昭和石ノ森特撮世界転生~最強怪人を添えて~   作:大回転スカイミサイル

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第12話「仮面ライダー編その一 本郷猛という男」⑦

 

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―――あー、良かったぁ!なんとか事前にどうにかできたぁ!!

 

私は、火の玉になって飛行しつつそう心中で安堵した。

 

後はおそらく作成中と思われる人工地震装置を破壊するだけである。

 

今日の地震を思えば、試作品くらいは出来ているはずだ。

 

―――元の世界では、活断層やプレートを刺激できるような大深度に核爆弾を設置する技術など2020年代でもどこにも存在しなかったが、この世界では別だ。

 

気軽にこう言うことができるショッカーの技術はとても危険だ。

 

今の人類には、否、2020年代の人間にもあんまりにも早すぎる!

 

私はこれから本郷さんたちに先んじて、敵のアジトを急襲して人工地震装置をぶっ壊すのだ。

 

―――かまきり男がバカで助かった。

 

常楽寺とは各地にいくつももある仏教寺院の寺号である。

 

そして仮面ライダー第5話でロケ地に使われたのは、東京都稲城市東長沼にある稲城駅近くの常楽寺である。

 

カマをかけてみたら見事ドンピシャだったのだろう。

 

うろたえまくってくれて助かった……

 

いくらちか子さんとの絆を失わせたくなかったとは言え、それで人工地震装置が残ってしまっては本末転倒である。

 

そんな危険物、この世に残しておくわけには行かないのだ。

 

「よし、ここだな……」

 

私は火の玉からか火炎旋風へと、そして旋風は怪物の姿へと戻る。

 

「フンッ!」

 

私はその常楽寺の、ショッカーが密かに地下基地としている場所の扉を力任せに壊すと、そこにはエレベーターの入口があったので、それも力任せに引きちぎる。

 

「さて、納谷悟朗声の首領とは会話できるかな……?」

 

私はそう独り言ちて地下へと落ちていく。

 

ドッゴォン!

 

轟音を上げて、エレベーターの屋根の上に立つ。

 

「トゥ!」

 

バゴンッ!

 

屋根は私のパンチ一発で大穴が空き、そこに私は静かに潜っていった……

 

 

 

うん、これは完全にショッカー基地。

 

静かで、無機質で、なんかのセットみたいに見えるけれども壁はそれなりに硬い。

 

今にもどこかから戦闘員が現れそうな風情に、私は思わず笑ってしまう。

 

笑って、しかし、この世界では実際に殺人と世界征服を主眼とする秘密のアジトなのだと思い直して居住まいを正した。

 

さーて、とっととぶっ壊さないとね。

 

そうして周りを見渡せば、戦闘員が警報装置を押そうとしていた。

 

バヂバヂバヂバヂッ!

 

「ヒィー!?」

 

私は自分の目から電撃を放ち、戦闘員を昏倒させる。

 

昏倒した戦闘員は―――しかし、そのままに糸のように消えていった。

 

秘密保持のためだろうか。

 

私は人を殺した嫌な気分を抱えたまま、奥へと向かっていく。

 

寺の地下だからなのか、大して広くはなく―――やがてアジトの中枢、ショッカーのレリーフが飾られた司令室へとたどり着いた。

 

「ここだな……」

 

『ようこそ、異なる世界からの来訪者よ』

 

部屋に侵入した途端に、部屋全体に声が響いた。

 

「……ショッカー首領だな」

 

その威圧感すら感じる声に、私は少しだけビビりつつショッカーのレリーフを見据えた。

 

ピィーーーン―――ピィーーーン―――

 

なにかの警告のように、潜水艦のアクティブソナーのような―――少なくとも自分にはそう思える「ショッカー基地」の音が響く。

 

「お初にお目にかかる。私は―――グランザイラス。もしかしたらもう知っているのかもしれないが」

 

『ふっふっふっふ……それは私から言うことはできん。貴様がここにいるということは、かまきり男は敗れたのだろうな』

 

首領の声が響き、私はその声に負けないように一歩前へ出た。

 

「仮面ライダーがいる限り、あんたの世界征服は成就しない。世界征服の野望を諦める気は?」

 

私がそう聞くと、首領は興味深そうに『ほう……お前がいる限り、ではないのか?ふっふふふ……』と試すように笑いだす。

 

「そりゃあ、私は最強怪人グランザイラスだから、だ。怪人に世界は滅ぼせても、救うことなど出来るものかよ」

 

揶揄するようにそう返して、火炎弾を一発カマキリの卵のような形をした―――人工地震の制御装置へと放った。

 

バゴン!ゴァッ!!

 

一瞬でそれは破壊され、炎上する。

 

『グランザイラス……その名、覚えておこう。この宇宙の外からやってきたショッカーを阻む邪魔者!仮面ライダーに次ぐ我々の敵としてな!』

 

首領の声が響く。

 

バシュゥゥン!

 

瞬間、レリーフの中心の明滅するランプが爆発し、同時にアジトのあらゆる部分が爆発を始めた。

 

「我々、ね……脱出するか」

 

私は慌てず騒がずに火の玉と化して、天井を破壊し、そのまま地面へとめり込み―――そのまま周囲の土を溶かして上昇していく。

 

6000度まで耐えられるロボライダーの装甲を溶かすほどの熱量だ。

 

当然のことだろう。

 

そうして、私は夜の常楽寺へと「浮上」して―――

 

寺の一部が爆発で吹き飛んだのを確認した。

 

「……結局、精神的には圧倒されただけだな。あの悪霊のエネルギーに……」

 

限界まで達した私は、先程まで自分がいたアジトの上にあった寺の建物が崩れ落ちるのを見届けながら、近くの木に背を預ける。

 

そうしてすぐにも変身は溶けて、真っ裸の自分が崩折れていくのを感じた。

 

「流石に、限界か……でも、ここから最低でも離れなければ」

 

疲労と空腹で崩れそうな体を引きずって、私は常楽寺の外へと向かい―――

 

やがて、途中で意識を失ったのであった。

 

 

 

消防車が寺の倉庫と思しき建物の消火を終えた頃、本郷猛は常楽寺の外、道路端で眠っている少女を発見していた。

 

「……やはり、ハリちゃんも来ていたのか」

 

グランザイラスが動けば、玻璃も動いている。

 

……もはや偶然とはいえないだろう。

 

そして、寺を見れば消防士や警察官が走り回っていた。

 

「これでは証拠どころではないな。いや、すでに抹消された後か……」

 

本郷はそうして玻璃をバイクのシートに乗せる。

 

「ハリちゃん、起きて。起きてくれ」

 

「んぇ……?ほ、本郷さん!?」

 

ぺちぺちと軽く頬を叩かれた彼女は、目を覚まして青年を見つめる。

 

「こ、ここは……?」

 

「また、みたいだね。ハリちゃん。でも助かった。お陰でちか子さんを助けられたよ」

 

本郷はそう言って、玻璃にヘルメットを被せる。

 

「……そうでしたか。良かったです」

 

彼女はニパっと、闇の中に現れた太陽のような笑顔を本郷へと向けて。

 

ぐぅぅぅぅぅ~~~~

 

そんな巨大な腹の音を鳴らしたのであった。

 

 

 

本郷猛は真面目だ。クソ真面目と言って良い。

 

そんな彼を真剣に悩ませていることについて大変心苦しいと思う。

 

「ハリちゃん。本当におぼえていないんだね?」

 

真剣な目線で、彼は私を見る。

 

私はきっと太陽のような笑みを彼に向けているのだろうなあ、と背中の冷汗を忘れてごまかすしかない。

 

「ええ、気がついたら……服も、最初に着ていたこのワンピースになっていましたし」

 

「ふむ……」

 

そうして顎に手を当てて唸る本郷さんの目は、まるで「今は聞かないがいつか聞かせてほしい」とでも言うかのようだった。

 

大変心苦しい。

 

「わかった。今はアミーゴに帰ろう。立花さんも心配していたからね」

 

本郷さんはフッと寂しげな笑みを浮かべて、バイクに跨った。

 

「しっかり捕まっていてくれ」

 

「はい!」

 

私は努めて元気にそう答えて、本郷さんのバイク……サイクロン号の背で彼の背中にしがみついた。

 

まるで父のような、と一瞬思うが……きっと錯覚なのだろうと思い直して、ヘルメットをかぶらずに疾走する本郷さんを後ろから見つめる。

 

……前世の藤岡弘、は事故って一時降板になってしまうわけだが、この世界の本郷猛がそうなるわけではないだろう。

 

彼は如何にしてショッカーの陰謀を察知して欧州へ向かうのだろうか。

 

それは確か、公式に描かれたことはなかったはずである。

 

S.I.C.HERO SAGAや仮面ライダーSPIRITSなどの東映公認の二次創作に当たる作品のいくつかで語られたくらいではなかっただろうか。

 

……どちらにせよ大量の2号ライダーの同型飛蝗男と1号ライダーは戦うことになる。

 

助太刀しないと……

 

アミーゴまでたどり着くまで、そんな取止めもないことを考えていた。

 

キッ

 

そんなブレーキ音を立てて、サイクロンはアミーゴの前に止まる。

 

「着いたよ」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

私はそうしてバイクから降りて、ヘルメットを取る。

 

店の入り口、そのガラスには流れるような銀髪の知らない姿の自分がいて、私は嘆息した。

 

「どうしたい?」

 

「いえ、なんでもないです……なんでも」

 

私はそういって、本郷さんの目を見る。

 

じっと見て、「あの」と切り出した。

 

やはり自分が―――グランザイラスであることを言わないのは、フェアではないと一瞬思ってしまったから。

 

それに本郷さんは首を横に振って、「いつか話してくれれば良い。人には言えないこと、秘密にしておきたいことの一つや二つはあるものさ」と優しい声で言ってくれた。

 

……そうだ。彼も秘密を抱えている。

 

私は知ってしまっているけれども、仮面ライダーが本郷猛であることを知っている味方は、立花藤兵衛と滝和也の2名だけなのだ。

 

仮面ライダーは基本的に、秘密を抱えて戦う孤独の戦士なのだ。

 

「……わかりました。いつか、言える日が来たら」

 

私はそういって本郷さんから目をそらして、深夜のアミーゴの扉を見つめる。

 

―――数秒後、怒り顔の立花さんが飛び出てきたのは言うまでもないことであった。

 

 

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