ブラスターマスターゼロ3 IFストーリー   作:通りすがりのヌ・ナセ草

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救助

「クエビコからの救助要請!?」

 

 誰に会いに行くか話していた直後に飛んできた話の内容に、俺は思わず耳を疑ってしまった。

 

『ああ。正確にはサポートアニマルを通じて救助信号が送られてきた』

 

 ジェニファーさんのおかげで次元を超えた通信が出来る様になったG-ソフィアとは違い、他のMAが取れる遠距離への連絡手段は、基本的にはサポートアニマルを使って惑星ソフィアに情報を送る事だけだ。

 

『サポートアニマルからの通信はいつでも送れるわけじゃない。もしかすると、もっと以前から何かに巻き込まれているのかもしれない』

 

「だとしたら急いで向かわないと!」

 

『分かっている。お前達は準備が整い次第すぐに向かうんだ』

 

「待って!私達が地球から離れて、お父さんは何か言われたりしないの!?」

 

 イヴの言う事も確かだ。今のイヴはSFから注目されている身だという事を考えると、地球から離れ、危険が待ち受けているであろう惑星へ向かうというのは、上や周囲から何を言われるか分かったものではない。

 

『心配はいらん。すでに許可はとってある。実は超惑星間万能マーカーを持っているのがお前達しかいなくてな、航行時間を考えた結果、お前達が行く事になったんだ』

 

「それなら……!イヴ、急ごう!」

 

「ええ!」

 

 俺とイヴは大急ぎで準備を始める。権兵衛とタエ、あの2人がそう簡単にやられるとは思えないが、万が一という事もある。

 気を引き締めて作業を行っていると、ミューが近寄ってくる。

 

「パパー、クエビコってパパの知り合いなのー?」

 

「いや、クエビコはG-ソフィアと同じMAで、知り合いなのは、そのパイロットの権兵衛とサポートロイドのタエかな」

 

「そうなんだー!ミュー、早くその2人に会ってみたーい!」

 

 状況をよく分かっていないのだろう。ミューは嬉しそうに笑って、俺達の準備を手伝い始める。

 もしかしたら向こうに着くと同時に戦闘が始まるかもしれない。その事をどこかで伝えなければいけないな。

 

「パパの知り合いならきっと凄い人だよね!だからきっとなんともないよ!」

 

「……ああ、そうだな」

 

 前言撤回だ。ミューはケインとの通信を聞いてしっかりと状況を理解出来ている。それならばそこまで心配はいらないだろう。

 そのまま3人で急いで準備を終わらせ、俺達はG-ソフィアに乗り込む。

 

『向こうで何が起きているか分からない。状況を確認出来たら、俺に報告をするんだ』

 

「分かった。だが、すぐに戦闘に入る場合もある」

 

『その時はお前の判断に任せる。気をつけるんだぞ』

 

 ケインの言葉に頷き、俺はG-ソフィアをフレッドの作ったワームホール目掛けて発進させる。

 

「行くぞ!目的地は惑星モントイだ!」

 

 

 

 

「もしもし、おタエさん。聞こえたら返事して……ダメ、やっぱり呼びかけに反応が無いわ」

 

「やっぱり何かあったのか……?」

 

 超惑星間万能マーカーを使ったワームホールで惑星モントイに近づいてきた所で、イヴに通信を送ってもらったが、やはり向こうからの反応は無い。

 

「ジェイソン、もうすぐワームホールを抜けて惑星モントイに着くわ」

 

「分かった!2人共、何が起きてもおかしくない!気を引き締めるんだ!」

 

「ええ!」

 

「うんっ!」

 

 2人の返事を聞くと同時に、ワームホールを抜け、俺達は見覚えのある場所へと飛び出した。

 

 

 

 

「……これは……」

 

「どういう事なの……?」

 

 襲撃を警戒しながら、飛び出した先に広がっていたのは、以前訪れた時となんら変わりない光景だった。

 周辺を見回してみても、戦闘の形跡などは無く、穏やかな空気が流れている。

 

「パパー、あっちに車あるよー」

 

 ミューの指差す方向に視点を向けると、少し離れた場所にクエビコが停車しているのが見えた。

 だがそれは打ち捨てられたというわけではなく、農作業中の機械を停める為のスペースにキチンと納まってるようにしか見えない。

 

「とりあえず、近づいてみるか……」

 

「う、うん」

 

 一応、警戒しながらも俺達はゆっくりとクエビコに向けてG-ソフィアを走らせる。

 

「コラー!そこで止まるだ!そっから先は畑になるだよ!」

 

 突然響いた大声に俺はG-ソフィアを急停止させる。突然の事に驚いたのもあるが、なによりもその声の主に驚いたのだ。

 

『タエ!?』

 

「あー、やっぱ見覚えのあんるMAだと思ったら、ジェイソンだべさ。久しぶりだんべ」

 

『無事だったのか!権兵衛はどうしたんだ!?』

 

 スピーカー越しに俺が勢いよく質問を投げかけると、タエは何が何だかといった様子で慌ててしまう。

 

『ジェイソン、落ち着いて。おタエさん、お久しぶり。私達はSFに届いた救助信号を知って来たんだけど……何があったの?』

 

「いっ!?イヴ達が救助信号を見たんだべ!?……あー、恥ずかしいったらありゃしないだ……」

 

 タエはそう言うと、恥ずかしそうに顔を手で覆ってしゃがみ込んでしまう。その様子に俺達が首を傾げているとクエビコの中から誰かが出て来る。

 

「タエ、さっきから騒いでいったいどうし……おっ!そのMAはもしかしてジェイソンか!?ひっさしぶりだなぁ!」

 

『権兵衛!』

 

 クエビコから出てきたのはかつてこの惑星、そしてエリアΩで共に戦った仲間の権兵衛だった。

 クエビコの中で掃除でもしていたのだろう、その体には所々汚れがついている。

 

「そうだ。こんな所で立ち話もなんだしよぉ。俺達の家で茶ぁでも飲んでけや!」

 

「権べ!おめぇさん、クエビコん中の掃除は終わったべか!?」

 

「そう言うなって!折角の客人なんだ、ちょっとくらい休憩だ!」

 

 権兵衛はそう言って服を叩いてゴミを落とすと、そそくさと少し離れた場所に見える家に向かって走っていってしまう。

 

「まったく、権べさはしょうがねぇだ……そんじゃ2人も一緒にお茶にするだよ。MAはそこさ止めといていいべ」

 

 そう言うとタエも権兵衛を追う様に家に向かってしまう。

 

「いったい何がどうなっているんだ……?」

 

「うーん、分からないけど……とりあえず2人が無事そうでなにより、かな?」

 

 とりあえずこのまま止まっているわけにもいかないので、俺達は2人の招待を受ける事にした。

 ミュータントであるミューは、いきなり合わせても騒ぎの元になる事から、車内で待機してもらう事にした。

 

「ミューは少しの間だけ待っていてくれ。説明を終えたら迎えに来るから」

 

「うん。ミュー、待ってるね」

 

 俺達はミューに見送られながらG-ソフィアを降りて、2人の家に向かう。

 

 

 

 

「よぉ、来たか!」

 

「茶も茶請けもあるべ。ゆっくりしてくだよ」

 

 家に辿り着くと、そこにはすでに権兵衛とタエがお茶の準備を済ませており、俺達を迎える準備が出来ていた。

 

「あ、ああ……」

 

「それじゃ、お邪魔します……」

 

 俺達は結局、ここが今どんな状況なのか把握出来ず、戸惑いながら中へ入る。

 

「どうしたんだぁ?不思議そうな顔して」

 

「権べ……こん2人はオラ達の救助信号を知って来てくれたんだべさ……」

 

「んなっ!?マジかぁ……2人共、スマンっ!」

 

 俺達がなぜここへ来たのか知らなかった権兵衛がタエから話を聞くと、俺達に手を合わせ、いきなり謝ってくる。

 

「ど、どうしたの!?」

 

「俺達は謝られる様な事はされていないぞ!?」

 

「いや、そのよぉ……救助信号を出す事になったぁ原因の一つは、俺なんだわ」

 

「どういう事なんだ?何かに襲われたから救助を要請したんじゃないのか?」

 

 俺もイヴも権兵衛の言ってる事を理解出来ずにいると、タエがため息を吐いた後、説明を始める。

 

「ジェイソンもイヴも、海の向こにある、島ん事は知ってるべ?」

 

「ああ、2人がそこに向かうという事で小判集めを手伝ったな」

 

「んだ。オラと権べさは島ん中さ向かって、ミュータント達の侵攻を食い止めてたんだけんども……ある日、突然ミュータントがおらんくなったんだべ」

 

 おそらくそれはイヴがミュータント達に指示を出したタイミングでの出来事なのだろう。

 そう考えてイヴの方を見てみれば、肯定する様にイヴが頷いて返事をしてくれる。

 

「ん?なんだぁ、ジェイソンもイヴも、ミュータントが消えた事に心当たりがあんのか?」

 

「ああ。その事については後でちゃんと話すとして、先にそっちの話を聞かせてくれ」

 

「そか?んだら続けるべさ。ミュータントが消えたっちゅーのなら一度戻ってクエビコさメンテするべってなったんだけんども……」

 

 そこまで話してタエは再びため息を吐いて言葉を止めてしまう。

 それを見た権兵衛が申し訳ない、という顔をしながら続きを話し始める。

 

「いつもいつもよぉ。タエに任せっきりっつーのも悪りぃと思ってなぁ。俺もメンテを手伝う事にしたんだよ……」

 

「いい事じゃないか。自分のMAを今までよりもよく知る事も出来るしな」

 

「という事はおタエさんが権兵衛さんにメンテのやり方を教えてあげたの?」

 

「いんや、おめぇらを助けに行った時、他のMA乗りに会ったろ?あん時にジョッキに少しMAの修理について習ったんだわ」

 

 エリアΩでの出来事を思い出す。たしかにあの時、俺達を助けにMAパイロット達が集まってくれた。

 ゼオグを倒した後に各々集まったりもしていた事から、個々で繋がりを持っていても何もおかしくはない。

 

「たしかにジョッキはメンテとか詳しそうだったしな。それなら何も問題無いはずなんだが……」

 

「そんが!大有り!だったんだべ!」

 

「お、おタエさんどうしたの!?」

 

「権べさ、前々から調子の悪かった通信機をば、思いっ〜〜〜きりぶっ叩いたんだべ!」

 

 タエの言葉を聞いて俺とイヴは唖然としてしまう。たしかに昔は調子の悪い機械を叩いて直していたという話を聞いた事はあるが、それでも加減はするものだ。

 いや、精密な機械が詰まった通信関係のパーツをそもそもそんな扱いをしてはいけない。

 

「いや、ジョッキが『ちょっと調子が悪いくらい叩けばなんとかなるものだ!』なんて言うからよぉ……そんなら俺にも出来ると思ったんだよ」

 

「そん結果が、通信機の完全故障じゃ世話ねえべ……幸い、農作業の方のシステムにゃなんの影響ば無かったけんど、そっちも壊れてたら洒落になんねえだよ……」

 

 タエの言葉に権兵衛が言葉を詰まらせて黙ってしまう。

 そんなやり方は機械と長く関わってきたジョッキだからこそ出来る事……いや、きっとその横でティセットが慌てながら止めていたのだろう。

 というか、あの時掃除していたのは農作業の片付けだったのか……

 

「という事は救助信号を出したのはそれが理由で……?」

 

「あー、そんもあるんだけんども、そんだけじゃないんだべさ。実は少し前からミュータントらしき反応が、海の向こうでまた確認されただよ」

 

「ミュータントが!?」

 

「あぁ、それで俺とタエはクエビコがこのまんまじゃいけねぇ、そう思ってなぁ。仕方ねぇからタッピーを通じて、救助信号を送ったってぇわけだ」

 

 イヴの指示で消えていた筈のミュータントが再び現れた。これは俺達が地球の地下で襲撃された時の状況と同じだ。

 もしかしてこの現象は、他の所でも起きていたりするのだろうか?

 

「そうだったのか……ところでそのミュータント達は今どうしているんだ?」

 

「それがよぉ、何してんのか分かんねぇんだけど、島から出て来ようとしねぇんだ」

 

「戦力を蓄えてるって様子も無くて、逆に不気味なんだべ……」

 

「そうか……2人共、実はその事について話しておきたい事があるんだ」

 

 ミュータントが現れたというのならこっちの事を隠しておくわけにはいかない。俺はイヴと一緒に、エリアΩでみんなと別れた後から今までの出来事を2人に話した。

 

「な……ま、まさかあの後そんな事になってたなんて……」

 

「有機生命体……そんもミュータントに近い存在で、しかも女王だべか……イヴ、おめさん。その……大丈夫なんか?」

 

「心配してくれてありがとう。でも大丈夫、一緒に支えてくれる人達がいるから」

 

 そう言ってイヴは小さく笑う。少し前、彼女だけで抱え込んでいた時では決して見ることのできなかった自然な笑顔だ。

 それを見て権兵衛もタエも愉快そうに笑い出した。

 

「なるほど。こりゃぁ何の心配もいんねぇな!」

 

「んだ。権べさの言う通りだべ!」

 

「も、もう!2人共何でそんなに笑うの!?……むしろ2人こそ平気なの?私はさっきも言った通り……」

 

「ミュータントに近くてもイヴはイヴだしよぉ、俺達の一揆を手伝ってくれたぁ仲間ってぇ事は変わんねぇ。だろ?タエ」

 

「んだ。オラ達は一揆仲間っちゅう事だ。どんな事があってもそん事は変わんねだよ」

 

「権兵衛さん、おタエさん……ありがとう……っ!ジェイソン!私、ミューを連れて来るね!」

 

 2人の言葉を聞いたイヴは少し身体を震わせた後、そう言って立ち上がって、走って出て行ってしまった。

 

「あ、あれ?俺らぁなんか変なこと言っちまったか?」

 

「いや、心配はいらないさ。それよりも今から連れて来る子について説明しておこう」

 

 立ち上がって走り出す時のイヴの表情はとても嬉しそうで、溢れそうな涙を隠しているのが見えたがそれは黙っておこう。

 イヴが落ち着いて戻って来るまで少し時間が掛かるだろうと考え、その間に俺は2人にミューについて説明をする事にした。




 今回も読んでいただきありがとうございます。

 権兵衛とおタエさんの口調が癖ありすぎてセリフを考えるのめっちゃ大変でした…。特におタエさんがなかなかしっくり来なくて、何度も喋ってるシーンを見直したり、調べたりして調整してました…と言うわけで違和感あったら申し訳ないです(事前に謝るスタイル
 内容に関しては、権兵衛なら叩いて直すという行為をなんの疑問を抱かずにやってくれるかなと思い、思いっきり叩いてもらいました。
 ここから少しの間モントイ編になるのでお付き合いいただければ幸いです。

 感想の方もよろしくお願いします。
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