良かった……』

 

 ミューの事で落ち込んではいるがこの場にいるイヴを見てジェニファーさんは安堵の表情を浮かべた。だが、すぐに表情を引き締めると何か操作し始めた。

 

『おい、ジェニファー。今は大事な……』

 

『ケイン』

 

 ジェニファーさんから何かを察したのか何かを操作して以前使った秘匿の通信回線を切り替えた。

 

『ジェニファー。何があったというんだ』

 

『ごめんなさい。それよりも今ミューちゃんはどこにいるの?』

 

「ミューは……」

 

 俺達の身に起きた事を再度ジェニファーさんに説明するとジェニファーさんは悲しそうな表情を浮かべて項垂れてしまう。

 

『おい、本当に何があったんだ!?』

 

「ミューに何があるっていうんですか!?」

 

『……3人共、決して取り乱さずに落ち着いて聞いてちょうだい。ミューちゃんに寄生していたミュータントについての解析結果が出たの』

 

 ジェニファーさんの言葉に俺達全員が一斉に息を呑む。ジェニファーさんはしばらく黙っていたが意を決したように口を開いた。

 

『ミューちゃんの中にいる寄生体は……』

 

 

 

 

『ゼオグよ』




 今回も読んでいただきありがとうございます!

 ストランガ編を終えて新たな展開へと突入しました。この展開は正直ちょっと予想されてたかなーと思いつつも書かせていただきました。
 ここから先も頑張って書かせていただきますので引き続きよろしくお願いします!

 今回も感想などありましたらよろしくお願いします!
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