エースコンバット7ー空を飛べなかった者達そして空を駆ける者達ー 作:薄影 (黒ウサギ党)
今オーシア海兵隊に緊急の作戦が通達された。
〜ブリーフィングルーム〜
「なぁ? 一体なんで集められたんだ?」
「俺が知るわけないだろ」
「やっぱりエルジアに関係あんじゃねえか?」
ブリーフィングルームに集められた海兵隊シーゴブリンのメンバー達はなぜ集められたのかわからずにいた。
すると
「全員集まっているな!」
ブリーフィングルームの扉が開かれ中年の司令官が入ってきた。
「全員! マクラーレン司令に敬礼!」
ザッ! と座っていた隊員たちは号令と共に一斉に立ち上がりマクラーレン司令官に敬礼した。
「全員座ってくれ」
その言葉に全員が席に座った。
「今回集まってもらったのは他でもない、君たちシーゴブリン隊に重要なミッションを頼みたいからだ」
「重要?」
「こんな一大事な時に?」
困惑する隊員たちを尻目にマクラーレンは言葉を続けた。
「諸君らも知っている通り現在オーシアはエルジア軍によって攻撃を受けている状態に入り緊張状態になっている」
エルジア共和国は大陸戦争に敗北し、その後平和が訪れていたはずだったのだが王政復古により名前をエルジア王国へと変え、そしてオーシア大陸に攻撃を始めたのだった。エルジアは無人機を投入し軍事施設への攻撃を開始しユージア大陸にあった軌道エレベーターを占拠したのだ。
こうして【第2次大陸戦争】の幕は切って落とされた。
「今回君たちに与えるミッションはハーリング元大統領の救出任務だ」
「ハーリングだって!?」
「軌道エレベーターの視察中に行方不明になったって話だったはず」
司令官の意外な言葉に隊員たちは驚きを隠せていなかった。
「先程司令部に軌道エレベーター方面からこんな通信があった、聞いてくれ」
『こちらはジョンソン大佐だ、現在ハーリング氏と共に軌道エレベーター付近に身を隠している状態だ、いつ敵に見つかるかわからない救援を頼みたい。この通信が届いている事を願っている』
後ろのモニターに司令部が拾った通信が流れ、そのまま司令官は話を続けた
「この通信を聞くにハーリング元大統領は生きている、その事実があるだけで充分だ、シーゴブリンは装備を整えてCH-47チヌークに搭乗し軌道エレベーターまで行きハーリング元大統領及びジョンソン大佐を救出し脱出することにある諸君らの健闘を祈る」
マクラーレンそう言うと隊員たちに敬礼をした。それに応えるように隊員たちも席を立ちマクラーレンに敬礼をした。
〜オーシア航空基地〜
俺の名前はジョシュア・ハウンズ、シーゴブリン隊に入って日が浅いいわゆる新兵だ。厳しい訓練を耐えようやく入った海兵隊。そんな中まさかハーリング元大統領の救出任務を司令官であるマクラーレンから言われた時は開いた口が塞がらなかった。
「俺なら大丈夫、大丈夫だ」
「ジョシュア、まだそんなこと言っているのか」
「先輩……」
後ろから声をかけてきたのは俺より1年前に入隊した先輩、ジャック・ハープトンだった。
「いやだって、訓練はしましたけど、いざ実戦となると緊張で手が震えてきますよ」
「大丈夫だよ、訓練通りやれば必ず帰って来れるさ!」
「お前たち! 搭乗の時間だ!」
部隊長であるミック・アルバーン隊長が隊員たちを呼び集めた。
全員がチヌークに乗るとパイロットが管制塔に
「こちらシーゴブリンこれより離陸する」
そう伝えると
「こちら管制塔、シーゴブリン空はオールグリーンだ、幸運を」
そして俺たちを乗せたチヌークはハーリング元大統領がいるユージア大陸の軌道エレベーターへと飛びたった。
〜チヌーク内〜
「よし、みんな聞いてくれ、これからミッションを説明する」
ミック隊長は席に座っている俺たちに今回のミッション内容を説明し始めた。
「今回の俺たちの任務はハーリング元大統領とジョンソン大佐の救出だ。おそらくエルジア軍の妨害に会うことは確実だ、2人を確保しチヌークで脱出することが今回の任務の全容だ」
「しかし隊長、軌道エレベーターの周りはレーダーの網が敷かれてます。どうやってそれらを掻い潜るんですか?」
質問してきたのは副隊長のオリバー・ベンジャミンだ。
「そこは心配しなくていいオリバー、今回はメイジ隊から優秀な奴をレーダー網に飛び込ませるそうだ」
「マジかよ…たった1機でかよ……」
「信じられねぇ」
「今回参加する部隊はメイジ隊、ゴーレム隊、そしてガーゴイル隊の3チームが参加している。詳しく説明すると……」
ここで今回の作戦の説明をしよう。
まずメイジから選抜された1機が単機でレーダー網を抜け軌道エレベーターへ行く、その後軌道エレベーター周辺の対空兵器を破壊してくれているので俺たちはチヌークで軌道エレベーターに着陸しハーリング元大統領を救出するという事だ。
「という事になる。何か質問のあるやつは?」
全員が沈黙した。
「よし全員装備の最終確認を済ませろ!」
俺たちは持っている装備の確認をして目的地に到着するのを待っていた。
『シーゴブリンこちらスカイキーパー』
「こちらシーゴブリン、スカイキーパーどうぞ」
『メイジ2がレーダー網を突破シーゴブリンはランディングゾーンまで進め』
「シーゴブリン了解、このままLZまで急行する」
(おいおいマジかよたった1機であのレーダー網を突破したのかよ! 何者だよソイツは)
そんな事を思っていると俺たちを乗せたチヌークの眼前には軌道エレベーターが見えてきた。そこからは多くの黒煙が軌道エレベーター周辺から見えた。
「こちらシーゴブリン、スカイキーパー既に対空兵器が全て無力化されている、どこの部隊がやったんだ?」
『こちらスカイキーパー、どこの部隊って、君たちの前を飛んでいるのは1人しかいないが?』
「信じられん……」
たった1機で対空兵器を破壊!? そんな奴がいるならオーシアの空は安泰だな。
そして俺たちは軌道エレベーター近くのヘリポートに降りた。
「よしお前たち訓練の成果を見せる時が来たぞ!」
『シーゴブリン悪い知らせがある』
「なんだスカイキーパー?」
『そちらにUAVが向かっている、現在メイジ隊とゴーレム隊で迎撃させているが何機か撃ち漏らしがあるかもしれない気おつけてくれ』
「了解だスカイキーパー、聞いたなお前ら速さが大事だ! 退却?」
「「「「「クソ喰らえ!」」」」」
そして後ろのハッチが開き俺たちは空を飛んでいる仲間たちを信じて進み出した。
「こちらシーゴブリン! これより大統領の元に向かう! あのコンテナまで走れ!」
その号令と共に俺たちは全速力で走り出した瞬間
「アンブッシュ!」
俺たちのヘリを見ていたのだろう周辺のエルジア軍が俺たちを待ち伏せていたのだ。
ダダダダダダ
その音がなる度に銃弾が横や頭上などを掠める。
「敵兵排除!」
待ち伏せをしていたエルジア兵を倒した俺たちはジョンソン大佐が指定した場所まで走り出した。
ダーン! と1発銃声が鳴り響いた時
「ジェイコブが撃たれた!」
「クソ!」
「シエラ2はこの場で応戦しろ! 残りは俺についてこい!」
「シエラ2了解!」
俺たちは部隊を2つに分けて進み出した。
「スカイキーパー! 元大統領を発見した! ガントリークレーンの影にいる! ジョシュア! 元大統領の側まで走れ! その他はジョシュアの援護だ! 撃ちまくれ!」
「「「「「了解!」」」」」
俺は隊長や他の仲間たちに援護されハーリング元大統領の側まで来た。
「ミスターハーリング! ここを動かないでください! ジョンソン大佐! こちらをお持ちください! 我々に何かあった場合はそれでスカイキーパーと連絡してください!」
俺は持っていた無線機をジョンソン大佐に渡したその時だった
「クソ! ロケット弾だ!」
シエラ2がいるヘリの方角から強烈な爆発音が周りを震撼させた。
「なっ!?」
『シーゴブリン! 生きているものは返事をしろ! ハーリング氏は無事なのか!』
「ヘリの周りにいたシエラ2がやられた! サーモバリック弾だ!」
「隊長! ロケット弾が来ます!」
「くそっ!」
「ミスターハーリング!」
俺は咄嗟にハーリング元大統領を奥に突き飛ばした。
その瞬間強大な爆風と共に熱が襲い、そして俺は熱いと感じる暇もないまま死んで行った。
そしてシーゴブリン隊員たち全員が亡くなった。
「聞こえてるか、私はジョンソン大佐だハーリング元大統領と共にいる。救出部隊は全滅した、この無線機を渡した彼もなハーリング氏を何とか連れ出したい」
『ジョンソン大佐、私も同じ思いです。手を考えます、諦めないでください』
私はハーリング氏と共に燃え盛るヘリに向かって走っていた。まだ脱出できる手段があるはずと信じて。
「エルジアの輸送機を発見した、エンジンがかかっている」
『大佐は元空軍でしたね、操縦はできますか?』
「ハーリング氏が操縦するよりはマシだ」
私はハーリング氏をヘリの後部座席に座らせシートベルトを閉め操縦席へと向かった。
「良し、スカイキーパーこちらジョンソン大佐、ヘリはいつでも飛べるぞ」
『十分です、全体に告ぐ、コールサインはマザーグース・ワン、今データリンクで情報を送った』
「マザーグース・ワン? 可愛い名前をつけてくれじゃないか」
『全てのUAVの撃墜を確認しました。大佐離陸してください』
「了解したスカイキーパー」
レバーを握りハーリング氏を乗せ、空へと飛び上がった。
『全機聞け ハーリング元大統領を乗せた輸送機が離陸する、マザーグース・ワン離陸せよ!』
「マザーグース・ワン離陸する! ミスターハーリングが「先に感謝の言葉を述べておく」と言っておられる」
『帰還したらもう一度聞かせてください。メイジ隊マザーグース・ワンが南に向かう君らが援護しろ』
指示された方角へヘリを飛ばしていると両側から2機の戦闘機が近づいてきた。
「ジョンソン大佐、私はメイジ隊リーダーのクラウンと言います、以降はメイジ1と呼称してください隣にいるのはトリガーです彼はメイジ2と呼称してください」
「了解だメイジ1、メイジ2感謝する」
『スカイキーパー、レーダーに不明機! 方位220』
『こちらでも捉えた! MQ-101! アーセナルバードの先遣隊だ!』
「親鳥も近づいできてるってことか」
『メイジ隊はマザーグース・ワンの護衛だ! 近づくUAVは撃墜しろ! ゴーレム隊はUAVをインターセプトせよ!』
「メイジ1了解! トリガー、マザーグース・ワンからあまり離れるなよ!」
飛んできた無人機MQ-110をゴーレム隊とメイジ隊が次々に撃墜していく。
「このままなら脱出できますよ! ミスターハーリング!」
その時だった。ミサイル接近のアラームがコックピット中に鳴り響いた。
「!? しまった!」
「スカイキーパー! マザーグース・ワンが被弾した!」
『マザーグース・ワンが被弾!? ジョンソン大佐応答せよ! メイジ隊、様子を確認しろ!』
「こちらメイジ1マザーグース・ワンを確認した。キャビンは無事だがコックピットの方はまずい状態だ」
「ス……スカイ.キーパー.……」
『ジョンソン大佐! 無事か!』
「それよりも……救援隊を頼む……今この場所でいい……すまないハーリング氏を……残念だ」
『マザーグース・ワン応答せよ! マザーグース・ワン!』
「スカイキーパー、マザーグース・ワンの護衛を続行するべきか?」
『当たり前だ!』
途切れゆく意識の中で無線からそんな会話が聞こえていたが、もう私にできることはなかった、そんな時誰かがもう壊れかけているコックピットに誰かが座ったのを感じたがもう目の前が真っ暗になってきた。
『マザーグース・ワンが旋回している!? どういうことだ? 軌道エレベーターに向かっていく』
「高度が安定しているぞ誰が操縦しているんだ?」
『大佐ではないだろう、乗っているのはハーリング氏だけだ。マザーグース・ワン応答せよ!』
(駄目だ。あの場所は……軌道エレベーターが壊れたら彼女の帰る場所が……)
『ミスターハーリング! 応答してください!』
「おいおい護衛対象に逃げる気がないんじゃ守りきれんぞ!」
「落ち着け仕事は何も変わってないぞ! 戦闘に集中しろ!」
『ミスターハーリング! 私たちは諦めませんよ!』
輸送機は軌道エレベーターに戻っていこうとしている、UAVが輸送機の周りに取り付き始めた。
『マザーグース・ワンにUAVがとりついたぞ!』
「トリガー行くぞ!」
『撃墜しろメイジ隊! 急げ!』
(あいつがトリガーか悪いが俺も雇われた身だ悪く思うなよ)
その時あってはならない事が起きてしまった。
「マザーグース・ワンが撃墜されたぞ! ミサイルはどこからだ!」
「メイジ2のミサイルだ!」
「オーシア機だ、味方機のミサイルが当たったんだ!」
『今情報を収集中だ、憶測は慎め!』
「味方の誤射だ! 俺は見た!」
『メイジ1トリガーなのか?』
「…………1番近くにいたのはトリガーだ。UAVは護衛対象にしつこく絡んでいたんだ」
『はっきりしろ!』
「間違いがあったんだろう……」
『アーセナルバードが作戦空域に到達! 全機撤退を急げ!』
そして軌道エレベーター周辺の戦闘機が全機撤退行動を開始した。
『トリガー、君はしばらく出撃できない理由はわかるな』
こうしてハーリング救出作戦は多大な犠牲を払ったのにも関わらず失敗に終わった。
その後トリガーは僻地に飛ばされることになった。そこの懲罰房部隊に編成されることになるのだが、それはまた別の話。