昭和石ノ森特撮世界転生~最強怪人を添えて~ 作:大回転スカイミサイル
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―――そして、脱出した私は本郷さんが意表を突きたいということだったので、仮面ライダーが詰まった棺を元の場所に埋め戻していた。
「……君一人だったらどうするつもりだったんだ?」
「もちろん、別の方法を考えただろう」
私の疑問に仮面ライダーはさらりと答えて沈黙する。
―――結局、原作第7話でなぜ彼が棺に入れたかの謎は私には開示されなかったのである。
わずかにくそーと悔しい気分になったが、それでもすぐにそんな気持ちは消え失せた。
あの―――汚れた宝の中にあった、誰かの口から引き抜かれた金歯や銀歯のことが脳裏から離れなかったからだ。
そんなクソみたいな所業を本当にやるやつがいるか、と私は思ったが……この世界のアドルフ・ヒトラーもおそらくは大首領の傀儡だった可能性が高いことを思い出す。
そうでなければソ連軍に遺体を焼却されて、埋められた骨も1970年にエルベ川に捨てられたというヒトラーが、後にGOD悪人怪人軍団の一人として復活はすまい。
いや、もしかするとその散骨の際にKGBの中のGODシンパが回収していたのかもしれないが。
そんなヒトデヒットラーなる怪人のことを思い出して、私は嘆息した。
「よし、埋め戻したぞ。私は退避させてもらう―――場合によっては助太刀しよう」
そうして私は踵を返した。
その背中に、地面の中から「なぜ私の味方をする?」と声が掛けられた。
「……何、私は悪の敵だからだよ」
短くそう答えて、私は火炎旋風となり上空へと駆け上がる。
―――今はそう答えることしか出来なかった。
しばらく待てば―――車が3台。
中から出てきたのはカメレオン男とハインリッヒ博士と戦闘員たち……そして彼らに引っ立てられた立花さんとルリ子さんである。
―――そうして。
「……おおっと。これはまずいか……」
3台目の車から出てきたのは、なんと……蝙蝠男とサラセニア人間であった。
……マジか。再生怪人作成のペースが早くなってやがる……
これは私が加勢しなければいけないかもしれない。
―――なんやかんやで勝ってしまいそうな雰囲気もあるが、それではいけないだろうと私はまだ自分が上空にいることに気づいてないショッカーの連中を見下ろしながら眉をひそめる。
土手の上から、墓地を見下ろし死神カメレオンは笑っていた。
「俺たちをどうするんだ!もう用はないはずだ!!」
立花さんが死神を睨めつけて、憎々しげにそう叫ぶ。
―――ルリ子さんがカメレオンを睨めつける瞳は―――私には原作よりも憎しみが強く宿っているように感じる。
「ハリちゃんまで殺したんだから、私達も殺せばいいわ!!」
歯を食いしばって、彼女はそう言葉をぶつけた。
(……タイミングを見計らって……助けないと)
私はそう感じながらやり取りを見守る―――
『まだ殺すわけにはいかん……仮面ライダーはまだ姿を見せん!奴に手出しをさせないためにな……!』
カメレオン男は原作通りに二人を仮面ライダーを抑えるための人質であると嘯き、そして眼下の林に眠る墓地を見据え『ヒィヒヒヒヒヒ……とうとう拝めるぞ……26年間眠り続けたヒットラーの宝をな……!』と内心の嬉しさも隠さずに笑う。
―――反吐が出る。
ああ、私の中のキャラクターとしての死神カメレオンよさらば。
お前は唾棄すべき人類の敵だ。
リアルに存在したお前は、そうでしかないものなのだ。
眼下のカメレオン男とハインリッヒ博士は、マヌケな四つん這いの格好で私が埋め戻した墓暴きをしている。
―――その墓の中身に手を出していいのは、もう死んだ―――いなくなった宝の元の持ち主たちだけだ。
私は怒りのままそう内心でキレ散らかしていた。
周囲を見れば、蝙蝠男とサラセニア人間は周囲を警戒するかのように立花さんたちの後ろ数メートルを徘徊していた。
作戦は決まった。
後は、本郷さんはわかってくれるはず。
「アッタ!アッタ!」『これが……ヒットラーの宝!』
ハーケンクロイツが描かれた棺を、カメレオン男は急いで開ける―――
開けてしまった。
ネタを知ってしまえば滑稽極まるその話。
謳え汝ら、蝿の如く。
その中にいたのは―――そう。
『貴様、仮面ライダー!?』
「トォ!!」
中にいたのは我らが仮面ライダー・本郷猛!
赤い瞳、真紅のマフラー、緑の仮面!
バァン!
仮面ライダーは墓を一瞬で飛び出し、ライダージャンプ!
木につかまり軌道を変えると、立花さんとルリ子さんの後ろに降り立つ。
「―――今だ!」
私は上空から、怪光線を放った。
ビカビカッ!
閃光が走り、しゃがんでいる仮面ライダーへ襲いかかろうとする蝙蝠男とサラセニアンを―――
バゴォン!と予想より大きな衝撃を与えて吹き飛ばしていた。
「今だ仮面ライダー!」「ウム!」
ライダーはすぐさま立花さんとルリ子さんの縄を切り、立花さんたちを無言で逃げるように促すと戦闘員を蹴り飛ばす!
仮面ライダーは戦闘員たちとの戦いへと入り―――そこにサラセニアンと蝙蝠男が襲いかかろうとするが―――
「貴様らの相手は私だ!」
その目の前に、ドン!と降り立って、邪魔をしてやった。
『き、貴様は……』『エッエッェェェェェ……!』
「最強怪人グランザイラス、貴様らの悪を殺す敵として推参した」
私は怒りのままに仁王立ちで、そういってから「無駄に殺すつもりはない……このまま帰るなら見逃してやってもいいぞ」と不機嫌に言葉を放つ。
『死ねぇ!ショッカーの敵!キキキキイィッ!!』『エケエケエケエケ……!』
私の言葉を聞くこともなく、蝙蝠男はその翼を、サラセニアンは蔦で作られた鞭を私に向けてくる。
バギィッ!ビシィッ!
私はその攻撃をあえて受ける―――受けて、その痛みに―――更に怒りが燃え上がった。
そうか、お前らここで死にたいのか。
怒りのままに戦う……そんな私はヒーローではない。
だから、ただ一言。
「ならば、塵は塵に。灰は灰に。人間の残骸でしかない貴様らは、死体に還れ」
そうつぶやくように言って、私の身体に何のダメージも与えられていないことに怯む二人の怪人を睨めつけるのであった。